東ソー 新規卵巣がんマーカーTFPI2の測定試薬開発

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2021年4月7日

 東ソーは6日、卵巣がんの診断の補助に使用される新規マーカー「組織因子経路インヒビター2(TFPI2)」の測定試薬である「Eテスト「TOSOH」Ⅱ(TFPI2)」 を開発したと発表した。 同製品は、昨年6月に体外診断用医薬品として製造販売承認を取得。今年4月1日付で保険適用を受けており、7月下旬から販売を開始する予定だ。

 同製品は、文部科学省イノベーションシステム整備事業「翻訳後修飾プロテオミクス医療研究拠点の形成」の中で、横浜市立大学と共同で卵巣がん新規診断マーカー探索研究を実施し、得られた成果をもとに開発された。

 特長として、①健常人や子宮内膜症を含む良性腫瘍ではほとんど上昇せず、卵巣腫瘍の良性・悪性の判別に有効、②卵巣がんの中で、他の組織型と比較して卵巣明細胞がんで特に高値を示し、組織型(明細胞がん)の推定に有効、③同社専用装置(全自動エンザイムイムノアッセイ装置「AIA-2000」)により、短時間(約20分)での測定が可能、などが挙げられる。

 東ソーは、ライフサイエンス分野の製品やサービスの提供を通じて、人々の健康と福祉に関する社会課題の解決に貢献できるよう、今後も積極的に取り組んでいく考えだ。

日本触媒 第Ⅰ相臨床試験向けに核酸医薬の原薬を製造

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2021年3月30日

 日本触媒は29日、TAK-Circulator(TAK)とプロジェクトを進める、ステロイド抵抗性難治重症喘息を対象とした核酸医薬品「TAKC-02(開発コード)」について、中分子原薬製造施設で第Ⅰ相臨床試験向け原薬のGMP製造を完了し出荷したと発表した。

中分子原薬合成施設
中分子原薬合成施設

 両社はTAKが東京大学との共同研究成果を基盤に開発した「TAKC-02」の共同商業化契約を締結しプロジェクトを推進。「TAKC-02」はサイトカイン類の産生に関与するMex3B遺伝子を標的とするアンチセンス核酸医薬。吸入投与によりMex3B遺伝子の発現が抑制されると、炎症性サイトカイン類の産生が抑制され、難治性重症喘息の改善が期待される。既存医薬品が有効性を示さないステロイド抵抗性難治重症喘息に関し「TAKC-02」が承認されれば医療ニーズに応える治療薬となる。日本触媒は原薬の供給者として、また、パートナーとして「TAKC‐02」開発に寄与していく。

 一方、日本触媒にとっては、2019年に竣工したGMP準拠の中分子原薬製造施設による初の製造・出荷となる。同製造施設は、核酸医薬をはじめとする中分子原薬製造のための複数の製造ラインをもち、様々な顧客からのニーズに対応した核酸原薬製造を受託できる体制を整えている。今回の製造実績をもとに、4月から本格的に中分子原薬の受託製造事業を展開する。同社は、様々な核酸医薬品の供給を推進し、人々の生命・健康を支え、社会の継続的発展に貢献していく考えだ。

デンカ ヘリコバクター・ピロリ抗原迅速診断キット発売

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2021年3月26日

 デンカはこのほど、体外診断用医薬品「クイックナビ」シリーズの新製品として、ヘリコバクター・ピロリ抗原迅速診断キット「クイックナビ-H.ピロリ」を4月14日から全国の医療機関向けに発売すると発表した。

ヘリコバクター・ピロリ抗原迅速診断キット「クイックナビ‐H.ピロリ」
ヘリコバクター・ピロリ抗原迅速診断キット「クイックナビ‐H.ピロリ」

 ヘリコバクター・ピロリは胃の粘膜に生息しているらせん形をした細菌で、一般に「ピロリ菌」とも呼ばれる。ピロリ菌による胃の粘膜の炎症で、胃炎や胃潰瘍・十二指腸潰瘍が起きると言われており、さらに喫煙や食生活の乱れ、ストレスなどの外的要因が加わると胃がんの発生リスクが高まるとされている。

 同診断キットは、糞便中のヘリコバクター・ピロリ抗原の有無をイムノクロマト法により判定。テストデバイスへ試料滴加後、8分で抗原の有無を迅速に判定することができる。同製品は販売提携先の大塚製薬とデンカの二社が販売する。「クイックナビ」シリーズは、すでにインフルエンザウイルス、ノロウイルス、アデノウイルス、RSウイルス、A群β溶血性連鎖球菌、マイコプラズマをはじめ、昨年8月には新型コロナウイルス迅速診断キットを販売している。

 同社は、感染症対策を社会的責務と捉え、各種ウイルス抗原迅速診断キットだけでなくインフルエンザワクチンも製造・販売する国内唯一のメーカーとして、予防と診断の両面から感染拡大防止に取り組んでいる。今後も医療現場のニーズに応え、予防・検査体制の拡充を通じて人々のQOL向上に貢献していく考えだ。

デンカ エボラウイルス診断キットの国内製販承認を取得

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2021年3月25日

 デンカはこのほど、北海道大学と共同開発したエボラウイルス抗原迅速診断キット「クイックナビ-Ebola」について、医薬品医療機器総合機構(PMDA)から国内製造販売承認を取得したと発表した。同社は国内防疫の観点で、関係官庁や公的機関、研究機関などの協力を仰ぎながら、同キットの活用の可能性を検討していく考えだ。

 同キットは診断結果を約10分で判定し、特別な器具や装置を必要としないことから、医療施設が十分に整っていない地域でも有効に使用が可能。同社は、現在でもエボラウイルス病の発生が確認されているアフリカでの感染拡大予防対策にさらに貢献するために、アフリカ諸国の医療機関への同キットの情報提供を通じて、正式供給の可能性を探るとともに、世界保健機関(WHO)による緊急使用承認を2022年に取得することを目指していく。

 同社は経営計画の中で、ヘルスケア事業を重点分野の1つに位置づける。今後も感染症の予防と早期診断を通じて世界の医療の課題解決に取り組み、人々のQOL向上に貢献していく。

中外製薬 コロナ経口薬、ロシュから日本の開発・販売権取得

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2021年3月15日

 中外製薬はこのほど、ロシュと、新型コロナウイルス感染症に対する経口の新薬候補品「AT-527」について、日本での開発および販売に関するライセンス契約を締結した。

 「AT-527」は、RNAウイルスの複製に必要なウイルスRNAポリメラーゼの阻害作用をもつ直接作用型抗ウイルス剤。米国・アテアが創製し、コロナ感染症に対する経口治療薬としての可能性が検討されている。ロシュとアテアは、同剤の開発を共同で実施し、承認された場合は、米国での販売はアテア、全世界での製造および米国外の販売はロシュが担う。今回、ロシュと中外製薬のライセンス契約により、中外製薬は日本での「AT-527」に対する独占的な開発権と販売権を取得する。

 現在、グローバルでは、入院を要する中等症コロナ患者に対する第Ⅱ相臨床試験、並びに入院をしていない軽症から中等症コロナ患者に対する第Ⅱ相臨床試験が進行中。今年上半期までに第Ⅲ相臨床試験の開始が見込まれ、軽症から中等症の外来コロナ患者に対する有効性・安全性を評価する予定だ。

 中外製薬の奥田修社長COOは、「変異種の感染が拡大するなど、コロナ感染症の世界的流行は衰えを見せておらず、新たな医薬品の選択肢が引き続き必要とされている。ロシュおよびアテアとともに、軽症から中等症の幅広い患者への医療に貢献することを目指す同剤の開発に取り組むことに、強い使命感を抱いている」とした上で、「利便性の高い経口抗ウイルス剤である「AT-527」を日本においてもいち早く届けられるよう、国内の承認申請に向け必要な対応に尽力していく」と述べている。

富士フイルム 英米で新型コロナワクチン候補原薬の量産推進

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2021年3月12日

 富士フイルムはこのほど、バイオ医薬品の開発・製造受託会社フジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズ(FDB)が米国ノースカロライナ拠点に続きテキサス拠点でも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン候補の原薬製造を開始したと発表した。英国拠点でも量産準備をスタートするなど、同ワクチンの迅速かつ安定的な供給に向けた取り組みを加速させている。

 FDBは、米国バイオテクノロジー企業ノババックス社が開発中で、米国政府が立ち上げた官民連携プロジェクト「Operation Warp Speed」が開発支援するCOVID-19ワクチン候補「NVX-CoV2373」の原薬製造を受託し、ノースカロライナ拠点で昨年7月より量産している。今回米国政府の助成の下、テキサス拠点の2㎘細胞培養タンク9基の設置が完了し、原薬製造を開始した。また英国拠点では、米国ノースカロライナ拠点より移管した生産プロセス技術と2㎘細胞培養タンクで、英国政府が調達する「NVX-CoV2373」の原薬製造を行っていく。

 「NVX-CoV2373」は、新型コロナウイルスの遺伝子情報をもとに作った抗原のタンパク質の一部を用いたワクチン候補で、ノババックス社は昨年より南アフリカで後期臨床第Ⅱ相試験、英国で臨床第Ⅲ相試験を開始し、1月には各試験の中間解析結果として主要評価項目を達成し有効性を示したと発表した。また米国やメキシコで臨床第Ⅲ相試験を進めている。

 なおCOVID-19治療薬候補の受託では、COVID-19治療推進プロジェクト「COVID‐19 Therapeutics Accelerator」が開発・製造を支援する米国イーライ・リリー社の抗体医薬品の原薬の量産を、デンマーク拠点で4月より開始する予定だ。

 今後、FDBの米国テキサス、ノースカロライナ、英国、デンマークの全拠点の製造インフラを活用して、COVID-19ワクチン・治療薬の開発・製造に協力していく考えだ。

ダイセル コロナワクチン治験、新規投与デバイスが採用

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2021年2月16日

 ダイセルはこのほど、大阪大学医学部附属病院(大阪府吹田市)が実施する「COVID-19 DNAワクチン皮内接種の第Ⅰ/Ⅱ相試験」(医師主導治験)について、症例登録された被験者(健康成人)を対象とし、同社の新規投与デバイスによるワクチン投与が開始されたと発表した。

 同社は、大阪大学とアンジェス(大阪府茨木市)による新型コロナウイルス感染症向けDNAワクチン共同開発プロジェクトに参画しており、医師主導治験では、ダイセルが開発した新規ガス式無針投与デバイス「DC-MD3A」が治験薬の皮内投与に適用され、DNAワクチンの皮内投与での有効性と安全性が評価される。

 新型コロナの感染拡大を防止するためには、有効かつ安全なワクチンを可能な限り短期間に広く普及させる必要がある。そのためには、一人当たりのワクチンの有効成分量を低減させることが必要。同治験では、治験薬を皮内投与することにより、筋肉内接種プラスミドDNAの量を5分の1~10分の1に低減させることの可能性を探索的に検討する。また、健康成人志願者を対象として、筋肉内接種の評価を参考に、皮内投与での治験薬の有効性と安全性を評価する。

デンカ 新型コロナとインフルエンザの同時診断キット

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2021年2月12日

 デンカはこのほど、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスを1つのデバイスで同時に診断できる抗原迅速診断キット(コンボキット)を開発し、体外診断薬としての国内薬事承認を医薬品医療機器総合機構(PMDA)に申請した。

 このコンボキットは、イムノクロマト法により1つのデバイスで新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原とインフルエンザウイルス(A型とB型)抗原を検出し、短時間で陽性/陰性の検出結果を識別する。両感染症は症状による見分けがつきにくいため、同時判定により適切な治療方法の適用と医療関係者の負担軽減が期待される。

 同社は検査試薬事業で長年実績があり、インフルエンザウイルス抗原迅速診断キット「クイックナビ-Flu2」やアデノウイルス抗原迅速診断キット「クイックナビ-アデノ2」などに加え、昨年8月から新型コロナウイルス抗原迅速診断キット「クイックナビ-COVID19 Ag」を発売し、販売提携先の大塚製薬とともに全国の医療機関に供給している。

 「クイックナビ-COVID19 Ag」は特別な検査機器を必要とせず、鼻咽頭または鼻腔ぬぐい液中の新型コロナウイルス抗原の有無を約15分で診断でき、一般の医療機関でも迅速簡便に検査できるため普及が進んでいる。抗原検査拡充のために、1日10万検査分の生産能力を、11月からは最大13万検査分に増強した。感染症対策を社会的責務と捉え、充分な供給体制の下、一般医療機関での新型コロナウイルス抗原検査のさらなる拡充に貢献していく考えだ。

 

宇部興産 緑内障・高眼圧症の新薬、FDAが承認申請受理

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2021年2月4日

 宇部興産と参天製薬はこのほど、緑内障・高眼圧症の患者を対象とした「STN10117(DE-117)」(一般名:オミデネパグ イソプロピル)の新薬承認申請(NDA)が、米国食品医薬品局(FDA)により受理されたと発表した。FDAは、処方せん薬ユーザーフィー法(PDUFA)に基づき、今年11月19日の完了を目指してNDAの審査を進めている。

 「STN10117(DE-117)」は、緑内障・高眼圧症の治療を目的として、両社が共同開発している点眼剤。有効成分のオミデネパグ イソプロピルは、参天製薬が宇部興産から導入した、選択的にEP2受容体に作用して眼圧下降作用を示す新規作用機序の化合物。日本では2018年より「エイベリス点眼液0.002%」の名称で販売されている。アジアでは順次販売承認を申請しており、2019年以降、韓国などで承認を取得している。

 緑内障は、視神経の障害により視野の欠損が起こる疾患。基本的に進行性で非可逆的であるため、早期発見・早期治療による視神経障害と視野欠損の進行抑制が治療上の重要な課題で、眼圧を下降させることが、最も確実な治療法。緑内障は、日本での眼疾患による視覚障害(視力低下、失明)の主な原因となっており、米国では300万人以上が罹患し、世界では7600万人が罹患していると推測されている。

 両社は、より多くの治療選択肢を医療現場に提供することで、米国の患者のQOLの向上に寄与できることを期待している。

帝人ファーマ 内分泌腫瘍治療剤、効能・効果の追加承認を取得

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2021年2月3日

 帝人ファーマはこのほど、仏イプセンから導入している先端巨大症および下垂体性巨人症、膵・消化管神経内分泌腫瘍治療剤「ソマチュリン皮下注60㎎、90㎎、120㎎」について、厚生労働省より、「甲状腺刺激ホルモン(TSH)産生下垂体腫瘍」の効能または効果の追加承認を取得したと発表した。

 TSH産生下垂体腫瘍は、脳の下垂体にできる良性の腫瘍の一種で、日本国内の患者数は135人ほどの希少疾患。治療としては、腫瘍切除術が第1選択とされているが、手術が困難な場合や、手術後に腫瘍が残った場合には薬物治療や放射線治療が必要となり、また、手術前には甲状腺ホルモンの増加を抑えることも求められる。欧州では薬物治療として、ソマトスタチンアナログ製剤の使用が推奨されているが、日本国内には適応症をもつ医薬品がなかった。

 こうした中、同社は厚生労働省より要請を受け、同剤の適応症を取得するために開発を行ってきた。今回の効能または効果の追加承認取得により、同剤は、TSH産生下垂体腫瘍の適応症をもつ日本で初めての医薬品となる。なお、「ソマチュリン皮下注」と同じランレオチド酢酸塩を主薬とする製剤は、英国、仏国を含む30の国と地域で、TSH産生下垂体腫瘍に対する適応が承認されている。

 帝人ファーマは、今後も新規創薬研究のみならず、適応拡大にも注力し、希少疾病を含むアンメットニーズの高い疾患に新たな治療選択肢を提供することで、患者のQOL向上に貢献していく。