ナノテク展開催 化学メーカーも最新技術・製品を紹介

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2020年2月5日

ナノテク展TOP 世界最大規模のナノテクノロジー展示会「nano tech 2020 第19回国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」が先月29~31日に開催され、化学メーカーも多数出展した。その中から4社の展示を紹介する。

 旭化成の見どころの1つとなったのが、透明な樹脂フィルムに、幅が最小100nmの目に見えない複雑形状の金属配線を作成できる技術。この微細な銅配線フィルムを独自の印刷技術により、ロールツーロールで製造することで高い生産性も実現した。化粧品パッケージなど、意匠性が求められたり、カスタマイズにより個別製品の識別が必要だったりする製品の透明RFIDアンテナなどとして、事業化を目指している。

 昭和電工は三菱商事と折半出資のフロンティアカーボンによる炭素素材「フラーレン」を紹介した。フラーレンは

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昭和電工 不飽和ポリエステルとビニルエステルの生産を最適化

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2020年1月21日

 昭和電工は20日、不飽和ポリエステル樹脂(UP)とビニルエステル樹脂(VE)事業の収益性向上を図るため、UP・VEの国内生産について2021年6月末をめどに伊勢崎事業所の生産ラインの一部を停止し、龍野事業所に集約することを決定したと発表した。

 同社の機能性高分子事業は、国内2拠点、海外では中国2拠点、タイ1拠点に生産ラインを持ち、UPは主に住宅・建設資材用途や自動車関連用成形材料、VEは主に耐食・耐薬品用途、電子材料用途を中心に展開している。

 UP・VE市場は、海外では中国・ASEANを中心として住宅建築やインフラ投資、自動車産業の成長を背景に需要が拡大しているが、国内は主用途の住宅資材向けが新規住宅着工件数の減少などにより市場規模が縮小。

 そのため同社は、国内のUP・VE生産を龍野事業所に集約して生産体制を最適化するとともに、付加価値が高く需要が拡大しているインフラ分野などに注力し、海外は中国・ASEANを含め高収益が期待できるセグメントを対象とすることで収益性向上を図る。なお、伊勢崎事業所は引き続き電子材料向け高機能性樹脂の開発・製造に注力していく。

 同社グループは、個性派企業(収益と安定性を高レベルで維持できる個性派事業の連合体)の実現をVision(目指す姿)とし、2025年に事業の半数以上を個性派事業とすることを目指している。機能性高分子事業についても、最適な市場領域を選択して収益性を向上させ、個性派事業へと進化を図る考えだ。

昭和電工 アクリロニトリルを4月から15円/kg以上値上げ

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2020年1月21日

 昭和電工は20日、アクリロニトリル(AN)の国内販売価格を4月1日納入分から値上げすると発表した。値上げ幅は15円/kg以上。ANは、合成樹脂や合成繊維などの原料として幅広く使用されている。

 同社では製造・物流の合理化を積み重ね、コストダウンに努めてきた。しかし昨今、原料、諸資材価格の高騰に加え、安全・安定供給の実現に不可欠な設備維持・更新についてもコストが上昇していることから、自助努力での対応は限界に達している状況。

 こうした中、同社は、製品の安定供給・サービス体制を維持するためには、使用原料に則った価格算定への見直しと、コスト上昇の一部を製品価格に転嫁せざるを得ないとの判断に至った。

昭和電工 電子材料用高純度ガス、上海に第二工場を決定

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2020年1月9日

上海昭和電子化学材料第一工場
上海昭和電子化学材料第一工場

 昭和電工は8日、電子材料用高純度ガス事業強化のため、上海に第二工場を建設することを決定したと発表した。

 上海昭和電子化学材料(SSE)の隣接地に第二工場用地として約1万㎡を取得(50年間の土地使用権)し、高純度N2O(亜酸化窒素)年産1000t、高純度C4F8(オクタフルオロシクロブタン)年産600tの製造設備と、高圧ガス危険物倉庫を建設する。第二工場の稼働開始は2021年下半期の予定。

 高純度N2Oは主に半導体やディスプレイ製造時の酸化膜の酸素源として、高純度C4F8は主にその酸化膜の微細加工(エッチング)などに使用される特殊ガス。中国では、第5世代移動通信(5G)など情報通信分野の発展と政府による産業育成政策により、今後も半導体とディスプレイ市場(有機ELテレビなど)の拡大が見込まれる。

 同社は現在、高純度N2Oは川崎事業所と韓国で、高純度C4F8は川崎事業所と上海(SSE 第一工場)で生産しているが、拡大する市場に対し安定供給などの対応力を高めるため、〝地産地消〟施策を推進する。

 また中国で年々化学品への規制が強化される中、中国上海に自社所有の高圧ガス危険物倉庫を確保・拡充することは、サプライチェーンの強化、競争力の向上に大きく寄与する。同社の持つ製造・品質管理技術を組み合わせ、顧客に最適な供給体制を整えることで、さらに事業を強化していく。

 また、半導体市場は、台湾でも同様に拡大が見込まれるため、同社の現地製造子会社「台湾昭和化学品製造」でも高純度C4F8の製造設備(年産150t)を新設し、今春の稼働を予定している。今回の投資額は、上海・台湾を合わせ、約30億円となる。

 同社グループは、個性派企業(収益性と安定性を高レベルで維持できる個性派事業の連合体)の実現をVision(目指す姿)としており、電子材料用高純度ガス事業は個性派事業の一つ。今後も品揃え・供給体制を充実させていくことで、世界の電子材料市場の拡大に対応し、さらなる事業競争力・収益性向上を図っていく。

【新年特集】昭和電工代表取締役社長  森川宏平氏

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2020年1月9日

市場変化に対応、世界有数のソリューションカンパニーに

━2019年を総括してください。

昭和電工森川社長 森川 2019年の世界経済は、IMFやWTOなどの経済指標が四半期ごとの発表のたびに下方修正が続いたように、年初の予想に比べて大幅に減速し、米中貿易摩擦や中国経済の影響が明確になった年だった。

 2019年初めに「今年は米中貿易摩擦や地政学リスクなど、空の遠くに黒い雲が見えはじめた。この雲がどうなるかが判明する1年間だ」と話したが、黒い雲は我々の頭上に達し、世界中で消費マインドを曇らせる厳しい年になった。ただ、本当に景気が悪化したのか、消費の弱含みだけなのかはまだわからない。

━2020年の見通しについて。

 森川 米国の大統領選挙を前に、表立った摩擦は落ち着くとしても、米中の覇権争いは5年10年続くと思ったほうが良い。2020年も世界経済の大きな回復は期待しにくい状態にあると言える。特に自動車市場は回復が見えておらず、関連素材も厳しい状況が継続するだろう。当社としても、先行きの不透明感が強まる中、施策などに変更が出る可能性は否定できない。

 しかし、現在の中期経営計画でビジョンとして掲げた「2025年までに当社の事業の半数以上を個性派事業に育成する」という方針に変更はない。昨年末に発表した日立化成との統合に関しては、シナジー効果を最大限発揮できるよう、1年くらいかけて新しい中期経営計画を策定していく考えだ。

━景気がダウントレンドになる中、戦略での「攻め」と「守り」のバランスについて。

 森川 厳しさを増す事業環境下では、市場の要求やトレンドをいかに素早く正確に把握するかが重要になってくる。当社では

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《化学企業トップ年頭所感》昭和電工 森川宏平社長

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2020年1月7日

 2019年は2年連続で最高益を更新して構築した「しっかりとした今」を基盤に、「期待の持てる将来」を作り成長への道筋を描くための新しい中期経営計画「The TOP 2021」を開始したが、米中貿易摩擦や地政学リスクなどにより世界経済は想定以上に悪化し、非常に厳しい事業環境となった。2020年も世界経済の早急な回復は期待しにくく、厳しい状況が続くと予測される中、時代の変化に合わせて当社グループも適切かつ大きく変化していくことが求められている。

 2020年は、昭和電工グループが一流を目指して歩み始めた中期経営計画「The TOP 2021」の折り返し点である2年目にあたる。「The TOP 2021」では、2025年までに個性派事業の集団になり一流への第一歩に到達するために、変化すべきこと、実行すべきことを宣言している。

 一流になるためには変化を恐れてはいけない。なぜなら変化のない現状の延長線上には、昭和電工グループが目指す、人々の「こころ」を動かし、「社会」を動かす「一流」の昭和電工グループは存在しないからだ。また、「一流」とは収益への期待だけはなく、安全・安定操業、コンプライアンス遵守、社会貢献、従業員満足といったCSR(企業の社会的責任)を果たすことも求められる。高く険しい山だが、私たちはその頂上を目指して進んでいこう。

 「世界TOPクラスの機能性化学メーカー」をめざす2020年は、日立化成との統合という当社の長い歴史の中でも非常に大きな変化が起こる年だ。今回の決断により、全事業の半数以上を個性派事業にするという山の頂上のさらに先に、「世界TOPクラスの機能性化学メーカーになる」という、さらに高い山、「期待の持てる将来」が見えてきた。

 個性派事業の集団を実現して現在よりもレベルアップした「今」を示すため、一人ひとりが自分のすべきことを自ら宣言し、変化を恐れず強い意志と自信を持って「実行」していこう。

昭和電工 大分トリニータのユニフォームスポンサーに

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2019年12月24日

 昭和電工は23日、サッカーJリーグ所属の大分フットボールクラブ(大分トリニータ)と、ユニフォーム(鎖骨)スポンサー契約を決定したと発表した。広告掲出は、大分トリニータユニフォーム(鎖骨)や大型ビジョンなどで、契約期間は1年(2020年2月1日~2021年1月31日)となっている。

大分トリニータ榎社長(右)と昭和電工森川社長
大分トリニータ榎社長(右)と昭和電工森川社長

 同社グループは全てのステークホルダーに満足してもらえる「社会貢献企業」の実現を目指し、CSR(企業の社会的責任)を果たすため、さまざまな取り組みを推進。特に国内の各拠点では、子ども向けの化学実験教室や工場見学などを通じ、地域社会との対話を図っている。

 また、中核事業の1つである大分石油化学コンビナートは、1969年にエチレンプラント操業を開始して以来50年にわたり、地域社会との共存共栄を図ってきた。

 大分トリニータもまた地域密着型チームとして、地域の活性化・スポーツ振興に大きく貢献していることから、同チームへの支援が同社CSR活動のさらなる向上につながると考え、本拠地スタジアムの命名権取得に加え、今回、ユニフォームスポンサーとして支援することを決定した。

昭和電工 森川社長「互いの強みで環境変化に対応」

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2019年12月20日

 昭和電工は18日、日立化成の買収について記者会見を開催し、買収の意図やシナジーについて説明を行った。森川宏平社長は冒頭で「今回の買収は、当社が新しい仲間と共に、さらに高い山へ挑む歴史的な一歩を踏み出したことを意味する」と述べ、同社グループの100年を超える歴史の中、非常に重要な転換点だと強調した。

 昨年12月に公表した中期経営計画「The TOP 2021」では、中計最終年である2021年に「いま登っている山の頂上に立ち、さらに高い山に登る準備を整えていく」としていた。その意味で

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昭和電工 日立化成を9600億円超で買収

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2019年12月19日

 昭和電工は18日、今月9日に設立した完全子会社のHCホールディングスを通じ、日立化成の全株式を株式公開買い付け(TOB)で買収すると発表した。

 昭和電工によれば、日立化成が目指す「機能創出・ソリューション提供を通じた存在感のあるグローバルトップクラスの高機能材料メーカー」と、昭和電工が求める「製造業を超えたソリューション提供カンパニー」という目指す姿が一致していることに加え、日立化成の「ニッチ&クラスター戦略」は、昭和電工の「個性派事業戦略」と、ソリューション志向である点や、多くのグローバルトップシェア事業を対象とした成長戦略であるといった意味で共通性があると考えている。

 こうした背景から、日立化成を子会社化することは、両社の経営方針にも合致するとし、今回の買収合意に至った。買収金額は9600億円超となる見込み。

 昭和電工が目指す「個性派企業」とは「収益性と安定性を高レベルで維持できる個性派事業の連合体」であり、「個性派事業」は適正な市場規模でグローバルトップシェアを獲得できる事業と定義している。

 適正な市場規模は個別事業分野の特性や事業環境によるが、1つの目安として500億~5000億円の市場を有力な対象として考えている。

 昭和電工は、電子材料用高純度ガスやハードディスク、さらには黒鉛電極など、すでに特色ある複数の個性派事業をもっており、また、アルミニウム事業やセラミックスを含めた非有機・無機化学品事業が、売上高の半数超となっている。

 この点、有機化学の事業が大宗を占める企業が多く存在する化学業界の中で、化学メーカーでありながら売上高の半数超が非有機・無機化学品事業で占められる昭和電工の事業ポートフォリオは、世界的にもユニークな事業ポートフォリオとなっている。

 昨年12月に公表し、今年から開始した3カ年の中期経営計画「The TOP 2021」の中では、既存の個性派事業に続く新たな個性派事業群の確立に取り組み、2025年には少なくとも既存事業の半数以上を「個性派事業」とすることを中長期的な経営目標としている。

 このような経営戦略を実現するために、1500億円のM&A枠を含む総額4000億円の投資枠を打ち出し、個性派企業として競争力を高める手段としての他社との提携やアライアンスの方策の検討を進めていた。