三井化学は15日、2018年度(2019年3月期)の連結業績を発表した。売上高は前年度比12%増の1兆4829億円、営業利益10%減の934億円、経常利益7%減の1030億円、純利益6%増の761億円となった。
久保雅晴代表取締役副社長は「営業利益は前年度比で約100億円の減益となったが、昨年6月に発生した大阪工場火災の影響、第4四半期の原料価格急落を受けた在庫評価損といった一過性の要因が主なものだった。販売数量面では各セグメントとも、おおむね堅調に推移しており、
2019年5月16日
2019年5月7日
三井化学は市原工場(千葉県市原市)で、炭化水素系合成油「ルーカント」を製造する新プラントの起工式を4月25日に執り行った。
同製品については、市原工場内に年産2万tのプラントを新設することで、現在生産を行う岩国大竹工場(山口県和木町)と合わせて、生産能力をほぼ倍増にする。営業運転開始は、2021年2月を予定。
「ルーカント」は同社が世界で初めて商品化した高性能炭化水素系合成油。粘度の温度依存性が小さく、剪断安定性・熱化学的安定性に優れるなどの特長を生かし、主に潤滑油の粘度調整剤として自動車ドライブラインのギア油、工業用潤滑油、グリースを含む極めて高い水準での品質が求められる用途に採用されており、主要な自動車メーカーや潤滑油メーカーに認証されている。
また、「ルーカント」は世界的な低環境負荷(省燃費、長寿命)ニーズが広がる中、潤滑油添加剤パッケージ最大手・ルーブリゾールとの戦略提携により、潤滑油産業向けの販売を拡大中だ。
同製品の安定的な供給能力の確保とさらなる事業強化を目的に今回、生産能力を増強し、三井化学とルーブリゾール両社で同事業の拡大・成長を図っていく考え。
2019年4月10日
三井化学は9日、イタリア・ミラノで開催中の「ミラノデザインウィーク2019」に出展しているグリーン・ワイズ(東京都多摩市)に、コンセプトを実現するための素材協力をしていると発表した。同展示会は、世界最大のデザインイベント。
室内・屋外緑化、舞台造園などの緑化事業を展開するグリーン・ワイズは、身近にある本来の自然を切り取り、ライフスタイルやインテリアに取り入れる「スローグリーン」を提唱している。
今回、同社が「スローグリーン」なライフスタイルを提案するにあたり、三井化学は太陽の光で色が変化する、フォトクロミック(調光)・テクノロジー「サンセンサーズ」で製作したリング、植物由来のウレタン素材「スタビオ」で製作した、水が浮遊する透明な花器の製作で協力した。
「サンセンサーズ」はメガネレンズ材料として世界トップシェアを誇る、同社の調光レンズブランド。インマスタイプであるにもかかわらず、トップレベルの退色スピードを実現し、コーティングタイプのレンズに比べて調光性能が長持ちする。今回は3色に変わるリングとして使用している。
一方、「スタビオ」は同社が開発した世界初のウレタン新素材。植物を原料とするバイオマスプラスチックで、ライフサイクルでのCO2排出削減に貢献する。
また、透明性と耐久性を持ち、さまざまな成形材に使用可能。今回は透明な花器として使っている。表面の硬度を調整することで、細い茎でも自立させる滑りにくさを実現した。展示会は9日から14日まで一般公開を行っている。
2019年4月3日
三井化学と松浦鉄道(長崎県佐世保市)は、メガネをかけた鉄道ファン限定のイベントを4月21日に開催する。特別ダイヤで佐世保駅を出発し、施設見学などを楽しみながら終点の有田駅まで走る。
松浦から伊万里にかけての海岸沿いでは、三井化学が開発した眩しさを低減し、色の差を見分ける力をアシストするレンズ「NeoContrast」をつけて、車窓からの眺めを楽しんでもらう。
三井化学はメガネレンズ用材料「MRシリーズ」を製造・販売しており、2017年に販売30周年を迎えた。30周年事業の一環として、運行30周年を迎えた松浦鉄道の列車命名権を購入し、昨年10月から1年間「メガネレンズ号」を走行させている。
21日は佐世保駅改札前に集合し、11時に受付、11時38分に同駅を出発。途中、車両基地見学や日本最西端駅訪問証明書の発行などがあり、午後4時1分に有田駅に到着し、解散となる。佐世保バーガーとドリンク、土産が付く。
参加資格はメガネをかけていること。定員は30人。参加費は2000円(小学生は1000円)。申し込みは電話のみ。松浦鉄道佐世保駅、電話0956-25-2229まで。受付時間は午前9時から午後6時まで(年中無休)。
2019年4月2日
皆さん、三井化学への入社、おめでとう。三井化学グループを代表し、心より歓迎する。
三井化学はポートフォリオ変革に向けて積極投資のフェーズにある。企業として利益を上げていくことは、当然の責務であり、利益を上げる「強い会社」でなければ、厳しい競争の中では存在していけない。
一方で、「強い会社」であるだけでは、存在する価値がないと言える。社会課題にどう貢献し、環境に対してどれだけの良い影響をもたらせるか。また、年齢や国籍、性別にとらわれず、お互いを1人のプロとして認め合う自由闊達な企業文化も、かけがえのない財産だと考える。
こうした無形の価値をもった会社を、私は「強い会社」の対比として「いい会社」と呼んでいる。「強い」だけでなく「いい会社」の実現に向けて、共に考え、行動していこう。
三井化学の一員となった皆さんは、3つのことを心に留めておいてほしい。
①「安全最優先」。社会の一員として果たすべき一番大切な責任は、「安全を守ること」だ。一人ひとりが「安全は自分自身のため、家族、同僚、社会のため」と心に刻み、常に「安全を最優先する行動」をお願いする。
②「胆識(たんしき)」。学者、政財官界の指導者として知られる安岡正篤の「識」に関する言葉を紹介したい。
人の話を聞いたり、書物を読んだりして得られるものが「知識」。これに経験と学問が積まれると「見識」になり、さらに実行力が加わってはじめて「胆識」となる。積極的に経験を積んで「見識」を深め、「胆識」を身につけた人間になってほしい。
③「魅力的な人間を目指す」。仕事とは、さまざまな強みをもつ人々との共同作業を通して成果につなげるものであり、最後にものをいうのは一人ひとりの人間力だ。互いに尊敬し合い、幅の広い魅力的な人間を目指してほしい。
世界は急速に変化している。私たちが提供すべき製品、技術、サービスも次々と変わっていく。そんな時代に三井化学の一員となった皆さんには、新しいことへの挑戦と、新しい仲間との出会いを楽しみ、三井化学というフィールドで存分に持ち味を発揮してもらいたい。期待している。
2019年3月27日
三井化学はこのほど、女性活躍推進に優れた企業として、22日に経済産業省と東京証券取引所から、2018年度の「なでしこ銘柄」に選定されたと発表した。
なでしこ銘柄は、「女性活躍推進」に優れた上場企業を、「中長期の企業価値向上」を重視する投資家にとって魅力ある銘柄として紹介することを通じて企業への投資を促進し、各社の取り組みを加速化していくことを狙いとしている。
2018年度は東京証券取引所の全上場企業約3600社から、企業価値向上を実現するためのダイバーシティ経営に必要とされる取り組みと、その開示状況について評価が行われ、業種ごとに42社を選定した。
同社では、社会と同社の持続可能な成長のためには多様性が必須であるとの考えから、ダイバーシティをコアバリューの一つに位置づけている。多様な人材による多様な発想は、持続的成長の基盤となるイノベーションの源泉であり、ダイバーシティの推進は重要な経営戦略の一つと考えている。
これまでも製造現場の交替勤務職場への女性社員配属や、総合職の積極的な採用などにより、その力を事業に生かすべく取り組むとともに、女性社員が活躍できる風土醸成や働きやすい職場環境づくりを進めてきた。
今後もダイバーシティの推進を通じて、社員一人ひとりが自らの強みを最大限発揮し、イノベーションを起こしていくような魅力ある会社を目指して取り組んでいく。
2019年3月26日
三井化学はこのほど、2018年度の日本化学会化学技術賞を受賞し、17日に表彰を受けたと発表した。同賞は日本の化学工業技術に関して、創造性と成果が特に顕著な者に対して授与される。
今回の受賞は①三井化学がもつ独自の触媒・合成技術を活用し、ポリオレフィンとシリコーンとが結合した新型ブロックポリマー「イクスフォーラ」の製造技術開発に成功したこと②これをポリオレフィン表面改質剤として、製造販売元である三井化学ファインが用途・顧客開拓して実用化に至ったこと‐の2点が評価された。
受賞者は生産技術研究所の岡部晃博主席研究員、朝重直樹主席研究員、松浦貞彦主席研究員、機能材料研究所の永井直主席研究員、ミツイ・ケミカルズ・アメリカの原田保氏。
開発した「イクスフォーラ」は、ポリオレフィン材料の成形時に少量添加することで、製品の表面に離型性、撥水・撥油性、耐摩耗性という、シリコーン樹脂特有の特長を付与することができる。また、従来のシリコーン系改質剤に見られる、ブリードアウト、ポリオレフィン材料との非相溶性、成型性の低下などの課題を解決する。
このような性能が評価され、食品残りが少ない包材・ボトルなどに採用され、フードロス削減に貢献している。また、液晶パネルに使用される光学フィルムや住宅建材などの保護フィルム、汚れが落ちやすいシートなどでも使われている。今後は、ヘルスケア分野を中心に用途開発を加速していく。
2019年3月22日
三井化学は、発売から1年が経つ電子メガネ「タッチフォーカス」の訴求をさまざまな形で行っている。同製品は、フレームのつるの部分にあるタッチセンサーに触れるとレンズ内の液晶が駆動する仕組みで、必要に応じ瞬時に遠近視界の切り替えができるのが最大の特長だ。
昨年2月に都内のメガネ専門店をはじめ7店舗でスタートした取扱店は現在、関東・中部・近畿を中心に全国42店舗まで拡大している。今月15~17日、3日間限定で東京・銀座に「タッチフォーカス」のポップアップストアをオープンし、書店の中の特設コーナーで同製品をPRするという一風変わった試みを行った。
会場となった「銀座 蔦屋書店GINZA ATRIUM」(GINZA SIX6階)に、BAR仕立てのコの字形カウンターを設置。書店を訪れた人に同製品で得られる〝新しい視界〟を体験してもらい、認知度の向上を図るのが狙い。
「購入者層は男性中心の傾向なので、今回は女性の方にも気に入ってもらえるようなデザインや色をご提案しています」とは、新ヘルスケア事業開発室の岡田好信さん。
会場には、女性に人気の淡色カラーレンズや、春らしさを感じる新色フレームをいち早くラインアップした。体験者は、世界的なパティシエ高木康政氏が特別に考案した「読書に合うスイーツ」をカウンターでいただけるという特典つき。ちなみに、「ル・パティシエ・タカギ」(世田谷区深沢など)を展開する高木氏は、読書が趣味で「タッチフォーカス」の愛用者とのこと。期間中の体験者数は500人を超え、その場で検眼・成約となる来場者も多かったという。
同社は、1月の「ウェアラブルEXPO」「ジャパンフィッシングショー」に同製品を出展。今月22~24日には、パシフィコ横浜で開催の「ジャパン・ゴルフフェア2019」への出展予定もあり、ターゲット層の趣味を想定した販売促進に注力している。
また、「ブリコラージュ」をキーワードに、異業種や顧客とのコラボを模索し、新規な価値創出を図る考えだ。愛用者の増加と販路拡大は、「タッチフォーカス」の進化を加速していく。
2019年3月13日
三井化学は、フランス・パリで14日まで開催中の世界最大規模の複合材料展「JECワールド2019」に出展しており、同社初となるコンセプトカーを展示している(展示ブース:ホール6、H52)。
今回、グローバル開発支援を行う子会社・アークとのコラボレーションで、コンセプトカー〝hour‘s Pod〟を製作した。「洗練された素材の融合により、時空間の新しい価値を生み出す」「素材で移動環境をMAKEする」をコンセプトに、三井化学グループのさまざまな新素材・新技術を搭載し、素材の融合で実現する新しい移動環境・時空間の価値を提案する。コンセプトカーの骨格や床材には、「タフネックス」をテープやパイプ状に成形したものを搭載した。
同製品は、炭素繊維とポリプロピレンによるUD材料で、軽量・低吸水・リサイクル性・高い加工性をもつ。ウインドウ表面には、曇りにくく汚れが付きにくい、UV(紫外線)硬化コート剤「ノストラ」を使用。シートやテーブルのクッション材には、新規イソシアネートを用いたポリウレタンエラストマー材料「フォルティモ」を採用し、高弾性・高耐熱性、無黄変性、耐久性を高めた。また、シートやテーブルの表層には、「フォルティモ」とリアルカーボンを組み合わせた複合材料を搭載。耐久性や耐衝撃性、高弾性などの特性を保ちつつ、柔らかで滑らかな心地良い手触りを実現した。
2019年3月13日