三菱ケミカル バイオ原料脂肪族ジオールの特許が米国で成立

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2019年7月18日

 三菱ケミカルは17日、同社が所有するバイオマス原料由来の脂肪族ジオールおよび誘導品に関する物質特許が米国で成立したと発表した。

 今回の特許(米国特許第10,287,393号)は、同製品の製造販売など事業を行う上で必要な基本特許となる。なお、脂肪族ジオールとしては、例えば、ブタンジオール、ポリエーテルグリコールなどが挙げられ、誘導品としては、テトラヒドロフランなどの環状化合物などが一例として挙げられる。

 同社は、今回の特許以外にもバイオマス原料由来の製品に関する特許を多数保有。これらの特許を活用して、外部との協業やライセンス供与を積極的に推進させることで、自社事業の拡大だけではなく、積極的にバイオマス原料由来の製品の普及と市場のさらなる拡大を促進し、持続可能な新炭素社会の維持に貢献していく考えだ。

 

 

三菱ケミカル イタリアにSMC新拠点、来年9月から稼働

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2019年7月12日

 三菱ケミカルは11日、炭素繊維複合材料のSMCの製造設備を、同社が44%出資するCPCSRL社(イタリア・モデナ市)の隣接地に新設すると発表した。稼働開始は来年9月を予定している。

 三菱ケミカルが開発したSMCは、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の中間基材の一種で、長さ数cmにカットされた炭素繊維を樹脂中に分散させたシート状の材料。

 プレス成形により2~5分程度の短時間で部材に加工可能であることに加え、連続した炭素繊維に樹脂を含浸させた中間基材のプリプレグに比べ、複雑な形状の部材を成形できるという特長がある。

 同社は愛知事業所(愛知県豊橋市)でSMCを製造し、国内では自動車のドアインナー・ラゲッジインナーやバックドアの構造材などに採用されている。

 一方、欧州ではCPC社を通じて、CFRPを主構造材としたモビリティ分野の開拓を行ってきた。現在、欧州の高級車メーカーを中心に、複数社から材料認定の取得を受けるべくSMCの開発を進めており、今後もその採用が増えていくことが期待されている。

 三菱ケミカルとしては、こうした旺盛な需要に応えるため、伝統的に最先端のエンジニアリング力を持ち、欧州の自動車関連の顧客へのアクセスにも優れ、経験豊富な人材を多数輩出しているモデナ市に生産設備を新設し、生産能力を増強することにした。これにより、SMCのさらなる拡販をグローバルに進める。

 同社は今後も、日・米・欧にある炭素繊維の生産拠点と、設計提案力に裏打ちされたCPC社の高い成形加工能力、欧米を中心に高いプレゼンスを誇る三菱ケミカルアドバンスドマテリアル社のマーケティング力、セールスネットワークを融合させ、技術革新の著しいモビリティ分野に対して最適なソリューションをタイムリーに提供するため、積極的に事業を展開していく。

三菱ケミカル 8月1日納入分からフィルム製品を値上げ

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2019年6月28日

 三菱ケミカルは27日、フィルム製品を8月1日納入分から値上げすると発表した。

 対象となるのは、二軸延伸ポリスチレンシート(OPS)の「サントクリア」と「ソフトクリア」で、値上げ幅は7円/kg以上。

 原油・ナフサ価格の上昇などに伴い、対象製品の原料樹脂価格が上昇し、製造コストを押し上げ、事業の採算を圧迫している。同社は継続的なコスト削減に努力してきたが、これらのコスト上昇分を自助努力で吸収することは極めて困難と判断し、価格を改定することにした。

 

 

三菱ケミカル 記録メディア事業を台湾企業に売却

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2019年6月18日

 三菱ケミカルはこのほど、記録メディア事業から撤退することを明らかにした。三菱ケミカルホールディングスグループの中期経営計画「APTSIS 20」を推進する中、同関連事業を台湾のCMCマグネティクス(台北市)に売却することで、ポートフォリオマネジメントの強化を図る。

 今回両社は、三菱ケミカルの連結子会社である三菱ケミカルメディア(MCM)傘下にある、バーベイタムグループがグローバル展開する光ディスク、USBフラッシュメモリーなどの記録メディア事業と、LED電球などその他事業、MCMが保有するこれら事業に関する資産を売却することで合意した。売却額は日本円で30億円強になる見込み。

 CMC社は、1978年の創業から記録メディア事業を手掛ける光ディスク世界最大手。三菱ケミカルとは長期にわたって光ディスクなどの技術供与や製造受委託などを通じて、強固なパートナーシップを構築し現在に至っている。

 今回の合意により、CMC社は自社が保有する製造技術に加え、三菱ケミカルグループが培ったグローバルな販売ネットワーク、技術などを引き継ぐことで、記録メディア事業をさらに強化していく考えだ。

三菱ケミカル CFRPがホンダ車用ルーフ基材に採用

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2019年6月18日

 三菱ケミカルは17日、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)が、八千代工業(埼玉県狭山市)が開発・製造・販売する「CFRP ROOF」に採用されたと発表した。

三菱ケミカルのプリプレグ
三菱ケミカルのプリプレグ

 採用されたのは、ホンダの軽スポーツカー「S660」のルーフ用プリプレグ。CFRP部材の量産成形技術であるPCM工法向けに使う、樹脂を含浸させたシート状の炭素繊維中間基材で、プレス機による圧縮成形により、140℃・5分の硬化時間で自動車向け部材を量産できる材料だ。

 純正の幌タイプのルーフに比べ、約22%の軽量化を実現し、車体の低重心化に寄与するだけではなく、カーボンの織物仕様を施した意匠性にも優れている点が評価された。 

採用された八千代工業の「CFRP ROOF」(画像提供:八千代工業)
採用された八千代工業の「CFRP ROOF」(画像提供:八千代工業)

 昨今の自動車市場では、電動化やCO2排出規制の強化などを背景に車体の軽量化に対する関心が高まってきている。こうしたニーズに対し、三菱ケミカルは、今後も炭素繊維・CFRPをはじめとする最先端素材の研究・開発を加速させ、技術革新の著しいモビリティ分野に対して最適なソリューションを提供するとともに、積極的に事業を展開していく考えだ。

三菱ケミカル 共同研究部門を10月設置で統計数理研究所と合意

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2019年6月12日

 三菱ケミカル(MCC)と統計数理研究所(統数研)はこのほど、共同研究部門「ISM‐MCCフロンティア材料設計研究拠点」を、10月に設置することで合意したと発表した。新たなマテリアルズ・インフォマティクスの基盤技術を構築することが目的。

 統数研は統計科学とそれに関連する数理科学に関する日本で唯一の研究機関で、1944年の設立以降、統計科学の理論と応用で先駆的な役割を果たしてきた。

 MCCは多種多様の素材の扱う化学企業として、実験化学と計算化学の両面からの材料設計技術の蓄積がある。

 新たに研究部門では、データ科学による解析技術と計算化学による予測技術を融合して、新規物質探索を行うマテリアルズ・インフォマティクスの基盤技術を構築することを目指す。

 データ科学に基づく物質探索では、入力されたデータとの類似性から物性を予測するため、入力データに類似した範囲でのみ物質の探索が行われる。一方、計算化学では既存データの有無とは関係なく、未だ現実には作成されていない材料・素材の性質を予測することができる。

 両者の強みであるデータ科学技術と計算化学技術を融合することで、既存データの範囲には含まれない、革新的な特性を持つ材料を見出だすための物質探索アルゴリズムを構築するとともに、高分子や触媒、無機材料といった、具体的な材料設計課題に適用しながらアルゴリズムの高度化を図る。

 なお、同研究部門には両者の研究員に加え、MCCの親会社である三菱ケミカルホールディングスでデジタル・トランスフォーメーションを推進する、先端技術・事業開発室のデータサイエンティストも参加する予定。

 同研究部門で構築したアルゴリズムは学術成果として積極的に発信し、マテリアルズ・ インフォマティクス分野でのオープンイノベーション・オープンサイエンスの促進に貢献する。

三菱ケミカル スイス子会社が米エンプラ加工企業を買収

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2019年6月5日

 三菱ケミカルは4日、連結子会社である三菱ケミカルアドバンスドマテリアルズ(MCAM社:スイス・チューリッヒ)が、米国のエンジニアリングプラスチック加工メーカー、アドバンスド・ポリマー・テクノロジーズ(APT社:カリフォルニア州)を完全子会社化したと発表した。MCAM社の米国子会社(デラウェア州)が、APT社の全持分を6月3日付で取得した。

 エンプラ製品の製造・販売を行うMCAM社は、スイスに本社を置き、米国やドイツ、日本など世界21ヵ国に生産拠点をもつ。

 一方、APT社は2002年の設立以来、独自のポリマー加工技術を用いたエンプラ製品により、北米やアジア地域を中心に、半導体・航空・防衛・エネルギー・医療といった多岐にわたる産業に対してソリューションを提供してきた。社員数は約30名。

 MCAMグループは今回の買収を通して、両社の有する最先端の射出成形・押出成形技術でのシナジーや市場ネットワークの相互活用などにより、さらなるグローバル事業基盤の強化を図る考えだ。

 

三菱ケミカル バイオエンプラが温浴施設用照明セードに採用

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2019年6月4日

 三菱ケミカルは3日、同社のバイオエンジニアリングプラスチック「デュラビオ」が、コイズミ照明の温浴施設用照明セードに採用されたと発表した。先月から販売を開始している。

 照明セードにはガラスのほか、エンプラなどが使われてきたが、ガラスは割れた際に飛散の危険性があることや、エンプラは耐候性が弱く変色しやすいことなど、それぞれ課題があった。

 「デュラビオ」は再生可能な植物由来原料であるイソソルバイドを用いたバイオエンプラで、耐衝撃性・耐候性などの点で、従来の一般的なエンプラに勝る、優れた性能を有している。

 三菱ケミカルは今回、これらの特徴をもちながら、光を拡散することのできる、照明セードに適したグレードの開発に成功した。加えて、新洸化成がもつインジェクションブロー成形技術と組み合わせることで、コイズミ照明の照明セードとしての採用を実現した。屋内外の温浴施設だけでなく、耐久性を必要とする他の照明用途への展開が見込まれる。

 三菱ケミカルは、三菱ケミカルホールディングスグループが掲げる「KAITEKI」の実現に向け、今後も「デュラビオ」をはじめとする植物由来プラスチックの研究開発・用途展開を加速させ、環境にやさしく付加価値の高い製品の供給を通じ、循環型社会の構築やSDGsの達成に貢献していく。

 

三菱ケミカル 2018年度触媒学会賞(技術部門)を受賞

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2019年5月29日

 三菱ケミカルは28日、1‐ヘキセンの製造に用いるクロム系エチレン三量化触媒の開発が、日本の触媒研究分野で権威のある触媒学会から、2018年度触媒学会賞(技術部門)を受賞したと発表した。

 世界に先駆けて超高活性・超高選択性をもつクロム系エチレン三量化触媒を見出し、選択的なエチレン低重合反応の技術分野の発展に大きく貢献した点と、同触媒を使ったシンプルで環境負荷の少ない製造プロセスにより、商業規模での1‐ヘキセンの生産が開始された点が評価された。

 同触媒は安価で汎用のトリエチルアルミニウムを助触媒とし、1‐ヘキセンの反応選択性が95%を超える高い反応選択性を示す一方、ポリエチレンの副生率は0.1%未満となる特徴をもち、超高活性・超高選択的エチレン三量化触媒として、同社が開発した。

 同触媒プロセスは、触媒の生成とエチレンの三量化反応を反応槽内で同時に行う同時接触法を採用している点に特徴がある。この独特な接触法によって、触媒活性種を不安定化させることなく、効率的に生成させることが可能となり、稀有な高い触媒性能を実現した。

 また、同プロセスの革新性は、同時接触法の採用によって、煩雑で高コストとなる触媒調製工程を排除した点にあり、製造プロセスの簡素化や製造時のエネルギー消費の削減、プラントの安定運転、生産性の向上につながった。

 なお、同社はすでにこの触媒を用いたプロセス技術について、タイ国内の大手化学メーカーと2014年にライセンス契約を締結しており、2018年度から生産が始まっている。

 今後も、同社は世の中のさまざまな課題に対してソリューションを提供するため、触媒やプロセスなど、自社の保有技術をブラッシュアップすると同時に、ライセンスビジネスも積極的に展開していく。

 

三菱ケミカル 就業時間内は禁煙に、2020年4月から実施

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2019年5月27日

 三菱ケミカルは来年4月から、国内で勤務する全従業員を対象に、場所の如何を問わず就業時間内の禁煙を実施する。

 同社はこれまでも、分煙などによる受動喫煙対策や禁煙サポートなど、各種健康増進施策に取り組んできた。しかし、喫煙後しばらくの間、喫煙者の呼気に含まれる有害物質を吸引してしまうことによる影響も指摘されており、多くの社員が安心して快適に働ける環境を整えていくため、より積極的な受動喫煙軽減・防止対策を実施していくことにした。

 なお、2017年に実施した社内調査では、喫煙者のうち約6割は「禁煙が必要」と回答している。このような喫煙者が禁煙するためには、周囲が理解を示し、積極的に協力をする形でのサポートが必要となる。これらを踏まえ、同社は喫煙者と非喫煙者が互いを理解して取り組める受動喫煙防止対策を実施する。

 具体的には、まず、同社の従業員か社外の人かを問わず、国内の全事業所で、同社が管理する敷地内は原則常時禁煙とする。ただし、一部対象範囲・期間を限定した特別措置を設ける。

 次に、同社従業員は出張時や在宅勤務中、サテライトオフィスなどでの勤務時も含め、事業所外であっても就業時間内は禁煙とする。この取り組みについては、同社の従業員を対象としており、関係会社の従業員は対象としていないが、その意義を共有し、可能な範囲での協力を要請する方針。さらに、禁煙を希望する従業員がスムーズに禁煙できるよう、禁煙支援サービスの導入や禁煙治療の補助を行う。

 同社は今後もKAITEKI健康経営を推進させるため、さまざまな施策を計画・実行し、多様な人材が安心して、活力高く働くことができる会社・職場づくりを目指す。