東レの上期 生産活動停滞で繊維など振るわず減収減益

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2020年11月9日

 東レが6日に発表した、2021年3月期上期(4-9月期)連結決算(IFRS)は、売上収益が前年同期比19%減の8561億円、事業利益は52%減の341億円、営業利益は92%減の55億円、純利益は91%減の45億円となった。国内外ともに新型コロナウイルスの感染拡大による生産活動や消費行動の停滞を受け、繊維事業や機能化成品事業など主力事業の不振が響き、数量差を主因に減収減益となった。

 セグメント別では、繊維事業は売上収益が22%減の3302億円、事業利益は50%減の158億円。衣料用途は各国でのロックダウンや販売店舗の閉鎖から需要が減退、産業用途も自動車向けの販売数量が減少した。医療用白衣地やマスク用途での不織布需要の増加はあったものの、総量の減少をカバーできなかった。

 機能化成品事業は売上収益が17%減の3273億円、事業利益は28%減の241億円。樹脂事業は、国内外で自動車用途と一般産業用途の需要が減少し、ケミカル事業は、基礎原料の市況下落の影響を受けた。フィルム事業は、LIB向けバッテリーセパレータフィルムが振るわず、電子情報材料事業は、有機EL関連顧客の生産稼働低下が響いた。

 炭素繊維複合材料事業は売上収益が26%減の893億円、事業損失は3億円(121億円の悪化)。一般産業用途の風力発電翼用途が堅調に推移した一方で、航空宇宙用途では、民間旅客機の生産レートが減少した影響を受けた。

 環境・エンジニアリング事業は売上収益が10%減の782億円、事業利益は4%増の40億円。水処理事業は、一部地域ではコロナの影響があったものの、逆浸透膜などの需要はおおむね堅調に推移した。

 ライフサイエンス事業は売上収益が7%減の247億円、事業利益は23%減の8億円。後発医薬品や薬価改定の影響を受けた。

 通期の業績予想については、国内外の経済は、コロナ感染の減速と再拡大を繰り返しながらも収束に向かい、緩やかな回復基調をたどることを前提条件に、売上収益と事業利益を上方修正した。売上収益は前期比11%減の1兆8600億円(前回予想比200億円増)、事業利益は36%減の800億円(同100億円増)、純利益は下方修正し60%減の340億円(同60億円減)を見込んでいる。

東レ 車載コンデンサ用OPP新世代グレードを開発

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2020年9月25日

PCU小型化に貢献、xEVの設計自由度が向上

 東レは、電動車(xEV)向け車載コンデンサ用高耐熱・高耐電圧二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム「トレファン 新世代グレード」を開発し、本格生産を開始した。

オンライン記者会見 フィルム研究所 長田 俊一所長 大倉 正寿研究主幹
フィルム研究所長田俊一所長(左)、 大倉正寿研究主幹

 新グレードを使用したコンデンサをxEVのパワーコントロールユニット(PCU)に適用することで、PCUの小型化、耐熱性向上、高効率化が可能となり、xEVの設計自由度や燃費向上に大きく貢献することができる。新世代グレードは、従来品に対しアドバンテージがあることから、ハイエンドのゾーンを中心に拡販を行い、主力製品に育てていく方針だ。

 同社の「トレファン」は、強靱性・電気特性・機械的特性といった優れた特徴をもち、一般工業用・包装用・コンデンサ用などに広く利用されている。その主力用途の1つであるフィルムコンデンサは、

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東レ 2021年キャンペーンガールの継続起用を決定

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2020年9月2日

 東レはこのほど、「2021年東レキャンペーンガール」に、今年のキャンペーンガールであるアイリス・ウーさんを継続して起用すると発表した。

アイリス・ウーさん
アイリス・ウーさん

 例年、選考には書類審査、対面審査、最終審査といった各段階を経ているが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、対面による審査を自粛すべきと判断したことから、新たな選考が難しい状況となった。

アイリス・ウーさんからのメッセージ
アイリス・ウーさんからのメッセージ

 一方、今年度はイベントなどが軒並み中止となるなど、キャンペーンガールとしての活動も制限を余儀なくされている。同社は所属事務所と協議した結果、アイリス・ウーさんを来年度も継続起用することにした。

 

東レ 液晶部材SCOシートがSID学会の賞を受賞

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2020年8月31日

 東レはこのほど、液晶ディスプレイ用部材「SCOシート」がSID(国際情報ディスプレイ学会)の〝Display Industry Award:Display Component of the Year〟を受賞した。今回の受賞は、世界で初めて有機発光材料を活用し液晶ディスプレイの高色域化に貢献できる、毒性元素を含まない環境調和した技術を創出したことが評価された。

SCOシート
SCOシート

 従来の液晶ディスプレイは、赤や緑の発光に無機蛍光体が使用されている。無機蛍光体は、耐久性は高いものの、発光スペクトル幅が広いため色純度が低下する課題があり、ディスプレイとして表現できる色域には限界があった。

 これに対し同社は、これまで有機EL用発光材料開発で培った分子設計、合成、精製技術を活用し、従来の無機蛍光体に対し、シャープな発光スペクトルを示す高色純度の赤色および緑色の有機発光材料を開発。有機発光材料は耐久性の向上が課題だったが、独自の発光材料分子設計により、実用化に耐えうる耐久性の確保に成功した。

SCOシートを使用したディスプレイ
SCOシートを使用したディスプレイ

 これらの有機発光材料を用いて開発した液晶ディスプレイの高色域化に貢献できる「SCOシート」は、DCI規格と呼ばれる色域規格、Adobe規格と呼ばれる色域規格のカバー率について、どちらも99%以上の両立が可能。その結果、従来ディスプレイに比べて、より色鮮やかな表示ができる。また、有機材料で構成されているため、重金属のような毒性元素も含まれておらず、環境にやさしいディスプレイ部材だ。

 ディスプレイ技術は年々進化を遂げており、4K、8Kといった画面解像度の高解像度に加えて高色域化も要望されており、ハイエンドディスプレイの市場もますます拡大していくと予測されている。

 東レはこの業績で培った有機光機能材料分子設計技術をさらに深化させ、有機材料の新たな可能性を切り拓き、企業理念である「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」の具現化に取り組んでいく考えだ。

東レなど3社 暑さ対策プロジェクトで新サービスを提供

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2020年8月20日

 東レ、NTTテクノクロス、ゴールドウインの3社はこのほど、3社連携の「暑さ対策プロジェクト」として、心拍数と衣服内の温湿度を計測できるセンサーと専用ウェアを組み合わせ、暑熱環境下で体調不良の予兆を検知する「暑さ対策用サービス」の提供を8月から開始した。この新サービスは暑熱環境下での運動や作業を含む活動中の企業や団体向け体調管理ツールとして、高齢者から子どもまで幅広い世代への活用が期待されている。

「hitoe作業者みまもり用シャツ」(東レ)
「hitoe作業者みまもり用シャツ」(東レ)

 東レとNTTが共同開発した機能性素材「hitoe」は2014年の提供開始以来、スポーツ市場や作業者見守り、医療などの分野へと事業展開を進めてきた。この間、多くのユーザーより、近年の温暖化による暑さ対策として、炎天下や空調が届かない環境で活動する人の身体負担を把握したいとの要望が届いていた。

 またウィズコロナという新しい生活様式の中では夏でもマスクを着用する機会が増加するため、夏場の暑さ対策の重要性はますます高くなっている。一方、暑さへの慣れには個人差があるため、気温などの環境管理のみでは不十分で、体調や活動量などを含めた個人ごとの身体負担を把握する技術が求められる。

小型センサー「TX02」(NTTクロノス)
小型センサー「TX02」(NTTクロノス)

 こうした中、NTTテクノクロスは従来のセンサーに新たな機能を加えた新型センサーと、暑さによる体調不良を検知するアプリケーションを開発。新型センサーは従来から計測可能であった心拍数と加速度に加え、以前より要望の多かった温湿度を計測することができる。1個約12gの軽量化に成功しつつ、約50時間の連続使用が可能となった。

「C3fit IN-pulse(インパルス)」(ゴールドウイン)
「C3fit IN-pulse(インパルス)」(ゴールドウイン)

 また東レとゴールドウインが、激しい活動の中でも安定して高い精度でデータを取得できる機能性素材「hitoe」を搭載した専用ウェアを開発することで、3社連携により「着る暑さ対策」を新たに実現した。

 3社は今後、暑熱環境下で運動や作業を含む活動に取り組む企業や団体、グループに向け、新サービスの導入・拡大のための活動を協力して推進する。さらに、新しい生活様式への変化の中でサービスのさらなる改良を進め、数百万人規模と推定される暑さ対策を必要とされるユーザーの役に立てるよう事業を拡大していく考えだ。

暑さ対策用サービス利用イメージ

 

東レ サプライチェーンで共有する品質データ基盤を構築

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2020年8月18日

 東レはこのほど、NECとの共同により製品の品質検査情報をデジタルデータで収集・共有する品質データ基盤を構築したと発表した。

 あらゆる産業でデジタル化が急速に進展する中、製造業でもデジタル技術を活用し、信頼性向上と業務効率化の両方を実現することが国際競争力を強化していく上で重要になっている。

 こうした中、NECでは製造業の競争力の源泉である品質管理の向上を目的に、IoTやAIなどを活用した品質DX(デジタルトランスフォーメーション)を立ち上げ、品質管理のデジタル化を支援してきた。これは、製造現場の人や設備に係る情報だけでなく、原料、委託品の検査情報をデジタル化して管理するもの。さらに、取引先などと検査データを共有、分析することで、サプライチェーンを通じた品質向上に貢献する。

 一方、東レはこれまでも、工場内の様々な検査機器から、品質検査情報をデジタルデータとして自動収集する取り組みを推進。今回の両社による取り組みは、この品質DXのソリューションの1つである品質データ基盤を用いることで、東レグループの品質保証体制を強化するものとなる。

 具体的には、検査機器から抽出した、製品の品質検査情報をデジタルデータとして収集・保存し、その上で、NECとともに構築した品質データ基盤を通じてこれらの情報をサプライチェーン上で共有。この共有プロセスには人手が介することはなく、品質検査情報の信頼性向上と品質保証業務の効率化につながる。

 また、検査結果の過去情報を同基盤に集約しているため、品質の傾向を見える化し、グラフ形式で確認することが可能。この傾向を顧客と共有することで、顧客は自社製品の品質調査の際にこのデータを活用することができる。例えば、示された品質傾向のデータを活用して、JISの異常判定ルールに則った異常検知を行うことができ、分析の負荷が軽減される。

 東レグループでは、すでに生産拠点の一部でこの品質データ基盤を導入し、品質検査情報の信頼性向上と品質保証業務の効率化に取り組んでいる。今後は共有範囲を顧客などグループ外へも拡げることで、サプライチェーンを通じた品質管理レベルの向上を目指す。

 一方、NECは、IoTやAIなど先端技術を活用したソリューションの提供を通じて、品質管理・品質保証に係る課題の解決に取り組み、データの利活用による日本のものづくり産業の国際競争力強化を支援していく。

NECの品質データ基盤が目指すイメージ
NECの品質データ基盤が目指すイメージ

 

東レの4-6月期 コロナ禍影響大きく全事業で減収減益

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2020年8月17日

 東レが7日に発表した2021年3月期第1四半期(4―6月期)連結業績(IFRS)によると、売上収益は前年同期比23%減の3976億円、事業利益64%減の125億円、営業利益72%減の95億円、親会社所有者帰属の四半期利益63%減の95億円だった。国内外ともに新型コロナウイルス感染症の拡大による生産活動・消費行動停滞などの影響を受け、主力の繊維事業や機能化成品事業をはじめ、全事業セグメントで減収減益となった。

 繊維事業については、衣料用途は各国でのロックダウンや販売店舗の閉鎖から需要が減退、産業用途も主力となる自動車関連用途で、自動車メーカーの稼働停止や生産台数低下を受け販売数量が減少した。医療用白衣地やマスク用途での不織布需要の増加はあったものの、総量の減少をカバーするには至らなかった。

 機能化成品事業は、樹脂では国内外で自動車・一般産業用途ともに需要が減少し、ケミカルは、基礎原料の市況下落が響いた。フィルムは、内食需要の高まりから包装材料用途が堅調に推移したものの、LIB向けセパレータやポリエステルフィルムの各用途が振るわなかった。

 電子情報材料事業は、有機EL関連の生産稼働低下が響いた。炭素繊維複合材料事業は、一般産業用途では、風力発電翼・筐体用途が堅調に推移したが、航空宇宙用途で大型旅客機のビルドレートが減少した影響を受けた。

 環境・エンジニアリング事業は、水処理は、逆浸透膜などの需要はおおむね堅調だった一方で、国内での工事中断や、エレクトロニクス関連装置の出荷減少の影響を受けた。

 ライフサイエンス事業は、医薬事業は、経口そう痒症改善薬「レミッチ」が後発医薬品発売や薬価改定の影響で伸び悩んだ。

 なお、通期業績予想については、1Qの業績と今後の事業環境を踏まえ売上収益のみ下方修正を行った。売上収益は期初見通しを800億円引き下げ、前年度比12%減の1兆8400億円とした。他の利益項目には変更はなく、事業利益44%減の700億円、親会社所有者帰属の当期利益53%減の400億円を見込んでいる。

東レ UAM向けに炭素繊維複合材料を供給、独社と契約

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2020年7月20日

 東レはこのほど、UAM(都市航空交通)開発のトップランナーの1社である独・リリウム社と、同社が開発中の「リリウム・ジェット」に使用する炭素繊維複合材料の供給契約を締結したと発表した。

 UAMは、都市部の交通が抱える渋滞・騒音・大気汚染といった課題の解決に繋がる新交通システムとして期待が高まっており、現在は各国で、UAMの商業運航開始に向けた機体や運航システムの開発、法制度の整備が進む。また、UAMは「空飛ぶ車」とも呼ばれ、垂直離着陸が可能な小型電動機を主流に開発が加速。機体の軽量化など様々な要求に応えるため、炭素繊維複合材料の果たす役割が極めて重要となる。

 東レは、UAMメーカーとの協業を深化させながら、機体の高性能化・省エネルギー化・低コスト化に向けた革新的な複合材料の開発を継続しており、今回のリリウム社との取り組みは、この一環として実現された。

 「リリウム・ジェット」は、300kmを60分以内に飛行する5人乗りの垂直離着陸型UAMで、炭素繊維複合材料は胴体、主翼、動翼などに使用される。リリウム社は2025年の商業運航開始に向けて機体の開発を推進中だ。

 東レの炭素繊維複合材料事業は、今年5月に発表した中期経営課題「プロジェクト AP‐G2020」に基づき、UAM用途に向けた事業基盤を戦略的に拡充する方針。UAM特有の諸課題に応える炭素繊維複合材料の開発を通して、都市部の環境問題解決に貢献していく。

 今後も、東レグループ内の連携をさらに強化し市場のニーズに迅速に対応していくことで、素材の力で社会を変革していく考えだ。

東レ フィルム事業、中計売上目標は3800億円

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2020年7月9日

フィルム事業本部長 井上治専務取締役

PETでトップシェア強化、BSFなどにも期待

 東レは、フィルム事業において、コロナ禍や米中貿易戦争の影響により不透明で不安定な状況が続くものの、成長分野での高付加価値品拡大や新製品・新用途の開発・創出の加速により、中期経営課題(2020~22年度)の最終年度には2019年度比で売上収益を20%拡大させる方針だ。

 フィルム事業本部長の井上治専務取締役は事業説明会の中で、「自動車ではxEV拡大や自動化の進展で、車載用MLCC(積層セラミックコンデンサ)やバッテリーセパレータフィルム(BSF)、フィルムコンデンサの需要が拡大し、また5GやIoTなど情報インターフェイスの進化により、

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東レ 炭素繊維複合材料事業、コロナ禍で環境悪化

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2020年6月29日

航空機需要が減少、成長ドライバーで挽回目指す

 東レは、世界シェアの約半分を占める炭素繊維複合材料事業において、コロナ禍の影響により事業環境は厳しい状況にある。今年度からスタートした新中期経営課題では成長ドライバーに注力し、最終年度には事業利益240億円を狙う方針だ。

炭素事業複合材料事業部 吉永稔副本部長
炭素事業複合材料事業部 吉永稔副本部長

 先日開催された事業説明会の中で、複合材料事業の吉永稔副本部長は、「当面は、コロナ問題により航空機需要減の影響が大きいと見ているが、中長期では炭素繊維複合材料事業への期待は大きく変わらない。積極的な戦力投入による成長ドライバー事業の拡大とコスト競争力強化に加え、他用途への拡販で挽回する」と語った。

 新中計では、同事業の基本的な立ち位置を再確認し、長期経営ビジョンを実現するための課題を設定。事業環境は、「今後実現が期待される新モビリティ革命や新エネルギー拡大に新しい事業機会が期待できる。また環境型社会や、気候変動抑制といった社会ニーズへの対応も事業機会をもたらす」との見方を示した。また今後10年間の需要については、「コロナ影響で短期変動はあるが、

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