ノーベル賞の理論と技術が拓く未来、持続可能社会に貢献

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2019年12月12日

 スウェーデン・ストックホルムで現地時間の10日、ノーベル賞授賞式が行われ、日本からはリチウムイオン電池(LIB)の開発者で旭化成名誉フェローの吉野彰氏が式に臨み、ノーベル化学賞が授与された。

「エコプロ2019」で展示した環境省のコンセプトカー「AGV」
「エコプロ2019」で展示した環境省のコンセプトカー「AGV」

 環境省は現在、CO2を大幅に削減する低炭素モビリティ社会の実現を目指し、次世代型自動車の開発を進めるが、そこには日本発のノーベル賞の理論や技術が大きく寄与している。

 先日開催された「エコプロ2019」で、環境省が出展したAGV(All GaN Vehicle)は、次世代半導体材料であるGaN(ガン:窒化ガリウム)を電動化技術に適用したEV(電気自動車)のコンセプトカー。GaNインバーター(逆変換装置)を搭載することで変換効率を向上させ、CO2排出量の約20%削減を目標にしている。

 GaNは元々、青色発光ダイオード(LED)の材料として開発されたもの。「高輝度・低消費電力白色光源を可能とした高効率青色LEDの発明」の功績で赤﨑勇氏、天野浩氏、中村修二氏の3氏が2014年のノーベル物理学賞を受賞した。

 インバーターは、バッテリーの電力をモーター用の電力に変換する装置。一般的にシリコン系のパワー半導体が用いられるが、それをGaN系パワー半導体に置き換えることで変換効率が20%向上した。EVなら、LIBの性能を高めることなく走行距離の延伸を可能にする技術と言える。

 8日のノーベル賞記念講演「ノーベルレクチャー」の中で吉野氏は、LIB開発の技術的なルーツには過去のノーベル賞の業績が関わっていると説明。1981年のノーベル化学賞、福井謙一氏らの「フロンティア軌道理論」と、2000年同賞、白川英樹氏らによる「導電性高分子、ポリアセチレンの発見」を挙げ、多くのノーベル賞受賞者のサポートが負極材の開発につながったと語った。

 奇しくも福井氏の孫弟子にあたる吉野氏が、LIBの研究を始めた年が1981年。二次電池の電極としてポリアセチレンに着目した。

 環境省が行うAGVを含めたプロジェクトには、GaN発明者の天野氏も参画する。高品質・大口径・低コストのGaNウエハーを開発し、超高効率なパワーデバイスを実機に搭載することで、省エネルギー効果の実証を目指している。世界に認められた日本の技術が結集し、来るべき持続可能な社会に大きく貢献していく。

三井化学 「東京都スポーツ推進企業」に5年連続認定

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2019年12月12日

 三井化学はこのほど、今年度の「東京都スポーツ推進企業」に5年連続で認定された。

フィットネス教室で体を動かす参加者
フィットネス教室で体を動かす参加者

 東京都では2015年度から、東京都オリンピック・パラリンピック準備局が事務局となり、2020年に向けた「スポーツ都市東京」の実現を目的に、従業員のスポーツ活動促進への優れた取り組みや、スポーツ分野で支援を行う企業などを「東京都スポーツ推進企業」として認定している。今回は、同社が実施する「ヘルシーマイレージ合戦!」への取り組みが評価された。

 「ヘルシーマイレージ合戦!」は、国内9事業所と出向者(海外赴任者含む)が参加対象で、3~6人で構成される任意のチームまたは個人でエントリーし、運動量や健康的な生活によって得られるマイルを、ゲーム感覚で楽しみながら貯める3カ月間のプログラム。年2回の実施により、直近3年間で延べ2万人超の社員が参加した。

 また、本社を含めた計7事業所の健康管理室に配置する専属産業医や保健師、衛生管理者が運用・推進し、小規模事業所や関係会社の主要工場の嘱託産業医・看護師からの協力も得ながら、グループ社員の健康増進をサポートしている。同社は今後も、スポーツ推進の取り組みを通じて全社員の健康増進を図るとともに、コミュニケーションの活性化に努めていく考えだ。

プラ工連 10月の原材料・製品生産はマイナス基調が継続

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2019年12月11日

 日本プラスチック工業連盟はこのほど、定例会見を開き、原材料・製品の生産・輸出入状況などの報告を行った。

 確報となる9月のプラスチック原材料生産は、前年同月比3%減の85万3000tと3カ月連続で減少した。10月の速報では前年並みとなっているものの、今年はこれまで、前年を大きく上回ったのは6月の同6%増のみで、他の月はマイナスもしくは前年並みで推移しており、マイナス基調が続いている。

 10月の主要品目は、ポリスチレン(AS樹脂、ABS樹脂を含む)が

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SEMI 「セミコン・ジャパン2019」を11~13日に開催

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2019年12月11日

 SEMI(米カリフォルニア州)は、11~13日に東京・有明の東京ビッグサイトで、世界を代表するエレクトロニクス製造サプライチェーンの国際展示会「SEMICON Japan(セミコン・ジャパン)2019」を開催する。

挨拶を行う今野委員長
挨拶を行う今野委員長

 10日に開いた記者会見で、セミコン・ジャパン推進委員会の今野宏委員長(THK副社長)が挨拶を行い「今回のテーマは『次代のコアになる。』で、これは出展者の全てが考えていること。展示会では3つのポイントがあり、まず次代のコアになるためには若い力が必要なことから、

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DIC PS能増し21万6000tへ、中食拡大に対応

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2019年12月11日

 DICは10日、四日市工場(三重県四日市市)で製造するポリスチレン(PS)の生産能力を、設備強化や生産プロセスの最適化を行うことで、年産20万8000tから21万6000tに増強したと発表した。投資金額は非公開。2023年にはPS事業の売上高を2017年比で10%の増加を目指す。

四日市工場のポリスチレンの生産設備
四日市工場のポリスチレンの生産設備

 PSはコンビニエンスストアやスーパーなどで販売されている弁当・惣菜向けの食品容器などに多く用いられており、共働きや単身世帯の増加などを背景に、調理済みの食品を持ち帰って食べる〝中食〟市場を中心に需要が拡大。日本惣菜協会発行の「2019年版惣菜白書」によれば、2018年の中食の市場規模は約10兆円で、9年連続の成長を続けている。

 昨今では、〝レンジアップ惣菜〟といわれる新ジャンルの中食が登場し、生の食材をプラスチック容器ごと電子レンジで加熱調理する惣菜も増加の一途をたどる。

 同社は、成形性と高強度を両立した高機能タイプのPS製品「ハイブランチ」ブランドに加え、高い耐熱性をもつ新製品もラインアップ。新製品の耐熱性は汎用のPS樹脂に比べて5~10℃ほど高く〝レンジアップ惣菜〟の調理用途にも対応する。

 さらに、リサイクル性にも優れ、総重量の削減による省資源化を可能にするなど環境配慮型製品の特長も備える。同社グループは、拡大する中食市場の需要に安定供給を果たすだけでなく、食品容器や包装資材に使える「安心・安全」に配慮した製品を提供するとともに、世界的な社会課題である環境問題の解決に貢献していく考えだ。

東ソー M&Aへの300億円の投資計画を継続

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2019年12月11日

バイオサイエンス中心に、金銭的・時間的制約設けず可否を判断

 東ソーは「ハイブリッド経営による収益の安定・拡大」を基本方針として事業戦略を進めており、コモディティとスペシャリティをバランスよく強化していくことに取り組んでいる。このほど開催した社長会見で、山本寿宣社長は事業戦略や投資計画、研究開発などに関する方針や考え方などを説明した。

事業戦略などを説明する山本社長
事業戦略などを説明する山本社長

 基本戦略については、現在取り組むべき課題として、山本社長はスペシャリティ事業の拡大・成長、次世代の新事業の育成・新製品創出の加速、コモディティ事業のさらなる競争力強化を挙げた。スペシャリティ事業については、各製品で

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積水化学 分譲マンション「HEIM SUITE」を展開

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2019年12月10日

 積水化学工業はこのほど、住宅カンパニーにおいて、分譲マンションブランド「HEIM SUITE(ハイムスイート)」の展開を開始した。

『HEIM SUITE Asaka』外観
『HEIM SUITE Asaka』外観

 住宅カンパニーではESG経営を推進し、社会課題の解決や盤石な経営基盤の構築を事業の成長力として位置づけている。「ハイムスイート」はこのような考え方の下、戸建て住宅で培った「安心・安全」「環境・快適」を分譲マンションにも展開。幅広い層のユーザーに災害時の安心と日常の快適性を実現する同社ならではの住まいを提案する。

 なお「ハイムスイート」には、積水グループの技術力を結集した21品目の製品が採用されている。ブランド展開の第1弾は、同社グループの技術力をFusion(融合)させたまちづくりとして開発を進める「あさかリードタウン」(埼玉県朝霞市)内に、2021年2月竣工予定の「HEIM SUITE Asaka(ハイムスイートあさか)」。

 同タウンの地下部分は同社のインフラ技術で基盤を整備し、地上部分は「ハイムスイート」と「セキスイハイム」で構成することで、安心・安全でサステナブルな住まいを提供する。

 「ハイムスイート」のコンセプトに基づき、212戸全て南向き住戸の快適性と、商業・保育施設・公園が徒歩分圏内という利便性も兼ね備えた次世代型レジデンスを目指す考えだ。

帝人フロンティア 小売事業で新たな展開、メンズブランド立ち上げ

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2019年12月10日

 帝人フロンティアは小売事業の新たな展開として、素材から縫製、販売までを一貫して対応し展開するメンズウェアブランド「TEIMEN GINZA(テイメン ギンザ)」を立ち上げた。

ショップの内観
ショップの内観

 同ブランドとして展開する商品ラインアップは、ジャケットやパンツ、ベスト、コートなどのドレスアイテムとパターンオーダースーツで、3日から東京都中央区にあるテイジンメンズショップ2階のブランドショップで販売を開始した。来年2月からブランド専用ECサイトを立ち上げる予定。2020年度に1億円、2025年度に6億円の売上を目指す。

 同社は製品事業の拡大に向けて、独自の機能素材を活用するサプライチェーンを構築し、川上から川下までを一気通貫で対応できる体制作りを進めてきた。

 こうした中、機能素材を活用した高付加価値化により希少性を発揮するため、「大人の男性」を対象とし、高級感やストレッチ性などの着用快適性、しわになりにくいなどの取り扱いやすさをもつ、メンズドレスアイテムの新たなブランドを立ち上げ、小売事業を展開することにした。

 取り扱う製品は独自の機能性ポリエステル素材を、世界的な高級ブランドを取り扱うイタリアの協力工場で縫製する。外観に高級感があり、機能性をもつポリエステル素材を使用することにより、ドレッシーでありながら柔らかな雰囲気をもつ、伝統的なイタリアンクラッシックスタイルを実現し、機能性や取り扱いやすさも兼ね備えている。

 また、帝人フロンティアの機能素材を国内縫製するパターンオーダースーツも展開し、高級感とストレッチ性などの着用快適性、家庭で洗濯が可能な取り扱いやすさなどを実現する。

展開するアイテム
展開するアイテム

 素材として使用するのは、帝人フロンティアの梳毛調ストレッチ素材「トリクシオン」や、紡毛調ポリエステル素材「ソロテックス フルフラン」などの機能性ポリエステル素材。

 これらを使用することで、ストレッチ性や軽量性などの着用快適性を実現している。こうした機能素材は合成繊維でありながら、外観に高級感があり、一般的な天然繊維素材に比べてしわになりにくく、虫食いがないなどの取り扱いやすさも特徴としている。

 ブランドショップの住所は東京都中央区銀座4-3-10銀座中央ビル。電話03-3564-3264。営業時間は月~金:午前11時半~午後8時、土・日・祝:午前11時~午後7時半。定休日は年末年始。