BASF PPSUで新製品、射出成形の流動性を向上

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2020年1月24日

 BASFは低粘度グレードである「ウルトラゾーンP」の製品ラインアップを拡充している。

 「ウルトラゾーンP2010」は新しいポリフェニルスルホン(PPSU)で、「ウルトラゾーンP」の優れた機械特性を維持しつつ、射出成形での流動性を向上した。これにより、外食産業や航空機内での使用に適した洗練されたデザインの食器や耐熱容器など、より大きく複雑な形状の部品を製造することが可能になった。

 さらに、低い射出圧力と温度で充填できるため、原材料を加工する際のエネルギー消費量と部品重量を減らすことができる。「ウルトラゾーンP2010」ナチュラル(透明色)を、現在グローバルで販売している。

 新素材は高い耐薬品性と134℃までの過熱蒸気滅菌への耐性、耐火性、既存の「ウルトラゾーンP3010」が持つ優れた衝撃耐性と安定性をも兼ね備えている。ノッチ付き衝撃強度は、他の非晶質構造を持つ耐熱素材に比べ約10倍で、高温でも耐性を発揮するため、洗浄と消毒を繰り返してもほとんど影響がない。

 透明高耐熱プラスチックは、EUと米国で食品の接触に対する適合性が認められている。最適な用途の1つが外食産業や航空機用設備。容器や鍋は調理だけでなく、食品の保存や保温にも使用できる。

 ホテルやレストランでは、滅菌と洗浄剤に対する高い耐性が求められ、航空機内では耐火性が特に重要となる。このため、火災時に熱や有害物質の放出が少ない難燃性の特殊プラスチックは、食器だけではなく、座席や照明器具、通気孔、頭上の荷物棚などにも理想的だ。

 「ウルトラゾーン」はポリエーテルスルホン「ウルトラゾーンE」、ポリスルホン「ウルトラゾーンS」、ポリフェニルスルホン「ウルトラゾーンP」を含む、BASFのスルホン系樹脂製品群の登録商標。これらの高性能素材は、電子機器・自動車・航空宇宙産業にとどまらず、ろ過用メンブレンや、温水や食品と接する部品にも使われている。

 「ウルトラゾーン」ブランドは優れた特性により、熱硬化性樹脂・金属・セラミックの代替として利用されている。

BASF 新フォームグレード展開、VOC排出を抑制

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2020年1月20日

吸音・断熱フォーム「バソテクトUF+」
新グレードの吸音・断熱フォーム「バソテクトUF+」

 BASFはメラミン樹脂発泡体「バソテクト」の製品ラインアップを拡充している。

 グローバルに展開している新グレード「バソテクトUF+」は、従来の「バソテクトUF」に比べ、揮発性有機化合物(VOC)の排出量がさらに改善されたことで、新たな用途への可能性が見込まれている。

 非常に軽量で柔軟性を備えたフォームであることから、鉄道車両の断熱だけでなく、建物の空調機器にも最適で、設備の騒音も効果的に低減する。従来品と同様の特性を保持しており、高弾性・低熱伝導率で、密度はわずか7kg/㎥と非常に低く、加工中に鉱物繊維が飛散することはない。

 高い柔軟性により、細い隙間だけでなく、天井や壁といった湾曲面にもフィットする。米国の「ASTM C1410」規格を含む、最高の防火安全要件も満たしている。BASFの発泡体は寸法維持性があり、非常に低密度で、難燃性に優れているため、列車や地下鉄、路面電車の吸音と絶縁にも適している。

 新グレードは輸送分野で起こりうる最高レベルの防火規格(EN45545 HL3)に準拠しており、様々な鉄道・鉄道車両カテゴリーで使用可能だ。

 「バソテクト」はメラミン樹脂を原材料とするオープンセルフォームで、独自の様々な特性がある。耐火性の素材であることから、優れた防火性能を備えており、難燃剤を添加する必要がない。最大240℃の環境で使用でき、広範囲の温度域で安定した特性を保持する。

 また、オープンセルの気泡構造により、軽量で吸音性と断熱性に優れているほか、低温柔軟性も実現。自動車・航空宇宙・建築からコンシューマー製品まで、多くの産業で使われている。

BASF 子会社が新コーポレートブランド

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2020年1月15日

広範なソリューション提供、3Dプリントで

 BASFのグループ会社BASF3Dプリンティング・ソリューションズ(B3DPS)は、新たなコーポレートブランド「Forward AM」を導入した。「Forward」は未来志向の最先端素材・技術を、「AM」は付加製造(Additive Manufacturing)を表す。B3DPSは新ブランドの下、初期の製品アイデアから連続生産に至るまで、バリューチェーン全体にわたり、エンド・ツー・エンドの材料とサービス・ソリューションを提供していく。

 新ブランドは粉末床溶融結合、高度なプラスチックと金属フィラメント、最新のフォトポリマーなど、3Dプリント産業市場で最も広範な材料ポートフォリオを持っている。同社の包括的な付加製造サービスのポートフォリオには、最初のデザインコンセプトから、造形・仕上げを含むシミュレーション、スキャン・テストまで、バーチャルエンジニアリングサービスの全域が含まれる。

 さらに今年第1四半期からは、高度なフレキシブルコーティングがポートフォリオに加わる。このコーティングはジェット・フュージョン3Dプリンター用にHP社と共同開発した「ウルトラシントTPU01」のように、柔軟性のある素材に特に適している。この新しいコーティングは特殊な用途で使用でき、新ブランドの下、黒・白・メタリックシルバー・透明色を提供していく。

 また、新ブランドでは「ウルトラフューズTPU95A」「ウルトラフューズABS ESD」「ウルトラフューズPEI9085」のテストマーケティングを皮切りに、「ウルトラフューズ」フィラメントのポートフォリオを大幅に拡大する予定。今月からサンプルの提供を始め、第1四半期末から提供を増やす。

 さらに、フットウェア業界では製作に3Dプリント技術を活用するようになっており、新ブランドのチームは、パートナーとともにこの分野に集中的に取り組んでいく方針だ。

 

BASF 建設化学品事業をローン・スターに譲渡

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2020年1月14日

 BASFはこのほど、世界的なプライベート・エクイティ・ファームであるローン・スターの関連会社と、BASFの建設化学品事業の譲渡譲受契約を締結した。買収価格は現金・負債がゼロの状態で31億7000万ユーロ。取引は関連する競争当局の承認を条件として、今年第34半期に完了する予定だ。

 BASFの建設化学品事業は7000人以上の従業員を擁し、60カ国以上に生産拠点と販売拠点を展開しており、一昨年の売上高は約25億ユーロだった。今回の契約締結により、BASFグループの財務報告に即時の影響が生じることになる。

 建設化学品事業の売上高・利益は、遡及的に昨年1月1日以降のBASFグループの売上高、利息・税金・償却控除前利益EBITDAと、特別項目控除前EBITに含まれなくなり、過年度の数値は調整される。一昨年の調整後のBASFグループの売上高は602億ユーロ、EBITDAは89億7000万ユーロ、特別項目控除前営業利益は62億8100万ユーロとなる。

 事業譲渡が完了するまでは、当該事業からの利益は、BASFグループの税引後利益のうちの「非継続事業からの税引後利益」として区分表示される。ローン・スターのロナルド・クインティン欧州プレジデントは「BASFの建設化学品事業のエキスパートがもつ、業界に認められた知識や能力を高く評価しており、ともに成長志向の事業展開を進めていきたいと考えている」と述べている。

BASF ポリアミド樹脂がグレーチング製品に採用

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2019年12月18日

 BASFはこのほど、ポリアミド樹脂「Ultramid(ウルトラミッド)」が、シマブン(福岡県久留米市)が新たに発売したグレーチング製品に採用されたと発表した。

「ウルトラミッド」を使用したグレーチング
「ウルトラミッド」を使用したグレーチング

 シマブンは樹脂製グレーチングを製造している。「ウルトラミッド」製のグレーチングは強度に優れ、金属製のグレーチングに比べて軽量であるため、作業者がより多くの荷物を運んだり、プロジェクトをより早く仕上げたりすることが可能になる。

 シマブンの島信英社長は「ウルトラミット」の優れた機械的特性により、新たに発売したグレーチングは腐食性が抑えられるとともに、ノンスリップ性能に優れ、錆びや滑りやすいといった問題解決にも役立つと評価。「押出成型と組み立てによって製造することで、幅広い製品をリーズナブルな価格で提供し、業界のニーズを満たすことができる」と述べている。

 BASFは材料ソリューションの提供に加え、独自のCAE(コンピューター援用工学)解析ツールを用いた設計・解析でもシマブンを支援した。CAEの活用により、開発チームは初期段階から設計を最適化し、材料を効率的に使用して、製品の強度と性能を最大限にすることができた。

 BASFジャパン・パフォーマンスマテリアルズ事業部の山本勇事業部長は「全国の建設現場や物流業界は人手不足に陥っており、プロジェクトオーナーは耐久性と軽量性を兼ね備えた建築資材を求めている」との認識を示した上で、シマブンと協力することで積載効率を改善し、ビジネスの生産性向上に貢献することを指摘した。

 グレーチングは橋のデッキや歩道、スタジアムなどの屋外施設や厨房で使用されている格子状の蓋で、排水溝の詰まりを防ぎ、水や空気の流れを促進する。

BASF 農業関連事業で50%の売上増を目指す

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2019年12月4日

30以上の新製品上市へ、デジタル技術の活用も

 BASFのアグロソリューション事業部門は、マーケットシェアの拡大と農業市場の成長率を1%上回る成長により、2030年までに50%の売上増を目指す。

 BASFの農業分野の戦略は、生産者が人口増加に対応する十分な食料を供給することを可能にし、限られた耕地や病害の圧力、気候変動などの課題に対処することを可能にするイノベーションに基づく。

 今年、1000億円以上に増額した研究開発予算は、同社の農業におけるイノベーションパイプラインを支えており、2028年までに30以上の新製品を上市し、ピーク時の売上高は約7300億円に達する見通しだ。これには8つの有効成分に加え、小麦交配種・大豆・キャノーラ(アブラナ科)・綿・野菜のユニークなトレイト(形質)と、高性能な種子が含まれる。

 全ての事業やポートフォリオの決定の際に、サステナビリティを検討することで、生産者や農業に対する持続可能な解決策の提案を積極的に主導する。昨年8月にバイエルから買収した事業と資産の統合を1年以内に完了し、種子・形質・農薬からデジタル技術まで、幅広いソリューションを生産者に提供できるようになった。

 同社は農業のソリューションを提供する世界有数の企業として、「南米と北米の大豆・トウモロコシ・綿」「北米と欧州の小麦・キャノーラ・ひまわり」「アジアのコメ」「世界各地の果物・野菜」という4つの主要な戦略的顧客セグメントと、そのクロップシステムと呼ばれる特定の作物の組み合わせに重点を置いて活動する。これらの作物は合計で世界市場の約70%を占めている。また、同社は農業分野でデジタル技術による新たな収入源も創出する。

 農業での先駆的なデジタル専門知識とパートナーシップにより、生産者がBASF製品を使用し、農場を管理し、製品やサービスにアクセスして購入する際、付加価値を与えるデジタル分野のソリューションを提供する。精密技術とデジタル化を活用することで、農業における将来のイノベーションの機会が得られるようになるが、これには、新たな成果ベースのビジネスモデルも含まれる。

 今年上半期のアグロソリューション事業部門の売上高は、前年同期比38%増の約5300億円となった。これは主に、バイエルから事業と資産を買収したことによるポートフォリオ効果によるもので、特別項目控除前EBITも、主として買収した事業の貢献により、今年上半期に23%増加し、約1000億円となっている。

 

BASF 高耐候安定剤がPE製の滑り台を紫外線から保護

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2019年12月3日

 BASFはこのほど、高耐候安定剤「Tinuvin(チヌビン)」が、スイコー(兵庫県尼崎市)の直鎖状低密度ポリエチレン(L-LDPE)製滑り台に採用されたと発表した。

BASF
帯電防止性能を有したスイコーの滑り台

 回転成型により製造したこの滑り台は、帯電防止性能を備え、安全性と耐久性が向上し、炎天下でも変色しない。L-LDPE製の滑り台は本来、紫外線劣化を起こしやすく、変色や物性低下が生じる。この課題を解決するため、製造工程でポリマー樹脂に「チヌビン」を添加することで、滑り台の色を明るいまま保持することが可能になった。

 スイコーの強みは回転成形技術で、成形体外表面の紫外線劣化を診断する技術ももつ。この紫外線劣化診断技術により、滑り台の適切な交換時期を推奨でき、遊具の安全性がより向上する。

 公園遊具にはさまざまな素材が使用されているが、金属製の滑り台は夏場に高温となるため、理想的な素材とは言えない。また、繊維強化プラスチック(FRP)製や鉄製の滑り台は、定期的に再塗装することが必要で、亀裂を予測することが困難だ。

 一方、L-LDPE製の滑り台はメンテナンスが容易な上、単一材料のプラスチックとしてリサイクルも可能なので、ニーズが増加している。

BASF 消泡性能を兼ね備えたシリコーン系湿潤剤を発売

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2019年11月28日

 BASFは優れた湿潤性と顕著な消泡性能を兼ね備えた、新しいシリコーン系湿潤剤「Hydropalat(ハイドロパラート) WE3225」 を発売した。消泡剤を添加する必要のない、湿潤剤に対する市場要求に応えるために開発した。

 これにより、気泡やピンホールなどの発泡による悪影響を懸念することなく、自由に添加できる。さらに、低VOC(揮発性有機化合物)、低臭気といった特長も備える。高品質な水性工業用・自動車用塗料、木工塗料に使用できるように設計されており、印刷インキへの応用も可能だ。

BASF 中国で天然由来原料の界面活性剤APGを増強

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2019年11月26日

 BASFは中国・金山(ジンシャン)工場のアルキルポリグルコシド(APG)の生産能力を1万t増強し、2万tから3万tに拡大した。昨年発表した生産能力拡大プロジェクトの一環。

 さらに1万tを追加するため、基本インフラ整備に必要な承認を取得して準備を進めている。これにより、近い将来に生産能力は倍増される予定で、拡大するマーケットと顧客の需要に、より適切なサポートが行えるようになる。

 APGは洗顔料やボディーソープ、シャンプーなどのパーソナルケア用品で、泡立ちの改善に使用される界面活性剤。また、食器洗浄用洗剤や洗濯用洗剤、表面洗浄剤などのホームケア用途、農業用マイクロエマルジョン製剤にも応用されている。さらに、非イオン性であるため、様々な界面活性剤や他の成分との相溶性が高く、100%天然由来の再生可能原料から製造されることも特徴だ。

 金山の生産拠点は「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)」によって認証された、グローバル生産拠点の1つ。同社は経済の発展を推進しながら、世界的なサステナビリティに対する要望にも応え続ける方針だ。

BASF 研究を助成、「循環代謝」など3テーマで募集

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2019年11月21日

 BASFはアジア太平洋地域の研究・学術機関に対し、「Nutrition Asia Research Grant(ニュートリション・アジア・リサーチ・グラント)2020」への研究の応募を呼びかけている。募集期間は来年1月9日まで。発表は3月を予定している。

 7回目となるこの助成プログラムは、アジア太平洋地域の消費者にとって喫緊の課題である、健康と栄養に関する問題への科学的研究を支援することを目的としている。

 助成対象となる研究は「免疫サポート」「循環代謝」「身体機能と運動性」の3つの主要分野に焦点を当てたもの。今回の募集では、特に免疫と代謝に関するヒトミルクオリゴ糖(HMO)の生物学的機能に重点を置き、助成する全5案のうち2案は、人間の健康に関したHMOの役割を調査するプロジェクトに授与する。

 HMOは構造的にも生物学的にも多様性に富む難消化性糖質で、ヒトの母乳中に豊富に含まれている。また、HMOが免疫調節機能に必須であり、腸内フローラの特定有益菌の増殖を促進することが最近の研究で明らかになっている。

 企画書の評価・選考は、ヒューマン・ニュートリション分野の著名な研究者や主要なオピニオンリーダーで構成される専門家が行う。5人の研究者に1人あたり最大4万ユーロが授与され、各プロジェクトには18カ月の研究期間が設けられる。

 2012年の同プログラムの開始以来、BASFはオーストラリア・中国・インド・インドネシア・マレーシア・シンガポール・タイの30のプロジェクトを助成してきた。このうち15のプロジェクトは学術会議やセミナーで紹介され、査読付き論文も八本発表されている。