三菱ケミカル 半導体精密洗浄事業、ドイツで能力増強を決定

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2021年11月2日

 三菱ケミカルは1日、グループ会社であるドイツのCleanpart ドレスデン社の半導体精密洗浄の事業拡大のため、洗浄能力の増強を行うことを決定したと発表した。投資金額は約1000万ユーロで、2022年末の稼働を予定している。

半導体洗浄事業 独・Cleanpart ドレスデン社

 Cleanpart ドレスデン社は、主にドイツ東部を中心に半導体の精密洗浄サービスを提供し、同エリアにおいて高いシェアを誇る。世界的に半導体需要が旺盛となっており、顧客の生産をサポートするため、洗浄能力を拡大する。今回の増強では、Cleanpart ドレスデン社の敷地内にクリーンルーム棟を新設し、最新技術を用いた洗浄設備や洗浄工程での廃棄物を減らす環境配慮型設備などを導入する予定だ。

 三菱ケミカルグループの半導体精密洗浄事業は、アジア・欧米にそれぞれ拠点をもち、ワールドワイドに展開している。業界のグローバルリーダーとして、グループ会社と連携し品質の良い精密洗浄サービスの提供を通じて、顧客の継続的かつ効率的な半導体生産をサポートしている。今後も「MCSS」の統一ブランドのもと、グローバルに半導体関連のソリューションをワンストップで提供していく方針だ。

 Cleanpart ドレスデン社の佐藤龍平マネージングディレクターは、「ドイツ東部では、半導体の生産量が大幅に増加している。三菱ケミカルのビジョンである〝KAITEKI実現〟に基づき、この地域における顧客の長年のパートナーとして、新たな〝グリーン〟プロセスの設備を導入する。これによって洗浄能力を拡大し、生産をサポートしていく」と述べている。

SEMI 半導体製造装置販売額、2Qは四半期で最高に

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2021年9月17日

 SEMIはこのほど、半導体製造装置(新品)の今年2Q(4-6月期)世界総販売額が248億7000万ドルとなったと発表した。これは前期(1Q、1-3月期)比で5%増、前年同期比では48%増の大幅な伸長となり、四半期ベースで過去最高を記録した。なお、このデータの詳細は、SEMIが発行する世界半導体製造装置市場統計(WWSEMS)で提供されている。

 地域別の2Q装置販売額を見ると、1位が中国(82億2000万ドル)、2位が韓国(66億2000万ドル)、3位が台湾(50億4000万ドル)、4位が日本(17億7000万ドル)となった。中国は前年同期比79%増、前期比38%増と大幅プラスとなっており、前期比9%減となった韓国を抜いて1位に浮上した。台湾も前期比では12%減とマイナス。日本は前期比7%増のプラスだった。また5位の米国(16億8000万ドル)と7位の欧州(7億1000万ドル)は、前期比で20%以上伸ばしており、今後の動向が注目される。

NEDOなど 世界最高出力のパルスレーザー装置を開発

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2021年7月13日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と浜松ホトニクスはこのほど、NEDOの「高輝度・高効率次世代レーザー技術開発」プロジェクトで半導体レーザー(LD)励起では世界最高のパルスエネルギー出力250J(ジュール)の産業用パルスレーザー装置を開発した。エネルギー増幅能力は、従来の同程度サイズの産業用パルスレーザー装置の2倍以上だ。

 レーザーは加工条件などのデジタル制御が容易で、IoTやAI(人工知能)によるクラウドを通じた生産設備の連携と自動化・無人化における最重要ツールの1つ。加工用レーザーには一定強度のレーザー光を連続出力するCW(連続波)レーザーと、短い時間間隔で繰り返し出力するパルスレーザーがあるが、CWレーザーは溶接や切断などレーザー加工の主流である。パルスレーザーは高強度のLDや大型のレーザー媒質がなく高出力装置がないため、レーザーピーニング(衝撃波による金属の硬化加工)などの利用以外に、応用開拓が進んでいない。

 今回、レーザー媒質として最適化した世界最大面積のセラミックス10枚を搭載し、光エネルギーの蓄積能力を約2倍に向上。また、増幅器の設計を見直し、新開発の小型LDモジュール8台を照射角度や位置などを工夫して搭載し、レーザー媒質の励起効率を約2倍に向上させた。さらに同社独自の高出力レーザー技術で装置全体の光学設計を最適化し、集光性や照射面に対する出力分布の均一性などビームの品質を上げた。これらにより、パルスエネルギー出力250Jの産業用パルスレーザー装置を実現した。

 この性能を維持したままビームサイズを4倍に拡大することで、1kJ級レーザーを実現できる可能性を確認した。これにより、レーザー加工技術の発展に加え、医療やエネルギー、新材料、基礎科学といった新分野でのレーザーの応用開拓も期待される。

 両者は今後、高効率レーザープロセッシング推進(TACMI)コンソーシアムと連携し、同装置を用いたレーザー加工実験と加工データを集約したデータベースの構築を進め、浜松ホトニクスは1kJの産業用パルスレーザー装置の実現に向けた研究に取り組んでいく。

 

SEMI 新規ファブ建設、来年までに29件が着工

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2021年7月13日

 SEMIはこのほど、最新の「ワールド・ファブ・フォアキャスト」レポートにおいて、世界の半導体メーカーによる19件の新規量産ファブ建設計画が今年中に着工し、来年も新たに10件の建設計画が着工されると明らかにした。これは全世界で加速する半導体需要に対応するためで、需要拡大は、通信、コンピューティング、ヘルスケア、オンラインサービス、車載など幅広い市場に及んでいる。

 SEMIプレジデント兼CEOのアジット・マノチャ氏は、「世界的なチップ不足に対応するために、新規ファブ29件の装置投資額は、今後数年間で合計1400億ドルを超えることが予測される。中長期的には、ファブ生産能力の拡大により、自動運転車、AI、ハイパフォーマンス・コンピューティング、次世代通信といった新たなアプリケーションに起因する半導体への旺盛な需要に応えることができるだろう」と述べている。

 ファブ建設を地域別で見ると、中国と台湾が各八件と最多。南北アメリカの6件、欧州/中東の3件と続き、日本と韓国は各2件となる。ウェーハ口径別では、300mmファブが今年15件、来年7件と多数を占める。残り7件には、100mm、150mm、200mmのものがある。また29件の生産能力は、200mmウェーハ換算で最大月産260万枚に上ると見られる。

 分野別で見ると29件のファブのうち、15件がファウンドリで、その生産能力は200mmウェーハ換算で月産3万~22万枚。4件のファブはメモリーで、その生産能力は同換算で月産10万~40万枚となる。多数の半導体メーカーが今年から新規ファブ建設に着工するが、装置搬入フェーズに至るまでには最大2年が必要となるため、ほとんどが2023年に装置への投資を開始する。しかし、いくつかのファブでは、来年前半に装置の搬入を開始する可能性がある。また現時点で来年10件の量産ファブの建設開始を想定しているが、今後、半導体メーカーが新たなファブ計画を発表する可能性もある。

SEMI 半導体製造装置販売額、1Qは前年比51%増

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2021年6月23日

 マイクロ・ナノエレクトロニクス製造サプライチェーンの国際工業会であるSEMIはこのほど、半導体製造装置(新品)の今年1Q(1-3月期)世界総販売額が236億ドルとなったと発表した。これは昨年4Q(10-12月)比で21%増、前年同期比では51%の増加と、大幅な伸長となった。なお、このデータの詳細は、SEMIが発行する世界半導体製造装置市場統計(WWSEMS)で提供される。

 地域別の1Q装置販売額を見ると、1位は韓国(73.1億ドル)、2位が中国(59.6億ドル)、3位が台湾(57.1億ドル)となった。1位の韓国は4Qの3位から浮上。4Q比で82%増、前年同期比で118%増と急激に拡大した。2位の中国(4Q比19%増、前年同期比70%増)および3位の台湾(同17%増、同42%増)はともに堅調な伸びを示している。それに対し、日本(4Q比14%減、前年同期比1%減)、北米(同15%減、同30%減)、欧州(同39%減、同9%減)は販売額が減少した。

三井化学 EUVペリクルの商業生産開始、微細化に対応

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2021年5月27日

 三井化学26日は、EUV(極端紫外線)に対応した次世代の半導体フォトマスク防塵カバー「EUVペリクル」について、世界に先駆け商業生産を開始したと発表した。半導体のさらなる微細化や顧客の技術革新要請に対応することで、世界市場に向け生産を行っていく考えだ。生産量は公開していない。

「EUVペリクル」。岩国大竹工場で商業生産を開始した
「EUVペリクル」。岩国大竹工場で商業生産を開始した

 同社は2019年、半導体リソグラフィー分野で世界ナンバーワンのオランダASML社から、EUVペリクル事業のライセンス契約を受け、その設計と技術に基づき同製品の生産設備を岩国大竹工場(山口県和木町)に新設した。

 データ通信を超高速化する第5世代移動通信システム(5G)の導入により、スマートフォンの一層の高機能化と半導体の高性能化が求められる中、先端デバイスに使われる半導体では、回路線幅7㎚以下の超微細化が必要なことから、それに伴い超短波長であるEUV露光技術の採用が本格的に拡大している。

EUV露光機のイメージ図
EUV露光機のイメージ図

 三井化学は、ICT分野を成長市場としてフォーカスし強化策に注力、モビリティ、ヘルスケア、フード&パッケージングに続く第4の成長領域の柱を目指し取り組みを加速させている。今後もICT分野関連製品群への積極投資を展開していくと見られる。

 三井化学は、露光工程の防塵カバー「ペリクル」を1984年に発売して以来、半導体の微細化に合わせたペリクルの改良と製品品質の向上に努めてきた。ペリクルで培った異物管理などの生産ノウハウがEUVペリクルの生産にも生かされており、引き続きEUV露光機の進化に合わせ、同製品の技術改良・革新をASML社と共に取り組んでいく。

SEMI 2020年の半導体製造装置販売額、過去最高額に

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2021年4月26日

 SEMIはこのほど、2020年(暦年)の半導体製造装置(新品)の世界総販売額が、2019年の598億ドルから19%急増し、712億ドルとなったと発表した。

 地域別では、中国が初めて半導体製造装置の最大市場となり、前年比39%増の187.2億ドルとなった。第2位となった台湾の販売額は、大きく成長した2019年から横バイの171.5億ドル。韓国は61%増の160.8億ドルと3位を維持した。2019年に市場が縮小した日本と欧州はいずれも2020年に回復傾向となり、日本は21%増の75.8億ドルの4位、欧州は16%増の26.4億ドルの6位だった。3年連続でプラス成長を果たしてきた北米は、20%減少の65.3億ドルと5位に順位を落としている。

 一方、装置分類別では、ウェーハプロセス用処理装置の販売額が19%上昇し、その他前工程装置は4%増となった。組み立ておよびパッケージング装置とテスト装置の販売額は、全ての地域で大きく成長し、2020年は34%増となった。中でもテスト装置の販売額はトータルで20%増となっている。

三井化学 半導体製造用テープを能増、台湾で2倍強に拡大

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2021年4月9日

 三井化学は8日、100%子会社の三井化学東セロが台湾での半導体製造工程用テープ「イクロステープ」の能力増強を決定したと発表した。

「イクロステープ」。半導体製造工程で使用される保護テープ
「イクロステープ」。半導体製造工程で使用される保護テープ

 昨年1月に営業運転を開始した台灣東喜璐機能膜(台湾東セロ)で行うもの。今夏8月に着工し、2023年10月の営業運転開始を予定する。増設後の生産能力は年産760万㎡。これにより、台湾での生産能力は2倍以上に拡大する。国内の名古屋工場と合わせ、同製品の大幅な供給能力の拡充を図るとともに、BCP体制を強化していく狙いだ。

 「イクロステープ」は、三井化学の樹脂由来のポリマーサイエンス技術と、三井化学東セロの精緻なフィルム加工技術の強みを合わせた製品。半導体製造工程に使われる保護テープとして、特にシリコンウエハーの裏面研削工程用で世界トップシェアをもつ。

台湾東セロの全景。「イクロステープ」を製造する
台湾東セロの全景。「イクロステープ」を製造する

 昨今、半導体市場はコロナ禍によるテレワークの拡大など生活様式の変化に伴い、PCやデータセンター向けの需要が増大しており、また、5Gの本格化に伴い基地局や携帯端末の伸長などで需要拡大と成長が見込まれている。今回の増設を行うことで、「イクロステープ」は、世界的な半導体需要の高まりに対応するとともに、事業領域を拡大していく。

 三井化学東セロは高品質な製品を供給する製造・販売・技術サービスを拡充し、さらなるフィルム・シート事業の強化・拡大を積極的に進めていく考えだ。

三井化学 有機半導体レーザー向け有機色素、共同開発へ

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2021年3月10日

 三井化学は9日、KOALA Tech(福岡市西区)との協働により、有機半導体レーザーデバイスの実用化に向けた有機色素の共同研究開発を開始したと発表した。 

有機半導体レーザーダイオードのイメージ
有機半導体レーザーダイオードのイメージ

 三井化学が培った有機色素の技術とKOALA社がもつ有機半導体レーザーダイオード(OSLD)技術という両社の知見を合わせることで、近赤外波長域での高効率なレーザー発振を可能にする革新的な有機色素の研究開発を共同で行い、スマートフォンやウェアラブル機器への実装・導入を目指す。

 有機半導体レーザーは、無機半導体レーザーでは実現が困難だった「可視~近赤外域の任意の波長での発振」が可能になる。特に、近赤外波長域は、今後は生体認証や光学センサーなどの分野で新たな応用展開が期待されている。また、柔らかい有機材料を使うためフレキシブルデバイスへの利用にも適している。

 KOALA社は、九州大学・最先端有機光エレクトロニクス研究センターで、世界に先駆けて実現されたOSLD技術の実用化を目的として設立されたスタートアップ。OSLDによる電流励起発振のための設計技術に強みがある。

 一方、三井化学は、これまでにCD-R、DVD-R、有機ELなどの用途で有機色素開発と実用化の実績があり、これら一連の開発で培った分子設計と有機合成技術をベースに新たな有機色素の開発を目指している。

 

住友化学 大阪でEUVレジストなど増強、先端領域を強化

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2021年2月9日

 住友化学は8日、液浸ArF(フッ化アルゴン)、EUV(極端紫外線)などの最先端プロセス向け半導体フォトレジストについて、大阪工場(大阪市此花区)の製造ラインを増設し、生産能力を約4倍に引き上げると発表した。新製造ラインの稼働開始は、2022年度上期を予定する。

 フォトレジストは、半導体製造工程のパターン形成に使用される感光性樹脂。同社は、各種ファインケミカル事業で培った有機合成技術をベースに高い製品設計・評価技術を確立し、大阪工場を中心とした製造・研究・販売集約によるタイムリーな顧客対応力などを生かして事業を拡大してきた。特に、主として微細化工程で使用される液浸ArF露光用レジストについては、性能優位性と品質安定性により世界的に高いシェアを占めている。また、新たな光源であるEUV露光用レジストについても、採用が決定している有力顧客の量産化スケジュールに応じて出荷の増加を見込むとともに、着実な新規受注獲得に向けてさらなる微細化ニーズに沿った開発を進めている。

 2019年度には、先端フォトレジストプラントを新設したことに加え、開発効率向上や品質保証体制強化を目的としたクリーンルームの新棟建設と新規評価装置の導入計画を決定。これら直近3年間の投資額は100億円を超え、一連の供給体制整備の一部は経済産業省の「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」の対象事業に採択された。

 半導体デバイス市場は、5Gスマートフォン需要の増加に加え、在宅勤務などライフスタイルの変化に伴い、パソコンやデータセンター関連機器の需要増加を背景に伸長を続けており、液浸ArFをはじめとする先端フォトレジストの需要は、今後も年率6%の拡大が見込まれている。そのため、同社は今回、2019年度に設置した先端フォトレジストプラントに新たな製造ラインを増設し、同プラントの生産能力を約4倍に引き上げる決定をした。

 同じく2022年度上期に完成予定である開発・評価体制強化に向けた新棟建設と合わせ、次期中期経営計画(2022~24年度)の期間中に飛躍的な事業規模拡大を目指す。データ通信のさらなる高速化や大容量化などにより、半導体市場は今後も継続的な成長が見込まれている。2025年ごろには同社の生産能力はひっ迫が予想されるため、長期的な需要を見据えて一層の体制強化を検討していく考えだ。