BASFとシノペック 中国南京市の合弁生産拠点を拡大

, , , , ,

2021年8月31日

 BASFとシノペック(中国石油化工集団)はこのほど、合弁会社BASF-YPCの中国・南京市の統合生産拠点の生産能力をさらに拡大すると発表した。

 成長する中国市場に対応して、プロピオン酸、プロピオンアルデヒド、エチレンアミン、エタノールアミン、精製エチレンオキシドの生産能力を拡大する。また、ドイツ国外初となるアクリル酸tert-ブチル工場を建設し、2023年の始動を予定している。

 これらの製品は、農業、建設、エレクトロニクス、製薬、衛生、自動車、化学など様々な業界で需要が急速に拡大している。BASF-YPCは両社の出資比率50:50の合弁会社で、2000年に総投資額約55億米ドルで設立。中国市場向けに年間約300万tの化学品やポリマーを生産し、昨年の売上高は約157億人民元(約2600億円)だった。

 今回の投資は、両社が2018年に長期的なパートナーシップのさらなる強化のための覚書に調印して以来の大きな前進で、最先端の技術を導入し、同拠点の強みを最大限に生かす考えだ。製品と副産物、エネルギーを最も効率的に使用し、コストを節約し、環境への影響を最小限に抑えるための相互連携をとっている。

 

BASF ポルシェと高性能LIB向け正極材開発で提携

, , , , ,

2021年8月26日

 BASFはこのほど、ポルシェと独カスタムセルズ社の合弁会社独セルフォース・グループの次世代リチウムイオン電池(LIB)の独占的なセル開発パートナーに選ばれたと発表した。

 BASFの高容量「HED」NCM正極材はサイクル安定性と急速充電に優れ、セルフォースが製造する急速充電・高エネルギー密度の高性能電池セルに使用される。セルフォースの電池生産工場は2024年の稼働予定で、初期の年間生産能力は100㎿h以上、1000台のモータースポーツ車両と高性能車用の電源を供給する。

 ポルシェは2030年までにバランスシート上でのカーボンニュートラルを目指しており、カーボンフットプリント削減とクローズドループリサイクル、サステナビリティが重要な要素だ。BASFの正極材はポルシェ独自のニーズに合わせて製造され、効率的な製造プロセス、高い再生可能エネルギー比率、主要原料確保の垂直統合、バリューチェーンでの効率的な輸送ルートによりCO2排出量を低減。電池をリサイクルして貴重な材料を生産ループに残すことで、正極材のカーボンフットプリントを最大60%削減できる予想だ。

 セルフォースの電池工場で排出される廃棄物は、BASFの電池リサイクルの試作工場の湿式製錬プロセスでリチウム、ニッケル、コバルト、マンガンに再生され、正極材の製造プロセスで再使用される。このクローズドループリサイクルは、コスト削減や資源、環境の保全につながる。併せて、正極材を次世代シリコン系負極の要件に適応させることにも注力している。

 3社は、将来に向けたEV用高性能電池の開発で連携し、持続可能なモビリティという共通目標に向けて協力していく考えだ。

 

BASFの4-6月期 増販・価格上昇で大幅増収増益

,

2021年8月25日

 BASFはこのほど、2021年第2四半期(4-6月期)の業績を発表した。売上高は前年同期比56%増の198億ユーロ、特別項目控除前営業利益は同10.4倍の24億ユーロ、特別項目控除前EBITDAは同2.6倍の32億ユーロ、純利益は黒字化し17億ユーロ(同25億ユーロの良化)だった。全セグメントでの販売価格の上昇と販売量の増加により大幅増収となり、特別項目控除前営業利益は、コロナ禍前の水準である2019年同期の10億ユーロを大幅に上回った。

 セグメント別では、ケミカル事業セグメントは増収増益。製品の供給不足と需要急増による価格水準の大幅上昇で大幅増収となり、石油化学品と中間体両事業が大きく利益貢献した。

 マテリアル事業セグメントは増収増益。需要に応じた販売量の大幅増加と、パフォーマンスマテリアルズとモノマー両事業の大幅増益が寄与した。

 インダストリアル・ソリューション事業セグメントは増収増益。主にディスパージョン&ピグメントとパフォーマンスケミカルズ両事業での販売量増加によるもの。

 サーフェステクノロジー事業セグメントは増収増益。特に触媒事業での販売価格の大幅上昇と販売量の大幅増加が貢献した。利益面では触媒とコーティングス両事業での増販が寄与した。

 ニュートリション&ケア事業セグメントは増収減益。ニュートリション&ヘルス事業の大幅減収をケア・ケミカルズ事業の大幅増収がカバーしたが、両事業の利益率低下と固定費増加により減益となった。

 アグロソリューション事業セグメントは増収減益。全ての地域での販売量の大幅増加と販売価格の上昇で増収となったものの、為替のマイナス影響と固定費増加で大幅減益となった。

 その他の事業は増収損失。汎用品取引高の大幅増加に対し、今期の好業績を受けた変動報酬項目(ボーナス)の引当金繰入額の増加で利益項目は損失幅が拡大した。

 2021年の通期見通しについては、上半期の好業績や世界経済の回復継続、ケミカルとマテリアル両事業セグメントの利益予想の大幅な上振れを踏まえ、上方修正した。売上高740億~770億ユーロ(前回発表比60億ユーロ増)、特別項目控除前営業利益70億~75億ユーロ(同17~20億ユーロ増)を見込む。なおCO2排出量は、2050万~2150万tで変更はない。

BASF PU断熱フォームがワクチン物流設備に採用

, , ,

2021年7月28日

 BASFはこのほど、高品質ポリウレタン(PU)フォーム断熱ソリューション「エラストピア」が断熱パネルと商業・産業用冷蔵システムメーカーのユナイテッドパネルシステム社(マレーシア)が製造する新型コロナワクチン物流設備用の断熱パネルに採用されたと発表した。

 ワクチンの効力維持のためには、マイナス70℃からプラス8℃までの超低温での保存が必要で、冷蔵設備への信頼性は重要。「エラストピアPH 1132/509/0」はその高い断熱性に加え、優れた防火特性により施設を火災から保護する。また、地球温暖化とオゾン層への影響が少ないn-ペンタン吹き付けフォームであるため、電力消費量削減や施設のエネルギー効率向上につながり、電力供給が困難な多くのアジア地域にとって重要だとしている。最近では、インドのパンデミック下での病床数増加をサポートするため、リナック・インディア社(インド)の移動式医療集中治療室設備の製造にも使用されている。

BASF 電池リサイクル工場新設、正極材金属を回収

, , , ,

2021年7月27日

 BASFはこのほど、ドイツ・シュヴァルツハイデにある正極材工場の敷地内に電池リサイクル試作工場を新設すると発表した。電池リサイクルは、電気自動車市場でのCO2排出量削減に重要な要件で、EU電池規則案で想定されるニッケル、コバルト、リチウムのリサイクル効率や材料回収目標など、より厳しい政策措置へ対応するもの。

 同工場では、使用済みリチウムイオン電池と、セルメーカーや電池材料メーカーの規格外材料からリチウム、ニッケル、コバルト、マンガンを効果的に回収するための運用方法を開発し、その技術を最適化する。正極材に必要な金属を、リサイクルによって競争力高く持続的に入手・再使用することで、電池バリューチェーンのサーキュラー・エコノミー(循環型経済)を実現。正極材のカーボンフットプリントを業界標準の最大60%まで削減し、自動車メーカーのニーズに応え、より持続可能な未来の構築に貢献する。

 今回の投資は、欧州委員会が進める欧州の電池生産バリューチェーンに向けたアジェンダへの同社の支持を強化するもので、EU国家補助規制に基づいて欧州委員会が承認した「欧州共通利益重要プロジェクト(IPCEI))」の一環でもある。同工場からの革新的な電池材料の発売、次世代電池材料の研究開発と電池リサイクルを含むプロセス開発に対して、ドイツ連邦経済エネルギー省とブランデンブルク州経済労働エネルギー省が「IPCEI for Batteries」の一環として資金提供を行う。工場の稼働は2023年初頭の予定だ。

BASF プラ資源循環を可能にする添加剤の新ブランド

, , ,

2021年7月20日

 BASFはこのほど、持続可能なソリューションを提供するプラスチック添加剤の新グローバルブランド「VALERAS(バレラス)」を発表した。同社の長年の経験、革新的なソリューション、規制面でのサポートを集約し、ポリマーのバリューチェーン全体でプラスチックのサステナビリティを高める。

 消費者の関心の高まりや法規制の強化を背景に、サステナビリティへの流れが加速し、持続可能なイノベーションとプラスチックのリサイクル性の要求が増している。同社は、添加剤ブランドを1つのプラットフォームに集約することで、サステナビリティへの取り組みを支援し、プラスチックの新たな価値の創造を目指す。

 プラスチック添加剤には、各種ポリマーと成形品、フィルム、繊維、シート、押出成形品などの用途において加工安定性、耐熱性、耐光性向上のための安定剤などがある。「バレラス」のポートフォリオには、耐久性の向上、省エネルギー化、排出量の削減、生物多様性の促進など、プラスチック利用における優れたサステナビリティ価値を備えた既存のプラスチック添加剤が含まれており、今後も拡充していく。

 既に100人以上の専門家と世界5カ所のコンピテンスセンターと協働し、新製品の開発と導入に取り組んでいる。今年後半には、マテリアルリサイクルされたプラスチックとその用途向けの添加剤パッケージも「バレラス」の製品ポートフォリオとして展開する予定だ。同社は、プラスチック業界のサステナビリティへの取り組みを将来にわたって支援する考えだ。

 

BASF 自動車構造部品のPA化で音振軽減と重量半減

, , ,

2021年7月19日

 BASFはこのほど、OEM向け自動車部品の国際的サプライヤーMAHLE社(ドイツ)が「Ultramid」(ポリアミド、PA)で作られたプラスチック製トランスミッションサポートブラケットを上市したと発表した。

 「Ultramid A 3 WG 10」はシャーシおよび構造部品に最適化されたフィラー高充填PAで、機械的特性が優れているため構造部品をすべて金属から置き換えることができ、重量は50%削減される。また、減衰性にも優れているため、部品のNVH(騒音、振動、不快感)を低減し乗り心地も向上する。さらに、射出成形することで、製造工程が簡略化されるとしている。BASF独自のシミュレーション技術「Ultrasim」によりMAHLE社をサポートし、開発工程を短縮できた。

 今回、MAHLE韓国はトランスミッション用の樹脂ブラケットを初めて立ち上げ、国内外に供給。構造部品の樹脂化が市場参入のきっかけとなったとしている。

BASF PA6が中国車のトランスミッションカバーに

, , , , ,

2021年7月7日

 BASFはこのほど、プラスチック製自動車部品のサプライヤーであるZhongding Group(中国)が、Great Wall Motors(中国)向けトランスミッションカバーに、同社のポリアミド6「ウルトラミッド」を使用していると発表した。

 BASFの革新的なマテリアルソリューションによる軽量化はエネルギー効率が高く、CO2排出量を削減し、持続可能なモビリティに貢献する。金属を「ウルトラミッド」に置き換えることで、トランスミッションカバーの重量を30~40%削減。ワンステップ射出プロセスが金属品の生産よりも容易なため、コスト効率の良い製造が可能になる。

 「ウルトラミッド」は、高い強度、優れた堅牢性と熱安定性、およびレーザーマーキングが可能で、金属製と比較して、その特性を向上させ最適化する。また、BASFのシミュレーションツール「ウルトラシム」は、さまざまな荷重や環境条件下で成形品の挙動を正確に予測し、高性能で高度な素材を最も効率的に使用するために、トランスミッションカバーの設計の最適化にも役立つ。さらに、自動車部品の強度と性能を最大限に高めることで、必要な試作品の数が減り、それに伴い、開発時間も短縮される。

 トランスミッションカバーの開発プロセスの一環として、同社は新しい設備を導入。撮影サイクルタイムを従来の10分から2分にすることで、テストベンチでの全手順を短縮した。また、的確な撮影点を増やすためのレーザーポインターの使用で、部品テスト用ラボもアップグレードされた。

DIC BASFのグローバル顔料事業の買収が完了

, , ,

2021年7月2日

 DICはこのほど、独BASFがもつ顔料事業「BCE(BASF Colors and Effects)」に関する資産および株式の買収を完了したと発表した。

 DICは2019年にBASFと売買契約を締結。BCEに関する技術、特許などの知的財産、株式買収に含まれない営業権などの資産、同事業を構成する18社の株式取得に向けて、関連する諸手続きを進めてきた。6月30日にすべての手続きが完了したため、両社間でクロージングの合意に至った。

 DICは中期経営計画の中で、「安全・安心」「彩り」「快適」の価値提供を通じて、〝ユニークで社会から信頼されるグローバル企業〟を目指し、「質的転換」による事業体質の強化「バリュー・トランスフォーメーション」と、社会課題や社会変化に対応した新事業の創出「ニュー・ピラー・クリエイション」の2つを基本戦略として推進している。

 DICグループの一員となるBCEは欧州を中心にグローバルに拠点をもち、高級顔料、エフェクト顔料(化粧品向け)および特殊無機顔料では世界有数の会社であり、BCEが保有する技術、製品、生産設備、サプライチェーン、顧客サービスなどの事業ポートフォリオは、DICと重複が少なく製品補完性が高い状況にある。

 今回の買収によって、両社のポートフォリオが相互に補完されることにより、DICはディスプレイ、化粧品、塗料、プラスチック、インキ、スペシャリティ用途などの製品群をさらに拡充し、世界有数の顔料メーカーとしての地位を強化していく。そしてグローバルベースでより幅広い製品とソリューションを顧客に提供する体制を構築することで、顔料事業の質的転換を加速していく。

BASF 洋上風力発電利用で380万tのCO2削減

, , ,

2021年6月29日

 BASFはこのほど、世界有数の再生可能エネルギー企業RWE(ドイツ・エッセン)とともに持続可能な工業生産のためのプロジェクト案を発表した。

 両社は再生可能電力の発電施設の増設と、気候保護に向けた革新的技術の利用について広範な協力を進める。発電容量2GWの洋上風力発電施設を追加建設し、グリーン電力をBASFの本社工場に供給し、CO2フリーの水素製造と基礎化学品生産の電化を目指す。電気加熱式スチームクラッカーなどのCO2フリー技術は、すでにパートナー企業と協力して開発を進めている。これにより年間のCO2排出削減量は約380万tとなり、そのうちの280万tは同工場で実現される見込みだ。

 BASFは、気候保護と競争力の維持を両立するための、明確なロードマップだとしている。なお、風力発電施設建造への公的補助金の利用は予定していない。この計画実現には適切な規制の枠組みが必要だとし、2030年以降の使用を想定した洋上発電プロジェクト用地の入札は、産業界のエネルギー転換のための重要な入札として特別指定し、さらにグリーン電力は再生可能エネルギー法の賦課金の対象とされるべきではないと主張している。なお現時点、CO2フリーの水素生産についての規制の枠組みは定められていない。

 将来に向けた変革には、再生可能エネルギー源からの安価で十分な量の電力が必須で、政策当局と業界の間で革新的な協力体制を敷き集中的に取り組み、バリューチェーン全体での協力が必要だとしている。電力業界と化学業界をリードする両社は、このパートナーシップにより変革に求められる各種条件をまとめ、各当事者の意思を結集する考えだ。また、気候中立的な工業生産はドイツでの付加価値と雇用を維持し、新技術の輸出機会を創出していくとしている。