BASFの1-6月期 ケミカルなど販売減で減収減益

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2019年8月5日

 BASFの2019年第2四半期は、売上高が前年同期比4%減の152億ユーロ、特別項目控除前EBITDAは同27%減の20億ユーロ、特別項目控除前営業利益は同47%減の10億ユーロ、純利益は同50億ユーロ増の65億ユーロとなった。売上高については、主にイソシアネートとクラッカー製品事業の影響により、販売価格が2%下落し、販売量は6%減少した。

 ニュートリション&ケアを除く全事業セグメントで販売量が減少した。特に、ケミカル事業セグメントとアグロソリューション事業セグメントの減少が顕著だった。これは、ベルギーのアントワープと米国テキサス州のポートアーサーで、スチームクラッカーの定期修繕を実施したこと、北米で悪天候が続き、アグロソリューション事業セグメントが打撃を受けたことが原因。

 バイエルから買収した、種子事業と非選択性除草剤事業によるポートフォリオ変更は、2%の増収効果があり、為替も2%の増収要因となった。EBIT(営業利益)に含まれる特別項目は、前年同期のマイナス6600万ユーロに対し、マイナス4億9700万ユーロ。特別項目の増加は、エクセレンスプログラムにおける臨時の費用も要因のひとつとして挙げられる。

 さらに、米国ガルフコーストでの天然ガスを中心とした投資に減損が生じた。この投資からはすでに撤退している。EBITは前年同期の19億ユーロから5億4800万ユーロに減少。純利益の増加は、ヴィンタースハルが連結対象外になったことによる帳簿上の利益によるものだ。

 厳しいマクロ経済環境を考慮し、通期の見通しを修正した。売上高は微減、特別項目控除前営業利益は最大30%の大幅減になると予測。投下資本利益率(ROCE)は、前年を大幅に下回る見込みだ。

 

BASF アジア太平洋地域プレジデントにリヒター氏

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2019年7月22日

 BASFは7月1日付で、カローラ・リヒター前ドイツ本社エコノミック・エバリュエーション・シニアバイスプレジデントが、アジア太平洋地域プレジデント(東・南アジア、ASEAN、オーストラリア、ニュージーランド担当)に就任したと発表した。

 ランクマー・ダルヴァ前プレジデントは、ベルギー・ワーテルローで、グローバルモノマー事業本部の責任者となった。

 リヒター・プレジデントは1973年ドイツ生まれ。ハイデルベルク大学で物理学と数学の博士号を取得し、2003年に経営コンサルタントとしてBASFに入社した。

 その後、香港とドイツでグローバル・マーケティング&テクノロジーのシニアバイスプレジデント、グローバル・ビジネス・マネジメント・衛生用品のバイスプレジデントなどを務めていた。

BASF 屋外5G基地局向けに光安定剤を提案

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2019年7月17日

 BASFは光安定剤の「チヌビン360」を、5G基地局の紫外線保護用途で提案している。同製品を使用することで、屋外に設置された5G基地局が、強い太陽光による風化や劣化にも耐えられるため、長期にわたって安定したサービスを維持することができる。

 中国の通信機器・電子・電気機器メーカーの深圳市兴盛迪新材料では、同製品を主要な国際通信会社の5G基地局製造に用いている。モバイル端末とコアネットワークとの間の通信を中継するために電波を使用する基地局は、通常、建物の外に設置される。

 基地局は一般的にはポリカーボネート製で、太陽光に当たるとさまざまな分解反応を起こすため、光安定化が必要だ。光安定剤はポリカーボネート樹脂の製造段階で添加され、高濃度での良好な相溶性、加工温度での低揮発性が求められる。

 「チヌビン360」は低揮発性により、金型への微小成分(目ヤニ)の蓄積が減少して長い稼働時間が可能となり、より安定した加工と生産時間とメンテナンスコストの削減を可能にする。

 また、同製品は、最終的な電子ケーシングで紫外線の高カット性能を実現するとともに、皮膚を紫外線から保護する日焼け止め製品の添加剤のように、紫外線を吸収し、過剰なエネルギーを熱として放出する。

 BASFアジア太平洋地域パフォーマンスケミカルズ事業本部担当のハーマン・アルトフ・シニア・バイスプレジデントは「『チヌビン360』は生産プロセスを最適化することで価値を創出し、それにより生産性と収益性の向上に寄与する」と述べている。

 深圳市兴盛迪新材料のデトゥ・スー・ゼネラル・マネジャーによると、これまで屋外基地局は金属製だったが、小型軽量プラスチックにすることで、競争力のある価格でシステム性能を最適化できるようになったと評価している。

 BASFは研究所で、紫外線放射に対するプラスチックの安定化のための徹底した研究を行っている。用途試験は化学者がプラスチックの分解メカニズムを研究するため、特別な設備が整った実験室とアプリケーションセンターで行われる。

 このプロセスで得られた知見は、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)である「チヌビン」と、紫外線吸収剤の開発にも直接生かされているという。

 

BASF PPAの新製品を発表、高温耐熱性部品が可能に

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2019年7月9日

 BASFはこのほど、新しいポリフタルアミド(PPA)「ウルトラミッド・アドバンストT2000」を発表した。

 新製品は幅広い温度範囲で優れた機械的特性と誘電特性を発揮するため、構造用ノートパソコン部品を介した精密な難燃性コネクタから、スイッチや超小型回路遮断器まで、E&E産業や自動車産業における新用途に適した素材となっている。

 射出成形時の流動性が高いことから薄肉設計が可能で、表面品質も良好。部品の形状保持力を向上させる。漏電による過熱時でも構造物が容易に溶融せず、外部からの機械的衝撃にも耐性をもつ。

 さらに、ガラス繊維強化グレードはガラス転移点より高い温度でも、高い強度と容易な加工性を提供する。このため、金属で作られているアクチュエータ、トランスミッションセンサー、クラッチ部品などの水出口弁、水ポンプ、燃料システム部品といった自動車部品の代替品となる。

 絶乾状態・調湿状態の両方で、適用温度の全範囲にわたって優れた強度・剛性・抵抗率が要求される用途に適している。洗浄剤や塩化カルシウム、クーラント、燃料、オイル、潤滑油のような一般的な自動車関連用品に対して良好な耐性を示す。

 標準PA66と同等の衝撃強度と、標準脂肪族ポリアミドより低い吸水性を示し、高い寸法安定性をもたらす。融点(310℃)が高く、熱変形温度が280℃(HDT‐A)を超えるため、部品が変形することなく、鉛フリーはんだ付けに適している。

 また、効率的に加工でき、流動性は柔軟性や靭性を損なうことなく、他の高温ポリアミドよりも著しく優れる。他のグレードやポリアミド、一般的なPPAとの溶接やレーザーマーキングなど、いくつかの後加工も可能だ。

 同社PPAチームの責任者は「特に最先端の難燃性能により、最新のE&Eデバイスの実現を可能にした」と述べている。

BASF 高純度PESUを英の水処理装置会社が採用

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2019年7月8日

 BASFはこのほど、「ウルトラゾーンE6020P」が、英国ロンドンの水処理装置メーカーのペンテェア社に採用されたと発表した。

 ペンテェア社は同製品を使用して、病院や保健所、ホテルなどの公共施設向けのろ過システム用クロスフロー膜を製造する。ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のような、UF(限外ろ過)膜に一般的に使用される他の材料とは対照的に、「ウルトラゾーンE6020P」は、高流量と狭い孔径分布を持つ。

 これにより、UF膜は飲料水の基準に合わせ、寄生虫・細菌・ウィルスまで確実に除去するため、ろ過後に飲料水をさらに過塩素化する必要がなく、深刻な健康問題につながる、水道管内のレジオネラ菌やシュードモナス菌などの病原性水系細菌の汚染を防ぐ。

 「ウルトラゾーンE(ポリエーテルスルホン=PESU)」は、ゲルとオリゴマーの含有量が少ない、安定的な膜製造プロセスを確実にする高純度材料。

 酸や次亜塩素酸ナトリウム、カセイソーダなどに対する耐薬品性に優れているため、汚れにくく洗浄も容易だ。繊細な細孔構造を損なうことなく、過熱蒸気(134℃)、エチレンオキシド、ガンマ線による反復滅菌ができる。劣化することなく、広いpH範囲(0~13)で使用できる。

 米国食品医薬品局(FDA)と欧州の反復使用時の食品接触に関する基準に準拠しており、飲料水向けだけでなく、食品加工用途にも使用可能。幅広い用途に向けて、「E6020P」のほか、「E2020P」「E7020P」などのラインアップを揃えている。

 ペンテェア社は「E6020P」だけでなく、上流から下流までの給水ライン全体、特に公共施設の配水システムに使用されている原水膜や、病院の感染対策用の特定用途向けのフィルターなど、幅広いクロスフロー水処理にBASFの「ウルトラゾーンE」を採用している。

BASF 2019‐20年の自動車カラートレンド予測を発表

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2019年6月27日

 ドイツの大手化学メーカーBASFは26日、2019‐20年の自動車のカラートレンド予測を発表した。

カラー予測のサンプル
カラー予測のサンプル

 アジア太平洋では白みがかったシルバーや複雑で温かみのある色、EMEA(欧州・中東・アフリカ)ではバイオレットメタリックのような珍しい色、北米では角度によって変化する色などがトレンドになる見込み。

 同日、BASFジャパンで行ったメディア向けの説明会で、同社カラーデザインセンターの松原千春アジア・パシフィックチーフデザイナーが、グローバルと各地域のトレンドを紹介した。

 今年のカラーコレクションのテーマは「ACT/9」。AIの普及などを背景に、新時代が一歩

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BASF 粘着剤原料の能増で独拠点に2ヵ所目の生産施設

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2019年6月20日

 ドイツの大手化学メーカーBASFはこのほど、ルートヴィヒスハーフェン拠点に、「acレジン」の2ヵ所目となる生産施設を建設したと発表した。同製品はUV硬化型ホットメルト用粘着剤原料。

 新施設の建設により生産能力が倍増し、接着剤分野での高度なアプリケーション主要ソリューションプロバイダーとしての地位を強化したことになる。新施設建設の投資額は数千万ユーロ。

 「acレジン」は食品業界向けラベルや、自動車・建設業界向け各種特殊粘着テープなどの、感圧接着剤分野の特殊製品の製造に使われている。高性能アプリケーション特性とサステナビリティでの優位性の両方をもち、昨年、同社が実施した耐久消費財の粘着ラベルの環境効率分析によると、溶剤型接着剤と比較して、「acレジン」を使用した粘着剤は、より安価で持続可能性が高いことが分かった。

 また、含有される揮発性有機化合物(VOC)が極微量であるため、低臭と良好な皮膚適合性があり、高い透明性、経年劣化や熱に強く、耐水性、耐薬品性にも優れている。さらに、接着剤ユーザーが、食品接触材料に対する高い要件を満たすことを可能にする。

 同社によると、プレミアム接着剤分野の世界的なトレンドは、高品質で持続可能な処方設計に向かっている。同社のUV硬化型100%アクリルホットメルト用粘着剤原料は、業界の強い要望に応えることができる製品であり、「業界パートナーとして、この専門分野で継続的な成長を目指していく」としている。

 

BASF GMの「サプライヤー・オブ・ザ・イヤー」に

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2019年6月18日

 ドイツの大手化学メーカーBASFはこのほど、ゼネラルモーターズ社(GM)の「2018年サプライヤー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた。

 同賞は品質・サービス・イノベーション・価格の基準を満たし、優れたパフォーマンスを達成したサプライヤーに贈られるもので、BASFが受賞するのは2002年以降、今回が14回目。

 自動車用部品とサプライチェーン、物流、カスタマーケア、アフターセールス、間接的サービスの分野で、GMに製品やサービスを提供している企業の中から、受賞者が選ばれる。

 BASFは幅広いカラーソリューション、最新の塗装プロセス、エンジニアリングプラスチック、ポリウレタンテクノロジーにより、GMの生産性と環境パフォーマンスの向上に貢献していることが評価された。

 授賞式は5月15日、ミシガン州デトロイトで開催されている。

BASF オイルフェンス向け光安定剤供給、油流出制御に寄与

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2019年6月14日

 ドイツの大手化学メーカーBASFは、海洋のオイルフェンス(油吸着ブーム)向けに光安定剤を提供することで、油流出の制御に寄与している。

 韓国のウォンプン社は、BASFのプラスチック添加剤「チヌビン」を使ってオイルフェンスの寿命を延ばし、メンテナンスコストと環境への影響を低減した。

 油吸着ブームは最小限のメンテナンスで耐用年数を長期化するために設計されたオイルフェンス。海洋向けグレードの部品と耐油性のある布地で作られ、流出油を回収する間、水に浮いて油を含む。これにより、海岸線などの資源を汚染する可能性が減り、復旧を容易にする。

 ウォンプン社は、発泡体を充填したオイルフェンスを製造するため、塩ビ樹脂(PVC)と熱可塑性ポリウレタン(TPU)の混合物を採用したが、TPUはPVCに比べて耐摩耗性や柔軟性に優れているものの、耐光性が低いことから、変色しやすいという欠点がある。これを解決するため、PVCアロイに最適な「チヌビン」シリーズの光安定剤パッケージを採用した。

 この高性能光安定剤は、立体的なヒンダードアミン系光安定剤(HALS)の化合物に基づいている。ヒンダードアミンはビタミンCが人体を保護する方法と同じように作用。劣化因子(ラジカル)を捕捉し、無害化する。この保護効果の持続時間は、安定剤の選択により制御することができる。

 BASFの責任者は「当社の光安定剤は、製品の耐用年数を数倍に延ばすと同時に、製品の経年劣化による資源消費を低減することができる」と述べている。

BASF 「エレクトロケミストリー」賞の募集開始

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2019年6月13日

 ドイツの大手化学メーカーBASFとフォルクスワーゲンは、第 7回「サイエンスアワードエレクトロケミストリー」賞を共催する。

 世界中の優秀な研究者を対象に応募受付を開始しており、参加資格・参加方法・選考過程は、www.science-award.com(英語)を参照。募集期間は6月30日まで。審査は両社のほか、科学界を代表する専門家で構成される審査委員会が行う。

 今年の授賞式は11月12日に、フォルクスワーゲンの本社があるウォルフスブルグで行われる予定。同賞は科学技術分野の卓越した成果を促すとともに、高度なエネルギー貯蔵手段を開発するための契機となることを目的としている。

 2012年に創設して以来、世界中の学術的研究コミュニティの科学者を対象として表彰を行っており、最優秀者には5万ユーロが贈られる。

 エネルギー貯蔵・エネルギー変換・貯蔵システム分野の電気化学プロセスの研究とその応用は、今後エネルギー貯蔵システムを開発していく上で重要な基盤となる。

 これらの技術は、エレクトロモビリティなどの将来コンセプトの実現だけでなく、気候と資源保護のための再生可能エネルギー供給にとっても非常に重要だ。また、従来のエネルギー貯蔵システムには、その性能・コスト面で、かなりの改善可能性がある。

 BASFとフォルクスワーゲンは、科学コミュニティや民間企業で研究に従事する、優れた研究者による電気化学とその応用分野への一層の取り組みを促すことを目指す。