東レ ナノ積層技術で正面透過・斜め反射フィルムを創出

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2020年1月30日

HUDのデモ。左側は「ピカサスVT」を貼っているため、風景も文字情報もはっきり見える
HUDのデモ。左側は「ピカサスVT」を貼っているため、風景も文字情報もはっきり見える

 東レは29日、正面からの光はガラスのように透過し、斜めからの光は鏡のように反射する世界初の光学機能を備えたフィルム「PICASUS(ピカサス)VT」を創出したと発表した。

 従来の材料では不可能だった機能により、市場拡大が見込まれるAR(拡張現実)やMR(複合現実)用途でのHMD(ヘッドマウントディスプレイ)やHUD(ヘッドアップディスプレイ)向けや、のぞき見防止フィルム、ディスプレイ用フィルムなどへの展開が期待できる。

 一般的な光学材料では、透明なガラスやプラスチックのように正面・斜めいずれの方向から入射した光もほぼ透過する素材や、金属膜のようにいずれの方向からも入射した光を反射する素材がある。一方、正面からの光は高い透過率で透過し、斜めからの光は高反射するといった光の指向性をコントロールできる光学素材はこれまでなかった。

 今回、同社が開発した「ピカサスVT」は、独自のナノ積層技術を駆使するとともに、新規の光学設計に基づいた樹脂屈折率の高精度制御により、正面からの光を透過し、斜めからの光を反射するという全く新しい機能を発現させることに成功した。

 従来のナノ積層フィルム「ピカサス」は、ナノメートルスケールの厚みの層を数百~1000層重ねることで特定の波長の光を反射させる機能を備えているが、今回の「ピカサスVT」では、特性の違う2種類のPETを組み合わせことで、さらに光の反射・透過の指向性までを制御したものとなった。

 この新規光学フィルムをAR・VR用のHMDやHUDに用いた場合、透明なガラスやプラスチックと同様に風景の視認性は維持しつつ、従来に比べて、投影情報をはっきりと表示することが可能だ。

 他の用途としては、正面透過性と全方位からの光を反射する機能を生かしたPCやスマートフォン向けの覗き見防止フィルムや、後加工・組み立てに適した平面性と全方位に対する集光機能を生かしたディスプレイ用集光フィルムなどが想定され、ディスプレイの機能向上に貢献することができる。

 今後、展示会への出展などにより周知を図り、顧客ニーズを探っていく。そして、ビジネスモデルを含めた研究開発やサンプルワークを進め、3年後の実用化を目指していく方針だ。なお、同技術は東京ビッグサイトで31日まで開催されている「nano tech 2020(第19回国際ナノテクノロジー総合展・技術会議)」で展示している。

NEDOなど 陽電子放射断層撮影装置検査用に結晶の製造技術を確立

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2020年1月27日

直径4インチのCe:GAGGシンチレーター結晶
直径4インチのCe:GAGGシンチレーター結晶

 NEDO・C&A・東北大学は、陽電子放射断層撮影装置(PET)検査用のセリウム添加ガドリニウムアルミニウムガリウムガーネット(Ce:GAGG)シンチレーター結晶を、直径4インチ径で製造する技術を確立した。

 この技術を活用することで、PETに使うシンチレーター結晶の高速時間応答・高発光量・高感度化などが見込まれ、PETの解像度が向上することから、より早期での小さながんの発見が可能となり、がん患者の医療費削減とQOL(生活の質)向上に寄与することが期待される。

 がん細胞の検知やアルツハイマー病の部位の同定で、PETによる検査が行われている。PET検査ではポジトロン(陽電子)を発生する薬剤を体内に注入し、ポジトロン核種が放出する放射線を特殊なカメラで検出することで、脳や心臓などに薬剤が集積する様子を断層写真に収める。

 PETのセンサーヘッドは、ポジトロン核種からの放射線を光に変換する結晶(シンチレーター結晶)と受光素子から成る、放射線検出器で構成されているため、PETの高性能化には、高速時間応答・高発光量・高感度で高いエネルギー分解能を持つ、シンチレーター結晶が必要だ。

 現行のPET用シンチレーター結晶には、セリウム添加ルテチウムイットリウムオルソシリケートなどが使われているが、精密な温度制御が要求されるほか、原料の大部分を中国産に依存していることに加え、価格が高騰しているなど、供給が不安定という課題があった。

 Ce:GAGGは従来のPET用シンチレーター結晶材料と比べ2倍程度の発光量を持つため、PET用シンチレーター結晶の高発光量化・高感度化によるPETの特性向上が見込めるが、蛍光寿命が長くPETには適していなかった。今回、最適な共添加剤とその最適濃度を見出だし、高い発光量を保ちつつ蛍光寿命を短くすることで、高速時間応答を実現し、PETにも適用できるようになった。

 すでに乳がん用PETだけでなく、局部用PETや環境モニター用コンプトンカメラ、欧州原子核研究機構(CERN)の次世代検出器、イタリア国立天体物理学研究所(INAF)の放射線天文学用検出器などへの採用の検討も本格的に始まっており、引き続き世界の放射線検出器・非破壊検査装置・医療画像装置への採用を目指す。

大日本印刷 5Gスマホ向け超薄型放熱部品を開発

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2020年1月27日

 大日本印刷(DNP)はこのほど、第5世代通信規格(5G)スマートフォン(スマホ)向け放熱部品事業に本格参入し、従来品に比べて、同等以上の放熱性能を保持しながら、厚みを約3割薄くした0.25㎜厚の放熱部品「べーパーチャンバー」を開発したと発表した。

 放熱部品の薄型化により、バッテリー容量の大型化に必要なスペースを確保することが可能になり、スマホの薄型化と発熱対策を両立するソリューションをスマホメーカーに提供していく。

 5Gに対応したスマホの普及が見込まれる中、大容量・高速通信によるデータ処理量の増加に伴うアプリケーションプロセッサや通信用ICなどの過熱への対策が課題となっている。また、5G化によって搭載部品の点数が増え、消費電力の増加によりバッテリーサイズが大きくなる一方で、消費者から薄型スマートフォンへの強いニーズがあり、より薄い放熱部品が求められている。

 「べーパーチャンバー」は、平板状の金属板を貼り合わせた中空構造で流路が配置され、内部には純水などの液体が封入されている。この液体が蒸発と凝縮を繰り返しながら熱を輸送することで、ICなどの熱源部分の温度上昇を抑制する機能がある。

 今後、DNPは、今秋までに今回開発した0.25㎜厚の超薄型「べーパーチャンバー」の量産を開始し、さらに薄い0・20㎜厚の製品開発を行い、2025年度に年間200億円の売上を目指す。

神戸大など 糖で微生物を制御しポリマー原料生産向上

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2020年1月24日

PMPE技術による大腸菌を用いたモノづくりのイメージ図
PMPE技術による大腸菌を用いたモノづくりのイメージ

 神戸大学などの研究グループは、糖を使い分けることで微生物の増殖と物質生産を独立してコントロールする「Parallel Metabolic Pathway Engineering(PMPE)」という新しい技術を開発し、ナイロンの前駆体となるムコン酸の生産性向上に成功した。

 神戸大学大学院工学研究科の藤原良介博士後期課程学生(日本学術振興会特別研究員DC1)、田中勉准教授、理化学研究所環境資源科学研究センターの野田修平研究員らの研究グループは、科学技術振興機構(JST)などの助成を受け新技術の開発に取り組んだ。

 同研究では、食糧生産と競合しないリグノセルロース系バイオマスの、主な加水分解物の糖であるグルコースとキシロースに着目。このグルコースをモノづくりに、キシロースを微生物の増殖に使えるような代謝デザインを施した大腸菌を構築した。

 微生物を利用したモノづくりでは、原料が微生物自身の増殖などに利用されるため目的生産物の生産性が低下する一方、増殖を制限すると微生物が弱り全体の生産量が減るという問題がある。これは、通常の微生物では、取り込んだグルコースとキシロースを1つの代謝系で代謝し、目的物質を生産すると同時に微生物が生きるために使用するため。

 そこで、PMPE技術では、微生物の代謝を2つに分けて糖代謝を独立させることにより、グルコースは全て目的物質の生産に、キシロースは微生物の生育・維持のために使われるようにした。グルコースは生育・維持のためには一切使われないため、収率を大きく向上させる。

 同研究では、改変した大腸菌にムコン酸生産経路を導入し、グルコースとキシロースからムコン酸生産を行い、最終的にムコン酸を4.26g/ℓ生産することに成功した。その収率(理論上の最大収量に対する実収量)は世界最高値となる、1gのグルコース当り0.31gとなった。

 さらに、PMPE技術の他の目的生産物への応用を検討した結果、芳香族化合物であり必須アミノ酸でもあるフェニルアラニンや、食品や医薬品の添加剤として用いられる1,2‐プロパンジオールの生産性を向上することにも成功。PMPE技術が様々な物質の生産性・収率の向上に有効であり、汎用性の高い技術であることを示した。

 糖を使い分けさせることで微生物の代謝を制御するPMPE技術により、さまざまな糖類が混在する実バイオマスの有効利用にも大きく貢献できると考えられている。

宇部興産 グループ2社が射出成形機の新シリーズ発売

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2020年1月24日

射出成形機の新シリーズ機「emⅢ」
射出成形機の新シリーズ機「emⅢ」

 宇部興産グループのU‐MHIプラテックとU&Mプラスチックソリューションズはこのほど、射出成形機の新シリーズ機「emⅢ(イーエム・スリー)」を開発し、販売を開始したと発表した。

 従来の「emⅡ」シリーズに比べ、省スペース・省エネ性能をさらに進化させ、12年ぶりの新シリーズとして上市した。「em」シリーズは型締構造が2プラテン式の電動射出成形機として、2001年に誕生。2008年にはさらに「emⅡ」「emR」の両シリーズを相次いで発売し、国内外の顧客に納入してきた。

 新製品は従来のシリーズと同様に、自動車や二輪、家電、産業資材、住宅設備など、国内外の幅広い業種の顧客に向けてPRする予定だ。

 型締力1300tのタイプに続き、型締力1050tも年内に販売開始する計画。省スペース性は2プラテン機の特長だが、「emⅢ(1300t)」は、さらにマシン全長を短縮。トグル式射出成形機の650tクラスのコンパクトな機長を実現した。設置スペースの確保がしやすく、工場内のレイアウトがより検討しやすくなる。

 また、マシンの高さを下げ、「emⅡ」では必要だった作業床を不要にした。操作盤、型盤内へ簡単にアクセスでき、作業性・メンテナンス性がアップした。消費電力は従来機より20%以上低減。作動油量やグリス消費量も減り、ランニングコストを低減させた。

 ドライサイクルは、従来機に比べ30%短縮し、業界最速を実現。ハイサイクル成形により生産性向上に貢献する。オプションで工場監視・稼働実績・アラーム履歴・品質管理・品質分析に対応する。

BASF PPSUで新製品、射出成形の流動性を向上

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2020年1月24日

 BASFは低粘度グレードである「ウルトラゾーンP」の製品ラインアップを拡充している。

 「ウルトラゾーンP2010」は新しいポリフェニルスルホン(PPSU)で、「ウルトラゾーンP」の優れた機械特性を維持しつつ、射出成形での流動性を向上した。これにより、外食産業や航空機内での使用に適した洗練されたデザインの食器や耐熱容器など、より大きく複雑な形状の部品を製造することが可能になった。

 さらに、低い射出圧力と温度で充填できるため、原材料を加工する際のエネルギー消費量と部品重量を減らすことができる。「ウルトラゾーンP2010」ナチュラル(透明色)を、現在グローバルで販売している。

 新素材は高い耐薬品性と134℃までの過熱蒸気滅菌への耐性、耐火性、既存の「ウルトラゾーンP3010」が持つ優れた衝撃耐性と安定性をも兼ね備えている。ノッチ付き衝撃強度は、他の非晶質構造を持つ耐熱素材に比べ約10倍で、高温でも耐性を発揮するため、洗浄と消毒を繰り返してもほとんど影響がない。

 透明高耐熱プラスチックは、EUと米国で食品の接触に対する適合性が認められている。最適な用途の1つが外食産業や航空機用設備。容器や鍋は調理だけでなく、食品の保存や保温にも使用できる。

 ホテルやレストランでは、滅菌と洗浄剤に対する高い耐性が求められ、航空機内では耐火性が特に重要となる。このため、火災時に熱や有害物質の放出が少ない難燃性の特殊プラスチックは、食器だけではなく、座席や照明器具、通気孔、頭上の荷物棚などにも理想的だ。

 「ウルトラゾーン」はポリエーテルスルホン「ウルトラゾーンE」、ポリスルホン「ウルトラゾーンS」、ポリフェニルスルホン「ウルトラゾーンP」を含む、BASFのスルホン系樹脂製品群の登録商標。これらの高性能素材は、電子機器・自動車・航空宇宙産業にとどまらず、ろ過用メンブレンや、温水や食品と接する部品にも使われている。

 「ウルトラゾーン」ブランドは優れた特性により、熱硬化性樹脂・金属・セラミックの代替として利用されている。

積水化学 マスク専用アレル物質除去スプレーを発売

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2020年1月22日

ナウケア Rapidezアレル物質除去スプレー
ナウケア Rapidezアレル物質除去スプレー

 積水化学工業の100%子会社である積水マテリアルソリューションズはこのほど、マスク専用アレル物質除去スプレー「ナウケア(NOWCARE)Rapidez(ラピデ)」を「ナウケア」シリーズ第3弾として2月3日に発売すると発表した。

 「ナウケア・ラピデ」は積水マテリアルソリューションズ独自の抗アレル物質加工剤「アレルバスター」の数種のうち、特に即効性とアレル物質低減効果の高いフェノール系ポリマーのものを配合。マスクにスプレーすることでアレル物質と接触し、その働きを低減させる。

 なお、「アレルバスター」はこれまでに、床材・壁材、カーテン・ふとん、カーシート、空調機器フィルターなどの製品への採用実績がある。

 効果については、①マスクにスプレー後、スギ花粉由来のアレル物質を一分で99%低減し24時間後も効果が持続、②スギ花粉のほか、ブタクサなどの花粉、ダニの糞・死骸、ネコ・イヌの毛などのアレル物質でも一定の低減効果、を外部試験機関や自社による評価試験で確認した。

 一方、安全性については、生体安全性の指標の1つである厚生労働省監修評価試験法とOECDガイドラインに基づく国際的な評価試験法に準拠した安全性試験に加え、「化粧品・医薬部外品製造販売ガイドブック2017」を参考に、第三者実施機関にて安全性評価試験を実施し各種安全性を確認している。

 製品の内容量50㎖で、希望小売価格は2300円(消費税抜)。メディア(ネットなど)媒体や代理店経由店頭を通じ、一般消費者様向けに販売する予定。今後、積水マテリアルソリューションズでは、〝セルフケア〟をコンセプトとした製品の開発を進め、「ナウケアシリーズ」として事業展開していき、2020年度に売上高5億円を目指していく。

デンカ 「IPXシリーズ」を本格販売、成長戦略の一環で

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2020年1月22日

 デンカはABS耐熱付与材「デンカIP」の新グレード「デンカIPXシリーズ」の本格販売を開始した。経営計画「Denka Value‐Up」の成長戦略である「事業ポートフォリオの変革/基盤事業のスペシャリティー化」の一環。

 「IPXシリーズ」は「デンカIP」の特性である高い耐熱性と低VOC(揮発性有機化合物)に加え、耐薬品性・塗装性の改善など、各性能を向上させた。同社が長年にわたって高分子樹脂設計で培ってきた、スチレン系の精密・重合技術をより深化させることで実現した。

 近年、自動車業界では安全基準の厳格化やハイブリッド・EV化により、さまざまな部品の複雑化や軽量化が進んでいる。それに伴い、各種部品の原料である樹脂には、耐熱性・耐薬品性・塗装性をはじめとする、多機能化・高機能化のニーズが高まっている。

 「IPXシリーズ」は、そうした自動車内外装材用途を中心とした、高度なニーズに幅広く対応できる。すでに千葉工場(千葉県市原市)で「IPXシリーズ」の量産体制を構築しており、2022年には年間4千tの販売を計画している。

 「デンカIP」は独自の重合技術により開発された、スチレン系合成樹脂。ABS・ASA樹脂の耐熱付与材、PA/ABSの相溶化剤として、自動車内外装や電子レンジ・エアコンなどのホームアプライアンスに幅広く使われている。同社は今後も独自の技術を生かし、顧客ニーズに応じた高付加価値製品の開発に取り組んでいく。

DICグループ 放電破壊を防止するフォトマスクを開発

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2020年1月21日

 DICはこのほど、100%子会社のトピックと、静電気による放電破壊を防止するフォトマスク「ESD障害対策クロムフォトマスク」の共同開発に成功したと発表した。トピックは同製品を3月から国内と東南アジア地域の電子部品・半導体市場に投入し、同年の売上高2億円を目指す。

ESD障害対策クロムフォトマスク
ESD障害対策クロムフォトマスク

 フォトマスクは、スマートフォンやタブレットなどの電子デバイスに用いる電子回路基板を製造する際に、電子回路基材に回路を描写する工程で利用される原版。

 フォトマスクの遮光層には、導電性遮光膜(金属クロム)を使用したフォトマスクがあるが、使用中に発生する静電気でパターン間に電位差が生じ、放電して破壊される「ESD障害」を引き起こす可能性がある。

 このESD障害は、露光工程はもとより、工程内でのハンドリング時や搬送時にも発生することが知られている。特に露光方式が、密着露光時やプロキシミティ露光時に、高い電圧が発生する場合が多く、これまでこのESD障害が歩留まり低下の大きな原因となっていた。

ESD障害(イメージ)
ESD障害(イメージ)

 今回開発した「ESD障害対策クロムフォトマスク」は、高精細で高精度のハイスペックなクロムマスクに特殊コーティングを施すことで、電子デバイスメーカーの製造工程での歩留まり向上とESD障害の防止の両立を実現。さらに、クリーンルーム内の異物付着防止や、付着した異物の容易な除去などの効果も期待できる。

 今後、次世代通信規格「5G」の商用サービスが本格的に開始することで、すでに世界的に普及し始めている5G対応の電子デバイスやIoTデバイスの需要が急激に高まることも予測される。

 DICグループは、〝ユニークで社会から信頼されるグローバル企業〟を目指し、社会要請に対応した製品を提供することで顧客の生産性向上に寄与するとともに、デジタル分野の社会変革にも対応した高機能な製品を迅速に社会へ提供していく考えだ。

BASF 新フォームグレード展開、VOC排出を抑制

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2020年1月20日

吸音・断熱フォーム「バソテクトUF+」
新グレードの吸音・断熱フォーム「バソテクトUF+」

 BASFはメラミン樹脂発泡体「バソテクト」の製品ラインアップを拡充している。

 グローバルに展開している新グレード「バソテクトUF+」は、従来の「バソテクトUF」に比べ、揮発性有機化合物(VOC)の排出量がさらに改善されたことで、新たな用途への可能性が見込まれている。

 非常に軽量で柔軟性を備えたフォームであることから、鉄道車両の断熱だけでなく、建物の空調機器にも最適で、設備の騒音も効果的に低減する。従来品と同様の特性を保持しており、高弾性・低熱伝導率で、密度はわずか7kg/㎥と非常に低く、加工中に鉱物繊維が飛散することはない。

 高い柔軟性により、細い隙間だけでなく、天井や壁といった湾曲面にもフィットする。米国の「ASTM C1410」規格を含む、最高の防火安全要件も満たしている。BASFの発泡体は寸法維持性があり、非常に低密度で、難燃性に優れているため、列車や地下鉄、路面電車の吸音と絶縁にも適している。

 新グレードは輸送分野で起こりうる最高レベルの防火規格(EN45545 HL3)に準拠しており、様々な鉄道・鉄道車両カテゴリーで使用可能だ。

 「バソテクト」はメラミン樹脂を原材料とするオープンセルフォームで、独自の様々な特性がある。耐火性の素材であることから、優れた防火性能を備えており、難燃剤を添加する必要がない。最大240℃の環境で使用でき、広範囲の温度域で安定した特性を保持する。

 また、オープンセルの気泡構造により、軽量で吸音性と断熱性に優れているほか、低温柔軟性も実現。自動車・航空宇宙・建築からコンシューマー製品まで、多くの産業で使われている。