アジア石化市況 エチレン先安観で2週連続下落

2021年3月9日

芳香族は上昇基調継続、スチレンモノマー強含み

 アジア地域の2月第2週の石化市況では、エチレンは前週比40ドル安の825ドル/tでの取引となった。2月に入ってからわずか2週の間に85ドルも下落している。韓国や日本で停止していたクラッカーが1、2月に稼働を再開し先安観が出ていたことに加え、中国では春節休暇を迎えたこともあり一気に需要が弱まった。

 ナフサとのスプレッドも

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KHネオケム PM系2製品を値上げ、採算是正を図る

2021年3月9日

 KHネオケムは8日、プロピレングリコールモノメチルエーテル「PM(-P)」、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート「PMA(-P)」について、今月22日納入分から値上げすると発表した。改定幅は、「50円/kg以上」。

 原料であるPO(プロピレンオキサイド)などの市況高騰に加え、PM系製品のタイト感から海外市況はさらに上昇している。こうした中、同社は、採算是正を図るため今回の値上げを決定した。

東ソー PE樹脂全製品値上げ、「20円/kg以上」で実施

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2021年3月9日

 東ソーは8日、ポリエチレン樹脂全製品を4月1日納入分から「20円/kg以上」値上げすると発表した。対象製品は、低密度ポリエチレン「ペトロセン」、直鎖状低密度ポリエチレン「ニポロン‐L」「ニポロン‐Z」、超低密度ポリエチレン 「LUMITAC」、高密度ポリエチレン「ニポロンハード」「ニポテック」、エチレン酢酸ビニル共重合体「ウルトラセン」、ポリオレフィン系接着性樹脂「メルセン」、高溶融張力ポリエチレン「TOSOH‐HMS」。

 ポリエチレン樹脂の主原料である国産ナフサ価格は、原油価格の高騰と、アジア域内の需給ひっ迫と円安を背景に騰勢を強めており、4万8000円/klを超える水準にまで上昇している。同社は徹底したコスト削減に努めているが、原料価格の高騰に加え、物流費、設備維持・補修費用の上昇による急激なコスト事情の悪化は自助努力のみで吸収することが極めて困難であることから、今後の安定供給を図る上でも価格改定を実施せざるを得ないと判断した。

旭化成 HDI系イソシアネート、国内外で値上げ実施へ

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2021年3月9日

 旭化成は8日、HDI系イソシアネート「デュラネート」の国内外価格について、3月10日出荷分から値上げすると発表した。改定幅は現行価格に対し、国内が「10%アップ」、海外が「15%アップ」となっている。

 原料価格、物流費などの高騰により、採算的に極めて厳しい状況にある。こうした中、同社は、自助努力による製造コスト低減を図ってきたが、製品の安定供給を継続させるためには、今回の値上げを実施せざるを得ないと判断した。

三菱ケミカル PMMAなど値上げ、コスト上昇に対応

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2021年3月9日

 三菱ケミカルは8日、PMMAレジン「アクリペット」とアクリルシート「アクリライト」の国内価格を4月出荷分から値上げすると発表した。改定幅は「20%」となっている。

 両製品の原料であるMMAモノマーは、昨年後半から経済活動が回復している中国をはじめ世界各地で需給バランスがタイト化。さらにMMAモノマーの製法の1つであるACH製法は、原料のアセトン不足と価格高騰が継続すると見られる。また寒波による北米のプラントトラブルによりMMA市況も上昇基調を続けている。

 一方、国内のPMMAレジンやアクリルシートは、ウィズコロナ・ポストコロナにおいて、感染対策の飛沫感染防止板向けや、リモートワークによる液晶用導光板向けなどの需要が拡大し、また一般需要も回復傾向となっている。ただ、国内では慢性的な人手不足により、物流費用の高騰に加え、工場のメンテナンス費用など他の項目においても様々なコストが上昇している。

 こうした中、同社は、合理化によるコスト吸収を進めてきたが、足下ではそれを上回る費用の増加が発生しており、顧客への製品の安定供給体制の維持を万全とするため、今回の国内価格の値上げを決定した。

東洋紡 OPP・CPPなど包装用フィルム製品を値上げ

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2021年3月8日

 東洋紡はこのほど、包装用フィルム製品の一部について、今月22日出荷分から値上げすると発表した。対象製品と改定幅(連:500㎡)は、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)、無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)、直鎖状低密度ポリエチレン(L―LDPE)フィルムがいずれも「連300円(20㎛換算)」、二軸延伸ポリエステルフィルム(PET)が「連300円(12㎛換算)」、二軸延伸ナイロンフィルム(ONY)が「連600円(15㎛換算)」、透明蒸着フィルム「エコシアール」のPETベースが「連300円(12㎛換算)」、同ONYベースが「連600円(15㎛換算)」となっている。

 昨今の原油、ナフサ価格の上昇などを背景に、包装用フィルム製品の原料価格高騰が続いている。加えて、燃料費や電力費、物流経費、設備維持費用などの諸経費が上昇し、製造コストを押し上げている。こうした状況下、同社では徹底したコスト削減を行ってきたが、現在の価格体系では顧客への安定的な製品供給が困難と判断し、今回の価格改定を決めた。

WTI価格 OPECプラス減産継続で一段高に

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2021年3月8日

サウジも減産を継続、需給バランスの改善見込む

 世界の原油相場では、産油国の減産継続を背景にWTIが一段高となっている。4日に開催されたOPECプラスの会合では減産幅の維持が決定され、さらに、サウジアラビアが独自に行っている日量100万バレルの減産を2、3月に続き4月も継続すると発表。これにより、同日のWTI価格は前日の終値から2.55ドル上昇の63.83ドル/バレルとなり、昨年1月上旬以来、約14カ月ぶりの高値を記録した。世界経済はコロナ禍による低迷が継続しているものの、各国においてワクチン接種が進んでいることや、景気対策で金融緩和が継続されていることもあり、投資家の買いが強まっている状況だ。

 昨年のWTI価格は、協調減産の混乱やコロナ禍の影響で落ち込んだ4月を底に反転し、10月頃まで40ドル前後で推移。こうした中、コロナワクチンの承認が相次いだことや、OPECプラスが減産幅縮小に合意したことを背景にWTIは上昇基調となり、年明けサウジが単独減産を表明したことで1月6日に50ドルを突破した。

 さらに中東の地政学リスクが高まったことで、2月中旬には60ドル台に到達。その後は、サウジが単独減産を取り止めるとの観測が出たことなどで上値が抑えられていたが、今回の減産継続が市場に大きなインパクトとなり、前日から2.55ドルも高騰する結果となっている。

 今後については、WTIは強含みになるとの見方が強い。減産継続により原油の余剰在庫の消化が進むことで、需給バランスの改善が見込まれる。とはいえ、長期金利が上昇すれば投資家の買いが弱まることに加え、コロナ禍の収束も未だ見通せず再拡大の懸念も拭えない状況。昨年のように急落する可能性は低いものの、この先も原油相場は予断の許さない状況が続きそうだ。

 

KHネオケム 基礎化学品を値上げ、原料高騰に対応

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2021年3月5日

 KHネオケムは4日、基礎化学品を4月1日納入分から値上げすると発表した。対象商品と改定幅は、「オクタノール」「オキソコール900」「ノナノール」「ブタノール」「イソブタノール」「酢酸イソブチル」「オクチル酸」「キョーワノイック-N(イソノナン酸)」「ブチルアルデヒド」「イソブチルアルデヒド」「キョーワゾールC-800」「キョーワゾールC600M」「キョウワノール‐M」「トリデカノール」が「35円/kg以上」、「ブチセルアセテート」「ブチセノール20アセテート」が「41円/kg以上」、「アセトン」「アセトン-P」が「45円/kg以上」、「ダイアセトンアルコール」「メチルイソブチルケトン(MIBK)」が「54円/kg以上」。なお値上げ幅には、2月に打ち出した生産設備老朽化と人手不足および働き方改革に端を発した設備費・修繕費・物流費上昇分として「15円/kg」を含む。

 昨今の原油価格の上昇に伴い、4-6月期の国産ナフサ価格は4万5千円水準が見込まれる。こうした中、同社は、現在の急激な原燃料価格上昇を自助努力で吸収するのは限界を超えており、国内安定供給を維持・確保するためにも値上げせざるを得ないと判断した。