【2018年 夏季特集】 三菱ケミカル代表取締役社長  和賀昌之氏

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2018年8月9日

働き方改革に向けた〝危険作業の棚卸し〟と、面で捉える情報

 ━ 米中の貿易摩擦をはじめ、世界情勢について。

 米中の政策そのものについて、われわれがどうこうすることはできず、業界全体の流れが変わるような有効な手立てが直ちに見つかるわけでもないので、注視しているというのが正直なところだ。

 もちろん報復措置の応酬になると、全世界のトレードバランスが変わってくるので、非常に大きなインパクトがあると思っている。化学業界は昨年から全体的には順調な風が吹いている中で、トレードバランスが変わっていくというのは、決して好ましい状況ではない。

 ━ 世界のサプライチェーンに及ぼす影響は。

 われわれ化学産業というのは、「材」の提供だから、ものの動きが重要になってくる。たとえば、顧客である

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【2018年 夏季特集】 旭化成代表取締役社長  小堀秀毅氏

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2018年8月9日

海外依存は自然の流れ、各エリアの戦略・ガバナンスを強化

 ━ 世界情勢について。

 昨年までは世界各国において、政治の目まぐるしい変化はあったが、全体として世界協調的に緩やかな経済・景気の拡大という路線は変わらなかった。今年に入り、米国が利上げを行い、欧州でも同様な動きが出ており、少しずつ経済の風向きが変わる可能性がある。

 足元だけを見ると、緩やかな拡大基調という流れは変わっていないと見ているが、米中の貿易摩擦や新興国の通貨安などがどう動いていくかを、注視しなければならない。最も懸念していたのは為替だが、現状は想定より円安に振れており事業にとっては良い状態と言える。

 いずれにせよ、変化への対応力・適応力が求められ、そのためには変化へのアンテナをどう張るかが重要になる。マーケットの動きは現場が一番良く分かるのだから、現場が感じたものが速やかに経営上層部に入り、判断できるようにならなければならない。この現場力とスピードが大切だ。

 ━ 日本では石油業界において統合が進んでいる。化学メーカーのコンビナートの今後は。

 化学メーカーはいろいろな分野に事業が広がってきていることから、強いところをより強くするために

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【2018年 夏季特集】 三井化学代表取締役社長  淡輪敏氏

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2018年8月9日

アーク社との共同開発、自由度がシナジー効果を最大に

 ━ 貿易摩擦問題が深刻化するなか、世界経済をどう見るか。

 今は米中間で過激になっているが、その影響がどう出るかはなかなか見極めきれないところがある。追加関税の対象が工業製品にまで及ぶと、複雑で複合的な影響になってくる。

 また、自動車が本当に課税の対象になれば、これは相当深刻になる。日本にダイレクトに影響が出てくることから、今後の動きを注視しておかないといけない。

 ━ この情勢は、投資計画や新拠点の立地条件などに影響はあるか。

 今のところ直接的に、そこまでの影響は見ていないが、当社の

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【2018年 夏季特集】 東ソー代表取締役社長  山本寿宣氏

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2018年8月9日

各製品がフル生産フル販売継続、能力増強が大きなテーマ

 ━ 世界情勢が大きく変化し、事業環境にも影響を与えそうだ。

 世界情勢では米国と中国の貿易摩擦が懸念材料だ。米国は鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の関税をかけたが、さらに7月には、中国製品の500品目に対し順次追加関税をかける方針を打ち出した。これが米中間の問題に留まらず、欧州や日本にまで及ぶ可能性もあり、事業環境は先行き不透明となっている。

 また、為替の変動は収益に大きな影響を与える。足元の為替は110円を超える水準となっているが、今後、100~110円のレンジで動くのではないか。こうした中、やはり重要なのは、自分たちがやるべきことに注力し、各事業の施策を着実に進めていくことだろう。

 一方、中国政府の環境規制強化の動きも重要な要素だ。当社製品で言えば塩ビ樹脂(PVC)が影響を受けるため、カーバイド法の規制に注目している。カーバイド法は水銀触媒を使用していることから環境問題が取りざたされており、カーバイド法PVCなどの生産や能増計画が抑えられている。

 足元ではPVC市況も利益が確保できる水準で推移しているが、規制が変わる可能性もあり注視が必要だ。

 ━ コンプライアンスやESGの取り組みについて。

 昨年来、製造業において不祥事が発生したことから、ステークホルダーの目が厳しくなっているのは事実だ。グループ全体でのコンプライアンス強化も重要だ。アジア地域における

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【2018年 夏季特集】 昭和電工代表取締役社長  森川宏平氏

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2018年8月9日

課題解決や研究開発などにAI、次期中計で活用の方向性示す

 ━ 世界情勢について。

 世界経済のファンダメンタルは悪くない。市場の購買意欲が緩やかな右肩上がりになっているからだ。ストップをかけるとすれば、地政学的なリスクを含め政治的要因だ。米中貿易摩擦で、追加関税に最終製品まで含まれ、中国から最終製品が輸出できなくなれば、その部品を作っている日本企業にも徐々に影響が出てくるだろう。

 ただ、それはわれわれのようにサプライチェーンの長い素材メーカーには、分かりにくい部分だ。問題の解決は先行き不透明だが、今の状況が長期に続くとは考えていない。投資について言えば、ある程度長い目で判断すべきで、直ちに判断を変える必要はない。

 現在七十ドル超の原油価格も、許容範囲の上限にあると言え、今後半年ぐらいはそれほど大きく変わらないのではないか。原油価格は需給環境だけで決まるのではなく、理由が分からず変動することがあるので、何とも言えないところはある。為替も同様だが、急激な変動が最も問題だ。政治も同様だが、安定しているのが望ましい。

 ━ 米中貿易摩擦による半導体事業への影響は。

 中国で計画が遅れる可能性はあるが、当社の事業にはあまり影響しない。半導体の生産は米国が15%で、残りはアジア。世界全体での需要は旺盛で、中国での生産が減少しても、台湾と韓国との比率が変わるだけだ。

 当社は半導体向けに、さまざまな製品をアジア・米国へ供給している。中国が大きくなれば

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【2018年 夏季特集】 JSR代表取締役社長  小柴満信氏

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2018年8月9日

生産性向上へ、IT活用し革新的な構造改革を推進

 ━ 世界経済の動向について。

 米国が中国への追加関税を実施し、中国は対抗措置を打ち出した。その影響への懸念はあるものの、半導体の環境は基本的にいいと言える。米国と中国で光ファイバーの敷設が好調なのが、その証拠だ。

 さまざまな情報が動画で配信されるようになっており、データ量に対し、光ファイバーの敷設が間に合っていない。光ファイバーと通信衛星が伸びている限り、半導体は伸びるだろう。

 自動車産業については、大きな変化の時期にあると言える。ただ、本当に変わったのかと言えば、それほどでもない。電動化にはインフラも必要だし、電池の価格が高いためだ。重量エネルギー密度では200Wh/㎏を超える領域で、まだいいものができていない。これに自動運転が加わると、さらに電池の容量が必要になる。今の技術では、電動化と自動運転を両立させるのは難しいのではないか。

 ━ 今年度の見通しは。

 景気次第なので、慎重に見ている。貿易摩擦が進むと、円高も進行するだろう。原油価格は需要が高いため、何かあるとすぐに高騰するが、さすがにバレル100ドルにはならず、60~70ドルぐらいで推移すると見ている。

 半導体事業については、当社は

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【ポリカーボネート特集1】需要は堅調な伸び、増設でアジア市況悪化

2018年1月18日

 ポリカーボネート(PC)は5大汎用エンジニアリングプラスチックの中で、最も使用量が多い樹脂だ。透明性や耐衝撃性、自消性、寸法安定性などの特長をもち、電気・電子やシート・フィルム、自動車、雑貨など、幅広い分野で使われている。

樹脂ウィンドーでナンバーを取得したスポーツEV 最近では帝人が開発した、世界初のPC樹脂製ピラーレスフロントウィンドウ採用のスポーツ電気自動車=写真=が、ナンバープレートを取得し、公道走行が可能になったことで脚光を浴びた。

 現在のグローバルでの需要量は年400万~500万t、生産能力は500万t/年程度、国内の需要量は20万t強、生産能力は40万t程度と見られている。3年ほど前までは供給過多の状況が続いていたが、その後はグローバルでの需要が年率3~4%程度伸びていることやプラントの閉鎖、定修、トラブルなどにより、需給はほぼタイトな状況になっている。

 しかし、中国と韓国でプラントが増設されたため、供給過多となる見通しとなり、それが市況にも反映。今年の年央には

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【ポリカーボネート特集2】住化ポリカーボネート

2018年1月17日

 量より質を追求、光学特性などの強み生かし高機能品開発

 住化ポリカーボネートは、住友化学とトリンセオホールディングB.V.の折半出資の合弁会社「住友スタイロンポリカーボネート」として事業活動を行ってきたが、昨年1月末にトリンセオが所有する全株式を住友化学が取得。住友化学100%出資の子会社となり、同年4月1日に現社名に変更した。

事業の説明を行う井田康暢副社長
事業の説明を行う井田康暢副社長

 同社によればポリカーボネート(PC)の市場は、グローバルで今年は400万t程度、国内は20万t強。供給能力はグローバルで約500万t、国内は40万tほどだという。

 リーマンショックの影響などもあり、2015年ぐらいまでは供給過多の状況が続いていたが「今年の夏までの2年ほどは、需要が年率3~4%伸びていることや、プラントの閉鎖などもあって、需給はタイトの時期があった」とのこと。こうした状況の中で、同社の愛媛工場では、

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【ポリカーボネート特集3】 帝人

2018年1月16日

 世界初のEV向けピラーレスフロントウィンドウを開発

 スポーツ電気自動車(EV)向けに、世界初のポリカーボネート(PC)樹脂製ピラーレスフロントウィンドウを開発した帝人は、自動車以外の多様な分野への用途展開にも注力している。

小川部門長
小川部門長

 同ウィンドウは、京都大学発のEVメーカーであるGLM社のスポーツEV「トミーカイラZZ」の特別仕様車に採用され、今年7月には「道路運送車両の保安基準」を満たしたことから、ナンバープレートを取得して公道を走行することが可能になった。

 これは、PC樹脂のグレージング(ガラス・金属代替パーツ)用途としての画期的な出来事と言える。今後は特別仕様車の本格的な受注生産開始に向け、同ウィンドウの供給体制の整備を進めていく。

 また、新幹線の側窓にPC樹脂が採用されたのも帝人が初めて。最初は冬季のガラス破損防止のため、ガラスに貼り合わせる補強用として採用された。2007年からは、PC樹脂製ウィンドウとして、N700系のほぼ全ての車窓に採用され、車両の軽量化に貢献している。

 樹脂事業本部樹脂ソリューション営業部門の小川和宏部門長によると「2017年に欧州の最新自動車保安基準が日本に導入されたことを背景に、

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【ポリカーボネート特集4】 出光興産

2018年1月14日

  独自技術生かして製品開発、高透明性などで差別化図る

  出光興産の機能化学品部では、界面法ならではの特徴を持ったポリカーボネート(PC)製品を軸に、事業を展開している。

和田課長
和田課長

 同社は1957年からPCの研究を始め、1969年に世界初の連続式溶液法(界面法)による独自製造技術を確立。千葉工場(千葉県市原市)で「タフロン」ブランドにより、商業生産を開始した。

 その後、競争力強化のため、この独自技術を台湾のフォルモサ・ケミカル&ファイバー・コーポレーション(FCFC社)にラインセンスし、FCFC社では2002年からPCの生産を始めた。

 さらに千葉工場からFCFC社への生産集約を段階的に進め、2015年に特殊グレードを集約したことで、出光のPC全グレードをFCFC社で行うことになった。

 同社では界面法を追求した製品の開発に注力しており、その一つが

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