BASF 農業向け製品のパイプラインを拡充

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2019年4月10日

 ドイツの大手化学メーカーBASFは、農業向けソリューションの製品パイプラインを大幅に拡充している。パイプラインには化学的・生物学的農薬製品、種子・形質、デジタルソリューションが含まれ、これにより、革新的で持続可能な農業での主導的地位を強化する。

 最新のイノベーションパイプラインにより、農業をめぐる課題に対する新しい技術とソリューションを、全ての主要な作物と地域で生産者に提供する。

 同社のイノベーション力の一例として挙げられるのが、大豆生産のための研究開発だ。大豆は世界の食料と飼料の供給に極めて重要な役割を果たしている。同社は大豆農家が高収量と高品質を実現するための革新的なソリューションを開発した。

 新しい大豆種子では、生産者はグルホシネート・アンモニウムを用いた非選択性除草剤「リバティー」、除草剤の有効成分グリホサート、発芽後の雑草防除のための新規作用機構の除草剤(規制当局の承認待ち)を使用することができる。この革新的な大豆技術は、「クレデンス」ブランドと、ライセンスブランドの下で生産者に提供される予定で、発売は2020年を見込んでいる。

 一方、耐性菌管理は全ての生産者が直面している大きな課題の1つ。同社は穀物・大豆・とうもろこし・果物・野菜を含む多くの重要な作物の耐性菌管理に不可欠なツールとなる、最新の殺菌剤「レヴィソル」を全地域の生産者に提供する。

 「レヴィソル」は市場に導入される最初のイソプロパノール‐アゾールの殺菌剤。イソプロパノール基を持つことで、他のアゾール類よりも100倍強く標的病原体の酵素に結合する。

 これは「従来のアゾールが直面する抵抗性の問題に影響されないこと、哺乳類の催奇形性(生殖毒性)と環境毒性が低いことを示しており、使用者と環境にとって、より安全であることを意味している」(BASFジャパン)という。

 欧州の全耕作地の50%以上を占める、最も重要な畑作物である穀物向けの製品登録をEUに申請し、承認された。今後、アブラナやトウモロコシ、果物、ブドウ、野菜など、他の重要な作物での製品登録も行う。

 穀物向けの「レヴィソル」をベースとした製品は、各国の認可を経て、来シーズンに向け年内に発売される予定だ。これらは2028年までに世界で上市する30以上の製品を代表するもので、継続的な研究活動をベースにしたユニークなイノベーションパイプラインから生じた。

 同社は今後も農業分野の研究開発費を、過去最高水準に維持することを目指している。

ソルベイ 液体防食コーティングシステムを開発

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2019年4月9日

 ベルギーの先端材料・特殊化学会社のソルベイは、「ヘイラー」ECTFE(エチレン‐クロロトリフルオロエチレン共重合体)の新しい防食コーティングシステムを開発した。このコーティングシステムは、高接着性のプライマーとトップコートから成り、標準的な液体噴霧器を使って簡単に塗布することができる。

 同社の「ヘイラー」ECTFE粉体コーティングは、酸製品や鉱業、紙・パルプ、医薬品、飲食品、半導体など、幅広い業界で設備機器の防食用として40年以上使われてきた。

 新たに導入される水性の「ヘイラー」ECTFE液体コーティング技術は、最終用途の幅を、粉体塗装では不可能あるいは困難だった領域まで拡大する。例えば複雑な形状や不整表面、大型導管、管内部、タンク、コンテナなどの塗装に利用できる。さらに、耐食性合金の保護コーティング用での新しい選択肢にもなる。

 この技術は、優れた耐薬品性と耐透過性、高純度で抜群の表面特性、高い接着性など、「ヘイラー」ECTFE樹脂に共通する特性を備えており、その機能は長期間持続する。プライマーを塗布しなくても利用でき、さまざまな厚さで迅速・簡単、均等に塗布して多様な使用条件に対応できる。

 スプレイコーティングやディップコーティングなど、ほぼすべての塗布装置に適応し、金属やガラス、れんが、ポリマー、木材など、幅広い基質に塗布可能だ。耐薬品性に優れる疎水性で、強力な酸や塩基(pH1~14)に対して耐性を発揮し、現在知られている150℃以下のいかなる溶剤にも影響されることがない。

 同社では「水性仕上げを採用しているため、生産ラインや噴霧器の作業環境が大幅に改善され、設備洗浄にも安価な水性洗浄剤が使えるため、コスト削減につながる」としている。

東レ 世界最高レベルの柔軟性をもつPPSを開発

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2019年4月3日

 東レはポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂のもつ高い耐熱性や耐薬品性を維持しながら、世界最高レベルの柔軟性をもつ新規PPS樹脂の開発に成功した。

 今月から自動車用途を中心に本格提案を開始するとともに、幅広い工業材料分野で用途展開を進める。先月28日に開催した技術説明会で、本田史郎・化成品研究所長らが技術概要を説明した。

 PPS樹脂は年率7%で拡大しているスーパーエンジニアリングプラスチック。主に金属代替として、耐熱性や軽量・高強度が求められる自動車用途で広く使われている。パッキンや自動車配管など柔軟性が求められる用途では、エラストマーを配合したPPSが使われているものの、特性を維持しつつ柔軟性を付与することには限界があった。

 PPSの弾性率は3500~600MPa。従来技術でもPPSにある程度のエラストマーを配合することで、弾性率を1700MPa程度に低下させることができる。しかし、狙いとする柔軟性には十分ではなく、さらにエラストマーの量を増やすと、PPSの特性が損なわれてしまう。

 そこで、同社は長年の研究・開発で蓄積した技術データベースを基に設計した、革新的なマテリアルデザインと、独自のナノテクノロジーである「ナノアロイ」がベースの

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北越コーポレーション CNFと炭素繊維を融合させた複合材料開発

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2019年4月1日

 北越コーポレーションはこのほど、次世代素材であるセルロースナノファイバー(CNF)と、先端素材である炭素繊維を融合させた新しい複合素材の開発に成功したと発表した。

 今回、開発した複合素材は、オールセルロースのCNF強化材料であるバルカナイズドファイバー(VF)に炭素繊維を少量配合することで、周囲環境の変化による伸縮を抑制しつつ、加工適性及び強度を維持していることに加え、従来のVFに比べて2割ほど軽量化を実現した。

 なおVFとは、ミクロンサイズのセルロース繊維をナノサイズのCNFで接着(強化)した斬新な複合材料であり、密に絡んだCNFが強靭性を付与している。

 また、耐熱性、電気絶縁性にも優れ、さらには生分解性も有しており、プラスチックの代替素材としても注目されている。さらにVFシートは、ブロック状に積層することもでき、このブロックやシートを加工することで、自動車部品、電子機器部品・筐体、建材等へ応用することが可能となる。

 今回開発した複合素材は、同社の連結子会社である北越東洋ファイバーで既に量産技術を確立しており、現在、顧客のニーズに応えるべくカスタマイズを進めている。

 

帝人ファーマ ADA欠損症治療剤が製造販売承認を取得

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2019年4月1日

 帝人ファーマはこのほど、アデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損症治療剤「レブコビ筋注2.4㎎」=一般名:エラペグアデマーゼ(遺伝子組み換え)=が同日、厚生労働省から製造販売承認を取得したと発表した。

 同剤については、英国の製薬企業であるリーディアント社と、日本での独占開発・販売契約を締結している。なお、同剤は、2016年3月に同省から希少疾病用医薬品に指定されている。

ADA欠損症は、遺伝子の変異が原因でADAという酵素の欠損や機能低下が生じることにより、血液中のリンパ球が減少し、重症免疫不全などを引き起こす疾患で、難病にも指定されている。発症頻度が20万~100万人に1人という希少疾病で、重症感染症により1歳前後までに死亡するケースも少なくない。

治療としては、造血幹細胞移植が第1選択となっており、その他の療法として、ADAを注射で投与することで免疫機能の改善を図る酵素補充療法や、遺伝子治療が行われている。しかし、これまで日本では酵素補充療法に用いるADA製剤が承認されておらず、それが治療上の課題となっていた。

こうした中、厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で、ADA酵素補充製剤の開発企業の募集が行われたのを受けて、帝人ファーマは2014年にリーディアント社(当時の社名はシグマ・タウ・ファルマ社)と、日本での独占開発・販売契約を締結し、ADA欠損症の新たな治療選択肢の提供を目指して開発に着手。帝人ファーマが日本国内で実施した第Ⅲ相試験と、リーディアント社が米国で実施した第Ⅲ相試験の結果に基づき、昨年6月に承認申請を行っていた。

帝人など 関節リウマチ治療薬のバイオ後続品が承認を取得

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2019年4月1日

 帝人とYLバイオロジクス(東京都中央区)、陽進堂(富山市)はこのほど、YLバイオロジクスがグローバル開発を進めていた、関節リウマチと多関節に活動性をもつ若年性特発性関節炎治療薬「エタネルセプト」のバイオ後続品(開発コード:YLB113)が同日、製造販売承認を取得したと発表した。

 「YLB113」については、500例を超える関節リウマチの患者を対象とした第Ⅲ相国際共同治験の結果をもとに、昨年3月にYLバイオロジクスが厚生労働省に製造販売承認申請を行っていた。

 同剤はインドの医薬品メーカーのルピンリミテッドが製造する原薬をベースにして、陽進堂の100%子会社であるエイワイファーマの日本国内の工場で製剤化される。

 陽進堂と、帝人グループでヘルスケア事業の中核を担う帝人ファーマは昨年7月、同剤に関する販売提携契約を締結しており、今後はこれに基づき共同で販売する。

 帝人ファーマは現在注力している「骨・関節領域」の製品ラインアップに同剤を加えることで、関節リウマチの患者のさらなるQOL向上に貢献していきたいと考えている。

大陽日酸 導電性フッ素樹脂のコーティング材を開発

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2019年4月1日

 大陽日酸はこのほど、ステンレスタンクなどの基材表面に導電性のあるフッ素樹脂コーティング膜を形成する、導電性フッ素樹脂コーティング材を開発した。

 樹脂にはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、溶媒には水を使用、コーティング膜の表面抵抗率は100~1万オーム毎スクウェア。同社の山梨研究所ではサンプル試作体制を整えており、今後は顧客への訴求とサンプル提供を進め、本格的な商品化を目指す。

 同社は、高い導電性を備えた長尺カーボンナノチューブ(CNT)の製造を行っており、極少量のCNTをフッ素樹脂粉末に均一に複合化することでフッ素樹脂に導電性を付与する、高機能フッ素樹脂の製造技術をもつ。今回、フッ素樹脂ディスパージョンにCNTを極少量複合化した、導電性フッ素樹脂コーティング材の開発に成功した。

 半導体分野や化学分野では、酸塩基液体や有機溶剤のような腐食性が高い液体が使用されるため、液体が接触するタンクや金属配管・バルブなどの流路にフッ素樹脂コーティング膜を施している。 

 従来のフッ素樹脂コーティング膜は、耐薬品性と耐熱性に優れるものの、その絶縁性のために生じる課題を抱えていた。絶縁体のコーティング膜を施した配管などに液体が流れると静電気を帯び、放電によるコーティング膜の破壊で、液体に基材の金属成分が混入するなどの問題が発生するもの。そのため、静電気の発生が抑えられる導電性があるフッ素樹脂コーティング膜が望まれていた。

 開発品を基材にコーティングすると、帯電防止レベル(100~1万オーム毎スクウェア)の導電性をもったコーティング膜が形成される。同コーティング膜は厚み方向にも導電性があるため、膜の表面と基材外表面で導通をとることも可能。

 さらに、極微量のCNTを複合化させているため、カーボンの脱落リスクも極めて低い。半導体分野や化学分野で使用されている装置、タンク・テーブル・バルブといった設備、配管や継手など部品への利用が期待されている。

カネカ フレキシブルディスプレイ用の透明フィルムを開発

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2019年3月29日

 カネカは28日、フレキシブル有機ELディスプレイのカバーウインドウ用材料「透明ポリイミドフィルム」を開発し、今年度上期よりサンプル出荷を開始すると発表した。

 有機ELディスプレイ用途としては、TFT基板向けポリイミドワニスに次ぐ大型商品として市場開拓を進め、2025年に売上高100億円以上を目指す。次世代の高速通信規格(5G)によって大容量動画配信が進み、広げて大画面で動画が楽しめるフレキシブル有機ELディスプレイの市場は、急速に拡大することが予想されている。

 同社は長年にわたって培ったポリイミドの分子設計技術と光学フィルム製膜技術という2つの自社開発技術を融合し、繰り返し折り曲げが可能な高い屈曲性に加え、カバーフィルムに求められる透明性、表面硬度、ガラスに近い外観(表面平滑性)などの特性をバランスよく有する透明ポリイミドフィルムを開発した。

 今後も同社は、ディスプレイのフレキシブル化、高速通信化などに貢献するポリイミド各種製品の開発に注力し、IoT/AI時代の実現に向けたソリューションを提供して行く考えだ。

 

ユニチカ バイオプラのストロー向け樹脂グレードを開発

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2019年3月27日

 ユニチカはこのほど、バイオマスプラスチック「テラマック」の新規銘柄であるストロー向け樹脂グレード「TP‐5040」を開発したと発表した。今後は市場へ投入するとともに、国内外に向けた積極的な販売体制を整えることにより、新規顧客開拓を進めていく。

 昨今は海洋汚染問題がクローズアップされており、国内外の大手飲食チェーンを中心にプラスチック製ストローの廃止、もしくは紙製ストローへの置き換えの動きが加速している。こうした中、プラスチック製ストローの置き換えを進める場合は、材料自体が生分解性を有することが必須条件と考えられる。

 植物由来のポリ乳酸を原料とした「テラマック」は、微生物や酵素の働きによって最終的には水と二酸化炭素に分解する。ただ「硬い・脆い」といった性質があり、ストローとしては、製造時のカッティングや使用時の折り曲げなどにより、ひび割れや破損を生じやすく、そのままでは実用化には適していなかった。

 この問題点を解決するため、新グレードでは柔軟成分のポリマーおよび無機フィラーなどを適量付与。これにより一定の柔軟性と剛性、加工性を併せもつ最適な樹脂となった。また、紙製ストローは耐久性や強度に問題点があるが、新グレードは従来のプラスチック製ストローと同様の使用感を得ることができるのも大きな特長。

 なお、ストロー向け樹脂グレードは日本バイオプラスチック協会(JBPA)のバイオマスプラマークを取得申請中。また、ポリオレフィン等衛生協議会の確認証明書を取得している。

 今後は、プラスチック製ストローの代替用途として販促活動を進めるとともに、ストロー以外の用途への転用も図り、3年後には年間売上高5億円を目指していく考えだ。

東レ 超高硬度と耐屈曲性の革新的な透明フィルムを開発

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2019年3月26日

 東レはガラス並みの硬度を持ち、屈曲半径1mmの折り曲げに耐える透明アラミドフィルムを開発した。25日に本社で開催した技術説明会で、フィルム研究所の佃明光研究主幹は「当社は独自のポリマー設計によりアラミドのフィルム化を達成していたが、今回、新規ポリマーデザインにより無色透明化に成功した」と語った。

アラミドフィルム
透明アラミドフィルム

 同開発品の特性は、無色透明、耐熱性(耐熱温度300℃)、剛直性(ヤング率(縦弾性係数)10GPa、熱膨張係数(CTE)0~5ppm/K)となる。透明ポリイミドとの比較では、「ガラス転移点は同レベルの性能だが、剛性や

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