東レ CDP水セキュリティで2年連続最高評価を獲得

, ,

2020年12月23日

 東レはこのほど、国際的な非営利組織CDPが実施した水資源保護に関する調査において、最高評価である「水セキュリティAリスト企業」に2年連続で選定された。

水セキュリティで CDPから 2 年連続で最高評価
水セキュリティで CDPから 2 年連続で最高評価

 東レグループは、2050年に目指す世界を示した「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」や長期経営ビジョンの中において、安全な水の提供を東レグループが取り組むべき課題の1つとして掲げている。この課題の実現に向け、東レグループ全体でRO膜をはじめとする水処理技術を通じた世界各地域の水不足への貢献と、自らの事業活動における水資源の3R(リデュース、リユース、リサイクル)の推進や適切な管理による水資源の保護に取り組んでいる。

 水資源は人間を含めた生物の生存に不可欠な要素だが、私たちの生活で容易に利用可能な淡水は地球上の水のわずか0.01%しかない。世界の人口増加や経済発展を背景に、水ストレスの増大や水質汚染が問題となっており、近年、世界的な気候変動の影響による干ばつや洪水などの災害が世界で多発している。

 さらに、世界の食糧需要は今後15年間で20%以上増加すると予測され、水資源の枯渇は農作物不作による飢饉頻発のリスクにもつながるため、安全な水の確保は、SDGsの1つとなっている。

 東レグループは今後も、「すべての製品の元となる素材には社会を本質的に変える力がある」との信念の下、水資源問題や気候変動を含む地球規模の課題の解決に貢献すべく取り組みを積極的に推進し、社会全体のサステナビリティ実現に力を尽くしていく。

東レ ABS樹脂とPBT樹脂を値上げ、採算是正図る

, ,

2020年12月22日

 東レは21日、ABS樹脂「トヨラック」とPBT樹脂「トレコン」を1月4日出荷分から値上げすると発表した。改定幅はABS樹脂「トヨラック」(ABS樹脂、ABSアロイ樹脂、ASG樹脂、AS樹脂、ASA樹脂)および持続型制電性ABS樹脂「トヨラックパレル」が「30円/kg以上」、PBT樹脂「トレコン」(全グレード)が国内「50円/kg」海外「0.5ドル/kg」となっている。

 ABS樹脂ならびにPBT樹脂の主原料価格は、急速な需要拡大による市況タイトを背景に急騰しており、フレートを含む物流費も上昇している。同社は、あらゆる角度から継続的なコスト削減や合理化努力を推進しているが、現状の原料価格の上昇は自助努力で吸収できる水準を超え厳しい状況にある。こうした中、同社は安定した品質での商品供給や、さらなる高付加価値品の開発・提案を行う体制の維持・推進のために今回の値上げ実施を決定した。

東レ ナイロン樹脂値上げ、原料上昇で50円/kgで実施

, , , ,

2020年12月11日

 東レは10日、ナイロン樹脂「アミラン」を今月21日出荷分から値上げすると発表した。対象製品は「ナイロン66樹脂」と「ナイロン610樹脂」で、改定幅はいずれも「50円/kg」。

 ナイロン樹脂はグローバルで需要が急回復しており、需給バランスがひっ迫する中、粗原料価格が高騰。同社はあらゆる角度から継続的な種々のコスト削減や合理化努力を推進するが、現在の原料価格は自助努力で吸収できる水準を大きく超えている。

 こうした環境下、安定した品質での商品供給や、さらなる高付加価値の開発・提案を行う体制の維持と推進のためにも、今回の値上げ実施を決定した。

 

東レ リチウムイオン電池用無孔セパレータ創出

,

2020年11月24日

金属リチウム負極電池の安全化と大容量化に貢献

オンライン会見 長田所長・佃研究主幹
長田所長(左)・佃研究主幹

 東レは、金属リチウム負極電池の実用化に向け、リチウムイオン2次電池(LIB)用無孔セパレータの創出に成功した。今後、同セパレータをウェアラブルデバイスやドローン、電気自動車(EV)向けなどの次世代超高容量・高安全LIBへの適用を目指していく方針だ。オンラインによる会見を開催し、フィルム研究所の長田俊一所長と佃明光研究主幹が説明を行った。

 LIBの需要は、モバイル機器や、車載用途で急速に拡大。用途の拡大に伴い、LIBにはさらなる高容量化・高エネルギー密度化が求められており、最も理論容量が高く、酸化還元電位が低い金属リチウム負極が注目されている。金属リチウム負極は、黒鉛負極に対してイオンの貯蔵量は10倍以上となり、LIBへの使用時には従来の2~3倍の電池エネルギーが見込まれる。しかし、充電時に金属リチウム表面からリチウムデンドライト(樹枝状結晶)が成長するため、セパレータを突き破り正負極がショートしたり、セパレータが目詰まりを起こしたりと安全性や電池寿命が低下するといった課題があり、現状では実用化に至っていない。

 デンドライトは、微多孔フィルムの空孔に沿って成長するため、無孔とすることで成長を阻害できるが、リチウムイオンの透過性が悪化することから、デンドライト抑制とイオン電導性の両立が不可欠となる。さらに、金属リチウム負極を用いた電池は、高容量化に伴い安全性への要求がより高くなるため、セパレータの耐熱性や熱寸法安定性の一層の向上も必要だ。

無孔セパレータ
無孔セパレータ

 こうした課題に対して東レは、長年培ってきた高耐熱アラミドポリマーの分子設計技術を駆使し、分子鎖間の間隙(リチウムイオンのみ透過できる0.5~1㎚に設計)やリチウムイオンとの親和性を制御することで、高いイオン伝導性と高耐熱性をもつ新規イオン伝導性ポリマーを創出した。これを微多孔セパレータ上に積層しLIB用無孔セパレータとすることで、金属リチウム負極使用電池でのデンドライト抑制とイオン伝導性の両立を実現している。

 正極に3元系(ニッケル・コバルト・マンガン)、負極に金属リチウムを使用したサイクル試験では、無孔セパレータは充放電サイクル100回で80%以上の容量維持率を確認。このセパレータを使用した金属リチウム負極電池が、デンドライトによるショートを抑制できることが実証された。なおコストについては、アラミドを使用するため従来品のセパレータに比べ高価になるが、電池容量が拡大するメリットで賄えるとしている。

 一方、金属リチウム負極電池の実現には、無孔セパレータだけでなく他の電池部材との全体設計が重要となる。同社はサンプルワークなどを行い、電池メーカーとの協業を進めていく構え。3~5年後にはプロトタイプが完成し、その後、実用化が加速することを想定している。市場としては、モバイル機器といった民生用から車載用への拡大が期待される。ただ、車載用に採用されるためには、充放電サイクル500回で90%以上の容量維持率が必要となるなど、さらなる改善が求められる。

 同社は今後も、早期の技術確立に向けて研究開発を加速していく考えだ。

 

東レの上期 生産活動停滞で繊維など振るわず減収減益

,

2020年11月9日

 東レが6日に発表した、2021年3月期上期(4-9月期)連結決算(IFRS)は、売上収益が前年同期比19%減の8561億円、事業利益は52%減の341億円、営業利益は92%減の55億円、純利益は91%減の45億円となった。国内外ともに新型コロナウイルスの感染拡大による生産活動や消費行動の停滞を受け、繊維事業や機能化成品事業など主力事業の不振が響き、数量差を主因に減収減益となった。

 セグメント別では、繊維事業は売上収益が22%減の3302億円、事業利益は50%減の158億円。衣料用途は各国でのロックダウンや販売店舗の閉鎖から需要が減退、産業用途も自動車向けの販売数量が減少した。医療用白衣地やマスク用途での不織布需要の増加はあったものの、総量の減少をカバーできなかった。

 機能化成品事業は売上収益が17%減の3273億円、事業利益は28%減の241億円。樹脂事業は、国内外で自動車用途と一般産業用途の需要が減少し、ケミカル事業は、基礎原料の市況下落の影響を受けた。フィルム事業は、LIB向けバッテリーセパレータフィルムが振るわず、電子情報材料事業は、有機EL関連顧客の生産稼働低下が響いた。

 炭素繊維複合材料事業は売上収益が26%減の893億円、事業損失は3億円(121億円の悪化)。一般産業用途の風力発電翼用途が堅調に推移した一方で、航空宇宙用途では、民間旅客機の生産レートが減少した影響を受けた。

 環境・エンジニアリング事業は売上収益が10%減の782億円、事業利益は4%増の40億円。水処理事業は、一部地域ではコロナの影響があったものの、逆浸透膜などの需要はおおむね堅調に推移した。

 ライフサイエンス事業は売上収益が7%減の247億円、事業利益は23%減の8億円。後発医薬品や薬価改定の影響を受けた。

 通期の業績予想については、国内外の経済は、コロナ感染の減速と再拡大を繰り返しながらも収束に向かい、緩やかな回復基調をたどることを前提条件に、売上収益と事業利益を上方修正した。売上収益は前期比11%減の1兆8600億円(前回予想比200億円増)、事業利益は36%減の800億円(同100億円増)、純利益は下方修正し60%減の340億円(同60億円減)を見込んでいる。

東レ 車載コンデンサ用OPP新世代グレードを開発

, , ,

2020年9月25日

PCU小型化に貢献、xEVの設計自由度が向上

 東レは、電動車(xEV)向け車載コンデンサ用高耐熱・高耐電圧二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム「トレファン 新世代グレード」を開発し、本格生産を開始した。

オンライン記者会見 フィルム研究所 長田 俊一所長 大倉 正寿研究主幹
フィルム研究所長田俊一所長(左)、 大倉正寿研究主幹

 新グレードを使用したコンデンサをxEVのパワーコントロールユニット(PCU)に適用することで、PCUの小型化、耐熱性向上、高効率化が可能となり、xEVの設計自由度や燃費向上に大きく貢献することができる。新世代グレードは、従来品に対しアドバンテージがあることから、ハイエンドのゾーンを中心に拡販を行い、主力製品に育てていく方針だ。

 同社の「トレファン」は、強靱性・電気特性・機械的特性といった優れた特徴をもち、一般工業用・包装用・コンデンサ用などに広く利用されている。その主力用途の1つであるフィルムコンデンサは、

このコンテンツを閲覧するにはログインが必要です。お願い . あなたは会員ですか ? 会員について

東レ 2021年キャンペーンガールの継続起用を決定

, , ,

2020年9月2日

 東レはこのほど、「2021年東レキャンペーンガール」に、今年のキャンペーンガールであるアイリス・ウーさんを継続して起用すると発表した。

アイリス・ウーさん
アイリス・ウーさん

 例年、選考には書類審査、対面審査、最終審査といった各段階を経ているが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、対面による審査を自粛すべきと判断したことから、新たな選考が難しい状況となった。

アイリス・ウーさんからのメッセージ
アイリス・ウーさんからのメッセージ

 一方、今年度はイベントなどが軒並み中止となるなど、キャンペーンガールとしての活動も制限を余儀なくされている。同社は所属事務所と協議した結果、アイリス・ウーさんを来年度も継続起用することにした。

 

東レ 液晶部材SCOシートがSID学会の賞を受賞

, , ,

2020年8月31日

 東レはこのほど、液晶ディスプレイ用部材「SCOシート」がSID(国際情報ディスプレイ学会)の〝Display Industry Award:Display Component of the Year〟を受賞した。今回の受賞は、世界で初めて有機発光材料を活用し液晶ディスプレイの高色域化に貢献できる、毒性元素を含まない環境調和した技術を創出したことが評価された。

SCOシート
SCOシート

 従来の液晶ディスプレイは、赤や緑の発光に無機蛍光体が使用されている。無機蛍光体は、耐久性は高いものの、発光スペクトル幅が広いため色純度が低下する課題があり、ディスプレイとして表現できる色域には限界があった。

 これに対し同社は、これまで有機EL用発光材料開発で培った分子設計、合成、精製技術を活用し、従来の無機蛍光体に対し、シャープな発光スペクトルを示す高色純度の赤色および緑色の有機発光材料を開発。有機発光材料は耐久性の向上が課題だったが、独自の発光材料分子設計により、実用化に耐えうる耐久性の確保に成功した。

SCOシートを使用したディスプレイ
SCOシートを使用したディスプレイ

 これらの有機発光材料を用いて開発した液晶ディスプレイの高色域化に貢献できる「SCOシート」は、DCI規格と呼ばれる色域規格、Adobe規格と呼ばれる色域規格のカバー率について、どちらも99%以上の両立が可能。その結果、従来ディスプレイに比べて、より色鮮やかな表示ができる。また、有機材料で構成されているため、重金属のような毒性元素も含まれておらず、環境にやさしいディスプレイ部材だ。

 ディスプレイ技術は年々進化を遂げており、4K、8Kといった画面解像度の高解像度に加えて高色域化も要望されており、ハイエンドディスプレイの市場もますます拡大していくと予測されている。

 東レはこの業績で培った有機光機能材料分子設計技術をさらに深化させ、有機材料の新たな可能性を切り拓き、企業理念である「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」の具現化に取り組んでいく考えだ。

東レなど3社 暑さ対策プロジェクトで新サービスを提供

, , ,

2020年8月20日

 東レ、NTTテクノクロス、ゴールドウインの3社はこのほど、3社連携の「暑さ対策プロジェクト」として、心拍数と衣服内の温湿度を計測できるセンサーと専用ウェアを組み合わせ、暑熱環境下で体調不良の予兆を検知する「暑さ対策用サービス」の提供を8月から開始した。この新サービスは暑熱環境下での運動や作業を含む活動中の企業や団体向け体調管理ツールとして、高齢者から子どもまで幅広い世代への活用が期待されている。

「hitoe作業者みまもり用シャツ」(東レ)
「hitoe作業者みまもり用シャツ」(東レ)

 東レとNTTが共同開発した機能性素材「hitoe」は2014年の提供開始以来、スポーツ市場や作業者見守り、医療などの分野へと事業展開を進めてきた。この間、多くのユーザーより、近年の温暖化による暑さ対策として、炎天下や空調が届かない環境で活動する人の身体負担を把握したいとの要望が届いていた。

 またウィズコロナという新しい生活様式の中では夏でもマスクを着用する機会が増加するため、夏場の暑さ対策の重要性はますます高くなっている。一方、暑さへの慣れには個人差があるため、気温などの環境管理のみでは不十分で、体調や活動量などを含めた個人ごとの身体負担を把握する技術が求められる。

小型センサー「TX02」(NTTクロノス)
小型センサー「TX02」(NTTクロノス)

 こうした中、NTTテクノクロスは従来のセンサーに新たな機能を加えた新型センサーと、暑さによる体調不良を検知するアプリケーションを開発。新型センサーは従来から計測可能であった心拍数と加速度に加え、以前より要望の多かった温湿度を計測することができる。1個約12gの軽量化に成功しつつ、約50時間の連続使用が可能となった。

「C3fit IN-pulse(インパルス)」(ゴールドウイン)
「C3fit IN-pulse(インパルス)」(ゴールドウイン)

 また東レとゴールドウインが、激しい活動の中でも安定して高い精度でデータを取得できる機能性素材「hitoe」を搭載した専用ウェアを開発することで、3社連携により「着る暑さ対策」を新たに実現した。

 3社は今後、暑熱環境下で運動や作業を含む活動に取り組む企業や団体、グループに向け、新サービスの導入・拡大のための活動を協力して推進する。さらに、新しい生活様式への変化の中でサービスのさらなる改良を進め、数百万人規模と推定される暑さ対策を必要とされるユーザーの役に立てるよう事業を拡大していく考えだ。

暑さ対策用サービス利用イメージ

 

東レ サプライチェーンで共有する品質データ基盤を構築

, ,

2020年8月18日

 東レはこのほど、NECとの共同により製品の品質検査情報をデジタルデータで収集・共有する品質データ基盤を構築したと発表した。

 あらゆる産業でデジタル化が急速に進展する中、製造業でもデジタル技術を活用し、信頼性向上と業務効率化の両方を実現することが国際競争力を強化していく上で重要になっている。

 こうした中、NECでは製造業の競争力の源泉である品質管理の向上を目的に、IoTやAIなどを活用した品質DX(デジタルトランスフォーメーション)を立ち上げ、品質管理のデジタル化を支援してきた。これは、製造現場の人や設備に係る情報だけでなく、原料、委託品の検査情報をデジタル化して管理するもの。さらに、取引先などと検査データを共有、分析することで、サプライチェーンを通じた品質向上に貢献する。

 一方、東レはこれまでも、工場内の様々な検査機器から、品質検査情報をデジタルデータとして自動収集する取り組みを推進。今回の両社による取り組みは、この品質DXのソリューションの1つである品質データ基盤を用いることで、東レグループの品質保証体制を強化するものとなる。

 具体的には、検査機器から抽出した、製品の品質検査情報をデジタルデータとして収集・保存し、その上で、NECとともに構築した品質データ基盤を通じてこれらの情報をサプライチェーン上で共有。この共有プロセスには人手が介することはなく、品質検査情報の信頼性向上と品質保証業務の効率化につながる。

 また、検査結果の過去情報を同基盤に集約しているため、品質の傾向を見える化し、グラフ形式で確認することが可能。この傾向を顧客と共有することで、顧客は自社製品の品質調査の際にこのデータを活用することができる。例えば、示された品質傾向のデータを活用して、JISの異常判定ルールに則った異常検知を行うことができ、分析の負荷が軽減される。

 東レグループでは、すでに生産拠点の一部でこの品質データ基盤を導入し、品質検査情報の信頼性向上と品質保証業務の効率化に取り組んでいる。今後は共有範囲を顧客などグループ外へも拡げることで、サプライチェーンを通じた品質管理レベルの向上を目指す。

 一方、NECは、IoTやAIなど先端技術を活用したソリューションの提供を通じて、品質管理・品質保証に係る課題の解決に取り組み、データの利活用による日本のものづくり産業の国際競争力強化を支援していく。

NECの品質データ基盤が目指すイメージ
NECの品質データ基盤が目指すイメージ