ウレタンMDI スポット市況は高水準を継続

2020年12月16日

足元ではやや弱含み、来年以降の市場動向注目

 ウレタン原料であるMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)は、一時期のタイト感が緩和されつつあるものの、好環境を継続。足元の市況はモノメリックが3400ドル/t、ポリメリックが2500~2600ドル/tとなっており、依然として高水準を維持している状況だ。

 MDIは上期(4-9月期)に、コロナ禍の影響により需要が大きく減退し市況も低迷していた。しかし、コロナ禍から脱した中国で需要が急回復する中、欧米メーカーにトラブルが発生し、需給バランスが一気にタイト化。市況は上昇基調を強め、11月中旬には、モノメリックで3500~3600ドル/t、ポリメリックは2700ドル/tとなった。その後、海外でのトラブル解消や、アジア地域の定修が明けてくることもあり、市況はやや軟化傾向となっている。

 こうした中、MDIのスプレッドも大きく改善している。原料であるベンゼン価格(ACP)は、3Q(7-9月期)平均で436.7ドル/t、4Q平均で486.7ドル/tと上昇し、2Q(4-6月期)の急落(平均358.3ドル/t)から回復基調を強めている。ただ、MDI市況の上昇ペースが大きく上回っているため、12月のACP(575ドル/t)で換算した足元のスプレッドは、モノメリックで2800ドル/t程度、ポリメリックで1900ドル/t程度と、上期(モノメリック1000ドル/t程度、ポリメリック750ドル/t程度)に比べ大幅に伸長している。特にモノメリックは10月からスプレッドがさらに拡大しており、MDIメーカーにとって想定以上に収益に貢献している状況だ。

 今後については、しばらく市況が大きく崩れるとの見方は少ない。その要因として、トラブルが発生した欧米メーカーの生産が完全に戻っていないことに加え、経済活動の再開に伴い自動車用途をはじめ堅調な需要が続いていることが挙げられる。ただ、中国において住宅向け断熱材用途は冬の不需要期に入っていくことや、欧米などではコロナ禍が再拡大しており経済が冷え込むことが懸念材料。近年、MDI市況は外部環境によって乱高下しやすい状況が続いており、来年1Q(1-3月期)の市場動向が注目される。

 

アジア石化市況 エチレンは950ドル/tに上昇

2020年12月15日

ブタジエンは高レベルを継続、SMは再び反転

 アジア地域の11月第4週の石化市況では、エチレンは下値40ドル高、上値5ドル高の950~990ドル/tでの取引となった。11月第1週からの上昇ペースは鈍ったものの、3週連続の上昇となっている。前週に引き続き、アジア地域では相次いでナフサクラッカーのトラブルが発生したことで、需要家の間で玉を確保する動きが出ている。ただ春先から停止していたナフサクラッカーの再開が予定されていることもあり、上昇幅は抑えられた。

 ナフサとのスプレッドは

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ENEOS 12月のベンゼンACPは前月比115ドル高

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2020年12月2日

 ENEOSは1日、12月分のベンゼンACP(アジア契約価格)を575ドル/tで決着したと発表した。11月のアジアベンゼン市況は、原油の上昇に加え、経済回復による誘導品需要の高まりを受けて前月比上昇した。こうした市場環境を反映し、12月ACPは前月比115ドル/t高で決着した。

 なお、国内価格換算想定値は、64.9円/kgとなる。

アジア石化市況 エチレンは4週ぶりに800ドルを回復

2020年12月1日

ブタジエンは前週並み、SMは1100ドルを突破

 アジア地域の11月第2週の石化市況では、エチレンは下値60ドル高、上値50ドル高の800~850ドル/tでの取引となった。前週まで弱含みの展開が続いていたが、7週ぶりに反転し、下値は4週ぶりに800ドル/tを回復している。米国大統領選が終了し、原油・ナフサ価格が上昇傾向となる中、アジア地域ではクラッカーで火災事故が発生。堅調な誘導品需要を背景に供給不安が高まり、市況を大きく押し上げる結果となった。

 ナフサとのスプレッドも

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塩ビ樹脂 12月のインド向け輸出、110ドル上昇

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2020年11月30日

世界的に需給タイト継続、コンテナ不足も要因に

 塩ビ樹脂(PVC)の12月分のアジア輸出価格は、インド向けが前月比110ドル高のCFR1310ドル/t、中国その他向けも前月比40ドル高の1100ドル/tで決着した。

 台湾大手メーカーも、インド向け

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アジア石化市況 エチレン下値10ドル安も底打ち感

2020年11月25日

ブタジエン200ドルの急騰、SMは上昇基調継続

 アジア地域の11月第1週の石化市況では、エチレンは下値10ドル安、上値20ドル高の740~800ドル/tでの取引となった。下値は4週連続で弱含んだものの、上値は再び800ドル/tを回復しており底打ち感が出始めている。アジア地域で行われていた各社の定修が明けてくるものの、海外メーカーのトラブルが発生したことで、需給の先行きに不透明感が強まった。

 ただ、ナフサとのスプレッドは

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宇部興産 CPL11月契約価格は前月比90ドル高

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2020年11月18日

冬物衣料の需要好調、中国トラブルで需給タイト

 宇部興産は、ナイロン原料であるカプロラクタム(CPL)について、11月(上旬決め)の韓国・台湾大手向け契約価格を前月比90ドル高の1240ドル/tで決着した。これで、2カ月連続90ドル高となり、9月からの3カ月間で210ドルも急騰している。冬物衣料に向けた需要期に入る中、アジア地域では複数プラントが定修入りや定修を控えていたこともあり、市場に先高観が出ていた。

 こうした中、中国メーカーの間でトラブルによる稼働停止が続発。需要家の間で玉を確保する動きが強まり、契約価格を大きく押し上げる結果となった。スプレッドについても、原料ベンゼンの上昇分をカバーし、前月比55ドル拡大の780ドル/tにまで改善している。とはいえ、4~11月の平均スプレッドは673ドル/tと昨年同期(908ドル/t)を下回っており、収益的には依然として厳しい状況だ。

 一方、中国・SINOPECは、10月(下旬決め)の契約価格を前月比34ドル高(100人民元高)の1192ドル(9800人民元)で決着。11月の仮価格については、今月12日に1324ドル(1万800人民元)で打ち出した。需給バランスを見ながら段階的に上げてきており、強気の姿勢となっているようだ。

 中国メーカーの稼働率を見ると、ナイロンチェーン全体で高水準となっている。11月初旬の稼働率は、CPLはトラブル要因で80%弱(10月初旬90%弱)と全体的に下がったものの、川下のチップは70%半ば(同60%半ば)、ヤーン(糸)は80%弱(同70%程度)と10%ほど上昇した。川下の需要が改善してきたことで、今後、ナイロンチェーンが好循環に入っていくとの見方が出ている。また、ナイロンチップの価格も、前月は1300~1400ドル/tだったが、今月に入ってからは1400~1500ドル/tで交渉が進んでいるもよう。足元では1600ドル/tでの取引も見られ、CPL価格の上昇分を転嫁する動きが強まっている。

 12月の契約価格については、一段と上昇する可能性が高い。中国メーカーのトラブル要因は徐々に解消してくることが想定されるが、自動車部品や電子部品、また衣料品などナイロン製品の好調さが供給量の増加を吸収すると見られる。

 ただ、ベンゼンなどの原料市況が上昇傾向になることが懸念材料。ベンゼンはスチレンモノマー向けに、アンモニアや硫黄も肥料向けなどに、それぞれ引き合いが強まっている状況。仮に、原料市況が一段と上昇基調となれば、CPLのスプレッドを圧迫する可能性もあり、原料市場の動向が注目される。

 なお、宇部興産のCPL工場(宇部、タイ、スペイン)については、10月末で定修が終了した宇部工場はフル稼働。タイ工場は90%稼働となり、肥料が好調なスペイン工場はフル稼働を継続している。

 

アジア石化市況 エチレンは前週比40ドル安に

2020年11月17日

ブタジエン上昇基調が継続、SMは800ドル台に

 アジア地域の10月第5週の石化市況では、エチレンは下値40ドル安、上値20ドル安の750~780ドル/tでの取引となった。3週連続の下落となり、上値は8週ぶりに800ドル/tを割り込んでいる。ナフサとのスプレッドも “アジア石化市況 エチレンは前週比40ドル安に” の続きを読む

アジア石化市況 エチレンは2週連続でマイナス

2020年11月10日

 ブタジエンは1年ぶり1000ドル/tに、SMも強含み

 アジア地域の10月第4週の石化市況では、エチレンは下値30ドル安、上値70ドル安の790~800ドル/tでの取引となった。2週連続の下落となり、下値は7週ぶりに800ドル/t割れとなっている。スプレッドも

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ENEOS 11月のベンゼンACPは前月比35ドル高

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2020年11月5日

 ENEOSはこのほど、11月分のベンゼンACP(アジア契約価格)を460ドル/tで決着したと発表した。10月のアジアベンゼン市況は、経済回復による中国誘導品需要の高まりを受けて前月比上昇した。こうした市場環境を反映し、11月ACPは前月比トン35ドル高で決着した。

 なお、国内価格換算想定値は、53.4円/Kgとなる。