三井化学 バイオマスナフサ、大阪工場で投入始まる

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2021年12月15日

バイオマスナフサの荷揚げの様子

 三井化学は14日、大阪工場(大阪府高石市)にネステ(Neste)社のバイオマスナフサ3000tが到着し、エチレンクラッカーへの投入を開始したと発表した。

 社会のカーボンニュートラル(CN)実現に向けたプラスチックのバイオマス化を進めるため、日本初となるバイオマスナフサからのバイオマス誘導品の生産を始めた。今後は大阪工場のエチレンクラッカーから誘導品へ展開し、ISCC PLUS認証に基づいたマスバランス方式で各種プラスチック・化学品に割り当て、バイオマス認証を付与した製品として出荷していく。

三井化学大阪工場の全景

 三井化学は、循環経済の実現に向け、化学品・プラスチックのリサイクルとバイオマス化の両輪を進めていく中で、地球温暖化対策に貢献するバイオマス化は、2050年CN実現に向けた重要な戦略課題と捉えている。

 バイオマスナフサを使用することで、原料からプラスチック製品が廃棄されるまでのライフサイクルを通したCO2は、石油由来ナフサ使用時に比べて大幅な削減が期待されている。年明けにはさらに3000tのバイオマスナフサの到着を控えるなど、トータル1万tの調達をすでに確保しており、素材・プロセスの開発とともにバイオマスナフサの本格導入を進め、着実にバイオマスの社会実装を推進していく考えだ。

 今回使用するのは、フィンランドのバイオマス燃料製造会社、ネステ社のバイオマスナフサ。植物油廃棄物や残渣油を原料に製造されており、石油由来原料を使用しない100%バイオマス由来のナフサになる。石油由来品に比べれば割高感のあるバイオマスナフサ由来品のコスト吸収や、今後投入量が増えれば原料調達の課題も抱えるが、まずは日本初のバイオマスナフサ導入により市場性を検証しながら、三井化学は製品提供を通じたグリーンケミストリーを推し進めていく。

三井化学 デジタルグリッド社に出資、再エネ導入を推進

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2021年12月14日

デジタルグリッドプラットフォーム(DGP)のイメージ図

 三井化学は13日、発電事業者と需要家間で直接電力取引が可能なプラットフォームサービス提供事業を運営するデジタルグリッド社(東京都千代田区)に対し出資を行ったと発表した。 今回の出資により、三井化学とデジタルグリッド社が連携し強みを生かすことで、日本の再生可能エネルギー導入推進に向けたデータソリューション型ビジネスを進めていく。

 デジタルグリッド社は、「電力を生む発電家」と「電力を買う需要家」が直接売買できるシステムを備えたプラットフォーム「デジタルグリッドプラットフォーム(DGP)」を提供している。DGPは、再エネ電源に加え通常電源など多種多様な電源と電力需要をピアツーピア(P2P)取引で結び付ける。

 特長としては、①電力取引の専門資格やシステム投資なしで取引できる(=電力取引プレーヤーを増やせる)、②再エネだけを選んで購入できるなど、電源識別を行う(=再エネ活用を円滑化する)、③需給調整などの煩雑な業務をAIなどで自動化(=発電家は電気の効率的な売却、需要家は電力コスト削減などが見込める)、が挙げられる。

両社の協業により日本での再エネ利用拡大を図る

 三井化学は太陽光発電所の診断・コンサルティングサービスの提供により、再エネの中でも重要な位置づけを占める太陽光発電の安定的な発展・運用に寄与。さらに今年8月からはオンライン診断サービスも開始し、短時間での発電性能診断や期待発電量予測を可能にした。DGPとの連携により、データソリューション型ビジネスの創出を加速し、再エネの普及・拡大に貢献していく狙いだ。

 世界的な地球温暖化を防止するため各国でカーボンニュートラルの取り組みが進められているが、日本では本来大きな役割を果たすべき再エネの利用が、需給調整の手間やコスト高を理由に進んでいない。さらなる利用拡大には、出力不安定な再エネの需給調整のコスト削減に寄与する、簡便かつ低コストを実現する取引の仕組みが必要とされている。両社は、デジタルグリッドが提供するDGPが、その有効な手段の1つと捉え協業を開始した。

三井化学 プラスチックジャパンに軽量化製品など出展

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2021年12月9日

三井化学のブースイメージ

 三井化学は幕張メッセ(千葉市美浜区)で10日まで開催中の「第10回プラスチックジャパン(高機能プラスチック展)」に、自動車向け軽量・高耐熱製品や抗菌・抗ウイルス素材など、25の高機能製品を出展している。

 制振性、応力緩和性に優れたα‐オレフィン共重合体「アブソートマー」、金属代替可能な変性ポリアミド6T「アーレン」、OA機器の消音化に貢献する高摺動性特殊ポリエチレン「リュブマー」、抗菌・抗ウイルス性の鮮度保持フィルム「パルフレッシュ」など。ブース番号は40‐50(5ホール)。

三井化学 日本エム・ディ・エムと資本・業務提携締結

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2021年12月8日

 三井化学は7日、整形外科用の医療機器を製造販売する日本エム・ディ・エム(東京都新宿区)との間で資本および業務提携契約を締結するとともに、同社筆頭株主の日本特殊陶業がもつ日本エム・ディ・エム全株式を取得することで合意したと発表した。794万2764株(発行済み株式総数の30%)を取得することで日本エム・ディ・エムに資本参加。2022年1月7日の株式取得完了を予定する。

両社の知見を活用し、事業開発と海外事業の拡大を推進

 三井化学は、今回の資本・業務提携を起点に、化学の力に基づく革新的な部材の開発と供給に加え、患者・医療従事者をはじめとする医療に関わる全てのステークホルダーへのソリューション提供まで踏み込み、人々の命への貢献を目指す考えだ。具体的には、三井化学グループがもつヘルスケア分野での開発・製造の機能と、日本エム・ディ・エムグループがもつ医療機器分野の薬事・開発、販売ネットワークを互いに有効に活用することで、両社の協業可能性を追求し事業開発と海外事業の拡大を促進していく。

 三井化学は、6月に発表した長期経営計画「VISION2030」の中で、「ライフ&ヘルスケア・ソリューション」事業を第一の柱として成長させていくポートフォリオ変革を掲げた。事業内容もこれまでの素材提供に留まらず、サービスなどの要素も組み合わせて社会課題解決を実現する「ソリューション型ビジネスモデル」を志向。また、高齢化社会に対して整形外科領域での医療機器事業を通じてあらゆる人々のQOL(生活の質)向上に寄与していくことが、同社の果たすべき重要な役割と捉えている。

三井化学 人事(2022年1月1日)

2021年12月3日

[三井化学・人事](2022年1月1日)▽基盤素材事業本部ポリウレタン事業部長森田徹▽同事業本部同事業部副部長村松仁▽同橋上雅彦▽同事業本部同事業部FOAM‐GL尾澤卓也▽同事業本部同事業部CASE‐GL磯崎一徳▽研究開発本部合成化学品研究所ポリウレタン原料GL林修巳▽岩国大竹工場徳山分工場長向展正。

三井化学 ヨウ素系抗菌・防カビ剤に抗ウイルス効果確認

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2021年12月1日

抗ウイルス効果を確認した「ヨートル」シリーズ。写真左が「ヨートルDP95」(粉状)、右がシクロデキストリンでカプセル化し水溶性を付与した「ヨートルDP-CD」(水溶液)

 三井化学はこのほど、ジヨードメチル‐p‐トリルスルホン(DMTS)を活性成分とするヨウ素系抗菌・防カビ剤「ヨートル」シリーズの抗ウイルス効果を確認したと発表した。

 日本食品分析センターで行ったウイルス感染試験により、「ヨートルDP95」と開発品「ヨートルDP‐CD」にインフルエンザウイルスを不活化する効果があることを確認。「DP95」を添加することで、試験開始2時間後にウイルス数が99%減少した。

 一方「DP‐CD」では、10分後にウイルス数が99.99%減少。同社では同効果について、「「DP‐CD」の水溶性が寄与している」と推察している。さらに「DP‐CD」では、新型コロナウイルス(SARS‐CoV‐2)を不活化する効果も確認。試験開始直後と比べて2時間後にウイルス数が99%減少しており、即効性はないものの、一定時間抗ウイルス効果の維持が期待される。

 三井化学が1985年から製造販売を開始した「DP95」は、幅広い種類のカビに対する高い生育阻害能を示し、木材防腐、塗料、皮革、壁紙などに採用されている。SIAA(抗菌製品技術協議会)の防カビ剤ポジティブリストに登録されており、その活性成分であるDMTSはFDA(米国食品医薬品局)のポジティブリストに掲載されている。

 また「DP‐CD」は、シクロケムバイオ社(兵庫県神戸市)と共同開発。三井化学の「DP95」とシクロケムバイオ社のシクロデキストリン技術を融合し、環状オリゴ糖であるシクロデキストリンでカプセル化することで水溶性を付与、さらに抗菌性向上に成功した抗菌・防カビ剤の水溶液。「DP95」の用途に加えて水系塗料、水系接着剤、金属・レンズ加工液など水を主剤とする用途への適用範囲を広げた。現在粉体タイプの「DP95」の開発も進めている。

 

三井化学 ポリウレタン樹脂を再値上げ、安定供給を維持

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2021年12月1日

 三井化学は30日、同社の「タケラック」や「タケネート」などのポリウレタン樹脂について、12月6日出荷分から値上げすると発表した。改定幅は「80円/kg以上」。5月に続く価格改定の実施となる。

 石油化学製品の需給バランスひっ迫に伴い、原料市況価格の高騰が続く中、ポリウレタン樹脂用原料価格が大幅に上昇し、加えて物流費など諸費用も上昇している。コスト上昇分の吸収に継続的な自助努力を重ねてきたが、今後も安定供給と品質維持に努めていくためには、今回、価格改定せざるを得ないと判断した。

三井化学 バイオマスナフサ、来月に大阪工場で投入開始

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2021年11月29日

 2050年のカーボンニュートラル達成に向けて取り組みを加速する三井化学は、来月、そのバイオマス戦略の一環として大阪工場のナフサクラッカーでバイオマスナフサの投入を開始する。25日に同社が開催した経営概況説明会で、橋本修社長が明らかにした。当初は10月に計画されていたバイオマスナフサ投入だが、船便混乱の影響により11月の到着を予定するも、結果的に12月にずれ込む形となった。

 バイオマスナフサを原料とする誘導品・製品群は、マスバランス(物質収支)方式により任意のバイオマス度を割り当てるが、それにはISCC(国際持続可能性カーボン認証)が展開する国際的なISCC PLUS認証が必要となる。

 同社は子会社のプライムポリマーとともに両社大阪工場での同認証を取得。また将来のバイオマスナフサ導入に向け、市原工場や三井化学東セロについても同認証取得の準備を進めている。第1ロットとなる12月のバイオマスナフサの投入は3000tを予定。投入前だが顧客からの誘導品などへの引き合いは多く、第2ロット分の発注も終えている。

 今回使用するのは、フィンランドのバイオマス燃料製造会社、ネステ社のバイオマスナフサ。植物油廃棄物や残渣油を原料に製造されており、石油由来原料を使用しない100%バイオマス由来のナフサになる。石油由来品に比べれば割高感のあるバイオマスナフサ由来品のコスト吸収や、今後投入量が増えれば原料調達の課題も抱えるが、まずは日本初のバイオマスナフサ導入により、三井化学は製品提供を通じたグリーンケミストリーを推し進めていく。

三井化学 組織改正(2022年4月1日)

2021年11月26日

[三井化学/組織改正](2022年4月1日)▽ライフ&ヘルスケア・ソリューション①オーラルケア事業部を新設し、H‐プロジェクト室が担っていた関係会社の事業管理を含めたオーラルケア全般にかかわる事業運営を行い、関係会社間のシナジー創出を本格化する。これに伴いH‐プロジェクト室を廃止する②フード&パッケージング事業本部から三井化学アグロを移管し、バイオ技術とファインケミカル技術を組み合わせて既存事業の拡大だけでなく食の安全向上につながる新たな事業創出を行う③医療事業推進室を新設し、新ヘルスケア事業開発室の機能を含め、医療事業へ本格参入するための事業開発を行う。これに伴い新ヘルスケア事業開発室を廃止する▽モビリティソリューション①コンパウンド管理室の事業領域をポリプロピレン(PP)コンパウンドとし、国内外でのPPコンパウンド事業を連結させて事業運営を行うこととするため、PPコンパウンド事業部へ改称する②コンパウンド、コンポジットの複合材料事業領域における新たな価値創出及び事業シナジーを高めるため、複合材料事業推進室を新設する③モビリティ領域における社会課題のソリューション提供を推進するため、モビリティソリューション推進室を新設する。②、③に伴い、ソリューション事業管理室及び新モビリティ事業開発室を廃止する▽ICTソリューション①モビリティ事業本部から機能性ポリマー事業部を移管し、担当する事業に合わせて半導体・光学材料事業部へ改称する②フード&パッケージング事業本部からコーティング・機能材事業部及び三井化学東セロを移管する③新事業開発センターからICT材料事業推進室を移管し、本社部レベル組織とする。ICT材料事業推進室内に電池材料Gを新設し、電池材料に関わる全社視点での事業・技術戦略を策定し、推進する④基盤素材事業本部工業薬品事業部から特殊ガスGを半導体・光学材料事業部へ移管する。②及び三井化学アグロのライフ&ヘルスケア事業本部への移管に伴い、フード&パッケージング事業本部は廃止とする▽ベーシッ&グリーン・マテリアルズ①工業薬品事業部は、工業薬品用途に限定せず、アンモニア関連の低炭素製品を含むベーシックケミカル製品群を幅広く扱うため、インダストリアルケミカルズ事業部に改称する②石化原料事業部は、オレフィン、アロマの安定供給、またバイオ・リサイクル原料への転換推進を通して、持続可能な社会に貢献する使命を踏まえ、サステナブル・フィードストックス事業部に改称する③企画管理部グリーンケミカルGを本社部レベル組織とし、サーキュラーエコノミー型ビジネスモデルへの変革をリードする使命を踏まえ、グリーンケミカル事業推進室に改称する④ニソンプロジェクト室は、ベーシック&グリーンマテリアルズ事業本部へ移管し、企画管理部内の本社グループレベル組織とする▽研究開発本部①事業ポートフォリオの変更に伴う高分子材料研究所の機能変更を行うため、高分子材料研究所を高分子・複合材料研究所と改称する②ICTソリューションに関わる機能を強化するため、ICTソリューション研究センターを新設し、光学設計G、新事業Gの各グループを設置する。合成化学品研究所の機能性コート・接着Gを粘接着・離型Gに改称し、ICTソリューション研究センターへ移管する③長期的な視点からの未来技術の獲得・育成・蓄積、新事業、新製品創出に資する技術及び市場機会の探索及び実証、未来の技術動向の把握のため、未来技術創生センターを新設する④機能材料研究所を廃止し、不織布部材G、接合部材G、繊維強化複合材Gおよびフィルム・シート部材Gの包装材料に関わる機能をパッケージング材料Gとして分割し、高分子・複合材料研究所へ移管する。フィルム・シート部材GのICTに関わる機能はICTソリューション研究センターの各グループに移管する▽デジタル・トランスフォーメーション①サプライチェーンにおけるDXを加速するため購買部、物流部を移管する②情報システム統括部及びデジタルトランスフォーメーション推進室を移管し、全社DX戦略、情報システム戦略、情報セキュリティ戦略等の連携・推進を加速する。またデジタルトランスフォーメーション推進室に本部内調整機能を付加し、デジタルトランスフォーメーション企画管理部へ改称する③業務改革推進室を新設し、DX、IT・データ基盤強化をベースとした業務改革を推進する。

三井化学 新事業ポートフォリオ成長戦略固まる

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2021年11月26日

ライフ&ヘルスケア領域を第一の柱に価値を創造

 三井化学は25日、今年度2回目の経営概況説明会を開催し、長期経営計画「VISION 2030」に沿った事業ポートフォリオ改革について説明を行った。

   橋本修社長は冒頭で、「価値創造のための基本戦略に基づき、ライフ&ヘルスケア・ソリューションを収益の第一の柱に据える」と同領域への期待を寄せた。

 同社は来年度から新事業ポートフォリオへと移行する。現在のモビリティ、ヘルスケア、フード&パッケージング、基盤素材、次世代事業を再編し、「ライフ&ヘルスケア・ソリューション」「モビリティソリューション」「ICTソリューション」「ベーシック&グリーン・マテリアルズ」「次世代事業」の新たな枠組みで企業成長を加速していく。

 橋本社長は他の領域について

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