汎用4樹脂 10月国内出荷はPEとPPが前年比プラスに

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2020年11月24日

 業界筋によると、10月の汎用4樹脂の国内出荷は、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)は前年を上回り、ポリスチレン(PS)は前年を下回った。コロナ禍の落ち込みから、国内産業の生産活動や消費動向の持ち直しの動きが見られたことが背景にある。

 PEではフィルム分野の出荷は前年を下回るも、LDPEでは前年割れが続いていた加工紙分野がプラスに転じたほか、HDPEの中空成形分野、射出成形分野は引き続きプラスとなった。またPPでは、射出成形分野の出荷が前月に続いて前年を上回った。PSは雑貨・産業用をはじめ全分野で出荷が前年を下回った。

 10月の出荷合計を品目別に見ると、

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石化協 10月のエチレン生産は7%減、稼働率96%に上昇

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2020年11月24日

 石油化学工業協会が19日に発表した主要石化製品18品目生産実績によると、10月のエチレン生産は前年同月比7.0%減の51万9100tだった。稼働プラントの平均稼働率は96.1%となり、前月から3.1ポイント上昇している。

 他の17品目については、

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東レ リチウムイオン電池用無孔セパレータ創出

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2020年11月24日

金属リチウム負極電池の安全化と大容量化に貢献

オンライン会見 長田所長・佃研究主幹
長田所長(左)・佃研究主幹

 東レは、金属リチウム負極電池の実用化に向け、リチウムイオン2次電池(LIB)用無孔セパレータの創出に成功した。今後、同セパレータをウェアラブルデバイスやドローン、電気自動車(EV)向けなどの次世代超高容量・高安全LIBへの適用を目指していく方針だ。オンラインによる会見を開催し、フィルム研究所の長田俊一所長と佃明光研究主幹が説明を行った。

 LIBの需要は、モバイル機器や、車載用途で急速に拡大。用途の拡大に伴い、LIBにはさらなる高容量化・高エネルギー密度化が求められており、最も理論容量が高く、酸化還元電位が低い金属リチウム負極が注目されている。金属リチウム負極は、黒鉛負極に対してイオンの貯蔵量は10倍以上となり、LIBへの使用時には従来の2~3倍の電池エネルギーが見込まれる。しかし、充電時に金属リチウム表面からリチウムデンドライト(樹枝状結晶)が成長するため、セパレータを突き破り正負極がショートしたり、セパレータが目詰まりを起こしたりと安全性や電池寿命が低下するといった課題があり、現状では実用化に至っていない。

 デンドライトは、微多孔フィルムの空孔に沿って成長するため、無孔とすることで成長を阻害できるが、リチウムイオンの透過性が悪化することから、デンドライト抑制とイオン電導性の両立が不可欠となる。さらに、金属リチウム負極を用いた電池は、高容量化に伴い安全性への要求がより高くなるため、セパレータの耐熱性や熱寸法安定性の一層の向上も必要だ。

無孔セパレータ
無孔セパレータ

 こうした課題に対して東レは、長年培ってきた高耐熱アラミドポリマーの分子設計技術を駆使し、分子鎖間の間隙(リチウムイオンのみ透過できる0.5~1㎚に設計)やリチウムイオンとの親和性を制御することで、高いイオン伝導性と高耐熱性をもつ新規イオン伝導性ポリマーを創出した。これを微多孔セパレータ上に積層しLIB用無孔セパレータとすることで、金属リチウム負極使用電池でのデンドライト抑制とイオン伝導性の両立を実現している。

 正極に3元系(ニッケル・コバルト・マンガン)、負極に金属リチウムを使用したサイクル試験では、無孔セパレータは充放電サイクル100回で80%以上の容量維持率を確認。このセパレータを使用した金属リチウム負極電池が、デンドライトによるショートを抑制できることが実証された。なおコストについては、アラミドを使用するため従来品のセパレータに比べ高価になるが、電池容量が拡大するメリットで賄えるとしている。

 一方、金属リチウム負極電池の実現には、無孔セパレータだけでなく他の電池部材との全体設計が重要となる。同社はサンプルワークなどを行い、電池メーカーとの協業を進めていく構え。3~5年後にはプロトタイプが完成し、その後、実用化が加速することを想定している。市場としては、モバイル機器といった民生用から車載用への拡大が期待される。ただ、車載用に採用されるためには、充放電サイクル500回で90%以上の容量維持率が必要となるなど、さらなる改善が求められる。

 同社は今後も、早期の技術確立に向けて研究開発を加速していく考えだ。

 

【カーボンリサイクル特集】経済産業省

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2020年11月21日

製造産業局素材産業課長 吉村一元氏

非連続のイノベーションを創出、脱CO2社会を実現   

素材産業課 吉村課長

 ━世界的に環境対策が求められています。

 コロナ禍にあっても、国内では環境対策の議論が進んでおり、各企業がそのベクトルに向かって動き出している。その背景として、日本の石炭火力発電に対し世界から厳しい目で見られていることや、国際的にESG(環境・社会・企業統治)投資の動きが加速していることが挙げられるだろう。

 こうした状況を踏まえると、日本としても強い技術力を生かして環境分野でフロントを走り続けていかなければならない。これは化学企業にとっても大きなテーマだが、カーボンニュートラルの実現のためには、早い段階での目標設定が必要となることに加え、クリアすべき高いハードルもある。各企業ではすでに具体的な対策を打ち始めているが、一企業の力で全てに対応することは難しく、あらゆる方面との協業や連携などを模索していかなければならない。

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【カーボンリサイクル特集】プラスチック循環利用協会

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2020年11月21日

広報学習支援部長 冨田 斉氏

プラスチックリサイクルを支援、循環型社会の実現に貢献

 ━プラスチック循環利用協会のこれまでの経緯について。

冨田広報学習支援部長

 高度成長期において、1960年代後半、廃プラスチックの処理が社会問題化し、1971年に東京ゴミ戦争が起こり、使い捨てプラスチックが大きな社会問題となっていた。そうした中、石油化学工業協会、塩化ビニール協会(塩ビ工業・環境協会の前身)と日本プラスチック工業連盟は、別々に行ってきた廃プラスチック対策を一本化し、より強力に対応策を実施する組織として、1971年に社団法人プラスチック処理研究協会を設立した。

 翌年には事業の拡充により社団法人プラスチック処理促進協会に改称した。2013年の一般社団法人化の移行に伴い、協会の目的を「廃プラスチックの循環的な利用に関する調査研究等を行い、プラスチックのライフサイクル全体での環境負荷の低減に資するとともにプラスチック関連産業の健全な発展を図り、もって持続的発展が可能な社会の構築に寄与する」こととし、協会名も一般社団法人プラスチック循環利用協会に変更した。

 ━どういった事業に取り組んでいますか。

 当協会の事業は、「廃プラスチックの発生・循環的な利用及び処分状況の調査研究、環境負荷の評価手法等適正な利用を促進するための調査研究」「プラスチックおよび廃プラスチックの循環的な利用に関する教育・学習支援並びに広報」「プラスチックおよび廃プラスチックに関する内外関連機関との交流・協力」が3本柱である。具体的には、

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【カーボンリサイクル特集】三菱ケミカル

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2020年11月21日

サーキュラーエコノミー推進部長  金沢大輔氏

サステナビリティ事業をサポート、会社全体でCEを加速

 ━サーキュラーエコノミー推進部が発足した背景について。

サーキュラーエコノミー推進部 金沢部長

 当社は、2017年に3社(三菱化学、三菱レイヨン、三菱樹脂)が統合して発足する前から、親会社である三菱ケミカルホールディングス(MCHC)のオリジナルコンセプト、人、社会、そして地球の心地よさがずっと続いていくことを意味する「KAITEKI」の実現を目指しており、10年近くサステナビリティを会社の軸に据えて、環境に貢献する多くの製品を手掛けてきている。こうした中、世の中のトレンドとして、環境や社会の問題解決への期待が高まっており、会社全体としてサーキュラーエコノミー(CE)を推進する部署が必要となってきた。MCHCはCEを重要な戦略と位置づけ、グループ全体の方針を打ち出しているが、当社としての戦略も重要となってくる。また、所管の官庁や業界団体と連携するケースが増加していることや、新領域であるケミカルリサイクル(CR)の一環として、廃プラスチックを収集するリサイクル業界との連携も想定される。こうしたCEに関する案件に対し、窓口を一本化して対応を図るとともに、各事業のCEの取り組みをサポートすることを目的に、CE推進部が4月に立ち上げられた。

 ━部署の概要についてお聞かせください。

 CE推進部は社長直轄であり、まさに和賀昌之社長肝煎りの部署だ。社内横断的に、技術開発者やビジネス担当、また部門もカーボンケミカル(石油化学)などの素材から機能商品まで、年代を含め多種多様な人材が集まっており、まさにダイバーシティを有する組織となっている。私は5月まで、新事業創出部長を務めていたが、それまでもCEやサステナビリティを大きな軸として捉えていた。CE推進部でも、その時の経験が役に立つと考えており、会社全体でCEを加速させていく。

 ━具体的な数値目標などはありますか。

 MCHCの中長期経営基本戦略「KAITEKI VISION 30」では、社会課題の解決に貢献する事業の柱として、6つの成長事業群を掲げた。2030年の売上高目標6兆円のうち成長事業が7割超を占める計画であり、三菱ケミカルとしても思い切ってそちらに舵を切っていかなければならない。CE推進部では全ての成長事業群が関連するが、特に

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【カーボンリサイクル特集】旭化成

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2020年11月21日

研究・開発本部化学・プロセス研究所長  鈴木 賢氏

炭素・水素循環技術を開発、環境分野でトップランナーに

化学・プロセス研究所 鈴木所長

━カーボンニュートラルにどう取り組んでいますか。

 当社は中期経営計画において、持続可能な社会の実現に向け、技術・製品によるGHG(温室効果ガス)削減貢献に取り組むことを方針に掲げている。我々はこの実現に向け、サステナブル技術である炭素・水素循環技術の研究開発に取り組み、CO2固定化・有効利用、水素製造・利用の分野で世界のトップランナーを目指している。

 本分野で注力しているテーマの1つは、アルカリ水電解によって再生可能エネルギー由来の電力からグリーン水素を発生させる技術だ。福島県浪江町の福島水素エネルギー研究フィールドに、世界最大級の10MWの電解システムを納入した。今年3月に稼働を開始しており、このプロジェクトに引き続き注力していく。もう1つは、

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【カーボンリサイクル特集】積水化学工業

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2020年11月21日

ESG経営推進部長  西山宏喜氏 / 担当部長  三浦仁美氏

新環境長期ビジョンを策定、環境をESG経営のエンジンに

 ━環境を経営の真ん中に位置づけてきました。

ESG経営推進部 西山部長

 西山 当社は2000年代前半から環境を中心としたCSRを推進してきた。社内に考え方が浸透してきていることに加え、外部評価機関から高い評価もいただいている。環境というビジョンを明確に定めて、経営を行ってきたことが会社の推進力になった。その中では、我々が追求するべき環境貢献製品を定めてきたことが旗頭として役に立っており、他社との差別化を図ることで事業を伸ばすことができている。 

 こうした中、積水化学グループとして今年度から長期ビジョン「Vision2030」と中期経営計画「Drive2022」(2020~2022年度)を定め、ESG経営を中心においた革新と創造を掲げている。経営計画の中に新たに持続可能性の要素を入れており、環境課題を

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【カーボンリサイクル特集】昭和電工 KPR事業

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2020年11月21日

川崎事業所企画統括プラスチックケミカルリサイクル推進室長  栗山常吉氏

使用済みプラスチックから水素、液化炭酸ガス、アンモニアを製造

 ━川崎市で展開する使用済みプラスチックの原料化事業である、KPRを始めた経緯をお聞かせください。

プラスチックケミカルリサイクル推進室 栗山室長

 昭和電工がアンモニアの生産を開始したのが昭和6年。原料の水素は、最初は水の電気分解によって製造した。次にナフサや原油などの液体燃料に、その後オフガスへと切り替わり、今は都市ガスを利用している。80年来、原料探索を続け、時代に即したよりよい原料を利用してきた。容器包装リサイクル法(容リ法)の制定を機に廃棄物使用の調査・検討を始める中、宇部興産と荏原製作所が開発した使用済みプラスチック(使用済みプラ)から合成ガスを製造するEUP(荏原宇部プロセス)に出会った。ライセンスを受けて、川崎市が推進する「川崎エコタウン事業」の一環としてKPR(川崎プラスチックリサイクル)をスタートした。

 ━EUP技術について。

 使用済みプラに少量の酸素と蒸気を加え、高温高圧状態でガス化し水素と一酸化炭素の合成ガスを製造する技術だ。荏原製作所の低温ガス化技術と宇部興産の高温ガス化技術を統合し、宇部興産が完成させた。

 ━KPRプラントについて。

 当社は、川崎事業所に処理能力年6.4万tのプラントを建設し、2003年から本格稼働させた。後に年7.5万t(1日あたり約200tに増強している。工程では、

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【カーボンリサイクル特集】ハイケム

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2020年11月21日

ハイケム 代表取締役社長  高 潮氏

C1ケミカルが基軸、炭素利用効率を上げ空気と海をきれいに

 ━グループビジョンで「炭素利用効率の向上」を掲げられています。

高社長

 当社グループは宇部興産と共同で、一酸化炭素(CO)と水素の混合ガスである合成ガス(Syngas)からエチレングリコール(EG)を製造する技術、つまりSEG技術の中国企業へのライセンス供与を展開している。

 2009年から携わってきた事業だが、このC1由来のEG製品需要が伸びていく中で、SEG技術を起点にC1ケミカルをさらに進展させたいと考えている。今年度からスタートした第5次中期経営計画を策定するにあたり、新たにグループビジョンを制定し、

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