ダイセル コロナワクチン治験、新規投与デバイスが採用

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2021年2月16日

 ダイセルはこのほど、大阪大学医学部附属病院(大阪府吹田市)が実施する「COVID-19 DNAワクチン皮内接種の第Ⅰ/Ⅱ相試験」(医師主導治験)について、症例登録された被験者(健康成人)を対象とし、同社の新規投与デバイスによるワクチン投与が開始されたと発表した。

 同社は、大阪大学とアンジェス(大阪府茨木市)による新型コロナウイルス感染症向けDNAワクチン共同開発プロジェクトに参画しており、医師主導治験では、ダイセルが開発した新規ガス式無針投与デバイス「DC-MD3A」が治験薬の皮内投与に適用され、DNAワクチンの皮内投与での有効性と安全性が評価される。

 新型コロナの感染拡大を防止するためには、有効かつ安全なワクチンを可能な限り短期間に広く普及させる必要がある。そのためには、一人当たりのワクチンの有効成分量を低減させることが必要。同治験では、治験薬を皮内投与することにより、筋肉内接種プラスミドDNAの量を5分の1~10分の1に低減させることの可能性を探索的に検討する。また、健康成人志願者を対象として、筋肉内接種の評価を参考に、皮内投与での治験薬の有効性と安全性を評価する。

デンカ 新型コロナとインフルエンザの同時診断キット

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2021年2月12日

 デンカはこのほど、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスを1つのデバイスで同時に診断できる抗原迅速診断キット(コンボキット)を開発し、体外診断薬としての国内薬事承認を医薬品医療機器総合機構(PMDA)に申請した。

 このコンボキットは、イムノクロマト法により1つのデバイスで新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原とインフルエンザウイルス(A型とB型)抗原を検出し、短時間で陽性/陰性の検出結果を識別する。両感染症は症状による見分けがつきにくいため、同時判定により適切な治療方法の適用と医療関係者の負担軽減が期待される。

 同社は検査試薬事業で長年実績があり、インフルエンザウイルス抗原迅速診断キット「クイックナビ-Flu2」やアデノウイルス抗原迅速診断キット「クイックナビ-アデノ2」などに加え、昨年8月から新型コロナウイルス抗原迅速診断キット「クイックナビ-COVID19 Ag」を発売し、販売提携先の大塚製薬とともに全国の医療機関に供給している。

 「クイックナビ-COVID19 Ag」は特別な検査機器を必要とせず、鼻咽頭または鼻腔ぬぐい液中の新型コロナウイルス抗原の有無を約15分で診断でき、一般の医療機関でも迅速簡便に検査できるため普及が進んでいる。抗原検査拡充のために、1日10万検査分の生産能力を、11月からは最大13万検査分に増強した。感染症対策を社会的責務と捉え、充分な供給体制の下、一般医療機関での新型コロナウイルス抗原検査のさらなる拡充に貢献していく考えだ。

 

宇部興産 緑内障・高眼圧症の新薬、FDAが承認申請受理

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2021年2月4日

 宇部興産と参天製薬はこのほど、緑内障・高眼圧症の患者を対象とした「STN10117(DE-117)」(一般名:オミデネパグ イソプロピル)の新薬承認申請(NDA)が、米国食品医薬品局(FDA)により受理されたと発表した。FDAは、処方せん薬ユーザーフィー法(PDUFA)に基づき、今年11月19日の完了を目指してNDAの審査を進めている。

 「STN10117(DE-117)」は、緑内障・高眼圧症の治療を目的として、両社が共同開発している点眼剤。有効成分のオミデネパグ イソプロピルは、参天製薬が宇部興産から導入した、選択的にEP2受容体に作用して眼圧下降作用を示す新規作用機序の化合物。日本では2018年より「エイベリス点眼液0.002%」の名称で販売されている。アジアでは順次販売承認を申請しており、2019年以降、韓国などで承認を取得している。

 緑内障は、視神経の障害により視野の欠損が起こる疾患。基本的に進行性で非可逆的であるため、早期発見・早期治療による視神経障害と視野欠損の進行抑制が治療上の重要な課題で、眼圧を下降させることが、最も確実な治療法。緑内障は、日本での眼疾患による視覚障害(視力低下、失明)の主な原因となっており、米国では300万人以上が罹患し、世界では7600万人が罹患していると推測されている。

 両社は、より多くの治療選択肢を医療現場に提供することで、米国の患者のQOLの向上に寄与できることを期待している。

帝人ファーマ 内分泌腫瘍治療剤、効能・効果の追加承認を取得

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2021年2月3日

 帝人ファーマはこのほど、仏イプセンから導入している先端巨大症および下垂体性巨人症、膵・消化管神経内分泌腫瘍治療剤「ソマチュリン皮下注60㎎、90㎎、120㎎」について、厚生労働省より、「甲状腺刺激ホルモン(TSH)産生下垂体腫瘍」の効能または効果の追加承認を取得したと発表した。

 TSH産生下垂体腫瘍は、脳の下垂体にできる良性の腫瘍の一種で、日本国内の患者数は135人ほどの希少疾患。治療としては、腫瘍切除術が第1選択とされているが、手術が困難な場合や、手術後に腫瘍が残った場合には薬物治療や放射線治療が必要となり、また、手術前には甲状腺ホルモンの増加を抑えることも求められる。欧州では薬物治療として、ソマトスタチンアナログ製剤の使用が推奨されているが、日本国内には適応症をもつ医薬品がなかった。

 こうした中、同社は厚生労働省より要請を受け、同剤の適応症を取得するために開発を行ってきた。今回の効能または効果の追加承認取得により、同剤は、TSH産生下垂体腫瘍の適応症をもつ日本で初めての医薬品となる。なお、「ソマチュリン皮下注」と同じランレオチド酢酸塩を主薬とする製剤は、英国、仏国を含む30の国と地域で、TSH産生下垂体腫瘍に対する適応が承認されている。

 帝人ファーマは、今後も新規創薬研究のみならず、適応拡大にも注力し、希少疾病を含むアンメットニーズの高い疾患に新たな治療選択肢を提供することで、患者のQOL向上に貢献していく。

 

デンカ 「アビガン錠」原料供給プロジェクトムービーを公開

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2021年1月20日

 デンカはこのほど、新型コロナウイルス感染症治療薬として期待される抗ウイルス剤「アビガン錠」の原料であるマロン酸ジエチル供給プロジェクトのムービー「マロン酸ジエチル生産再開への軌跡」(約8分)を同社ウェブサイトに公開した。社員が一丸となり、政府の要請から約6週間で、3年間停止していた設備を再稼働し供給に至るまでのストーリーを、臨場感あふれる動画で伝えている。

 同社は「マロン酸ジエチル」の国内唯一のメーカーで、「アビガン錠」の備蓄量拡大に必要な原料を迅速に供給し、新型コロナウイルス感染症の流行に際し医療物資の増産に取り組み国民生活の安定に大きく貢献した企業として、昨年末に経済産業大臣より感謝状を授与された。

 同社は新型コロナウイルス対策を社会的責務と捉え、新型コロナウイルス抗原迅速診断キットも開発し、昨年8月の発売以降全国の医療機関に供給し、検査体制の拡充に貢献している。今後も様々な角度から研究開発を進め、医療現場のニーズに応えるために予防・検査体制の拡充を通じて人々のQOL向上に貢献し、「真に社会に必要とされる企業」を目指す考えだ。

 

デンカ がん治療用ウイルスの製造販売承認を申請

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2021年1月19日

 デンカはこのほど、商用製剤生産技術の開発を進めてきたがん治療用ウイルス「G47Δ(デルタ)」が第13共により再生医療等製品製造販売承認申請されたと発表した。厚生労働省に製造販売が承認された後は、デンカが製造を行う予定だ。

 G47Δは、東京大学医科学研究所の藤堂具紀教授が開発した単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)を遺伝子改変したがん治療用ウイルスで、全く新しいがん治療薬として期待される。膠芽腫(悪性脳腫瘍の一種)を対象とした第Ⅱ相臨床試験(医師主導治験)は、有効中止(臨床試験の途中で有効性が証明)という良好な成績で終了した。G47Δはウイルスそのものを製剤化するため、商用生産には大規模なウイルス製造方法や試験方法の確立が必要で、特別な技術と経験が必要だ。旧デンカ生研時代を含め、長年にわたりワクチンとウイルス検査試薬の開発・製造を行ってきた同社が、藤堂教授の委託を受けて製造技術開発を進めてきたもの。2016年には医療機器・体外診断用医薬品・再生医療等製品として先駆け審査指定制度の指定を受け、申請後早期に再生医療等製品として承認されることが期待される。

 同社は、経営計画「Denka Value-Up」でヘルスケア領域を重点分野と位置づけ、インフルエンザワクチンや各種ウイルス抗原迅速診断キットなどの感染症領域に加え、がん領域でも様々な新規事業に取り組んでいる。G47Δをはじめ400以上のがん遺伝子に着目し、遺伝子変異を解析するパネル検査「CANCERPLEX」の国内事業化に向けた準備を進めている。今後も予防・診断・治療の各領域での製品の開発と製造を通じて、世界の人々のQOL向上に貢献していく考えだ。

富士フイルム バイオ医薬品CDMO事業、米に製造拠点を新設

2021年1月12日

 富士フイルムはこのほど、バイオ医薬品の開発・製造受託の事業成長を一段と加速させるため、米国にバイオ医薬品の大型製造拠点を新設すると発表した。投資規模は2000億円超になる。新拠点は、原薬の大量製造に加えて、拠点内で原薬製造に続く製剤化・包装までを一貫して受託できる「ワンサイト・ワンストップ」の体制を整備。2025年春に、バイオ医薬品CDMO(開発製造受託)の中核会社FDBの拠点として稼働する予定だ。

 バイオ医薬品の製造には、高度な生産技術と設備が必要とされるため、CDMOにプロセス開発や製造を委託するケースが増加している。同社は、FDBの米国(ノースカロライナ州・テキサス州)、英国、デンマークの4拠点で、バイオ医薬品の生産能力増強や高効率・高生産性技術開発の投資を積極的に行ってきた。

 こうした中、今回、世界最大のバイオ医薬品市場である米国のFDB拠点の近郊に大規模投資を行い、バイオ医薬品の大型製造拠点を建設する。新拠点には、FDBの米国内拠点として最大となる2万ℓ動物細胞培養タンクを8基導入。さらに今後、同サイズの培養タンクを最大32基まで拡張できる拠点とし、受注の増加にも対応していく。また、大型の製剤製造ラインや包装ラインを設置。年間3000万本以上の充填が可能な最新鋭の全自動型製剤製造システム、薬液が充填されたシリンジ(注射器)を多品種のオートインジェクターへ組み立て可能な装置、汎用性の高い自動ラベル貼付・梱包設備などを導入し、幅広い顧客ニーズに応えていく。

 同社は、バイオ医薬品市場で大きなシェアを占める米国・欧州で、「ワンサイト・ワンストップ」の受託体制を備えた大型製造拠点を構築し、2024年度にバイオCDMO事業で2000億円の売上を目指す。さらに、今回の設備投資が寄与する2025年度以降も、市場成長を大幅に上回る年率20%の成長率で事業を拡大していく。同社は、今後も高品質な医薬品の安定供給を通じて、医薬品産業のさらなる発展に貢献していく考えだ。

 

 

大日本住友製薬 米ファイザーと抗がん剤で共同開発を提携

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2021年1月7日

 大日本住友製薬はこのほど、米・連結子会社マイオバント・サイエンシズが、米ファイザー社との間で、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)受容体阻害剤レルゴリクスについて、がん領域と婦人科領域における北米(米国、カナダ)での共同開発と共同販売に関する契約を締結したと発表した。マイオバント社はファイザー社に対し、がん領域について北米と一部のアジアを除く地域でのレルゴリクスの販売に関する独占的なオプション権を許諾する。

 同契約締結の対価として、マイオバント社はファイザー社より、契約一時金として6億5000万ドル(約670億円)を受領。さらに、配合剤の米国承認時マイルストンとして2億ドル(約210億円)、レルゴリクスの前立腺がんに係る売上収益、子宮筋腫と子宮内膜症に係る売上収益のそれぞれが25億ドルに達するまで段階的に支払われる販売マイルストンを加え、総額で最大42億ドル(約4350億円)を受け取る可能性がある。

 また、ファイザー社ががん領域での北米と一部のアジアを除く地域でレルゴリクスの販売に関するオプション権を行使した場合、マイオバント社はファイザー社から5000万ドル(約50億円)を受領し、売上収益に対して2桁台のロイヤリティを受領する。

宇部興産 抗血小板剤の効能追加、一部変更承認を国内申請

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2020年12月16日

 宇部興産は15日、第13共との共同研究開発により創製した抗血小板剤「プラスグレル塩酸塩」について、第13共が脳梗塞再発抑制の効能追加に係る国内での医薬品製造販売承認事項一部変更承認申請を行ったと発表した。同申請は、血栓性脳梗塞患者を対象とした国内第3相臨床試験(PRASTRO-Ⅲ試験)の結果および虚血性脳血管障害患者を対象とした国内第3相臨床試験(PRASTRO-Ⅰ、PRASTRO-Ⅱ試験)などの結果に基づくもの。

 「プラスグレル」は、両社が創製した経口抗血小板剤であり、経皮的冠動脈形成術が適用される虚血性心疾患患者に対し、早期から維持期にかけて安定した抗血小板作用と、優れた心血管イベント抑制効果を示すことが国内および海外の臨床試験で確認されている。また、日本国内では両社が共同開発し、2014年に虚血性心疾患患者に対する適応を取得。

 一方、海外については、2009年に欧米での経皮的冠動脈形成術を施行した急性冠症候群患者の、アテローム血栓性イベント抑制を適応症として承認を取得し、世界各国で発売されている。両社は、脳梗塞患者へ新たな治療の選択肢を提供できるよう取り組んでいく考えだ。

JSR 米国内にKBIのバイオ医薬品製造施設を新設

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2020年12月7日

 JSRの米グループ企業であるJSR Life Sciences(カリフォルニア州)はこのほど、バイオ医薬品の開発・製造受託を行うグループ企業のKBIバイオファーマが、米国ノースカロライナ州のリサーチ・トライアングル・パーク(RTP)に最先端のバイオ医薬品の商用生産施設を建設すると発表した。

 今回の施設には、大手製薬会社の出資が決定しており、KBIは同大手製薬会社のバイオ医薬品の製造を支援する。それと同時に、KBIの既存および新規顧客向けの製造拠点としても活用される。

 新施設の面積は14万平方フィートで、1億5000万ドルが投資され、2022年第1四半期中に稼働を開始する予定。今回の事業拡大により、受託製造と品質保証業務での200人以上の技術者の雇用創出が見込まれている。

 新施設には、最大6基の2000リットルシングルユース培養槽と、それに付随する回収および精製装置が含まれ、年間百以上の商用バッチの製造が可能になる。KBIは、製造事業と並行して、高度な分析サービスを採用することで、顧客の商用製品の特性評価や出荷試験までをトータルサービスとして提供し、市販製品の発売や供給をサポートする。なお、今回の新施設は10月にKBIが発表したスイス・ジュネーブに新設される製造施設に続く大規模な施設拡張となる。