積水化成品 エンプラ発泡体で植物由来グレードを開発

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2020年4月10日

 積水化成品工業はこのほど、高耐熱軽量発泡体「ST‐Eleveat」の植物由来グレードを開発したと発表した。環境保全に配慮した製品を求める市場状況から、同シリーズに植物由来の素材を適用した「ST‐Eleveat BIO」を開発。石油由来の原料を再生可能な植物由来資源に置き換え、発泡化技術を駆使することで新たなグレードを確立することに成功した。

エンプラ発泡体「ST-Eleveat」
エンプラ発泡体「ST-Eleveat」

 「ST‐Eleveat BIO」は、植物由来原料を用いているため、カーボンニュートラルでCO2を増やさない環境負荷の小さい製品であると同時に、従来品からの①耐熱性=180℃×168時間の条件下の寸法収縮率は1%以下②難燃性=UL94規格の燃焼性試験で「V‐2」に適合③軽量性=非発泡樹脂成形品と比べ80~90%の軽量化が可能④省資源=ベース樹脂を5~10倍に発泡する資源の環境対応製品―といった特長を備える。

「ST-Eleveat」使用例(自動車エンジンカバー)
「ST-Eleveat」使用例(自動車エンジンカバー)

 「ST‐Eleveat」は、エンジニアリングプラスチック、およびスーパーエンジニアリングプラスチックを主原料とする発泡体で、特に高温環境下での使用に適している。近年、省エネやCO2排出量低減の観点から、自動車や輸送分野では構造部材の樹脂化やCFRPの活用などによる軽量化が進んでいるが、従来品では難しかったエンジンルーム内などの高温となる部位でも使用できる高耐熱、高強度な軽量構造部材を実現するために開発した。

 積水化成品グループは、「環境リーディングカンパニー」を目指し、従来から注力している3R活動(Reduce、Reuse、Recycle)に加え、2R(Replace、Re‐create)を含んだ「SKG‐5R」活動を推進。開発品は、この中の「Replace」活動での開発の1つであり、素材を石油由来から持続可能な植物由来に置き換えた一例となった。

 今後は、さらに植物由来原料の配合を増やし、環境にやさしい製品の開発を積極的に行っていく考えだ。

 

積水化成品 「ライトロン」植物由来グレードを開発

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2020年3月5日

 積水化成品工業はこのほど 、持続可能社会に貢献する「ライトロン」植物由来グレードを開発したと発表した。

ライトロン
「ライトロン」

 「ライトロン」は無架橋発泡ポリエチレンシートで、軟質でクッション性に富み、独立気泡体なので断熱性、防水・防湿性に優れている。薬品や油分にも侵されにくい素材で、各種包装資材や農業資材、雑貨など、さまざまな用途で広く使われている。

 今回、環境保全に配慮した製品を求める市場状況から、部分的に植物由来の素材を適用した「ライトロン」BIOを新たに開発した。「ライトロン」BIOの特長は、カーボンニュートラルなので、CO2を増やさず環境負荷が小さいこと。現在、バイオマスマークを申請中だ。また、石油由来の従来品と同様な物性を維持することに成功した。さらに、新たな設備を導入することなく、従来設備で同様に加工ができる。

 積水化成品グループは「環境リーディングカンパニー」を目指し、従来から注力している3R活動 (Reduce、Reuse、Recycle)に加え、2R(Replace、Re‐create)を含んだ「SKG‐5R」活動を推進している。

使用例(液晶テレビの包装)
使用例(液晶テレビの包装)

 「ライトロン」BIOは、この中の「Replace」活動に当たる開発の1つであり、素材を石油由来から持続可能な植物由来に置き換えた一例。同製品の開発にとどまらず、同社は事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献していく。

 

積水化成品 高湿度下でも性能保持するゲル素材を開発

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2019年8月27日

 積水化成品は26日、高湿度下でも性能を保持するゲル素材「テクノゲル」LSグレードを開発したと発表した。

 「テクノゲル」はポリマーマトリックスの中に、水や保湿剤などの溶液や電解質を保持させた、肌にやさしく安全性に優れたゲル素材。生体電極の部材として、皮膚とのインターフェイスに広く使われている。

 近年、メディカル・ヘルスケア分野では発汗が想定される運動時のウェアラブル用途や、高湿度が条件となる保育器内の乳幼児センシング用途、生体情報モニタリング用途で、安定した計測を長時間持続できる部材が求められてきた。

 同社では、これまで技術的に困難であった高湿度下で粘着力を保持させるため、吸湿性の抑制と導電性の維持という、相反する特長を持たせることに成功。長時間使用しても皮膚から剥がれにくい新グレードを開発した。

 「テクノゲル」を素材として提供するだけでなく、「テクノゲル」を使用した生体電極パッドの設計から生産までを国内で実施。また、グローバルな生体電極の生産体制構築を推進している。

 今後も、高湿度下で長時間の使用が可能な新グレードの特長を生かし、日々進化するメディカル・ヘルスケア分野での顧客ニーズに応えていく。なお、「テクノゲル」全体の販売計画として2021年度に35億円を目標としている。

積水化成品 耐熱120℃のビーズ発泡体の量産化を確立

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2019年7月2日

 積水化成品工業は1日、耐熱120℃のビーズ発泡体の量産化技術を確立したと発表した。同社は、120~200℃までの幅広い耐熱要求に応えるエンジニアリングプラスチックと、スーパーエンジニアリングプラスチックを主原料とする発泡体の開発に取り組んでおり、「ST‐Eleveat」としてブランド展開している。

 今回、量産化技術を確立した製品は、120℃・168時間の条件下で寸法収縮率が1%以下という耐熱性のほか、難燃性や軽量性にも優れる特長をもつ。難燃性では、自動車内装材料の燃焼性試験FMVSS302に適合しており、軽量性では非発泡樹脂成形品と比べ80~90%の軽量化が可能だ。

 また、特殊成形機に頼らず、ビーズ粒子径が小さいため複雑な形状の製品も成形が可能。ベース樹脂を5~10倍に発泡することから省資源性が高い環境対応製品となっている。

 近年、省エネや二酸化炭素排出量低減の観点から、構造部材の樹脂化やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)の活用などによる軽量化が進んでいる。しかし、従来のビーズ発泡体の耐熱温度は80~100℃以下程度のため、エンジンルーム内などの高温となる部位での実用化は進んでいない。そのため、構造部材として適用可能な高耐熱、高強度かつ軽量化に寄与する樹脂素材が、自動車や輸送用機器市場から求められている。

 同社は今後も、耐熱120℃以上のラインアップ拡充を加速させていき、グローバルに市場開発を進めていく考えだ。「ST‐Eleveat」ブランドとして、2023年に80億円の売上を目指す。

 なお、今月17~19日に、ポートメッセなごやで開催される「人とくるまのテクノロジー展2019名古屋」では、試作成形品を出展する予定(ブース番号:第3展示館・№144)。

積水化成品 微粒子ポリマーで生分解性の新シリーズを開発

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2019年6月25日

 積水化成品工業は24日、微粒子ポリマー「テクポリマー」の新たなラインアップとして、自然環境で分解される生分解性ポリマー微粒子「テクポリマー」EFシリーズを開発したと発表した。

 開発品は、生分解性樹脂からなるミクロサイズのポリマー微粒子で、土壌中または水中で生分解が進む。従来のポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)粒子に比べ約5分の1という軟らかい粒子のため、滑らかな触感を付与できるほか、優れた光反射性能をもつことから、肌のシミやしわをぼかすソフトフォーカス効果の向上が見込まれる。

 近年、プラスチックによる海洋汚染が深刻化する中、特に、洗顔料や歯磨き粉、ボディーソープに含まれるプラスチック製マイクロビーズによる生態系への影響が懸念されている。

 同社の「テクポリマー」は、独自重合技術を用いた真球状微粒子ポリマー。その特性を生かし、液晶ディスプレイの光拡散材や塗料の艶消し剤など、さまざまな用途に採用されている。化粧品用途では、ファンデーションの滑り性向上や、ソフトフォーカス効果を発揮する添加剤として使われている。

 開発品については来年度からの上市を予定しており、2021年度の「テクポリマー」シリーズ全体での販売目標は、60億円を見込む。これまでも一貫して環境貢献製品を市場に投入してきた同社は、今回開発した生分解性ポリマー微粒子を通じ、自然環境保全の観点から、化粧品用途での採用数を増加させることで、環境リーディングカンパニーとして積極的に貢献していく考えだ。

 さらに、化粧品分野だけでなく、自動車内装材の塗料用途や農薬・土木資材など、他分野への展開を図り、新たな市場開拓を推進していく。

 

積水化成品 新中計、3事業強化などで企業価値向上へ

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2019年4月25日

 積水化成品工業グループは24日、2019年度から2021年度までの新中期経営計画「Make Innovations Stage-Ⅱ」を策定したと発表した。前中計「Make Innovations 60」(2016~2018年度)では、事業ポートフォリオの変革と収益構造革新を進め、創立60周年に向けたビジネスモデル変革と、次なる成長へ踏み出すことを目標としたが、今後3カ年でその取り組みをさらに強化していく考えだ。

 新中計では、「『事業ポートフォリオの変革』と『収益体質強化に向けた戦略の実行』を進化させるとともに、環境リーディングカンパニーの位置づけを確固たるものへ」を基本方針に、前中計でのM&A案件を生かした事業展開や開発案件の早期拡販を図り、重点施策を推進していく。

 重点施策には「①事業ポートフォリオの進化」「②グループ経営基盤の強化」「③持続可能社会への貢献」を掲げる。

 事業ポートフォリオの進化では、「自動車構造材分野」「機能性食品容器分野」「医療健康分野」の3事業領域と、2つの重点製品「ピオセラン」「テクポリマー」に経営資源を集中的に投入し、強化を推進していく。

 グループ経営基盤の強化では、組織力・生産性・人材力向上を3本柱に、事業を支える経営基盤の強化、ガバナンス体制の強化をグループ横断的に展開。

 持続可能社会への貢献では、低環境負荷素材の実用化や、その製品の普及につながる活動を積極的に推し進め、環境リーディングカンパニーとなるべく取り組みを進めていく方針だ。

 なお、新中計の最終年度となる2021年度の定量目標は、売上高は1550億円(うち国外売上高:580億円、国外売上高比率37%)、営業利益78億円(営業利益率:5%)、経常利益76億円、純利益50億円。いずれの項目も3カ年での平均伸長率を11~18%増(国外売上高は42%増)に設定し、さらなる成長を目指す。

積水化成品の2019年3月期 設備投資・経費増で減益

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2019年4月25日

 積水化成品工業は24日、2018年度(2019年3月期)の連結業績を発表した。自動車関連を中心に工業分野の伸長は継続したものの、開発力強化のための設備投資や経費増の影響を受けた。生活分野では低採算商品の見直しによる販売減に加え、原燃料価格の上昇にともなう製品価格への転嫁遅れが響いた。

 また、メキシコ法人では政治面の影響による立ち上がりの遅れや、経済情勢の不透明感から回復には時間を要すると想定されたため、一部固定資産の減損を実施した。

 こうした事業環境の中、売上高は前年度比微増の1126億円、営業利益9%減の48億円、経常利益7%減の48億円、純利益9%減の31億円となった。

 セグメント別に見ると、生活分野の売上高は2%減の649億円、セグメント利益2%減の35億円。食品容器関連では、主力製品「エスレンシート」(発泡ポリスチレンシート)の販売数量は伸長したが、「エスレンビーズ」(発泡性ポリスチレンビーズ)は減少した。原燃料価格の上昇に対する価格改定の時期ずれも、収益悪化要因となった。建材・土木関連は首都圏を中心に堅調だった。

 工業分野の売上高は、4%増の477億円、セグメント利益9%減の25億円。家電・IT関連では、「ピオセラン」(ポリスチレン・ポリオレフィン複合樹脂発泡体)などを用いた液晶パネル搬送資材用途が、北東アジア中心に伸長した一方で、「テクポリマー」(有機微粒子ポリマー)は低調だった。

 自動車関連でも「ピオセラン」などを用いた部材用途で、グローバルに採用部位が拡大した。医療・健康関連では、機能性高分子ゲルの「テクノゲル」が年度後半から失速した。

 なお、2019年度(2020年3月期)の通期業績予想では、売上高1450億円、営業利益49億円、経常利益48億円、純利益32億円と増収増益を見込む。今年度からの新中計のもと、事業ポートフォリオの進化やグループ経営基盤の強化を図るとともに、環境負荷素材の実用化なども積極的に進めていく考え。

積水化成品 欧州・自動車部材メーカーの株式取得で合意

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2018年12月20日

 積水化成品工業は19日、欧州6カ国に製造拠点などを展開する自動車部材メーカーのプロシートグループ(8社)の株式を取得することで合意したと発表した。

 プロシートグループの発行済株式などを、積水化成品の子会社セキスイ・プラスチックス・ヨーロッパが、レクティセル社などから取得することにより、積水化成品が実質的にプロシートグループの75%を保有することを取締役会で決議し、株式売買契約などでレクティセル社と合意したもの。

 プロシートグループは、欧州6カ国(ドイツ・フランス・英国・スペイン・チェコ・ポーランド)に製造拠点を持ち、自動車部材(シート用クッション材やヘッドレスト、アームレストなどのトリムパーツ、発泡成形品)を欧州自動車メーカーに供給する、自動車メーカー系列に属さない独立系のリーディングカンパニー。

 今回、同グループを傘下に収めることで、積水化成品の主力製品「ピオセラン」(ポリスチレン・ポリオレフィン複合樹脂発泡体)など、自動車部材の欧州での拡販スピード加速と、同グループ取り扱い自動車部材全般の積水化成品のチャネルを活用した日系自動車メーカーへの展開を推進していく。

 積水化成品は、2016年度からの3カ年中期経営計画「Make Innovations 60」の中で、工業分野の売上比率アップとグローバル拡販のスピードアップに取り組んでおり、自動車分野、家電IT分野での事業拡大を続けている。

 特に、自動車部材に関しては、同社の主力製品の1つである「ピオセラン」が、シート芯材や下肢部衝撃吸収材などとして日本・米州の日系自動車メーカー各社向けを中心に順調に採用実績を拡大しており、さらなる拡大を目指し欧州自動車メーカーへの展開を図っていた。

 自動車業界は、自動運転やNEV(新エネルギー車)化など大きな変革期を迎えており、その部材に関しては、軽量化や断熱性付与など環境への負荷低減に貢献する素材へのニーズがますます高まっている。

  今回の買収により、積水化成品とプロシートグループの異なる技術の融合と、グローバルな自動車メーカー各社との強固な連携を目指す。現行の自動車部材にとどまらず、電気自動車などのNEV向け軽量構造部材について、社会のニーズに的確にマッチする提案力・開発力・提供力をいっそう強化していく考えだ。

積水化成品 EV視野に遮熱タイプの微粒子ポリマー開発

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2018年10月10日

 積水化成品工業は9日、「テクポリマーHM」シリーズの「遮熱タイプ」を開発したと発表した。

 「テクポリマー」は、同社独自の重合技術を用いた微粒子ポリマーで、液晶ディスプレイや照明カバーの光拡散材、塗料・インキの艶消し材など、様々な用途に採用されている。

 節電や省エネ意識が高まる中、遮熱や断熱効果が得られ温度制御に寄与する材料が幅広い分野で求められている。同社はこのような状況に対応するため、同シリーズの遮熱タイプを開発した。

 遮熱タイプを配合した塗膜の特長は①日射を遮るので高い遮熱性を示すこと②可視光から近赤外領域の光反射性に優れること。

 遮熱性能の評価では、透明塗料に同社従来品アクリル微粒子、もしくは新規開発品を加えた場合を比較するため、アクリル板の塗工面(初期温度20℃)を5センチ離した白熱電球で加熱し、光照射に伴う温度変化を測定。60分間の加熱でアクリル板の温度が、従来品は42℃まで上昇したのに対し、新規開発品では33℃の温度上昇に抑えられた。

 また光反射性能の評価では、黒色基材に塗工した塗膜の光反射率を分光光度計で測定。従来品では可視光~近赤外光の反射率が10%以下なのに対し、新規開発品では可視光領域が70%以上、近赤外光領域でも40超~70%前後の反射率を示し、可視光から近赤外光を効果的に反射した。

 同製品の販売目標は、2019年度が3000万円、22年度には5億円を計画。同社は新規開発の「遮熱タイプ」を、従来の塗料用途にとどまらず、車内の温度制御に関する取り組みを積極的に進めているEV(電気自動車)部材への展開を図っていく考えだ。

積水化成品 FRP成形品がスポーツカーの外装部品に採用

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2018年9月28日

 積水化成品工業は27日、同社のFRP(繊維強化プラスチック)成形品が、ホンダアクセスが手掛ける「S660 Neo Classic KIT」の外装部品(14部品)に採用されたと発表した。同製品は、21日に販売を開始している。

 S660 Neo Classic KITは、外装部品や灯体などで構成されている。2シーター・オープンスポーツモデルのS660をベースに、このキットを使って外装部品や灯体などを組み替え架装することで、クラシカルなスタイリングにカスタマイズできる。

 S660 Neo Classic KITの開発で、外装部品をほぼ全て新しく設計するにあたり、積水化成品は、部品設計の迅速化や効率化を図ることを目的に、外装部品を単独1社で受け持った。今回の採用について同社は、これまで培ってきた豊富なFRP成形技術や生産実績が認められたものと考えている。

 同社では、これからも自動車部材のカスタマイズ分野で多様化していくニーズに応えるため、軽量で強度や耐久性に優れたFRPの特長を生かした提案を行っていく。

 また、自動車を含む輸送機器事業で、部材の樹脂化やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)、 GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)の活用に向けた付加価値提案を加速していくとともに、発泡素材との組み合わせによる複合材料の開発により、ソリューションを提供していく。