スポット・ナフサ価格 約11カ月ぶり500ドル台

2021年1月20日

減産で原油価格上昇、1Q国産ナフサも一段高に

 C&Fジャパン・スポットナフサ価格は、今月7日には506ドルを記録。昨年2月以来、約11カ月ぶりに500ドル台を回復し、足元では530ドルを下回る水準で推移している。また、試算した国産ナフサ価格も8日に4万円台を突破し、その後は4万1000円前後の値動きとなっている状況だ。

 昨年は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響や、OPECプラスの協調減産の混乱などで春先に原油・ナフサ価格が暴落。その後、協調減産が再開されたことや、中国の経済活動が回復したこともあり、原油・ナフサ市況は次第に値を戻す展開となった。

 スポット・ナフサ価格を月別の平均で見ると、4月の200ドル割れを底に上昇基調となり、8月には400ドルを回復。ただ、コロナの再拡大が懸念されたこともあり、11月までの平均価格は400ドルを下回る結果となった。また、原油相場も6月以降は40ドル前後の動きを継続。しかし、コロナワクチンの承認が進んだことや、OPECプラス総会で減産幅の縮小を決定したことを材料に、12月以降には一気に騰勢を強めた。さらに、年明けには、サウジアラビアが単独で日量100万バレルの減産を表明。WTI価格は今月6日に50ドルを突破し、スポット・ナフサ価格も翌7日以降500ドルを上回る水準で推移している。

 一方、スポット・ナフサ価格の上昇の要因として、アジア地域で需要バランスがタイトとなっていることも大きい。11月に入り、クラッカーのトラブルが発生したことでエチレン市況が上昇し、ナフサとのスプレッドは500ドル以上に拡大。センター各社は良好なスプレッドを確保できることからクラッカーは高稼働となりナフサを調達する動きが強まった。それに対し、市場へのナフサの供給は抑えられている。石油製品の需要低迷により製油所の稼働率が低下していることや、欧州などの域外品の流入が減少していることが背景にある。

 こうした中、国産ナフサ価格も水準を切り上げてきた。試算した4Q(10-12月期)の国産ナフサ価格は3万2000~3万3000円程度と、3Q(7-9月期)から2、3000円程度の上昇となる見通し。仮に足元の状況が続けば、1Q(1-3月期)は3万7000~3万8000円の一段高になるとの見方が強まっている。すでにポリオレフィンメーカー各社は値上げを打ち出し始めており、今後、こうした動きがさらに本格化すると見られる。

 

アジア石化市況 エチレン下値960ドルに上昇

2021年1月14日

芳香族は3製品とも上昇、SMも900ドルを回復

 アジア地域の12月第3週の石化市況では、エチレンは下値10ドル高、上値ステイの960~1000ドル/tでの取引となった。前週まで3週間ほど膠着状態が続いていたが、原油・ナフサ価格が上昇基調となり下値を押し上げた。スプレッドは、

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アジア石化市況 エチレン・プロピレンは前週並み

2021年1月7日

ベンゼンは3週ぶりに反落、SMは900ドル/t割れ

 アジア地域の12月第2週の石化市況では、エチレンは下値、上値ともステイの950~1000ドル/tでの取引となった。春先から停止していたナフサクラッカーが再開され需給バランスのタイト感が緩和されつつあり、先安観から需要家が様子見となった。スプレッドは、

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塩ビ樹脂 1月のインド向け輸出は150ドル上昇

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2020年12月24日

世界的に需給タイト継続、玉確保の動きが強まる

 塩ビ樹脂(PVC)の1月分のアジア輸出価格は、インド向けが前月比140~150ドル高のCFR1450~1460ドル/t、中国・その他向けも同60ドル高の1160ドル/tで決着した。

 台湾大手メーカーも、インド向け “塩ビ樹脂 1月のインド向け輸出は150ドル上昇” の続きを読む

アジア石化市況 エチレン上値は1000ドル/tを回復

2020年12月22日

ベンゼンは一段高で600ドル台、SMは大幅下落

 アジア地域の12月第1週の石化市況では、エチレンは下値ステイ、上値10ドル高の950~1000ドル/tでの取引となった。上値が1000ドルを回復したのは2019年5月以来となる。春先から停止していたナフサクラッカーが再開されたことで、ナフサクラッカーのトラブルで強まっていた先高観が収まりつつある。また、需要家の間で玉を確保する動きが一巡したこともあり小幅な値動きとなった。 ナフサとのスプレッドは “アジア石化市況 エチレン上値は1000ドル/tを回復” の続きを読む

宇部興産 CPLの12月価格、前月比170ドル高

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2020年12月18日

 需給バランスがタイト、原料ベンゼン高騰も要因

 宇部興産は、ナイロン原料であるカプロラクタム(CPL)について、12月(上旬決め)の韓国・台湾大手向け契約価格を前月比170ドル高の1410ドル/tで決着した。上昇幅が100ドル以上となったのは6月以来となる。これで、4か月連続の上昇となったが、その間に380ドルも急騰している状況だ。

 中国の経済活動の回復に伴い、ナイロン需要が活況を呈している。特に商用車用のタイヤコードや、自動車用のエンジニアリングプラスチック、食品用フィルムといった用途が好調となっているもよう。こうした中、域内メーカーのトラブルや定修などにより供給が絞られたことで、需給バランスがタイト化。これに加え、原料ベンゼン価格が上昇基調を強めていることも、市況を押し上げる要因となった。スプレッドについても、

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ウレタンMDI スポット市況は高水準を継続

2020年12月16日

足元ではやや弱含み、来年以降の市場動向注目

 ウレタン原料であるMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)は、一時期のタイト感が緩和されつつあるものの、好環境を継続。足元の市況はモノメリックが3400ドル/t、ポリメリックが2500~2600ドル/tとなっており、依然として高水準を維持している状況だ。

 MDIは上期(4-9月期)に、コロナ禍の影響により需要が大きく減退し市況も低迷していた。しかし、コロナ禍から脱した中国で需要が急回復する中、欧米メーカーにトラブルが発生し、需給バランスが一気にタイト化。市況は上昇基調を強め、11月中旬には、モノメリックで3500~3600ドル/t、ポリメリックは2700ドル/tとなった。その後、海外でのトラブル解消や、アジア地域の定修が明けてくることもあり、市況はやや軟化傾向となっている。

 こうした中、MDIのスプレッドも大きく改善している。原料であるベンゼン価格(ACP)は、3Q(7-9月期)平均で436.7ドル/t、4Q平均で486.7ドル/tと上昇し、2Q(4-6月期)の急落(平均358.3ドル/t)から回復基調を強めている。ただ、MDI市況の上昇ペースが大きく上回っているため、12月のACP(575ドル/t)で換算した足元のスプレッドは、モノメリックで2800ドル/t程度、ポリメリックで1900ドル/t程度と、上期(モノメリック1000ドル/t程度、ポリメリック750ドル/t程度)に比べ大幅に伸長している。特にモノメリックは10月からスプレッドがさらに拡大しており、MDIメーカーにとって想定以上に収益に貢献している状況だ。

 今後については、しばらく市況が大きく崩れるとの見方は少ない。その要因として、トラブルが発生した欧米メーカーの生産が完全に戻っていないことに加え、経済活動の再開に伴い自動車用途をはじめ堅調な需要が続いていることが挙げられる。ただ、中国において住宅向け断熱材用途は冬の不需要期に入っていくことや、欧米などではコロナ禍が再拡大しており経済が冷え込むことが懸念材料。近年、MDI市況は外部環境によって乱高下しやすい状況が続いており、来年1Q(1-3月期)の市場動向が注目される。

 

アジア石化市況 エチレンは950ドル/tに上昇

2020年12月15日

ブタジエンは高レベルを継続、SMは再び反転

 アジア地域の11月第4週の石化市況では、エチレンは下値40ドル高、上値5ドル高の950~990ドル/tでの取引となった。11月第1週からの上昇ペースは鈍ったものの、3週連続の上昇となっている。前週に引き続き、アジア地域では相次いでナフサクラッカーのトラブルが発生したことで、需要家の間で玉を確保する動きが出ている。ただ春先から停止していたナフサクラッカーの再開が予定されていることもあり、上昇幅は抑えられた。

 ナフサとのスプレッドは

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ENEOS 12月のベンゼンACPは前月比115ドル高

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2020年12月2日

 ENEOSは1日、12月分のベンゼンACP(アジア契約価格)を575ドル/tで決着したと発表した。11月のアジアベンゼン市況は、原油の上昇に加え、経済回復による誘導品需要の高まりを受けて前月比上昇した。こうした市場環境を反映し、12月ACPは前月比115ドル/t高で決着した。

 なお、国内価格換算想定値は、64.9円/kgとなる。