《化学企業トップ年頭所感》三井化学 橋本修社長

, ,

2022年1月7日

 新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン型」の感染拡大懸念が続く中、年末年始を挟んだ生産維持、グローバルでの事業活動に尽力いただいた当社グループの皆さんに感謝申し上げる。

 今年も、「安全は全てに優先する」方針を心に刻み、事故・災害ゼロを目指していこう。ご家族を含む皆さんの健康は企業活動の源泉だ。改めて一人ひとりが健康管理への認識を高めてほしい。

 さて、今年は新たな長期経営計画「VISION2030」の実現に向け、本格的に始動する「実行の初年」となる。当社グループが目指す「2030年のありたい姿」実現に向け、次の3点を意識して自らの歩みを進めることをお願いしたい。

 1つは、「仕事のやり方を見直す」ことだ。長計で掲げた目標達成に対し、皆さん自身が仮説を立て、その検証を繰り返し行いながら、目指すべき姿に到達していく必要がある。今一度、従来の考え方、やり方で良いのか、どうすれば社会課題視点で自らの仕事、製品、事業、グループの付加価値を高められるのかを自問自答し、行動していただきたい。

 次に、「スピード感をもって実行する」ことだ。大きな環境変化は私たちにとってのビジネスチャンスでもある。チャンスを掴むには早く踏み出すことが何より重要になる。「ファースト・ムーバー・アドバンテージ」(先行者利益)を心掛けてほしい。

 そして3つ目は、「アンテナを高くし、積極的なコミュニケーションに取り組む」ことをお願いしたい。「VISION2030」実現に向けて当社グループは新たな成長領域へのビジネス展開を図っていく。その実行には、従来の枠を超えた活動が必要となる。本社では4月に大幅な組織改正を行うが、自部門に留まらず、組織の壁を超え、社内外との積極的なコミュニケーションを行ってもらいたい。

 「VISION2030」の達成は決して容易な歩みではない。しかし、一人ひとりが志高く、信念をもって邁進すれば必ず到達できる。社長就任以来申し上げているように、失敗を恐れず、一段高い目標に向かって、〝逃げず、諦めず、誤魔化さず〟に、粘り強く挑戦していこう。

三井化学アグロ MSファルマ農薬事業の取得を完了

, , ,

2022年1月6日

 三井化学の100%子会社の三井化学アグロは、1月4日付でMeiji Seikaファルマの農薬事業取得を完了したと発表した。取得金額は概算で422億円。MSファルマが、同社の農薬製造販売事業(完全子会社2社の事業を含む)を吸収分割で承継させた新設会社「MMAG」の全株式を三井化学アグロが取得した。

 三井化学アグロは昨年9月、MSファルマの農薬事業を取得することで合意。同事業がもつ原体ポートフォリオや国内外の顧客基盤、創薬・製剤技術、天然物に関する技術を三井化学アグロと融合していくことで、国内市場のプレゼンス向上と今後成長が見込まれる海外農薬市場への展開を加速していく考えだ。当面はMMAGを三井化学アグロの子会社として運営し、将来的にはシナジーの創出によるさらなる事業成長を目指し、MMAGとの合併を予定する。

三井化学 J‐CEPに参画、CEに向けた産官学民連携

, , , ,

2021年12月28日

 三井化学はこのほど、サーキュラーエコノミー(CE)の推進に取り組む産官学民連携の新事業共創パートナーシップ「ジャパン・サーキュラ―・エコノミー・パートナーシップ」(J‐CEP)に参画したと発表した。

サーキュラーエコノミーの推進に取り組む産官学民連携の新事業共創パートナーシップ

 今年10月20日に旗揚げしたJ‐CEPには、事務局となるアミタホールディングス、NECソリューションイノベータをはじめ、30社が加盟(12月15日時点)、三井化学は幹事会社(全5社)を務めている。

 「ものと情報と気持ちがめぐる社会」を目指し、ものに付随する情報や関わる人の動機性までも「資源」と捉え、ICTなどを活用して再構築することで、①日本国内の資源の最適循環②持続可能社会の実現に資するビジネス創出、に取り組み、環境と経済が両立する社会の最適解を導くことが目的。

 活動第1弾として、兵庫県神戸市とアミタが主体となり進める「プラスチック資源に特化した回収ステーション」に、J‐CEPが連携団体として参画中だ。11月4日から約3カ月間、同市長田区にあるふたば学舎(コミュニティ施設)にコミュニティスペースを備える資源回収ステーションを設置。プラスチックを中心とした資源を、リサイクル後の利用目的に応じて品目別に回収し、併せてリユース品の回収・交換スペースの設置や、資源回収量に応じた寄付などを実施することで、同市のプラスチック再資源化率向上と、互助・共助のコミュニティづくりを進めている。

 その中で三井化学は、〝神戸市の「まわり続けるリサイクル」の推進に資するマテリアルリサイクル(MR)〟の実施を予定。具体的には、回収したプラ資源を三井化学の技術を活用してMRの検討を行い、ふたば学舎で利用するベンチを作成するための実証実験を計画している。

神戸市で取り組む資源回収ステーションの全体図 ©J-CEP

三井化学 「がんアライアワード」3回目のゴールド受賞

, , ,

2021年12月24日

 三井化学はこのほど、「がんアライアワード2021」の最高賞であるゴールドを受賞した、と発表した。2018年、2019年に続く同賞3度目の受賞。

(写真左から)人事部ダイバーシティ&インクルージョングループ・グループリーダーの安井直子さん、手嶋修一さん、健康管理室産業医の岡崎浩子さん=三井化学の「がんアライ宣言」を手に

 今回のゴールド受賞は、短時間勤務制度の導入やテレワーク制度の改定など、治療と仕事の両立がしやすい制度づくりを進めたことや、乳がんをテーマにした社内講演会を実施し、乳がん検査の種類やセルフチェックの方法、職場でのサポートを学ぶ機会を設け、検診・治療への理解を促進したことが高く評価された。

3度目のゴールド受賞。治療と仕事の両立がしやすい職場づくりや、乳がん検診・治療へのサポートを充実させた

 「がんアライアワード」は、がんを治療しながら働く「がんと就労」問題に取り組む民間プロジェクト「がんアライ部」が創設した新たな表彰制度。がん罹(り)患者の味方「アライ(ally)」であることに加え、がんとともに働きやすい企業であることを宣言した上で、具体的な活動内容を添えて応募した企業の中から優れた取り組みを表彰している。社会でノウハウを共有することにより、がん罹患者が治療をしながら生き生きと働ける職場や社会を目指している。

 三井化学は、今後とも「社員一人ひとりが生き生きと働ける会社」を目指しダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包含・協働)の推進に積極的に取り組んでいく。

宇部興産など4社 クリーンアンモニア安定確保で合意

, , , , , ,

2021年12月24日

 宇部興産、住友化学、三井化学および三菱ガス化学は23日、4社共同でクリーンアンモニアの安定的確保に向けた検討を開始することに合意したと発表した。

 肥料や化学品の原料などの用途で幅広く使用されているアンモニアは、燃焼時にCO2を排出しないことや、水素含有量が高いことなどの特性から、近年ではカーボンニュートラル社会実現のための次世代エネルギー源として世界的な需要拡大が見込まれている。

 今年10月に政府が発表した「第6次エネルギー基本計画」の中で、燃料としてのアンモニアの安定確保の必要性が確認された。特に化石資源を原料にアンモニアを製造する際に発生するCO2を分離回収・利用し地下に貯蔵するCCUS技術の活用によって得られるブルーアンモニアや、再生可能エネルギー由来のグリーンアンモニアなどのクリーンアンモニアの安定的確保が必要とされている。

 こうした状況下、4社は各社の取り組みに加え、日本での安定的かつ競争力あるクリーンアンモニアの確保を目指し、新たに共同でのクリーンアンモニア確保の検討を始めた。

三井化学 QA活用し、シグマアイと化合物探索実証開始

, , , , ,

2021年12月24日

 三井化学は23日、量子アニーリングマシンを活用した研究開発ソリューションやアプリケーションを提供するシグマアイ (東京都港区)と共同で、材料探索を加速化する量子アニーリング(QA)による、化合物探索や組成配合最適化など具体的な事例の応用実証研究を開始したと発表した。

量子アニーリングが加速するブラックボックス最適化

 製品開発の場面では、最適な開発品を生み出すために試作と評価を繰り返す必要があり、時間やコストの軽減が求められている。両社は、データが少ない状況でもより少ない回数で希望する候補材料を選定する方法として、QAを活用したブラックボックス最適化技術に注目した。

 実験的手法や計算科学的手法、データ科学的手法といった製品開発の様々な手法に、分析と候補決定の間にQAのブラックボックス最適化技術を組み込むことで、選定される候補の精度が上がり、従来に比べ最適解を得るまでの時間とコストの削減が可能になる。今回の実証研究により広く化学分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)浸透が期待されるとともに、三井化学はさらなる製品開発力と市場提案力の向上を目指す考えだ。

製品開発の様々な手法に最適化技術を組み込むイメージ図

 QAとは、組合せ最適化(離散最適化)問題に特化した量子理論の1つ。OAによるブラックボックス最適化技術は、物性評価のように実験・測定しなければ分からない評価値(ブラックボックス)を所望の値に近づけるための手法だ。量子コンピュータの量子アニーリングマシンにより、ブラックボックス最適化技術の計算ボトルネック部分を高速化する。同技術は、材料探索に留まらず、様々な探索・最適化への応用が期待されている。

三井化学 DJSIアジア太平洋指数に4年連続で採用

, , , , ,

2021年12月22日

 三井化学はこのほど、世界的なESG(環境・社会・企業統治)投資指数の1つ、ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ指数(DJSI)のアジア・太平洋地域版「DJSIアジアパシフィック」の構成銘柄に4年連続で採用されたと発表した。

4年連続で「DJSI アジアパシフィック」の構成銘柄に採用。三井化学は、ESG要素を経営や戦略に積極的に取り組む

 経済・環境・社会の側面から企業の持続可能性(サステナビリティ)を評価し、総合的に優れた企業が選定されている。アジア・太平洋地域の主要企業約600社が対象で、日本企業77社を含む153社が選定された。

  三井化学グループは、化学産業は社会の基盤と革新を担う存在であり、持続可能な社会に向けて大きな責任をもつとの認識の下、ESG要素を経営・戦略に積極的に取り込んでいる。「環境と調和した循環型社会」「健康・安心に暮らせる快適社会」の実現に向けて、提供する製品やサービスの環境・社会への貢献を可視化するために、独自の指標で評価し環境貢献価値の高いものを「ブルーバリュー」、QOL(生活の質)向上価値の高いものを「ローズバリュー」に認定するなど、社会価値創造の取り組みを深化させている。

 こうした活動により同社は、DJSI同様に世界的な株式指数の「FTSE4Good Index Series」や「MSCI ESG Leaders Index」、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が採用する「FTSE Blossom Japan Index」「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」「MSCI日本株女性活躍指数(WIN)」「S&P/JPXカーボン・エフィシェント指数」の構成銘柄にも採用されている。

三井化学 接着性ポリオレフィン値上げ、コスト高に対応

,

2021年12月21日

 三井化学は20日、接着性ポリオレフィン「アドマー」を来年1月1日納入分から「40円/kg以上」値上げすると発表した。

 同製品の原料については、ナフサ以外の添加剤も含め、各種原料の高騰が継続する中、副資材やユーティリティコストの上昇に加え、生産設備の維持・更新費用なども高騰している。同社はあらゆるコストダウンに取り組んでいるが、こうしたコスト上昇は自助努力の範囲を超えていることから、採算改善のため価格改定に踏み切った。

三井化学 スイス・医薬品会社のベストサプライヤー賞

, , ,

2021年12月20日

デビオファーム社から2年連続でベストサプライヤー賞受賞。左からパーソナルケア材料事業部の石橋大樹グループリーダー、富樫和彦事業部長、夏地智之課長

 三井化学はこのほど、スイスに拠点を置くグローバル医薬品メーカーのデビオファーム社(Debiopharm)から2020年度ベストサプライヤー賞を受賞し、10月7日にオンラインによる表彰式が開催されたと発表した。2年連続2度目の受賞。

 三井化学は、デビオファーム社の代表製品、徐放性トリプトレリン製剤の主原料であるポリ乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)を約25年間にわたり供給してきた。その間の安定供給と品質改善により、デビオファーム社のトリプトレリン事業のグローバルな成功に貢献してきたことが高く評価された。

 デビオファーム社グループで開発と製造を担うデビオファーム・リサーチ&マニュファクチャリング社のセドリック・セイガーCEOは「デビオファームと三井化学は長年にわたるパートナーシップを築き上げ、これまで品質の向上とオペレーションの改善に一緒に取り組んできた。これまでの継続的な貢献に感謝する」と称えた。

 これを受け、三井化学・パーソナルケア材料事業部の富樫和彦事業部長は、「名誉ある賞を2年連続でいただき、大変光栄だ。今後も安定供給の維持とさらなる品質改善に取り組んでいくことを約束する」と応えた。

 デビオファーム社は、PLGA型徐放性注射剤のグローバルリーダー。PLGAにより「カプセル化」された薬効成分は患者の体内で徐々に血中に放出され、1~6ヵ月間その効果が持続する。前立腺がんや子宮内膜症の治療薬として、現在90カ国以上で販売されている。