出光興産 ノルウェー領北海PL090I鉱区で試掘に成功

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2021年3月26日

 出光興産は25日、ノルウェー領北海PL090I鉱区で「ブラスト」構造を試掘した結果、上部ジュラ系ソグネフィヨルド層で油の集積を確認したと発表した。

 出光興産は2018年にPL090I鉱区の権益を取得。子会社である出光スノーレ石油開発がノルウェー現地法人出光ペトロリアムノルゲを通じ15%の権益をもっている。

 今回、試掘に成功したブラスト構造はノルウェー領北海にあり、2003年から生産しているフラム油田(出光興産権益15%)から南西約3㎞の場所に位置する。同社は今後、開発に向けた詳細な評価と検討を行う予定だ。

ノルウェー領北海 PL090I鉱区
ノルウェー領北海 PL090I鉱区

デンカ ヘリコバクター・ピロリ抗原迅速診断キット発売

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2021年3月26日

 デンカはこのほど、体外診断用医薬品「クイックナビ」シリーズの新製品として、ヘリコバクター・ピロリ抗原迅速診断キット「クイックナビ-H.ピロリ」を4月14日から全国の医療機関向けに発売すると発表した。

ヘリコバクター・ピロリ抗原迅速診断キット「クイックナビ‐H.ピロリ」
ヘリコバクター・ピロリ抗原迅速診断キット「クイックナビ‐H.ピロリ」

 ヘリコバクター・ピロリは胃の粘膜に生息しているらせん形をした細菌で、一般に「ピロリ菌」とも呼ばれる。ピロリ菌による胃の粘膜の炎症で、胃炎や胃潰瘍・十二指腸潰瘍が起きると言われており、さらに喫煙や食生活の乱れ、ストレスなどの外的要因が加わると胃がんの発生リスクが高まるとされている。

 同診断キットは、糞便中のヘリコバクター・ピロリ抗原の有無をイムノクロマト法により判定。テストデバイスへ試料滴加後、8分で抗原の有無を迅速に判定することができる。同製品は販売提携先の大塚製薬とデンカの二社が販売する。「クイックナビ」シリーズは、すでにインフルエンザウイルス、ノロウイルス、アデノウイルス、RSウイルス、A群β溶血性連鎖球菌、マイコプラズマをはじめ、昨年8月には新型コロナウイルス迅速診断キットを販売している。

 同社は、感染症対策を社会的責務と捉え、各種ウイルス抗原迅速診断キットだけでなくインフルエンザワクチンも製造・販売する国内唯一のメーカーとして、予防と診断の両面から感染拡大防止に取り組んでいる。今後も医療現場のニーズに応え、予防・検査体制の拡充を通じて人々のQOL向上に貢献していく考えだ。

ENEOS サウジと協業しCO2フリー水素SC構築へ

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2021年3月26日

 ENEOSは25日、サウジアラビアの国営石油会社・サウジアラムコとの間でこのほど、CO2フリー水素・アンモニアのサプライチェーン構築に向けた協業検討の覚書を締結し、フィージビリティスタディ(FS)を開始すると発表した。

 今回の検討では、サウジアラムコが生産・供給する天然ガス・LPGなどの化石資源に由来する水素製造事業、製造時に発生するCO2を回収・貯留する事業、日本をはじめとするサウジアラビア国外の需要地への海上輸送の3点を対象にFSを実施する。

 海上輸送については、アンモニアや常温常圧で水素ガスの500分の1の容積となる液体・メチルシクロヘキサン(MCH)を含む様々な水素の輸送形態を検討する。日本は年間原油消費量の3分の1以上をサウジアラビアから輸入しており、サウジアラムコがCO2フリー水素・アンモニアの長期的な安定供給ポテンシャルをもつことから覚書を締締。

 ENEOSは、このFSの成果に基づき、日本への製品輸入を含め、製油所を起点に発電所などの近隣企業への水素供給事業の展開を目指す。CO2フリー水素・アンモニアサプライチェーンを早期に拡大することで、将来の水素社会実装と低炭素社会構築に貢献していく。

旭化成 住宅領域でアクセラレータープログラムを募集

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2021年3月26日

 旭化成と旭化成ホームズは25日、ゼロワンブースターと共同でアクセラレータープログラム「LIFE CO-LAB.(ライフコラボ)」を開始すると発表した。同プログラムに参加するスタートアップや事業家の募集を同日から開始している。募集領域は、住まい・まち・ライフスタイルといった旭化成グループの住宅事業に関連する領域が中心だが、既存ビジネスにとらわれない新しい発想や技術も歓迎する。

アクセラレータープログラム ロゴ
アクセラレータープログラム ロゴ

 「ライフコラボ」とは旭化成グループが実施するアクセラレータープログラム(協業・出資を目的とした募集)。2019年度に開催した「旭化成ホームプロダクツアクセラレーター」に続き、2回目となる。なお「ライフコラボ」は、旭化成グループとスタートアップによるオープンイノベーションの形を表現した造語だ。「ライフコラボ」では、同社グループの社員が、社内のリソースを活用しながらスタートアップの事業を約4カ月間支援し、新たな事業を共創する。

 一方、旭化成グループも、イノベーティブな環境の醸成に加え、旭化成グループだけでは実現できないイノベーションの創出を目指す。同プログラムを通じて、両者の知見を学び合いながら、既存の領域にとどまらない分野での新しい価値創出を加速させる。なお、4月8日(17~18時半)にオンライン説明会の開催を予定している。参加費は無料、事前申込は専用サイト(https://lifecolab2021-briefing.peatix.com)から。

住宅領域でアクセラレータープログラム
住宅領域でアクセラレータープログラム

日本ゼオン 合成香料リーフアルコールの生産能力を増強へ

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2021年3月26日

 日本ゼオンは25日、合成香料の主力製品であるリーフアルコールについて、生産能力を増強することを決定したと発表した。同社はリーフアルコールで世界№1のシェアをもつが、今回の増設により年間生産能力は1600t(現在1200t)に拡大する見込み。今年の夏に起工し、2022年秋の竣工を予定している。

合成香料リーフアルコールを増強
合成香料リーフアルコールを増強

 リーフアルコール(cis-3-Hexenol)は「青葉アルコール」とも呼ばれ、新緑の若葉のような香りをもつ合成香料。フレッシュ感を演出するグリーン系香料として、香水やシャンプー、石鹸などのフレグランス、また、清涼飲料や菓子などのフレーバーに幅広く使用されている。汎用的に使用される香料として、今後も安定的な成長が見込まれていることから、同社は能力増強を決定した。ゼオングループはこれからも香料の〝化学〟を通じて、香り豊かなくらしの演出に貢献していく。

 

住友ゴム工業 タイヤ内発電でセンサーをバッテリーレス化

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2021年3月25日

 住友ゴム工業はこのほど、関西大学と共同でタイヤ内発電技術を開発しタイヤ周辺に搭載するセンサーへの電源供給が可能となったと発表した。この発電デバイス(エナジーハーベスト、環境発電)は、タイヤの内側に取り付け、タイヤの回転による静電気を利用して電力を発生させる技術だ。

タイヤ内に取付けた発電デバイス
タイヤ内に取付けた発電デバイス

 今回、摩擦帯電に関係する構造と材料の最適化で発電電力を上げるとともに、電源制御回路へ充電し外部センサーへ給電・動作させるシステムを開発した。検証テストでは、タイヤ速度50km/hでの発電量は800μW以上で、外部センサーを起動しBLE(Bluetooth Low Energy)の連続通信を確認した。これにより、タイヤセンシングの一番の課題であるセンサーデバイスの電池寿命を解決し、タイヤセンシングの実用化に大きく前進した。

 同社は、CASE/MaaSなどの自動車業界の変革に対応するためのタイヤ技術開発と周辺サービスのコンセプト「スマートタイヤコンセプト」を掲げ、様々な技術開発を行っており、中でもタイヤをセンサーとしたソリューションサービスの提供を推進している。今後も「タイヤがクルマとつながる、人とつながる、社会とつながる」をキーワードに、安全・安心なモビリティ社会実現に向けて同社独自の価値を提供し続ける考えだ。

 

東洋紡 FO膜利用でRO海水淡水化システムの効率向上

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2021年3月25日

 東洋紡はこのほど、中空糸型正浸透膜(FO膜)搭載の環境配慮型水処理システムを海水淡水化分野のコンサルタント会社SWPC社(アラブ首長国連邦、アブダビ)と東洋紡連結子会社のアラビアンジャパニーズメンブレンカンパニー(AJMC)と共同で開発し米国へ特許を仮出願したと発表した。今後、実証実験を重ね早期の実用化を目指す。

中空糸型正浸透(FO)膜
中空糸型正浸透(FO)膜

 雨水や地下水に乏しい中東地域などでは、海水から淡水を作る海水淡水化プラントが多く稼働し、東洋紡グループ製の中空糸型逆浸透膜(RO膜)は1日あたり約160万t、約640万人分の使用量に相当する真水を作っている。しかしRO膜法の海水淡水化プラントからは高濃度の濃縮海水が排出されるため、濃縮海水の効率的な処理方法が求められている。

 今回、FO膜モジュールを併用して濃縮海水排水量を削減し、システム内で発生するエネルギーを利用する次世代の環境配慮型の水処理システムを開発した。

 まず、海水をRO膜で高圧処理して大部分の塩分を除去し濃縮海水と淡水に分け、さらに淡水をRO膜で低圧処理して真水と低濃度塩水に分ける。次に低濃度塩水と濃縮海水を同システム内でFO膜を隔てて接触させると、浸透圧差で低濃度塩水側から濃縮海水側に水流が発生し、濃縮海水は希釈されると同時に、この水流エネルギーをプラント内の圧力ポンプなどの動力として利用する。ここで希釈された濃縮海水は、通常の海水と濃度が変わらないため、RO膜での淡水化に循環利用できる。

 通常くみ上げた海水は、化学薬品を使って微粒子を除去するが、濃縮海水を再利用できるためこの工程を省略でき、薬品使用コストも削減できる。このシステムは、既存の海水淡水化プラントにも容易に追加設置でき、濃縮海水の排水量削減と、発生エネルギーでエネルギーの一部をまかなえるなど、大きな設備投資なしに環境に配慮した水処理システムを実現できる。

 今後両社と協働で実証実験を行い、安定運転のノウハウなどを確立して早期の実用化を目指す。同システムの普及により、環境負荷が低く、コストを抑えた海水淡水化プラントの運用を支援し、世界の水不足という課題の解決に貢献していく考えだ。

デンカ エボラウイルス診断キットの国内製販承認を取得

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2021年3月25日

 デンカはこのほど、北海道大学と共同開発したエボラウイルス抗原迅速診断キット「クイックナビ-Ebola」について、医薬品医療機器総合機構(PMDA)から国内製造販売承認を取得したと発表した。同社は国内防疫の観点で、関係官庁や公的機関、研究機関などの協力を仰ぎながら、同キットの活用の可能性を検討していく考えだ。

 同キットは診断結果を約10分で判定し、特別な器具や装置を必要としないことから、医療施設が十分に整っていない地域でも有効に使用が可能。同社は、現在でもエボラウイルス病の発生が確認されているアフリカでの感染拡大予防対策にさらに貢献するために、アフリカ諸国の医療機関への同キットの情報提供を通じて、正式供給の可能性を探るとともに、世界保健機関(WHO)による緊急使用承認を2022年に取得することを目指していく。

 同社は経営計画の中で、ヘルスケア事業を重点分野の1つに位置づける。今後も感染症の予防と早期診断を通じて世界の医療の課題解決に取り組み、人々のQOL向上に貢献していく。

BASF 糖脂質バイオサーファクタントで2社と提携

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2021年3月24日

 BASFはこのほど、アライド・カーボン・ソリューションズ(東京都新宿区、ACS社)との戦略的提携とHoliferm社(イギリス)との戦略的技術協力を締結したと発表した。

 持続可能性、生分解性の成分や活性物質に対する消費者のニーズが高まる中、バイオサーファクタント製品市場での世界的なリーディングポジションを拡大するために連携する。ACS社とは、BASFを単一の筆頭株主とする株式取得も含む戦略的提携だ。

 すでに発酵で作る界面活性糖脂質「ソホロ脂質」を共同開発し、昨年「BioToLife」としてアジア市場に投入した。有害な微生物の過剰増殖を抑制し、皮膚、頭皮、口腔ケア製品で常在菌のバランスを調整して優れた洗浄効果を発揮するユニークな特性をもつが、さらに目標の性能を持つソホロ脂質をベースに、幅広い製品の開発に焦点を当て、独占的技術協力と商業契約、製品開発で提携する。

 もう1つのHoliferm社とは、パーソナルケア、ホームケアと工業用製品に応用可能な新規糖脂質開発に向け、持続可能な非化石資源の発酵由来成分の開発・製造に特化した独占契約を締結した。Holiferm社のユニークな生産技術とプロセスのノウハウと、BASFの業界での主導的な地位と知識を組み合わせて、ソホロ脂質以外の新規糖脂質の開発を目指す。

 BASFはすでに界面活性剤の技術革新を行い、生産能力をもつが、バイオベースの製品を追加して製品ポートフォリオを拡大するために、同社の強みに加えて技術に根ざしたパートナーとの協業の機会を常に探っている。

JFEスチール 樹脂・スチール複合のエネルギー吸収構造を開発

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2021年3月24日

 JFEスチールとイイダ産業は、自動車のエネルギー吸収部品用の超高強度鋼板/樹脂マルチマテリアル構造を開発した。

 自動車の車体には高い衝突安全性能と軽量化の両立が求められ、構造骨格部品への超高強度鋼板(引張強度980M㎩以上)の使用が増加しているが、センターピラーやルーフサイドレールなど衝突時の変形抑制が必要なキャビン構成部品に限られている。衝突エネルギーを部品変形によって吸収する必要のあるフロントサイドメンバーやリアサイドメンバーでは、超高強度鋼板は衝突時の部品座屈や曲げ変形で部品母材が破断し必要なエネルギー吸収が得られず、高強度薄肉化による軽量化は困難だった。

 今回、エネルギー吸収部品に適用するため、イイダ産業開発の高延性・高密着性樹脂を超高強度鋼板製の部品本体と薄肉鋼板製部品でサンドイッチした構造を開発。車両衝突時の座屈・曲げ変形のRが大幅に拡大し、超高強度鋼板部品は破断せずエネルギー吸収性能が大幅に向上した。同重量の場合、引張強度590M㎩・厚み2mmの部品に比べ、引張強度1470M㎩・厚み1.4mmのマルチマテリアル化部品のエネルギー吸収性能は53%高い。エネルギー吸収性能が同等の場合、25%の軽量化が可能だ。今後は電気自動車も視野に入れ、自動車メーカーとの共同開発を加速する。

 電気自動車はエンジンを搭載せず、衝突時に変形してエネルギーを吸収するフロントエンドやリアエンドが短くなるため、効果的にエネルギーを吸収する必要がある。またエンジンの振動が無くなり走行による振動が目立つが、樹脂が走行時の振動を吸収するため、高い衝突安全性能と軽量化の両立に加え快適な乗り心地を提供できる。同社は高強度鋼板の開発・製造だけでなく、工程の省力化や商品の性能向上のために、自動車の設計段階から技術的に協力し合うEVI活動を展開している。樹脂などの軽量素材を組み合わせたマルチマテリアル構造をはじめ、ニーズに合った様々な製品と利用技術を開発・提案し、自動車車体の軽量化によるCO2排出量削減と高性能化に寄与していくことで、持続可能な社会の実現に貢献していく考えだ。