【新社長特集】日鉄ケミカル&マテリアル 榮 敏治社長

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2020年10月2日

機能材料を大きな柱に、選択と集中で経営資源を有効活用

 ━抱負についてお聞かせください。

 日鉄ケミ 中面私は2019年に親会社である日本製鉄から当社に赴任してきたが、その際に2つのことを念頭に置いていた。1つは、海外市場では地産地消が進んでいるため海外への事業展開を強化していくこと、もう1つは売上・収益の約7割を占めるコールケミカル事業や化学品事業が順調なうちに、機能材料事業をもう1つの柱として強くすることだ。

 しかしコロナ禍によって、状況が大きく変わってしまった。コロナ禍は未だ収束のめどが立たず、景気の低迷が長期化すると思われる。また、ウィズコロナで個人の消費行動などのパターンが変わってくることも想定される。事業環境が不透明になってきており、今後の事業展開は一層厳しい想定で考える必要がある。

 ━鉄鋼業界から化学業界に来られて感じたこととは。 

 日鉄時代は鉄鋼原料の調達に携わっていた。コールケミカルや化学品は、製鉄の工程で副生されるタールや粗軽油を原料にしており、同じバリューチェーンの中に位置していることから違和感はなかった。

 それに対し機能材料は、

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【新社長特集】ダウ・ケミカル日本 桜井恵理子社長

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2020年10月2日

幅広いポートフォリオとネットワーク、イノベーションに貢献

 ━ダウとの出会いと、これまでの経歴をお聞かせください。

  ダウケミカル 桜井社長米国で大学院を卒業後、そのまま現地でダウ・コーニング本社に就職した。イノベーションへの取り組みの真剣さに加え、人事担当者の人柄や会社の雰囲気に魅かれたことが大きい。以降ずっとイノベーションの文化を楽しんできた。入社後はシリコーンを中心に、化粧品事業のマーケティング、建築素材事業のアジアパシフィック地域(APAC)のリーダー、自動車関連事業のグローバルのトップなど、グローバルやアジアで広く経験を積んだ。

 その後、東レ・ダウコーニング(現ダウ・東レ)の会長に就任したが、その頃は世界の情勢に大きな変化が起こる時代だった。それまで日本がイノベーショで世界を牽引していたが、中国経済が急激に成長したことで、マーケットの注目が大きく変化することとなった。日本が持つイノベーションとサステナビリティといった強みを生かし、従業員と共にいかに会社を盛り上げていくかが、後半5年間のチャレンジであった。

 ━ダウ・ケミカル日本の社長に就任された抱負について。

 親会社であるダウは、APACの戦略に基づき、高付加価値ビジネスの成長を加速させることを目指している。巨大な中国市場がメインターゲットだが、日本や韓国には自動車産業やエレクトロニクス産業など各分野でイノベーションを牽引する企業が多くあり、ビジネスチャンスが期待できる。

 こうした中、日韓の市場や顧客に精通しているというキャリアから、私が新たなリーダーに指名されたと認識している。13年ぶりの日本人社長となるが、私のミッションは、

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【新社長特集】テクノUMG 山脇一公社長

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2020年10月2日

統合のシナジー効果を最大化、「飛躍」のステージへ導く

 ━抱負をお聞かせください。

 私は当社の親会社であるJSRに入社以来、前身であるテクノポリマーのキャリアが1番長い。四日市事業所ではABS樹脂の研究開発や製造技術に携わり、さらに2010年までの3年間は本社で企画管理部長を務めるなど、計19年にわたりABS事業に関わってきた。

 また、2018年のテクノUMG設立の際には、統合準備室のメンバーでもあった。こうした経歴からABS事業に大変愛着を持っている。10年ぶりに社長として古巣に戻れたことを喜ばしく思っており、やりがいを感じているところだ。

 ━御社の強みをどう捉えていますか。

 当社は旧テクノポリマーと旧UMG ABSが合併したが、最大の特徴として、両社が得意としていた市場や技術の重なりがほとんどなかったことが挙げられる。もちろん、同じABS事業であることから一部重なる部分はあったが、ほぼ1足す1が2というように市場や顧客を拡大することができた。また、技術面でも、多様な技術が集約されており、

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【新社長特集】日本ポリエチレン 山田清隆社長

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2020年10月2日

高付加価値化を推進、再投資できる収益体制を目指す

 ━抱負をお聞かせください。

  中面JPE 山田社長 ポリエチレン(PE)業界を振り返ると、各メーカーが合併を繰り返してきた歴史だ。当社も現在の姿になるまで5社が関わっており、社内には様々な技術やノウハウが蓄積され、研究体制も充実し、また製品のラインアップも豊富となっている。さらに、営業と研究開発の協力体制が整っており、顧客のニーズに対しソリューションを提供する提案力もついてきた。こうした当社の強みを生かして、会社をさらに発展させていきたい。

 一方、海洋プラスチックごみ問題を契機に、プラスチックが悪者といった印象が広まり、脱プラスチックの動きが強まっている。ただ、例えばプラスチック包装がフードロスの削減につながり、またコロナ対策でも多くのプラスチック製品が医療分野で使用されているように、様々な課題の解決に貢献できるといった一面が見逃されている。PE専業メーカーである当社は、こうしたプラスチックの有用性を、しっかりアピールしていく必要があると考えている。

 ━PE業界をどう見ていますか。

 PEの内需はここ数年大きな変動がなく、年間340~350万tで底堅く推移している。PEは日用品をはじめ様々な分野に使用されており、生活の一部として浸透していると言えるだろう。しかし、供給面を見ると、

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【新社長特集】PSジャパン 室園康博社長

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2020年10月2日

リーディングカンパニーを堅持、安心と価値を提供

 ━抱負をお聞かせください。

  PSジャパン 室園社長 中面当社は、国内ポリスチレン(PS)業界のリーディングカンパニーであると自負しており、業界の発展に貢献していくことが第一だと考えている。また、スチレン工業会の会長にも就任したが、PSを含めプラスチックがいかに有用なものであるのかを訴えていきたい。

 先日、私の娘から「プラスチックは世の中の役に立っているね」と初めて言われた。コロナ禍による「巣ごもり需要」で、テイクアウトやスーパーでの買い物の際に、プラスチックを使用するケースが増えたことで実感したのだろう。

 コロナ禍は事業環境の悪化をもたらしているが、逆にPSを再評価していただく良いきっかけになるかもしれない。そのためにはPSがリサイクルできる環境に優しい樹脂であることを広めていく必要がある。昔からPSはリサイクルに取り組んできたが、さらにリサイクル技術や回収システムをブラッシュアップしていかなければならない。

 ━リーディングカンパニーとして何に取り組んでいきますか。

 当社はリーディングカンパニーの地位を維持するために、シェアナンバーワン、品質ナンバーワン、高付加価値化を含めた技術開発ナンバーワン、環境対応ナンバーワン、といった4つの「ナンバーワン」を掲げている。

 PS業界は3社に集約されている中で、各社それぞれ得意分野で勝負をしている。シェアを維持するためには、

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【新社長特集】新日本理化 三浦芳樹社長

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2020年10月2日

マーケットインで、オンリーワンの技術と信用を届ける企業に

 ━まずは社長に就任された抱負をお聞かせください。

  中面新日本理化 三浦社長1.JPG 当社は昨年100周年を迎えた。この節目を新しいスタート地点として捉え、強みと弱みをしっかりと分析した上で、新たな土台を築きながら経営に当たりたいと考えている。強みで言えば、当社の歴史は水の電気分解による水素・酸素製造、油脂化学に始まっているが、当時から培われてきた水素化技術やエステル化技術が今でも当社のベースとなっており、業界内でも評価をいただいている。また従業員の仕事に対する姿勢が非常に真摯で粘り強く、必ず結果を出してくれるといった風土もある。

 一方、弱みとしては、そうした強みを継承すること自体が目的化してしまい、新しい技術や新製品を生み出す力がやや脆弱化していることだ。おそらく30年ぐらい前はスペシャリティとコモディティの比率が3対7ぐらいだった。それが現在は1対9と多くの製品がコモディティ化し、収益力が落ちている。

 また、当社はドメスティックな環境で成長してきた会社という側面から、マーケットの変化に鈍感になっており、グローバル化やデジタルトランスフォーメーション(DX)などへの対応も遅れ気味だ。今後はマーケットへのアクセスを増やし、トレンドにいち早く対応していく必要があるだろう。

 ━前職の商社でのご経験をどう生かされていますか。

 メーカーといえども、今は製品を棚に並べておけば売れるという時代ではない。市場ニーズを捉えるマーケティング力が重要となっており、そこで私の商社時代の経験が生かせると思っている。

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【2020年 夏季特集】 トップインタビュー

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2020年8月10日

コロナ影響拡大で先行き不透明
戦略の見直しが課題、新常態でも成長戦略を模索

 わが国化学産業は、新型コロナウイルスの感染拡大により需要が低迷したこと、さらに原油価格の暴落により製品市況が悪化したことで深刻なダメージを受けている。経済活動の再開により下期からの回復が期待されているものの、先行き不透明感が強まっており、今年度は各社にとって正念場の年となりそうだ。

 対面業界では、明暗が分かれている。これまで市場をけん引してきた自動車産業は、生産台数が大幅に落ち込んでおり、回復までには時間を要するとの見方が強い。長期的にみればCASEなど新たな需要が期待されるものの、投資計画を見直す動きも出始めている。

 また各社がこれまでコスト重視で効率化を図ってきたサプライチェーンも、ロックダウンによって寸断された。近年では自国ファーストも進んでおり、今後は地産地消を含めた再構築を迫られそうだ。

 一方、テレワークが一気に整備されたように、5GやIoTといった半導体分野の需要が急速に拡大。また、コロナ禍で健康意識が高まったことを背景に、ヘルスケア分野への各企業の取り組みが加速している。ニューノーマル(新常態)においても、これらの分野は成長が期待されることから、今後、各社間の競争が激しくなりそうだ。

 今回の「夏季特集号」では、化学業界を代表する首脳の方々に、コロナ禍による現下の危機をいかに成長の機会に変換し生き残りを図っていくのか、その戦略と方針を聞いた。

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信越化学工業 金川千尋会長/▽コロナ禍を成長の機会に、「谷深し」でも活路は必ずある

三菱ケミカル 和賀昌之社長/▽循環型経済の実現に向け、共同歩調で取り組み加速

旭化成  小堀秀毅社長/▽新常態の変化を事業機会と捉え、ヘルスケア領域を第3の柱に

三井化学 橋本修社長/ ▽新事業開発センターが始動、新体制で事業創出を加速

東ソー  山本寿宣社長/ ▽コロナ禍でも中計方針を徹底、ハイブリッドカンパニーを追求

昭和電工 森川宏平社長/▽顧客体験を最大化、統合で〝先端材料パートナー〟を目指す

【2020年 夏季特集】 信越化学工業代表取締役会長 金川千尋氏

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2020年8月10日

 コロナ禍を成長の機会に、「谷深し」でも活路は必ずある

 ━外部環境が悪化する中、昨年度も最高益を達成した要因をどう分析されますか。

 金川会長画像2020年3月期は、当社の塩ビ事業の中核である米国のシンテックが市況の影響を受けましたが、高水準の出荷を継続し、連結決算に大きく貢献しました。半導体シリコン事業は増収増益を達成し、シリコーン事業は全世界での拡販により利益を伸ばしました。先端材料のフォトレジストとフォトマスクブランクスも堅調でした。塩ビと半導体シリコンを筆頭に、世界シェアで1位の事業をいくつか擁していますが、マーケットと用途が異なる製品群を持つことが当社の強みです。

 ━2020年の世界情勢と事業環境の見通し、およびコロナ禍が与えるインパクトをどう見ていますか。

 新型コロナウイルスの感染拡大によって世界経済は深刻な打撃を受けており、先行き不透明な状況です。経済活動が再開されつつありますが、世界経済が立ち直るのは相当な時間を要することは間違いなく、当社もその影響は免れません。しかし、

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【2020年 夏季特集】 三菱ケミカル代表取締役社長 和賀昌之氏

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2020年8月10日

循環型経済の実現に向け、共同歩調で取り組み加速

 ━2019年度の振り返りと20年度の見通しについて

 三菱ケミカル 和賀氏2019年度の上期はそれほど悪くはなかったが、下期に入り、景気全般が失速し始めた印象だ。米中経済摩擦でモノの動きが減速していったことに加え、年明けあたりからは新型コロナウイルス感染拡大による影響が出てきた。日本への影響はまだそれほどではなかったが、最初に中国がロックダウンに入ったことで、経済環境が一気に厳しくなった。一言で言えばダウントレンドをコロナが加速させたと言える。

 今年度については、少なくともV字回復はないと見ているが、見通すことは非常に難しい。主要マーケットである自動車産業を含めて、今後の生産が見通せない状況だ。各国のGDP(国内総生産)がこれほどまでに落ち込む中、

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【2020年 夏季特集】 旭化成代表取締役社長 小堀秀毅氏

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2020年8月10日

新常態の変化を事業機会と捉え、ヘルスケア領域を第3の柱に

 ━今年度の見通しについてどう見ていますか。

  旭化成 小堀社長 中面2020年度の世界情勢は、現下の新型コロナウイルスの世界経済への影響規模や鎮静化の時期について依然見通しが難しい状況にあることから、不透明感は当面継続するだろう。石化関連の需要の弱含みと市況悪化、中国経済の減速や自動車市場の低迷を織り込むと、化学産業の業況見通しは厳しく見ざるを得ない。刻々と変化する世界経済の状況や当社グループの経営環境を把握し、長期投資も慎重に意思決定するなど、随時的確に判断することが求められてくるのではないか。

 ━コロナ禍が拡大し、先行き不透明感が強まっています。

 新型コロナウイルスの感染拡大は地球規模の地殻変動をもたらした。これまで経験したことがない変化であり、人びとの価値観や政治、産業構造、社会活動など広範に影響を及ぼしている。社会のニーズは変化しており、3つのトレンドに注目している。1つ目は、

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