日本ガイシ BASFのアントワープ拠点でNAS電池運用

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2021年12月8日

 日本ガイシはこのほど、BASFのアントワープ統合生産拠点(ベルギー)に納入した電力貯蔵用NAS電池が運用を開始したと発表した。コンテナ型NAS電池4台で構成され、最大出力1000㎾、容量は5800㎾時。

 NAS電池は日本ガイシが世界で初めて実用化したメガワット級の電力貯蔵システムで、全世界で約200カ所の納入実績がある。負極にナトリウム、正極に硫黄、電解質にファインセラミックスを使った二次電池で、大容量、高エネルギー密度、長寿命が特長で、サイズは鉛蓄電池の約3分の1だ。

 日本ガイシとBASFの子会社BASF New Business(BNB)は、2019年にNAS電池の販売提携契約と次世代ナトリウム硫黄電池の共同研究契約を締結。日本ガイシの電池のシステム設計・製造技術と、BASFの化学の知見を融合させ、さらなる開発に向けて協力している。

 今回BNBは、自社でNAS電池システムを保有・長期運用することで、顧客視点のメリットや具体的な使用用途を検証し、最適なビジネスモデルの構築を目指す。両社は、顧客に包括的な提案ができるようになり、今後の開発のための有用なデータが収集できるとしている。

BASFの7-9月期 増収増益で通期予想を上方修正

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2021年11月29日

 BASFの7―9月期、増収増益で通期予想を上方修正はこのほど、2021年第3四半期(7―9月期)の決算を発表した。売上高は前年同期比42%増の197億ユーロ、特別項目控除前営業利益は同3.2倍の19億ユーロ、特別項目控除前EBITDAは同75%増の28億ユーロ、純利益は同34億ユーロ増の13億ユーロとなった。堅調な需要により増益を維持した。前年同期比で販売価格は36%上昇し、販売量は6%増加した。

 売上高は、すべての事業セグメント、特にケミカル、サーフェステクノロジー、マテリアル事業セグメントの販売価格の上昇と、ほぼすべての事業セグメントでの販売量増加により増収。特別項目控除前営業利益は、主にケミカル事業セグメントの大幅な増益が寄与した。

 マテリアル事業セグメント、インダストリアル・ソリューション事業セグメント、その他事業の大幅な増益も利益増に貢献したが、アグロソリューション事業セグメント、サーフェステクノロジー事業セグメント、ニュートリション&ケア事業セグメントの利益貢献度は大幅に低下した。川下事業は現在も原材料費やエネルギー費、運賃の高騰に直面しており、販売価格の上昇は、これらを一部相殺するにとどまった。

 なお、通期の業績予想の修正を発表。BASFグループの持続的な好業績と、特にケミカル事業セグメント、マテリアル事業セグメントで堅調な需要が継続すると見込み、売上高を760億~780億ユーロ(前回予測740億~770億ユーロ)、特別項目控除前営業利益を75億~80億ユーロ(同70億~75億ユーロ)に引き上げた。併せて、バリューチェーンのサステナビリティに大きく貢献する「アクセラレーター製品」の売上高を215億~225億ユーロ(同210億~220億ユーロ)に上方修正。CO2排出量は変更せず、2050万~2150万tで推移する見通しだ。

BASF 携行型近赤外分光分析を家畜飼料業界に導入

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2021年10月29日

 BASFと同子会社の独トライナミクス社はこのほど、モバイル型近赤外(NIR)分光ソリューションを飼料業界へ導入すると発表した。これにより、飼料業界のバリューチェーンのどこでも、家畜飼料の成分解析を迅速かつ高精度にオンサイト(現場)で行える。

 トライナミクス社は、赤外線センシングと3Dイメージングを専門にしており、赤外分光を大幅に小型化した高性能のポケットサイズラボラトリーを開発。BASFの飼料添加物に関する知識と、トライナミクス社のモバイルNIR分光の専門知識を結集し、飼料分析の加速化とシンプル化を実現した。

 クラウドベースで小型ポータブルデバイス、スマートフォンアプリ、カスタマーポータルサイトを統合し、飼料サンプルの品質や栄養価に関する分析結果をボタン1つで得られる。家畜飼料は家畜の成長段階や健康状態、原材料の変更に伴い調整が必要だが、栄養成分の見える化により、飼料の配合や品質管理が強化される。飼料工場や栄養士、生産者が飼料の品質を保証するための、迅速かつ柔軟なソリューションである。

 対象サンプルは飼料原料から完成飼料まで幅広く、水分、タンパク質、脂肪、エネルギーなど、質の高い飼料や家畜の健康に不可欠なパラメータの把握に役立つ。測定はその場ででき、所要時間は1分未満。結果は瞬時にスマートフォンアプリに表示され、さらにトライナミクス社のウェブベースのカスタマーポータルサイトにアクセスして評価することができる。

 今後も、両社はさらなるソリューション強化に向けて協力していく。クラウドを介した継続的なアップデートにより、ユーザーはハードウェアを交換することなく、新しいアプリケーションや機能を利用できる。

BASFとCATL LIB材で戦略的パートナーシップ

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2021年10月22日

 BASFと中国の寧徳時代新能源科技(CATL)はこのほど、正極材(CAM)や電池リサイクルなどの電池材料ソリューションに関する、戦略的パートナーシップを締結したと発表した。

 この協力関係は、持続可能な電池バリューチェーンの構築を目的としており、CATLの欧州における現地化を支援するとともに、両社のグローバルなカーボンニュートラル目標の達成に寄与することが期待される。

 世界最大の自動車産業向け化学品サプライヤーであるBASFは、グローバルな製造・研究開発拠点をもち、中・高ニッケル系、マンガンリッチ系、コバルトフリーの正極材の幅広いポートフォリオを含め、正極材市場で確固たる地位を築いている。

 欧州において、高度なプロセステクノロジー、原材料サプライチェーンの確保、生産に適したエネルギーミックス、およびサプライチェーンに沿った短距離の効果的な物流により、業界トップレベルのカーボンフットプリントを実現する正極材の生産を行う。

 一方、革新的なエネルギー技術のグローバルリーダーであるCATLは、世界中の新しいエネルギーアプリケーションに対し、トップレベルのソリューションとサービスを提供。欧州初となるLIB工場をドイツに建設するプロジェクトを開始しており、欧州の顧客や消費者のための現地サプライチェーンの構築を加速させていく。

 今回の戦略的パートナーシップにより、BASFは、正極材と電池リサイクル分野で、世界的な電池メーカーとの密接な協力関係により専門性が深まり、世界市場での地位が強化される。また、CATLは欧州に電池リサイクルネットワークと安定した原材料のサプライチェーンを構築し、サービス能力の向上を目指す。

BASF ガス精製技術、浮体式LNG計画に初採用

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2021年10月21日

 BASFはこのほど、ガス精製技術「OASE purple(オーエイス パープル)」が、ペトロナス社(マレーシア)のFLNG(浮体式天然ガス液化設備)の最新プロジェクトである「PFLNG DUA」において、酸性ガス回収設備のプロセスに採用されたと発表した。これはBASFの「OASE」で初のFLNGでの実績となる。

 「PFLNG DUA」は、ペトロナス社と日揮とともに、今年2月に操業を開始し、5月に性能試験に成功した。FLNGは、水深1500mのガス貯留層から天然ガスを抽出するように設計され、クリーンなエネルギーのための新たな資源を開拓する。

 「オーエイス パープル」は、天然ガスからCO2や硫化水素などの酸性ガスを回収するアミン系溶液。ガスの液化、パイプライン輸送には、酸性ガスの回収が必要となるが、高効率で環境にやさしいBASFの技術は、柔軟性と設備投資費用(CAPEX)の合理化を顧客に提供する。さらに、省エネのプロセスと非腐食性との組み合わせにより、運転費用(OPEX)を低く抑えることが可能。このプロセスは、溶液の損失を最小限に抑えながら、ガスの純度と製品ガスの回収率を高レベルで実現する。

 今回の「PFLNG DUA」の成功により、2017年に稼働したFLNGと合わせて、ペトロナス社は2隻のFLNG施設を所有・運営することになる。2015年に建設が開始された、最新の第2のFLNGは年間150万tのLNG生産能力をもち、南シナ海のマレーシア、コタキナバル沖合140キロに位置する水深1300mのロタン海底ガス田の上に係留される。

BASF 3Dプリントの統合技術拠点を上海にオープン

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2021年10月20日

 BASFはこのほど、BASF 3Dプリンティングソリューションズ(ドイツ)の「Forward AM」ブランドが中国の3Dプリントの設計・サービス会社Xuberanceと協力してアディティブ・マニュファクチャリング・テクノロジー・センター(AMTC)を上海にオープンしたと発表した。中国・アジア地域のAM(付加製造、3Dプリンティングによる積層造形)市場向けソリューション・素材の専門知識ハブとして機能する。

 同センターがあるLingang Science and Technology Parkは、現地パートナー・顧客との相乗効果を高めるために、多くのAM産業関連企業が拠点としている。

 世界の主要機器メーカーとの連携で20台以上の3Dプリンターを設置し、粉末焼結積層造形方式や光造形方式、熱溶解積層方式などの3Dプリントの主要技術に対応可能。Forward AMの様々な高性能3Dプリント用素材とエンジニアリングの専門知識、特にシミュレーションと表面仕上げに関する包括的な知見と、Xuberanceの3Dプリントのサービスと設計ソリューションのノウハウを完全に統合。コンサルティングから高機能素材、ダイレクト・コンポーネント・プリント、優れたデザインサービスに至る全ての3Dプリントの高付加価値な技術サービスを通じ、アジア太平洋地域の顧客にイノベーションを提供する。

 今回の協業はBASF Venture CapitalのXuberanceへの投資により実現したもので、BASFのAM戦略を強化し、Xuberanceのアジア太平洋地域での成長を加速するものだ。

BASF プラのメカニカルリサイクル向け添加剤を上市

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2021年10月8日

 BASFはこのほど、プラスチックリサイクルにおける喫緊の課題やニーズに対応する新しい添加剤「イルガサイクル」を上市した。

 メカニカルリサイクルによるプラスチックの生産量は2030年までにほぼ3倍になるとの予想で、年率約10%の成長に相当する。プラスチック業界はリサイクルポリマーの含有量を上げる検討を行う中、リサイクルプロセスにおける熱・機械的ストレスの品質への影響が課題だ。

 再生プラスチックに含まれる不純物や汚れに起因する樹脂の劣化促進や物性変化は、添加剤の配合で解決できる。「イルガサイクル」シリーズは包装材、自動車やモビリティ、建築や建設などの最終用途でのリサイクル含有率向上に向け、限られた加工性、不十分な長期熱安定性や屋外耐候性不足など、再生樹脂関連の品質問題に対処する。

 再生高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリオレフィン、混合ポリマーの硬質用途での長期的な耐熱安定性を高める「PS030G」、フィルムや軟包装用の再生低密度ポリエチレン(LDPE)と直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の加工性と長期熱安定性を上げる「PS031G」、不純物を含む再生ポリプロピレン(PP)とポリオレフィンブレンドの加工安定性と長期的熱保護を提供する「PS032G」、屋外用の再生HDPEとPPブレンドの耐候性、熱・加工安定性を強化する「UV033DD」、ポリオレフィンリサイクル材料の加工安定性と長期的な熱安定性を付与し、残留不純物を中和し物性を向上させる「XT034DD」などのラインアップがある。これらは顆粒状・非発塵性で、リサイクルの各段階で安全かつ容易に使用できる。

 プラスチック業界での豊富な経験、酸化防止剤や光安定剤の高品質なシステムとアプリケーションに関する専門知識を組み合わせたソリューション「バレラス」のポートフォリオの一部として「イルガサイクル」は、プラスチックの循環、耐久性の向上、廃棄物の削減、省エネルギー、排出量の削減および生物多様性を促進し、プラスチック用途に持続可能性の価値をもたらすとしている。

BASFと三洋化成 PUDで協業、革新製品の開発へ

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2021年9月29日

 BASFと三洋化成工業はこのほど、ポリウレタンディスパージョン(PUD)開発の戦略的協業に関する覚書に調印したと発表した。

 両社は、サステナビリティへの貢献が高い革新的な製品を共同で開発・生産することを目指す。これにより新開発された技術や製品は、両社のグローバル生産拠点を通じて、世界市場へアクセスできるようになる。

 BASFジャパンの窪田浩三副社長は、「日本では革新的なソリューションを開発し、それを海外市場に展開してきた長い歴史がある。水系塗料システムへの転換は世界的なトレンドだ。今回の連携により、顧客はトップクラスのPUDに世界中でアクセスできるようになる」と述べている。

 三洋化成・事業企画本部長の原田正大常務執行役員は、「BASFのようなグローバル企業の市場アクセスや製造拠点を活用できることは、三洋化成のPUD事業にとって重要な節目となる」と述べている。

 今回の覚書により、両社の戦略的協業が実現し、共同開発が強化され、両社はPUDの生産ネットワークを活用することができる。この連携によりバリューチェーン全体で、カーボンフットプリントを低減しながら、柔軟性と信頼性を顧客に提供していく。

BASF 中国企業と現地に電池材料の合弁会社を設立

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2021年9月22日

 BASFはこのほど、中国の寧波杉杉(ニンポー・シャンシャン)と合弁会社BASF Shanshan Battery Materialsを設立したと発表した。出資比率はBASF51%、杉杉49%。2022年までに正極材(CAM)の年間生産量9万tを目指し、全体で16万tのCAM産能力をもつグローバルバリューチェーンを構築する。

 なお新会社は、2003年に杉杉が設立した会社を、今回新たに両社が合弁会社化したもの。生産拠点は中国・湖南省の長沙、寧郷と寧夏省の水山に4カ所、従業員数は1600人以上。長沙サイトには240人以上の科学者・専門家が製品の研究開発、分析、試験を行う研究開発センターも建設されている。すでに原材料、正極材前駆体(PCAM)、CAM、電池リサイクルの電池材料バリューチェーンで、世界最大の電池材料市場である中国に確固たる地位を築き、CAMのリーディングサプライヤーとして、酸化コバルトリチウムや三元系正極材などの業界をリードする製品を提供してきた。

 新会社は、BASFの強固な技術力と開発力、グローバルな事業展開、原材料供給のための戦略的パートナーシップと、杉杉の豊富な経験、包括的な製品ポートフォリオ、優れたスケールアップ能力で、優れた顧客価値と迅速なイノベーション、コスト競争力を提供する。BASFのグローバルな製造・研究開発拠点により、全ての主要市場で効率性、近接性、相乗効果とともに、電池メーカーや自動車メーカーにテーラーメイドの正極材を提供できるようになるとしている。急成長する電気自動車市場に注力し、世界の家電製品やエネルギー貯蔵分野へも継続的に製品・サービスを提供していく考えだ。

BASF 加工安定剤で高透明度の注射器用PPを実現

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2021年9月16日

 BASFはこのほど、色相安定性に優れた加工安定剤「イルガスタブ」がロッテケミカル(韓国)の製造する医療用途ポリプロピレン(PP)に採用されたと発表した。さらに、同PPは韓国の医療用注射器メーカーが開発したLDS注射器(低デッドスペース)に採用された。

 同注射器は注射後に注射器本体に残る薬剤の量を最小限に抑え、ワクチンを無駄にせず20%多くの人に接種できる特長をもつ。新型コロナワクチンの予防接種が世界中で展開される中、PP製注射器のニーズが急増し、大きな需要が見込まれる。

 LDS注射器用材料には高透明度の認証が必要であるが、医療用プラスチックは滅菌処理によりポリマーの劣化や変色が起こってしまう。「イルガスタブ」は色調の保持や透明性に優れており、コンパウンディングや射出成形中に、PPを変色させることなく加工安定性を提供する。

 ロッテケミカルは、高強度PPをはじめとする医療材料の生産品質管理を徹底し、医療や安全に関するニーズの高まりに対応するため、特殊PP素材の開発を拡大するほか、繊維やシートへの使用拡大の可能性を評価している。プラスチック注射器をはじめとする多くの医療用アプリケーションは、持続可能な未来のための重要な柱の1つとして、人々の健康と安全に役立っている。

 BASFは、「イルガスタブ」の持続可能性の利点について、センシティブな用途のプラスチックに低濃度で処方することで、環境や貴重な資源の保護にも貢献できるとしている。