住友化学 繊維用向け樹脂製蓄熱材が寝具の中綿に採用

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2020年10月23日

 住友化学は22日、同社が開発した樹脂製蓄熱材「コンフォーマ」が、大手寝具メーカーの高機能掛け布団の中綿に採用されたと発表した。今後、衣料やカーペットなど様々な繊維製品への展開を目指していく。

 同製品は、相変化を利用して20~50℃の範囲内の所望の特定温度域で熱の出し入れができるように設計された繊維向け樹脂製蓄熱材。パラフィン(石ろう)などの低分子系蓄熱材は漏えい防止が必要だが、同製品は蓄熱する温度域で固体状態を維持するため、そのまま繊維の形態で使用することができる。

 また、細長い繊維にするために成形安定性を高めた樹脂設計をしており、ナイロンやポリエステルといった一般的な合成繊維と同様に、生産効率の高い溶融紡糸法での量産が可能だ。こうした特性から、繊維化した同製品を布団の中綿に使用した場合、布団と人体との間の空気層を快適な温度に保つことができる。羽毛に代わる合成繊維の中綿設計に寄与する重要な素材として評価され、今回の採用に至った。

 近年、QOL向上が求められており、快適性を追求した機能性繊維の開発が進められているが、同製品はそれらの機能性繊維と組み合わせることでも相乗効果の発現が想定される。例えば、防寒肌着の吸湿発熱繊維と組み合わせて暖かく感じる時間を長続きさせたり、夏季向けの接触冷感繊維と組み合わせて涼しさをさらに向上させたりといった効果が期待できる。また、人や社会、環境に配慮したエシカル消費の観点からは、羽毛の代替素材としての活用も見込まれる。寝具や衣料のほか、快適さや省エネに資するその蓄熱性能を生かして、カーペットやカーテンをはじめとした幅広い繊維製品への適用に向け、現在、複数の企業と用途開発が進む。

 同社は、これからも市場の潜在ニーズを発掘し、既存事業の枠を超えた新たなアプリケーションへの展開につながる新規製品・技術を開発することで、サステナブルな社会の実現に貢献できるソリューションを提供していく考えだ。

繊維用途向け樹脂製蓄熱材「コンフォーマ」性能比較
繊維用途向け樹脂製蓄熱材「コンフォーマ」性能比較

JSR 欧州でバイオ医薬品製造施設を拡張、共同事業強化

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2020年10月23日

 JSRは22日、グループ企業である米国JSR Life Sciencesが子会社のKBI BiopharmaとSelexisの欧州での共同事業強化のため、最先端の施設を新たに拡張し事業規模を拡大すると発表した。

 KBIとSelexisは、今回の拡張によりジュネーブの工業地帯であるZIPLOにあるStellar32キャンパスに、合わせて8700㎡の施設を保有することになり、KBIは欧州の顧客向けに臨床用cGMPバイオ医薬品原薬製造能力の強化を、Selexisは需要が拡大している哺乳動物細胞株の開発技術とサービスの提供の充実を図る。また、この拡張により両社で合わせて250人以上の雇用創出を見込んでいる。

 JSR Life Sciencesは、今回の投資により、Selexisのタンパク質発現プラットフォーム「SUREtechnology」とKBIの高度なプロセスおよび分析開発ツールを合わせることで、より効率を向上させたサービスを顧客へ幅広く提供していく予定だ。

 

 

三菱ケミカル 軟質塩ビフィルム、カーテン需要が拡大

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2020年10月23日

コロナ禍の生活様式に対応、低コストで導入可能

 飛沫感染防止用のビニールカーテン素材として、三菱ケミカルグループのダイヤプラスフィルム社の軟質塩ビフィルム「アルトロン」が注目されている。

軟質塩ビフィルム「アルトロン」 吊り下げ式カーテン
軟質塩ビフィルム「アルトロン」 吊り下げ式カーテン

 これまで主に工場や精密機器を製造するクリーンルームなどで使用され〝製造現場の名脇役〟として活躍していた「アルトロン」だが、その優れた性能が評価され、飛沫感染防止用の吊り下げ式カーテンとしての需要が拡大。加工製品販売では、4月以降、前年同月比で数倍から数十倍で推移し、6月以降は特に防炎タイプの受注が増加している状況だ。

 ウィズコロナを前提とした「新しい生活様式」での日常化が進む中、飲食店をはじめ対面接客が必要な施設では、飛沫感染防止策として樹脂製のパーティションが一般化。4月には、コンビニチェーン各社が感染拡大防止策の一環として、レジカウンターへの透明シート設置を発表し、5月には政府の専門家会議が提言の中で、「人と人が対面する場所は、アクリル板・透明ビニールカーテンなどで遮蔽する」と、感染予防の具体例として紹介された。

 緊急事態宣言解除に伴い経済活動が再開されてからは、スーパーマーケットやドラッグストアなどのレジカウンターをはじめ、公共サービス機関の窓口、公共交通機関、オフィスの間仕切りなどにも吊り下げ式の透明ビニールカーテンが使用され、今や、「新しい生活様式」の1つとして目にする機会が増えている。

 吊り下げ式のビニールカーテンは特徴として、アクリル製のパーティションと比べ「設置台が不要」「高さや横幅など必要なサイズを各自で調節できる」「比較的低コストで導入可能」などのメリットがある。特に店舗レジなどでは、顧客と品物のやり取りが発生するため、カウンターに一定の空間が必要となることから、高さ調整に融通のきくビニールカーテンが好まれる傾向だ。

 また、「アルトロン」には、工場の間仕切りやビニールブースなどに使用する汎用タイプのほか、消防法施行令に適合した「防炎」タイプをはじめ、「耐電防炎」「静電防止」「静電防炎」といったニーズに応じて各種ラインアップを揃える。

 一方、こうした中、大阪のショッピングセンターで、客がライターを試しに点火したところ、レジカウンターに設置したビニールシートに引火して火災が発生。消防や自治体では使用に関する注意を呼び掛けており、消防庁からは延焼を防ぐ防炎品の使用が推奨されるようになった。

 ダイヤプラスフィルム社では、引き続き、防炎タイプをはじめとした軟質塩ビフィルム「アルトロン」を必要とするユーザーすべてに供給可能な体制を構築し、新型コロナウイルス感染拡大防止の一助となるよう取り組んでいく考えだ。

 

SEMI 2020年の出荷面積は前年比2.4%の成長

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2020年10月22日

 SEMIはこのほど、半導体向けシリコンウェーハ出荷面積の年次予測を発表した。これによると、2020年の出荷面積は、2019年の落ち込みから回復し、前年比2.4%の成長となる。その後、2021年に5.0%成長、2022年に5.3%成長、2023年に4.1%成長と継続的な成長が見込まれる。

 SEMIの市場調査統計担当ディレクタのクラーク・ツェン氏は、「今年の出荷面積は、地政学的緊張、世界的な半導体サプライチェーンのシフト、新型コロナウイルス感染拡大の影響などにもかかわらず回復が進んでいる。新型コロナの感染拡大が加速させたデジタル化により、企業およびそのサービス提供方法が世界中で様変わりしており、この成長は2023年まで継続すると予測している」とコメントしている。

BASF 廃タイヤ由来の熱分解油の利用拡大に向け投資

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2020年10月22日

 BASFはこのほど、廃タイヤの熱分解を専門とするテクノロジー企業Pyrum Innovations(ドイツ、ディリンゲン/ザール)に1600万ユーロを投資すると発表した。Pyrum社のディリンゲン熱分解工場の拡張と技術の発展を支援する。

 Pyrum社の廃タイヤ熱分解工場のタイヤ処理能力は年間1万t(1日当たりタイヤ2500~3000本の実績)で、この投資により2022年末までに生産ライン2つを追加する予定。さらに新たなパートナーとともに工場建設を予定しており、数年以内に年間最大10万tへの増強を見込んでいる。

 BASFは「ChemCycling」プロジェクトの一環として、熱分解油の大半をマスバランス方式で新しい高品質・高機能のプラスチック製品の製造に使用する。一次化石資源で製造した製品と同じ特性をもち、カーボンフットプリントは軽減される。LCA分析でポリアミド6(PA6)はその傾向を示し、Pyrum社の廃タイヤ熱分解油を用いた場合のCO2軽減効果の試算では、PA6-t当たりの削減量は1.3tであった。

 BASFはプラスチック産業のサーキュラー・エコノミー(循環型経済)への移行にコミットし、川上の化石由来原料を混合プラスチック廃棄物由来の油に置き換えることに注力しているが、廃タイヤ由来の熱分解油はそれに次ぐ原料として使用していく考えだ。

 なお廃タイヤは、ISOなどの国際規格では「使用済みプラスチック廃棄物」に該当する。BASFは熱分解油の供給基盤を確立し、ケミカルリサイクルしたプラスチック廃棄物を原料とした製品の顧客への提供を目指しており、今回の投資で大きく前進できたとしている。

 

積水化学 サステナブルなまち第2弾、東松山で販売開始

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2020年10月22日

 積水化学工業はこのほど、同社が取り組むまちづくり「SEKISUI Safe&Sound Project」の一環として、「東松山リードタウン」(埼玉県東松山市)の販売を開始した。

 同県朝霞市で進める「あさかリードタウン」に次ぐ第2弾と位置づけ、まちの地下部分は雨水貯留システム「クロスウェーブ」など、同社のインフラ技術で基盤を整備し、地上部分は太陽光発電システムや蓄電池を搭載した同社ブランド「スマートハイムシティ(戸建て分譲地)」や「ハイムスイート(分譲マンション)」で構成。コンセプトに掲げる安心・安全で、環境にやさしい、サステナブルなまち・住まいの提供を目指す。

 東武東上線「東松山駅」東口から徒歩2分に立地する約6100平米の敷地に、戸建て分譲住宅23区画(建売分譲・建築条件付き)、地上12階建て分譲マンション105戸を予定。15日から建築条件付き土地の販売を開始した。

 『東松山リードタウン』のイメージ
「東松山リードタウン」のイメージ

 

帝人フロンティア 洗濯しても効果が持続する抗ウイルスマスク発売

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2020年10月22日

 帝人フロンティアはこのほど、50回洗濯しても抗ウイルス効果が持続する「洗える!抗ウイルスマスク」を、今月12日からテイジン公式オンラインショップ「くらし@サイエンス」などで販売開始した。 

『洗える!抗ウイルスマスク』
「洗える!抗ウイルスマスク」

 同社が展開する抗ウイルス・抗菌防臭素材「ケミタックW」を採用することにより、インフルエンザウイルスを、洗濯前の状態で99%以上、洗濯を50回した後でも90%以上減少させる優れた抗ウイルス効果を発揮する。加えて、悪玉菌(黄色ブドウ球菌)の増殖を抑制しイヤな臭いを抑える抗菌防臭効果も備える。「ケミタックW」は、安全性と耐久性が高い特殊セラミックなどを利用した抗ウイルス・抗菌防臭素材であり、光触媒反応により、ウイルスや細菌のタンパク質を分解することで抗ウイルス・抗菌効果を発現する。

 「洗える!抗ウイルスマスク」では、快適な着用感や機能性にもこだわった。しなやかなストレッチ性により隙間なく肌にフィットし、極細繊維を使用することでソフトな肌ざわりを実現した。また、マスク内を蒸れにくくする吸水速乾機能や、花粉捕集率90%という花粉を通しくい機能、および紫外線遮蔽率99.9%というUVカット機能も併せもつ。生地から縫製までを日本国内で行う。サイズは、ふつう・小さめ・キッズの3タイプで、ホワイト・ネイビーブラック・ブラック3色のカラーバリエーションをラインアップする。希望小売価格は、同色・同サイズ2枚入りで1400円(税別)。

出光興産 ボイラ制御最適化システム、海外で初の採用

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2020年10月22日

 出光興産は21日、日本郵船グループと出資する郵船出光グリーンソリューションズが、台湾プラスチック社(FPC)と、ボイラ制御最適化システム「ULTY‐V plus(アルティ ヴイ プラス)」6基の納入契約を締結したと発表した。同システムは国内で、約100基の導入実績があるが、海外への納入決定は今回が初。導入完了時期は今年度中を予定している。

ボイラ制御最適化システム「ULTY-V plus」
ボイラ制御最適化システム「ULTY-V plus」

 「ULTY‐V plus」は、AI(人工知能)を活用することで、燃料投入量調整や蒸気圧力調整などの一連の動作を「自己計測」「自己分析」「自己判断」で行う完全自己完結型制御システム。発電所や工場で使用されるボイラに装備することで、最適な運転を実現する。今回の導入により、FPC社は、約1.0%の燃料量削減(6基合計の燃料量削減量:年間約9万t)と、6基合計で年間約23万4000tのCO2削減換算量となる見込みで、経済性向上と環境負荷低減が期待できる。

 FPC社は、出光興産と機能化学品事業で提携関係がある。今回の納入先となる麦寮工場で稼働中の石炭火力発電ボイラにて同システムの評価を行ってきた結果、燃焼効率向上による燃料使用量削減効果を実証した。

 郵船出光グリーンソリューションズは、同システムをはじめとした環境技術の開発、コンサルタント業務などを通じて、国内外でのCO2削減に貢献することを目指す。

住友理工と産総研 先進高分子デバイス連携研究室を設立

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2020年10月21日

 住友理工と産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、産総研のつくばセンター内に「住友理工-産総研先進高分子デバイス連携研究室」を設立したと発表した。自動車業界は「CASE」(コネクト、自動運転、シェア、電動化)など新規の機能・役割で、100年に1度の大変革期を迎えている。

ステアリングタッチセンサー
ステアリングタッチセンサー

 住友理工は新たなニーズを取り込むため、防振ゴムやホースの研究開発で培った「高分子材料技術」「総合評価技術」によりハンドルやシートへの圧力や接触を検知・可視化するセンシングデバイス「スマートラバー(SR)センサ」技術を開発し、この変革に応えた技術・製品を生み出してきた。

 今回提携する産総研の「情報・人間工学領域ヒューマンモビリティ研究センター」は、人を計測し理解する基盤研究の下、運転支援や自動運転技術をはじめ、歩行から公共交通機関まで様々な移動手段の支援技術と移動価値向上技術の研究開発を行い、人間を中心にモビリティ全体を最適化し、ライフスペースの拡大を図っている。

 連携研究室は住友理工の先進技術と産総研の研究開発の成果を融合し、生活全般での人々の安全・安心・快適への寄与を目的に設立した。具体的には、センシングデバイス実装車両による実際の再現走行実験で、生体情報・状態の推定可能限界を明らかにする。

 例えば、「SRセンサ」をシートに内蔵またはクッション形状に加工して座面に置き、座面の圧力変化からドライバーの心拍・呼吸・体の動きなどを検知し、疲労や居眠り、急病予兆などドライバーの状態を推定することで、警告や運転支援システムの作動、外部への通報などにつなげるドライバーモニタリングシステムを開発する。

ハプティクスインターフェース
ハプティクスインターフェース

 また、ステアリングタッチセンサや「SRセンサ」の柔軟・通電性を利用したハプティクスインターフェース(信号入力で振動)などで自動運転の安全性を確保していく。 その中で官能定量化の先端的技術やデータ解析技術の深化、既存技術とデジタルの融合による技術革新など総合評価技術を高度化し、各種開発途上技術を確立し、高付加価値の製品群とソリューションを創出することにより、グローバル・システムサプライヤーとしてモビリティ社会のさらなる発展に貢献することを目指す考えだ。

BASF カシオ最新モデルに「ウルトラミッド」を採用

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2020年10月21日

 BASFはこのほど、高性能プラスチック「Ultramid Advanced N(ウルトラミッド アドバンストN)」がカシオ計算機の最新デジタルウォッチ「G‐SHOCK GBD‐H1000」に採用されたと発表した。

 新しいポリフタルアミド(PPA)は充電・データ同期用端子ヘッダーに使用され、その優れた耐熱性、機械的・寸法安定性が「G‐SHOCK」の堅牢性や機能性、性能を高めている。BASFのPPAは低吸湿性、高熱変形温度のため樹脂に高熱が伝わる電子機器のはんだ付け工程に特に適しており、部品のブリスターや寸法変化を防ぐ。またレーザー透過性にも優れ、後工程の自由度も高くなる。

 今回新発売のスポーツウォッチ「G-SHOCK GBD-H1000」は5種類のセンサーを搭載したフィットネストラッカーとしても機能するため、技術的革新性とともにハードなワークアウト時には耐衝撃性、耐水性、耐薬品性が求められる。「ウルトラミッド アドバンストN」は高温・高湿度環境での優れた寸法安定性と耐薬品性により金属端子台にしっかりと接着し、過酷なカシオの防水基準も満たしている。高い機械的強度を維持しながら、約1.2cm、厚さ0.2mm、重量0.1g以下と部品の小型化に貢献した。電子機器製造で多用されるハンダ付けに求められる260℃の耐熱性基準を満たし、他の素材より優れた精度と品質を実現した。

 同社のPPA製品群「ウルトラミッド」は4素材、50以上の配合グレードがあり、成形タイプ(射出、押出)、難燃剤の有無、熱安定剤の種類、色味(無着色からレーザーマーキング可能な黒色)、強化材(短・長繊維ガラス、炭素繊維)などの選択が可能だとしている。