三菱ケミカル 「BioPBS」製ジッパー、欧州で認証取得

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2020年8月27日

 三菱ケミカルは26日、同社の生分解性樹脂「BioPBS」を活用してタキロンシーアイが開発したジッパーが、欧州の生分解性製品の認証機関「TÜV AUSTRIA」の〝OK Compost〟認証を取得したと発表した。

BioPBSを使用したジッパー
BioPBSを使用したジッパー

 三菱ケミカルが開発し基本特許をもつ「BioPBS」は、タイのPTT MCC Biochem(三菱ケミカルとPTTグローバルケミカルの折半出資)が製造する植物由来の生分解性樹脂。自然界の微生物によって水と二酸化炭素に分解されるため、自然環境への負荷が少ない。また、他の生分解性樹脂に比べ、低温ヒートシール性・耐熱性・柔軟性などの優れた性能がある。

TÜV AUSTRIA 社の認証マーク
TÜV AUSTRIA 社の認証マーク

 今回、タキロンシーアイが長年培ってきたジッパーの製造技術により、「BioPBS」を用いた生分解性ジッパーの開発に成功し、また、ジッパーのような厚みのある製品では取得が難しいとされている「TÜV AUSTRIA」の〝OK Compost〟の認証を取得した。

 プラスチックごみ問題への対策が求められていることを背景に、食品のパッケージなどに使用される包装材料は、従来の非生分解性の樹脂から生分解性のある素材への代替需要が高まっている。

 今回開発したジッパーは、「BioPBS」の柔軟性とタキロンシーアイの成型加工技術により、生分解性をもちながら多様な再開閉ニーズに応えることが可能。今後は菓子やコーヒー豆、ドライフルーツといった食品用パッケージや衣料用パッケージなど、幅広い用途に展開していく。

 三菱ケミカルは、三菱ケミカルホールディングスグループが掲げる「KAITEKI」の実現に向け、今後も「BioPBS」をはじめとする生分解性樹脂や植物由来樹脂の研究開発・用途展開を加速させ、サーキュラーエコノミー(循環型社会)構築やSDGs達成に貢献していく。

旭化成 「へーベルメゾン」の再エネを川崎製造所で活用

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2020年8月27日

 旭化成は26日、東京電力エナジーパートナー(東電EP)ともに、旭化成ホームズが手掛ける集合住宅「ヘーベルメゾン」の太陽光発電設備で創出した環境価値を、旭化成グループ内で有効活用する取り組みを発表した。

 具体的には、旭化成ホームズが賃貸用の集合住宅「ヘーベルメゾン」の屋根に、固定価格買取制度「FIT制度」の対象外(非FIT)となる太陽光発電設備を設置し再生可能エネルギーを創出。その再エネ電力を東電EPが購入し、環境価値を付与した上で、「非FIT非化石証書付電力」として旭化成に販売する。

 旭化成は、東電EPから購入した電力を実質再エネ由来の電力として川崎製造所で利用。旭化成グループ内で創出した環境価値を製造時に使用する電力として活用し、地球温暖化ガスの削減をはじめ、グループビジョンに掲げる「環境との共生」などの取り組みを推進していく考えだ。

 3社は同日に、「非FIT非化石証書付電力契約」を締結。FIT制度に依存しない太陽光発電設備による非FIT非化石証書を付加した電力を、同一企業グループ内の事業所に供給する国内初の取り組みとなった。

 太陽光で発電された電力は、FIT制度を中心に活用されるのが一般的だが、今年4月に同制度の認定条件が変更されたことを受け、旭化成、旭化成ホームズおよび東電EPは、FIT制度に依拠せずに再エネの普及に貢献する手法を共に検討を進め、このほど、同一企業グループ内で有効活用するスキームを実現した。

 3社は今後も、地球環境を重視し、再生可能エネルギーの拡大・活用を検討していく。

旭化成グループ内で、太陽光発電設備による再エネを有効活用するスキーム
旭化成グループ内で、太陽光発電設備による再エネを有効活用するスキーム

 

ハイケム 生分解性ポリマー事業、PLA輸入開始

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2020年8月27日

世界3位の中国企業と提携、繊維中心に拡大図る

 ハイケムは生分解性材料の販売体制を整え、ポリ乳酸(PLA)の日本での販売を開始するとともに、PBAT(ポリブチレンアジペートテレフタレート)など他の生分解性材料についても本格的にマーケティング活動を始動した。

生分解性樹脂のポリ乳酸(PLA)
生分解性樹脂のポリ乳酸(PLA)

 同社は、日中間での化学品の貿易事業を中心に、C1ケミカルのライセンス事業なども手掛けており、今年度から始まった第5次中期経営計画(2020~2022年)の中では、生分解性ポリマー事業を注力分野の1つとして位置づけている。

 このほど、同社が事業戦略パートナーシップ契約を結ぶ中国の大手食品添加物メーカー・豊原集団の子会社が、PLAの量産化に成功。生産能力は年産5万tで、米国のネイチャーワークス、タイのトタル・コービオンPLAに次ぐ世界第3位の規模を誇る。世界最大のPLAサプライヤーを目指す豊原集団は、来年には生産量を倍増させ、今後5年以内に年産100万tまで拡大していく。コスト面でも、最終的には綿と同等の価格帯を目指している。

 ハイケムがPLAで先ず狙うのは、原料としてのPLAではなく川下の加工品だ。具体的には、押出成形用途、射出成形用途、繊維・不織布用途の3種類。押出成形用途は、フィルムやシートに展開、射出成形用途は弁当や野菜、果物などの食品包装容器や精密部品、コンパウンド原料などに展開する。繊維・不織布用途では、アパレル製品や、マスク、ティーバッグなどの製品に展開していく。

 高潮(たか・うしお)社長が「これから伸びてくるのは繊維での用途」と考えるように、同社の繊維に対する期待値は大きい。その理由の1つは、PLAの繊維を織る際に、ポリエステル用の織機がそのまま転用できることから、中国国内での繊維加工がスムーズに行えることがある。

 また、PLAのもつ抗菌性や弱酸性などの特徴にも注目。その特性を生かし、ベビー服やインナーなどへ展開し、国内アパレルメーカーと協業することでPLA混合繊維などへの拡販を図っていく。

 2019年の世界のPLAマーケットは約20万tと推定されているが、環境意識の高い欧州などではその採用が加速しており、需要の伸びが供給力を上回っているのが現状だ。また、日本のマーケットは約5000tと推定されており、日本でも需給がひっ迫している。

 こうした中、ハイケムは、2023年までに日本市場のPLA流通量を倍増させることに加え、汎用ポリエチレンに似た特性をもつPBATや海洋生分解性プラなど、幅広い生分解性材料の取り扱いも強化していく。

 中国では河川などへの汚染問題が深刻になってきており、ハイケムは「生分解性材料こそ海洋プラスチック問題やマイクロプラスチック問題を解決する糸口になる」と考える。現在、中国ではこれらの問題への関心が高まり、生分解性材料のサプライヤーが台頭してきている。

 同社は、日中の架け橋として、これらのサプライヤーと緊密な関係を構築し、高い技術力のある日本の材料メーカーとの架け橋となり、生分解性材料の世界的な普及に貢献していく。

PLAを使用した食品包装容器(左)と、PLA100%のポロシャツ
PLAを使用した食品包装容器(左)と、PLA100%のポロシャツ

 

NEDOなど 高効率低負荷の水素専焼ガスタービン成功

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2020年8月26日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と川崎重工業、大林組はこのほど、「水素社会構築技術開発事業」で川崎重工が開発した「マイクロミックス燃焼」技術を使ったドライ低NOx水素専焼ガスタービンの技術実証試験に、世界で初めて成功した。

 ドライ燃焼方式は従来式よりも発電効率が高く、NOx排出量も低減できる。水素はガスタービン発電や燃料電池など、CO2を排出しない究極のクリーンエネルギーとして将来の中心的役割が期待されている。

 同事業は水素社会の実現に向け2017~18年度に神戸市や関西電力などの協力で「水噴射方式」の水素ガスタービンを実証試験し、世界で初めて神戸市ポートアイランド市街地への水素専焼の熱電併給を達成した。

 「水噴射方式」は局所的な高温燃焼によるNOx発生を抑える技術だが、水の蒸発により発電効率が低下。一方「ドライ燃焼方式」は発電効率が高くNOx排出量も少ないが、水素の高速燃焼による火炎逆流があり、燃焼の安定化が課題であった。

 今回、川崎重工は微小な水素火炎による燃焼技術「マイクロミックス燃焼」を使ったドライ低NOx水素専焼ガスタービンを開発。排熱回収ボイラを組み合わせたコジェネレーションシステムで、約1100kWの電力と約2800kWの熱エネルギー(蒸気・温水)を周辺の公共施設へ供給。今年度末まで、断続的な実証運転により水素発電の安定運用と発電効率、環境負荷低減効果などを検証する。

 今秋からは大林組により、燃料「水素」と地域の「熱」「電気」利用を総合管理し、経済・環境的に最適制御する統合型エネルギーマネジメントシステムを実証し、事業性評価を行う。また大林組は大阪大学、関西大学と共同で、液化水素の冷熱の活用を検討する。

 ガスタービン用の水素は、マイナス253℃(1気圧)の液化水素を蒸発器で気化させて得るが、その冷熱により蒸発器に着霜するため、除霜を行う運転停止が必要だった。プロパンガスなどの中間熱媒体で液化水素の冷熱を取り出すと着霜が回避でき、連続運転が可能となる。さらにこの冷熱でガスタービンの吸気を冷却すると、発電効率も上がる。こうした液化水素の冷熱の活用で、システム全体の効率化を図る。

 NEDOと川崎重工、大林組は、水素社会の実現に向け、地域コミュニティーでの効率的エネルギー利用につながるエネルギー供給システムの確立を目指し、本事業を着実に実施していく。

ドライ低NOx水素専焼ガスタービンの実証試験プラント
ドライ低NOx水素専焼ガスタービンの実証試験プラント

工学院大学 段ボール製PCR検査用防護シールドを開発

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2020年8月26日

 工学院大学はこのほど、鈴木俊彦教授(建築学部建築学科)が段ボール製のPCR検査用防護シールドを開発したと発表した。

ダンボール製PCRボディシールド
ダンボール製PCRボディシールド

 撥水性の高い強化段ボールを使用しているため消毒が可能で、窓にはアクリル板を貼り、医療従事者は立位でも座位でも検査が可能なつくりとなっている。鈴木教授は、避難所内などでプライベートな空間をつくることを目的に段ボール製の簡易個室キットなどを2011年から設計・現地搬入し続けている。

 今回の防護シールドには、運搬・組み立て・価格も配慮されており、使用後は、段ボール部分は資源ごみとして廃棄できる。商品名は「PCRボディシールド」。小売価格は2万2000円(税込)で、大幸紙工が受注販売を開始した。

 

帝人と木下製網 超高分子量PEフィルム製の魚網を開発

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2020年8月26日

 帝人と木下製網はこのほど、帝人の高機能ポリエチレンテープ(UHMWPE)「Endumax」を使用した、世界初のフィルム製高機能漁網「MX‐4」を共同開発したと発表した。木下製網は、今月上旬より「MX‐4」の本格展開を開始している。

「MX-4」の使用イメージ
「MX-4」の使用イメージ

 漁網には、様々な種類があるが、特にまき網漁では繰り返し使用するにつれて網目が大きく収縮し、網の形が崩れ、魚を囲い込む性能が低下するため、頻繁に網の修繕や交換を行わなければならない。

 こうした漁業者の課題を解決するため、帝人のUHMWPEフィルム「Endumax」と、世界有数の無結節網の編網機をもつ木下製網の製造技術を組み合わせることで、高い耐久性を実現しメンテナンスの頻度を下げることが可能となった。

 帝人の「Endumax」は、高強度、高弾性率、耐衝撃性、耐摩耗性、耐薬品性、耐紫外線性などを兼ね備えた厚み60㎛のフィルム。従来漁網に使用されてきた繊維に比べ、フィルムの製網・量産には高度な技術を要すが、数ミリ幅に裁断した「Endumax」を、木下製網独自の技術で編み込むことで、高機能漁網が実現した。

 同製品は、寸法安定性や耐摩擦性、網揚げ時の水切り性などの特性に優れることから、カツオ、マグロ、アジ、サバなどのまき網漁業などでの使用に適しており、試験採用では高い評価を得ている。

 帝人は、これまで防弾用途、航空貨物用軽量コンテナ、ロープなどの産業分野に「Endumax」を展開しているが、今回の漁網用途への展開を契機として、さらなる用途拡大を図る。

 一方、木下製網は、まき網漁業を皮切りに、養殖網、定置網、トロール網などの漁業現場での活用を図り、国内をはじめ幅広くグローバルに「MX‐4」を展開する。さらに「Endumax」使用の漁網のバリエーションを拡充することにより、2025年までに年間約50tの販売を目指す考えだ。

三井化学 新規3Dマスク、不織布減らし生分解性も付与

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2020年8月26日

 三井化学はこのほど、名古屋大学と同大学発ベンチャーの3者で開発を進めていた、再使用可能な新規3Dマスク「θ(シータ)」が完成したと発表した。 

共同開発による新規3Dマスク「θ(シータ)」
共同開発による新規3Dマスク「θ(シータ)」

 同製品は、再使用する樹脂製の「マスク本体」と使い捨ての「フィルター」からなり、三井化学は、交換フィルター用の不織布を提供する。マスク本体とフィルターの最適化を図ることで、従来のマスク性能を維持しながらも、不織布使用量を10分の1に削減。また、コロナ禍で世界的に増加するマスク需要により使い捨てマスクのごみ問題が顕在化する中、本体部分に生分解性樹脂のPLA(ポリ乳酸)を使用することで、環境にも配慮した。

 マスク本体の設計には、名古屋大学大学院工学研究科の堀克敏教授が3Dプリンタを活用した。立体設計により、皮膚への接触面積が少なく、装着時の蒸れや化粧移りが少ない構造を探索。着脱部位の工夫により簡単に首から下げられる仕組みから、一時的な脱着時の衛生面も確保できるといった特長も備える。

 フィルター装着部分に4色のカラーバリエーション(ホワイト・ミントグリーン・ピンク・アイスブルー)を揃え、ファッション性も配慮した。販売価格は、マスク本体と150日分の不織布フィルター、医療機関などへの寄付金(100円)を含め6,400円(送料・税込み)。

 共同開発者の同大学発ベンチャー・フレンドマイクローブが現在、クラウドファンディング「Makuake」を通じて予約販売を行っている。今月30日まで。同社ウェブサイト(https://friendmicrobe.co.jp/)からアクセスできる。

 同社によれば、「いち早く消費者に製品を届けるために初期段階では3Dプリンタでの生産を行うことにした」とのこと。また、3Dプリンタでは生産数に限りがあるため、販売数を設定でき、かつ、まとめ買いを防ぐためにも初期段階でクラウドファンディングの利用を決めようだ。ファンディングで集めた資金などを元手に量産体制を確立次第、通常のネット販売に切り替えていく。

 一方、三井化学は、今回の取り組みでフィルター用不織布を提供しているが、今後は「本体樹脂などでも提供できる素材について協力範囲を広げていく」考えだ。

性能はそのままに不織布使用量を10分の1に
性能はそのままに不織布使用量を10分の1に

ENEOS 大井火力発電所内に水素ステーションを開所

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2020年8月26日

 ENEOSとJERAは25日、水素の利用普及を促進する共同プロジェクトとして、JERAが運営する大井火力発電所敷地内に、「東京大井水素ステーション」(東京都品川区)を開所したと発表した。

東京大井水素ステーション 外観
東京大井水素ステーション 外観

 同ステーションの開所に向けて、JERAが大井火力発電所の敷地を提供するとともに、水素の原料である都市ガスの配管などを整備し、ENEOSが都市ガス改質型の水素製造装置を備える(オンサイト方式)商用水素ステーションを建設した。運営は、全国で42カ所の商用水素ステーションを展開するENEOSが行う。

 同ステーションでは、ENEOSやJERAなどが出資する扇島都市ガス供給の都市ガスから水素を製造し、乗用車タイプの燃料電池自動車や、東京都が導入を推進している燃料電池バスに水素を供給。

 また、敷地内には出荷設備もあり、首都圏にあるENEOSの水素ステーションにも水素を出荷していく。さらに、同ステーションは、大都市東京の経済を支える物流の中心に立地していることから、将来的には、燃料電池トラックへの水素供給拠点の役割も担うことが期待される。

 両社は今後も、それぞれがもつリソースやノウハウを活用しながら、水素事業をはじめとした幅広い分野で協力関係を模索していくことで、エネルギーの安定供給と低炭素社会の実現に向けて貢献していく考えだ。

 

出光興産 子会社が「とちょう電力プラン」初の供給事業者に

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2020年8月25日

 出光興産はこのほど、100%子会社である出光グリーンパワー(東京都港区)が、東京都が実施する「とちょう電力プラン」初の供給事業者に決定されたと発表した。

 出光グリーンパワーは、「とちょう電力プラン」の供給事業者として、再生可能エネルギー100%の電力を都有施設の一部へ供給するとともに、都内の各家庭からの卒FIT電力買い取りを今月28日から受付開始する。なお、「とちょう電力プラン」としての卒FIT電力の買い取り期間は今年12月検針日~2023年11月末まで。

 「とちょう電力プラン」は、都内の各家庭で発電された卒FIT電力を含む、再生可能エネルギー100%の電力を、特別支援学校や廃棄物埋立管理事務所などの都有施設の一部で活用する取り組み。

 出光グリーンパワーは、「とちょう電力プラン」の供給事業者として、都内の卒FIT電力を対象に、東京都による上乗せ価格(1.5円/kWh)を加算して11円/kWh(税込み)で電力を買い取る。買い取った卒FIT電力は再生可能エネルギー100%の電力の一部として供給する。

 東京都は、2050年にCO2排出実質ゼロに貢献する「ゼロエミッション東京」の実現に向け、東京都が所有する施設で使用する電力の再生可能エネルギー100%化へ取り組むことを掲げている。

 出光グリーンパワーは、出光グループの家庭用電力販売の知見や、風力・地熱・バイオマス・太陽光・水力といった多種多様な再生可能エネルギー電源をもつ強みを生かし、東京都での再生可能エネルギー普及に貢献していく。

「とちょう電力プラン」の都内卒FIT買取
「とちょう電力プラン」の都内卒FIT買取

三菱ガス化学 福島天然ガス発電所2号機、営業運転を開始

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2020年8月25日

 三菱ガス化学は24日、同社が9%出資し事業パートナーとして参画している福島ガス発電(FGP:東京都千代田区)は、福島天然ガス発電所(福島県相馬郡新地町)の2号発電設備の営業運転を開始したと発表した。

発電所全景(右~奥はJAPEX相馬LNG基地)
発電所全景(右~奥はJAPEX相馬LNG基地)

 同発電所は、FGPならびにFGPへ出資する三菱ガス化学、石油資源開発(JAPEX)、三井物産、大阪ガス、北海道電力の5社で推進する相馬港天然ガス発電事業の基盤として2016年に建設を決定し、相馬港4号埠頭で建設工事を進めてきた。

 今年4月30日に営業運転を開始した1号発電設備と合わせ、出力合計118万kW(59万kW×2基)となる同発電所は、化石燃料のなかで最も温室効果ガス(GHG)や大気汚染の原因物質の排出が少ない、LNGを気化したガスを発電燃料に使用している。

 また、発電設備には発電効率の高いガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)方式を採用し、すでに実績のある機種に最新の要素技術を加えることで、現時点で世界最高クラスとなる約61%の発電効率を実現している。

 なお、隣接するJAPEX相馬LNG基地敷地内へ建設を進めていた、23万Kl級地上式の2号LNGタンクの建設とLNG気化設備の増強工事についても完工し、2号機の営業運転開始と同時に全面操業を開始した。

 三菱ガス化学を含む事業パートナー5社およびFGPは、同発電所を安全最優先かつ安定的に運転することを通じ、電力全面自由化やGHG排出量削減などの市場環境の変化に対応できる低廉で環境負荷の小さい電力の安定供給などへ、中長期的に貢献していく。