クラレ 国際バレーボール連盟の公式球に「クラリーノ」

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2018年11月21日

 クラレはこのほど、ミカサのバレーボール「V200W」の表皮素材として、同社が製造・販売する人工皮革「クラリーノ」の採用が決定したと発表した。

 V200Wは今月16日にメキシコのカンクンで開催された第36回国際バレーボール連盟(FIVB)世界総会で発表された公式試合球の最新モデル。2008年の北京オリンピックから使われ始めた「MVA200」の後継モデルとして、2019年のFIVBワールドカップでデビューする予定だ。

 V200Wに採用されるクラリーノの特長は、①スポンジ状の風合いをもつマイクロファイバー不織布層に、発泡層をもつポリウレタン表皮を重ねた「二重クッション構造」で、ソフト感と柔らかさを実現②ボール表面にディンプルシボ(凹加工)を施し、さらにフラット面にも微細なシボを付与した「マルチパターン構造」により、ボールの飛行安定に貢献③ボール表面のナノ・バルーン シリカコーティング加工により、汗濡れなどで生じる競技中のボールの滑りを抑制し、ボールのコントロール性を大幅に向上させること。

 クラレとミカサとの協業の歴史は長く、両社の取り組みのはじまりは1967年まで遡る。以来両社は、バレーボール用表皮素材を共同で開発してきた。2008年には、両社で共同開発を行ったクラリーノが、FIVB公式試合球MVA200に採用された。バレーボール用表皮素材として高い評価があり、今回の最新モデルにも、引き続き採用されることが決定した。

 

クラレクラフレックス 不織布と面ファスナー使用の障子を共同開発

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2018年11月21日

 クラレクラフレックスは20日、クラレファスニング、総合木工メーカーの中井産業(和歌山市)と共同で、張り替えが容易な障子を開発した(特許出願済み)と発表した。サッシメーカーなどの取扱先を通じて、来年から販売を開始する。

 開発品は、障子紙にクラレクラフレックスの高機能不織布「フェリベンディ」、障子枠との接合部にクラレファスニングの薄型成形面ファスナー「モールドマジック」を採用し、国内外で評価の高い中井産業がデザインした天然木の障子枠体と組み合わせたもの。

 三次元網目構造をもつ高機能不織布が、面ファスナーの微細な矢尻型フックを捉えて張り付く仕組み。断熱・遮熱といった、高機能でデザイン性の高い障子を開発した。

 最大の特長は、張り替え時の簡便性だ。フェリベンディ製の障子シートを、厚さ0.7mmの透明なモールドマジックを取り付けた障子枠体に着脱するだけで容易に行える。紙はがしや糊付けの必要がない。

 また、用いる不織布は、一般的な障子紙と比較して約5倍の強度があるため破れにくく、冬季は室内の保温や窓付近の冷気遮断、夏季は日射をカットする効果もあり、通年で快適な使用ができる。障子は優れた断熱性をもつ日本の伝統的な建具だが、障子紙は破れやすく、張り替えの手間を面倒と感じる人は少なくない。

 こうした中で、新築の住宅やマンションで和室が減少傾向にあるものの、近年は「和風モダン」なスタイルが登場し、柔らかな透光性など障子のメリットが再び見直されている。

BASF 熱可塑性ポリウレタン発泡粒子がダンロップのラケットに採用

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2018年11月19日

 ドイツの大手化学メーカーBASFはこのほど、ダンロップのテニスラケット「CX」シリーズのソニックコアに、「インフィナジー」が採用されたと発表した。

 インフィナジーは優れたクッション性・反発性・パフォーマンスを備えた、世界初の熱可塑性ポリウレタン発泡粒子(E-TPU)。また、ソニックコア・テクノロジーは、反発性を最適化するため、高反発ウレタン素材をフェース部フレーム内に装着するダンロップの技術である。

 ダンロップの材料試験では、ダンロップの既存のソニックコア素材に対して、跳ね返りの高さが46%増加し、ボールスピードが2%速くなった。優れた反発特性に加え、減衰特性もあることから、標準的なカーボンファイバーラケットに比べ、最大37%まで振動を低減する。

 現代のテニスプレーヤーは、よりスピンをかけてプレーする傾向があり、その結果、ラケットの中心よりも先端部分でボールを打つケースが多くなる。スピンを生み出すためには、より大きな力でスイングしなければならず、プレーヤーの腕に余分な負荷がかかり、けがの原因となる可能性がある。

 ダンロップの研究チームはこの傾向に注目し、これらの課題を解決するための新たなイノベーションとして、ソニックコアにインフィナジーを採用した。CXシリーズは、ダンロップのツアーチームのプレーヤーに支持されており、その中には、2019シーズン中にラケットを使用する、複数のグランドスラムのファイナリストであるケビン・アンダーソンも含まれている。

SABIC ポリカーボネート製高耐熱フィルムの新製品を発表

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2018年11月19日

 サウジアラビアの石油化学大手サウジ基礎産業公社(SABIC)はこのほど、ポリカーボネート(PC)製高耐熱フィルム「LEXAN CXT」の新製品を発表した。

 高温プロセス環境下で優れた熱安定性と寸法安定性を発揮するとともに、高い光学的透明性と設計柔軟性を兼ね備えている。このため、急速に成長するフレキシブルプリントエレクトロニクス市場で利用される電子基板など、高い加工温度や使用温度にさらされる様々な用途に対し、高性能で、コスト効率に優れたソリューションを提供する。

 ガラス転移温度は196℃なので、より高い加工温度が求められ、熱に関する要求が厳しいプロセスで必要とされる寸法安定性に適合する。フレキシブルプリント電子基板をはじめ、正確なパターン転写が要求される各種のアプリケーションに高い設計柔軟性を提供する。

 代表的な50µm厚で、最高90%という卓越した光透過率を示す。黄変も非常に少なく、長期間にわたり、ガラス同様の透明性を確保しなければならない用途に最適だ。

 フレキシブルプリント電子基板のほか、ハイエンドタッチスクリーンやディスプレイの導電層といった積層構造のアプリケーション、半導体業界で部品のアニーリングや硬化プロセスに使われる、高耐熱性の透明熱成形トレイなどの用途が考えられている。

帝人フロンティア 形態回復性を兼ね備えた超異型捲縮繊維を開発

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2018年11月15日

 帝人フロンティアはこのほど、嵩高・軽量性と優れたストレッチ性、形態回復性を兼ね備えた超異型捲縮繊維「ソロテックス・オクタ」を開発した。

「ソロテックス・オクタ」短繊維
「ソロテックス・オクタ」短繊維

 近年、羽毛の代替として合繊綿(短繊維)に対するニーズが高まっており、嵩高・軽量性と圧縮した後の形態回復性に優れた合繊素材が求められている。

 一方、合繊糸(長繊維)に対しては、長年にわたり嵩高・軽量でストレッチ性に優れた素材が求められてきたが、中空などの異型断面形状により得られる嵩高・軽量性とストレッチ性とを両立させることは困難だった。

 こうした中、同社は、ストレッチ性や形態回復性、クッション性などの特性を有するプロモーション素材「ソロテックス」を、中空構造の8フィン型断面とし、さらに繊維に捲縮性を持たせることにより、嵩高・軽量性とより一層のストレッチ性、形態回復性を兼ね備えた超異型捲縮繊維ソロテックス・オクタの開発に成功した。

 ソロテックスが持つ特性に加え、①嵩高性と軽量性、ストレッチ性と形態回復性②短繊維でのストレッチ性、形態回復性、クッション性③テキスタイルでの吸汗速乾性、防透性、遮熱・断熱性、などの特性を持つ。

 今後、同社は、同製品を次世代高機能素材と位置付け、短繊維については羽毛代替用の中綿・構造体を中心に展開し、不織布や他の繊維と組み合わせた構造体などに向けた繊維材料として幅広く展開していく。

 一方、長繊維はスポーツ・ファッションなどの衣料用テキスタイルを中心に展開し、仮撚加工や混繊加工、精紡交撚といった他素材との複合加工などにより、衣料から資材までさまざまな分野での展開を図る。

 同社は、今年度からテスト販売を開始し、2022年度には短繊維で400t、長繊維はテキスタイルとして100万mの販売を目指す。

クラレ 耐熱性を15℃向上させたメタクリル樹脂を開発

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2018年11月13日

 クラレは12日、従来品に比べ耐熱性を約15℃向上させた高耐熱性メタクリル樹脂(PMMA)「パラペットSP」を開発したと発表した。

 PMMAは透明性・耐候性に優れるという特徴を持っており、自動車や液晶ディスプレイ部材、建築材料、雑貨など幅広い分野で使用されている。同社では原料モノマーであるメタクリル酸メチル(MMA)からPMMAを生産し、さらにシートやフィルムまで一貫生産している。

 多様な重合技術や成形加工技術などの独自技術を活用した差異化ポリマー製品を展開しており、特に光学用高機能グレードや軟質グレードなどで高いシェアを持つ。

 近年、PMMAでも、透明性・耐候性・成形性に加えて、耐熱性向上の要求がある。同社はPMMA本来の物性を保持したまま高い耐熱性を有したパラペットSPの開発に成功、本格的にサンプルワークを開始する。

 PMMAの耐熱性を高める手法として、耐熱性の高いモノマーの共重合やポリマー鎖に環状構造を導入することが一般的に行われているが、このような手法で得られる耐熱性PMMAは、剛直性が高くなり、脆く割れやすいという課題がある。

 同社ではこの課題を解決するため、PMMAの高次構造に着目し、これを制御する重合技術を開発し、工業化することに成功した。

 同社の開発品は、PMMAが本来有する力学物性、光学特性、耐候性を保持したまま、一般的なPMMAと比較して約15℃高い、約130℃のガラス転移温度を持つ。また、製造方法に由来して、表面硬度の向上効果も確認されている。

 さらには、他の一部樹脂との相溶性についても良好な傾向が確認されており、発色性改善などの樹脂改質剤としての効果も期待される。

 同社は、高い耐熱性能が要求される自動車用途や光学用途、他樹脂とのブレンドによる樹脂改質剤、各種フィルム原料、表面コーティング剤などへの用途展開を図っていく。

丸紅 パーム油由来の脂肪酸の在庫販売を開始

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2018年11月7日

 丸紅は6日、日本でのRSPO・SCCS認証(MB)を取得したパーム油由来の脂肪酸(RSPO認証脂肪酸)の在庫販売を開始し、安定的かつ少量の需要にも対応できる供給体制を構築すると発表した。

 脂肪酸の原料となるパーム油は、農園開発の過程で環境破壊、生物多様性の喪失、労働者の人権侵害など、様々な環境・社会問題の原因と指摘されている。

 こうした問題の解決に向け、環境などに配慮して生産された「持続可能なパーム油」であるRSPO認証を取得したパーム油使用の要請が世界や日本で高まっている。

 同社は、これまで特定顧客向けにRSPO認証脂肪酸の販売を行っていたが、潜在的な顧客ニーズに対応するため日本で初めてRSPO認証脂肪酸の在庫販売を開始する。

 同社は、ESG課題への取り組みを強化することを目的として、4月に社長直轄のサステナビリティ推進委員会を発足した。RSPO認証製品の流通を通じ、持続可能な社会の実現に貢献していく考えだ。

ランクセス ポリマー素材の用途拡大に対応し難燃剤を拡販

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2018年11月7日

 世界的にポリマー素材の用途が拡大していく中で、ランクセスはポリマー素材を使用する上で不可欠な、難燃剤製品の拡販を図っている。

(左から)説明を行った大久保ディレクター、辻󠄀社長、小原理プラスチック添加剤セールス・ディレクター
(左から)説明を行った大久保ディレクター、辻󠄀社長、小原理プラスチック添加剤セールス・ディレクター

 同社の添加剤事業部は現在、プラスチック・ゴム・潤滑油・機能性色剤向けの特殊添加剤とサービスを提供し、世界12カ国20拠点で製造を行っている。このほど開催した同社の難燃剤に関するメディアセミナーで、アディティブスビジネスユニット日本統括を兼ねる、日本法人の辻󠄀英男社長は難燃剤について「添加剤事業の注力製品の1つ」と強調した。

 ポリマー素材向けの難燃剤は、主に臭素系・リン系・金属水酸化物の3種類があり、樹脂との相性や用途などによって使い分けられる。同社は元々リン系難燃剤をもっていたが、昨年、難燃剤と潤滑油添加剤の世界有数のサプライヤーである、米国のケムチュラ社を買収し、臭素系難燃剤も製品ラインアップに加えた。

 さらに成長地域である北米の添加剤事業を拡大するため、ベルギーのソルベイ社から、米国に生産拠点をもつリン添加剤事業を買収し、リン系難燃剤も強化した。

 辻󠄀社長によると

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積水化学 共働き・子育て家族向けの鉄骨系ユニット住宅発売

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2018年11月6日

 積水化学工業の住宅カンパニーは、22日から北海道・沖縄と多雪地域を除く全国で、一次取得層の中心である共働き・子育て家族向けの鉄骨系ユニット住宅「パルフェ‐bjスタイル」を発売する。

パルフェ-bjスタイル
パルフェ-bjスタイル

 同社の基幹商品である「パルフェ」シリーズの共働き・子育て家族向けの提案型商品。特長は①シンプルモダン外観を実現する外構メニューを拡充②子どもを守る「スマートスタイル」、忙しい中でも効率的に「らくする家事スタイル」、子どもが賢く育つ家「かげやまモデル」という、共働き・子育て家族の困り事を解決する3つのメニューを提案③業界最長クラスの30年長期保証を導入-など。

 同社は、中期経営計画「SHIFT2019-Fusion-」(2017∼19年度)で、住宅事業での戸建てシェアアップ施策の1つとして「価格帯別商品ラインアップの強化」を進めている。パルフェ‐bjスタイルの発売により、低∼中価格帯の商品を強化することで、一次取得層の受注増加を狙う考えだ。

 なお販売目標は、年間3500棟を計画(初年度1700棟)。販売価格は3.3㎡あたり77万円台(消費税別途)からとなっている。

ランクセス ポリアミドなどのコンパウンド製品群を拡充

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2018年11月5日

 ドイツの特殊化学品メーカーのランクセスは、自動車や電機・電子などの複雑形状のプラスチック部品に適した、ポリアミド6やポリアミド66などのコンパウンドの新製品を発表した。いずれもレーザー透過溶着で汎用的に使われる、近赤外線波長領域での優れたレーザー透過性が特徴だ。

 ポリアミド6の新製品は「デュレタンB31KH3.0LT」と「デュレタンBG30XH3.0LT」。前者は非強化ポリアミド6で、高い靱性要求の部品に特化したグレードである。後者はガラス繊維とマイクロガラスビーズ配合の強化グレードで、精巧な電子機器ハウジングやコネクターのように、極めて変形や収縮寸法変化を嫌う部品に有効だ。

 新コンパウンドの中でも特筆すべき製品は、ポリアミド66のハロゲンフリーの難燃性「デュレタンAKV30FN04LT」である。通常、1.5mmまでの肉厚でレーザー溶着される波長域で、優れた光透過性を示す。

 また、非常に高い耐トラッキング性をもち、米国のUL94規格(アンダーライター・ラボラトリース社)の難燃性試験で、最高クラスのV-0/0.4mmを獲得した。熱安定性も最適化されていて、射出成形時に成形品表面に付着する、モールド・デポジットの発生リスクを大幅に低減している。

 このコンパウンドには金属やハロゲン化合物を使用しない熱安定システムが採用されており、導通部品との接触で電食も起こりにくくなっている。これは高電圧バッテリーや安全スイッチ部品で非常に重要になるという。

 同社のハイパフォーマンスマテリアルズビジネスユニットの溶着技術専任者であるフランク・クラウス氏は「この製品群は、例えば車両走行の電動化や運転者支援システムから自動運転に必要な、センサー・ハウジングやコントロール・ユニット、ディスプレー・システムを主な成長分野のターゲットに挙げている」と述べている。