信越化学工業 半導体用レジストを増設、日本と台湾の2拠点

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2020年10月16日

 信越化学工業は15日、半導体用フォトレジストについて、日本と台湾の製造拠点で設備投資を行うと発表した。投資金額は合計で300億円。

信越電子材料(台湾雲林県)
信越電子材料(台湾雲林県)

 半導体は5GやCASEといった先端分野で需要が伸びていることに加え、微細化など製造プロセス技術も高度化している。こうした中、同社は、供給と技術の両面で顧客からの要望に応えるため、半導体製造に不可欠なフォトレジストの設備増強を、信越電子材料(台湾)と信越化学直江津工場(新潟県上越市)の2拠点で実施する。

 同社は昨年7月に台湾の信越電子材料で第1期工事を終了しフォトレジストの生産を開始。生産拠点の複数化を実現して供給安定性を高めた。同拠点ではすでに新たな工場棟の建設を進めており、今回さらに生産設備を増強し来年2月までの完工を目指す。一方、直江津工場でも、新たに建屋を建設し能力増強を進める計画で、2022年2月までの完工を目指す。

 同社は、高感度のArFフォトレジストや、回路パターンの寸法精度を向上させる多層レジスト材料を開発し量産化。最先端のフォトレジスト関連製品を顧客に提供してきている。

 今後も、半導体デバイス市場の拡大、トランジスタ数の増大と省電力化のためのデバイスプロセスの進化による半導体関連材料の需要を着実に取り込み、事業基盤の強化をさらに進めていく考えだ。

信越化学工業 2次加硫が不要な成形用シリコーンゴムを開発

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2020年9月29日

 信越化学工業は28日、すでに上市している液状型に加え、ミラブル型でも2次加硫を必要としない成形用シリコーンゴムを開発したと発表した。2次加硫を必要としないミラブル型のシリコーンゴムは業界初。同社が長年培ってきた固有の技術により開発に成功した。

シリコーンゴム 射出成形品(パーツトレー)
シリコーンゴム 射出成形品(パーツトレー)

 ミラブル型シリコーンゴムは、従来の成形方法では、1次加硫を行って成形した後、成形品に残存している低分子シロキサンと、ゴム成形に使用する加硫剤の分解物を除去するため、2次加硫を行っている。

 今回開発した新製品は、低分子シロキサンの含有量を大幅に低減し、また1次加硫時に副生成物が発生しない付加反応型にしたことで2次加硫の工程が不要となった。このため新製品は、成形メーカーの生産性の向上と省エネルギーに貢献するとともに、成形品への異物付着の防止などの要望に応えることが期待される。さらに新製品は、押し出し成形、トランスファー成形、カレンダー成形、プレス成形、インジェクション成形などの様々な成形方法に対応が可能だ。

 なお、同社は、液状型のシリコーンゴムでは、すでに業界に先駆けて2次加硫を必要としないLIMS(液状シリコーンゴム射出成形システム)材料を製品化しており、自動車部品を中心に幅広く使われている。

 同社は、2017年にシリコーンゴム成形のテクニカルセンター「シンエツ・モールディング・テクニカルラボラトリー」(埼玉県東松山市)を開設。同ラボラトリーでは、ミラブルインジェクション成形機を設置し、新製品を使った成形の実演を行うことができる。

 今後も、ラボラトリーを活用し、テクニカルサービスを充実させ顧客ニーズに応えていく。

 シリコーンゴムは、耐熱性や耐寒性、耐候性、電気特性など、一般の有機系ゴムにはない数多くの優れた特性を兼ね備えており、自動車や電気・電子機器、OA機器、家電製品、日用品など、幅広い用途に使用されている。同社は、優れた品質と技術力、そしてきめ細かな対応で、今後も多様化する市場のニーズに応えていく考えだ。

信越化学 新規シリコーンエマルジョンを開発、規制に対応

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2020年7月30日

 信越化学工業は29日、新しいタイプのシリコーンエマルジョンを開発したと発表した。

水中に分散するシリコーンエマルジョン
水中に分散するシリコーンエマルジョン

 昨今、EUのREACH規則では、一部の用途向けのシリコーン製品に含まれる特定のシロキサンの濃度を、0.1%未満までに抑える動きがある。該当のシロキサンは、健康や環境に問題をもたらすものではないが、同社ではREACH規則の動向や顧客の要望に対応するために新製品の開発を行った。

 高度な精製技術により新たに開発したシリコーンエマルジョンは、特定のシロキサン含有量を低減すると同時に、既存製品と比較してエマルジョンの安定性が向上している。

 シリコーンエマルジョンは、シリコーンオイルやシリコーンレジンなどに乳化剤(界面活性剤)を加えて水中に分散させ、他の材料と配合しやすくした製品。シリコーンのもつ優れた特性とエマルジョンの使いやすさから、離型剤・潤滑剤・つや出し剤など、幅広い用途に使用されている。

 信越化学は、優れた品質と技術力、そしてきめ細かな対応で、今後も多様化する市場のニーズに応えていく考えだ。

シリコーンエマルジョンのイメージ図
シリコーンエマルジョンのイメージ図

 

 

信越化学の4-6月期 コロナ禍で全セグメントが減収減益

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2020年7月29日

 信越化学工業は28日、2021年3月期第1四半期(4―6月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比7%減の3593億円、営業利益15%減の909億円、経常利益13%減の952億円、純利益18%減の693億円となった。

 セグメント別に見ると、塩ビ・化成品事業は売上高10%減の1102億円、営業利益25%減の190億円。米国シンテック社では、塩化ビニル、カセイソーダともに高水準の出荷を維持したが、市況の影響を受けた。また、欧州拠点も販売数量の維持に努めたが、市況の影響を受けた。国内拠点は市況影響に加え、定修による数量減があった。

 シリコーン事業は売上高9%減の512億円、営業利益34%減の105億円。汎用製品の価格下落や、車載向けや化粧品向けの需要鈍化の影響を受けた。

 機能性化学品事業は売上高5%減の274億円、営業利益33%減の50億円。セルロース誘導体は、医薬用製品や塗料用製品は底堅く推移したが、建材用製品が振るわなかった。フェロモン製品やポバール製品は出荷が低調だった。

 半導体シリコン事業は、売上高4%減の949億円、営業利益2%減の385億円。半導体シリコンは半導体デバイス市場の調整局面が続いたが、販売価格と出荷水準の維持に努めた。

 電子・機能材料事業は売上高4%減の525億円、営業利益10%減の149億円。希土類磁石は、新型コロナを原因とするロックダウンにより一時海外工場の稼働が影響を受けたが、段階的に稼働を上げ現在はフル操業となっている。フォトレジスト製品は、ArFレジストやEUVレジストを中心に総じて好調だった。マスクブランクスも先端品の伸びにより堅調に推移した。光ファイバー用プリフォームは市況悪化の影響を受けて厳しい状況となったが、大型パネル用フォトマスク基板は堅調だった。

 加工・商事・技術サービス事業は、売上高6%減の228億円、営業利益25%減の26億円。信越ポリマーの半導体ウエハー関連容器の出荷は堅調だったが、自動車用入力デバイスが自動車市況悪化の影響を受けた。

 なお、通期業績予想については、「コロナ禍の収束が見通せない中、業績予想を合理的に行うことの難しさが依然として残る」とし4月の発表と同様に未定とした。ただ、9月までの連結業績予想については、売上高10%減の7050億円、営業利益14%減の1820億円、経常利益12%減の1920億円、純利益16%減の1390億円と開示した。

信越化学工業 人事(26日)

2020年6月15日

[信越化学工業・人事](26日)▽新規製品関係担当、専務取締役シリコーン事業本部長上野進▽特許関係担当、常務取締役電子材料事業本部長松井幸博▽解兼特許関係担当、取締役研究開発担当、同事業本部副本部長塩原利夫。

信越化学 シリコーン剥離剤の白金使用量を低減する技術を開発

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2020年5月28日

 信越化学工業は27日、シリコーン剥離剤に用いる白金の使用量を約2分の1に低減できる「低白金反応硬化技術」を開発したと発表した。

 同技術をシリコーン剥離剤に導入し製品化を推進。すでに試作品の出荷を開始しており、高い評価を得ている。シリコーン剥離剤は、紙やフィルムなどの基材にコーティングすることにより、粘着剤に対する剥離性(離型性)を付与できる。

 主な用途は、シール、ラベル、粘着テープなどの剥離紙、剥離フィルム、工程用離型紙などで、幅広い用途に使用されている。ただ、シリコーン剥離剤は、一般的に白金系の硬化触媒を使用しているが、白金は高価な希少金属であり、資源の枯渇問題などから使用量の低減が求められていた。

 今回、新たに開発した「低白金反応硬化技術」は、シリコーンに高い反応性を示す構造を導入することにより、白金の使用量を従来の約2分の1にして硬化させることができる。これにより、省資源化に寄与するとともに、顧客からの様々な要望にも応えることが期待される。

 同社は、優れた品質と技術力、そしてきめ細かな対応で、今後も多様化する市場のニーズに応えていく考えだ。

 

信越化学の3月期 経常利益は1%増の4182億円

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2020年5月7日

 信越化学工業は28日、2020年3月期の連結業績を発表した。売上高は前年度比3%減の1兆5435億円、営業利益1%増の4060億円、経常利益1%増の4182億円、純利益2%増の3140億円となった。各利益項目は過去最高益を更新している。

 セグメント別に見ると、塩ビ・化成品事業は売上高8%減の4843億円、営業利益14%減の921億円。米国のシンテック社では、塩化ビニル、カセイソーダともに高水準の出荷を継続したが市況の影響を受けた。欧州拠点も販売数量の維持に注力したものの、市況の影響を受けた。国内拠点は堅調に推移した。

 シリコーン事業は、売上高3%減の2268億円、営業利益5%増の614億円。機能製品を中心に拡販を進めたが、汎用製品の価格下落の影響を受けた。

 機能性化学品事業は、売上高5%減の1147億円、営業利益4%増の277億円。セルロース誘導体は、医薬用製品は底堅く推移したが、建材用製品が振るわなかった。フェロモン製品は堅調な出荷となったが、ポバール製品は市況の影響を受けた。

 半導体シリコン事業は、売上高2%増の3876億円、営業利益9%増の1432億円。半導体デバイス市場での調整局面が続いたが、販売価格と出荷水準の維持に努めた。

 電子・機能材料事業は、売上高微減の2251億円、営業利益2%増の685億円。希土類磁石は産業機器向けが需要鈍化の影響を受けたが、環境対応自動車向けを中心に販売を維持した。フォトレジスト製品はArFレジストやEUVレジストを中心に総じて好調だった。マスクブランクスも堅調に推移した。光ファイバー用プリフォームは市況悪化の影響を受けて厳しい状況となったが、大型パネル用フォトマスク基板は好調に推移した。

 加工・商事・技術サービス事業は、売上高4%減の1047億円、営業利益12%増の148億円だった。

 なお、今期の通期見通しについては、現時点で今後1年間の業績予想を合理的に行うことは困難なことから未定とし、今後、連結業績予想の開示が可能となった時点で速やかに開示する。

【1万号突破記念・国際化特集】信越化学工業 代表取締役会長 金川千尋氏

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2020年4月3日

努力の積み重ねが重要、困難を乗り越えた先に大きな成果

━ 足元では想定外のリスクにより経済への影響が懸念されています。今後の世界情勢と事業環境の見通しは。

 金川会長画像金川 年明け以降、新型コロナウイルスの感染が世界で拡大しています。その影響により不透明な状況が続いています。このように厳しい外部環境の中でこそ、本当に強い会社がわかります。

 当社は94年の歴史の中で2度のオイルショック、バブル経済の崩壊、リーマンショック、東日本大震災など度重なる危機に直面してきました。しかしながら常に置かれた状況を冷静に把握し、目前の困難を克服するだけでなく将来に向けた施策を講ずることで成長を重ねてまいりました。厳しい時こそ私たちの強さを示す好機と考えて取り組んでまいります。

━ 外部環境が悪化する中、各セグメントが着実に収益を上げています。その要因をお聞かせください。

 金川 2019年度第3四半期は、米国で塩ビ事業を手掛けるシンテックが市況の影響を受けましたが、高水準の出荷を継続し連結決算に大きく貢献しました。半導体シリコン事業は市場に調整局面が見られたものの増収増益とし、シリコーン事業も全世界での拡販により利益を伸ばしました。電子機能材料は、自動車向けの希土類磁石、フォトレジスト製品などの出荷が堅調でした。この結果、第3四半期として過去最高益を達成することができました。

 メーカーとしてやるべきこと、

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