BASFとUmicore LIB特許クロスライセンス契約を締結

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2021年6月25日

 BASFはこのほど、Umicore社(ベルギー)と多様な正極材とその前駆体を対象とする非独占的特許クロスライセンス契約を締結したと発表した。

 NMC(ニッケル-マンガン-コバルト酸リチウム)、NCA(ニッケル-コバルト-アルミニウム酸リチウム)、NMCA(ニッケル-マンガン-コバルト-アルミニウム酸リチウム)、HE-NCM(リチウムおよびマンガンリッチ高エネルギー正極材)などを含む、欧州、米国、中国、韓国、日本で出願された100件以上の特許ファミリーが対象で、互いの特許はおおむね補完しあう内容だ。正極材は最新のe-モビリティなどの用途に使用されるLIBの性能、安全性の向上とコスト削減に欠かせない材料で、前駆体と正極材の相互作用とこれらの材料開発は、電池性能の最大化にあたって極めて重要だ。

 このクロスライセンスにより、化学組成、粒子形状、化学的安定性といった機能に関連する様々な技術の組み合わせが可能になり、電池とその応用製品分野で、より迅速で持続可能かつ革新的な電池材料の開発と、高い性能・品質基準を満たすカスタム仕様のソリューション開発能力がさらに向上する。

 両社は、電池メーカーとその顧客に対して透明性を上げ、知的財産権リスクを低減しながら製品開発をさらに加速でき、エネルギー密度、安全性、コストなど、e-モビリティが直面する主要課題に取り組む姿勢を示すものだ、としている。

 

BASFの1-3月期 好調で業績見通しを上方修正

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2021年6月22日

 BASFはこのほど、2021年第1四半期(1-3月期)の業績を発表した。売上高は前年同期比16%増の194億ユーロ、特別項目控除前営業利益は42%増の23億ユーロ、EBIT(営業利益)は59%増の23億ユーロ、EBITDAは31%増の32億ユーロだった。

 セグメント別に見ると、ケミカル事業は売上高16%増の27億ユーロ、特別項目控除前営業利益6億ユーロで増収増益。石油化学品と中間体事業本部はいずれも、価格が上昇し販売量も伸長した。

 マテリアル事業は売上高20%増の34億ユーロ、同営業利益は7億ユーロで増収増益。主に大幅な販売価格上昇と販売量増加による。

 インダストリアル・ソリューション事業は、売上高は前年同期並みの21億ユーロ、同営業利益は微減の3億ユーロ。ディスパージョン&ピグメント事業本部は微増・大幅増益となったものの、パフォーマンス・ケミカルズ事業本部の微減・大幅減益を埋められなかった。

 サーフェステクノロジー事業は売上高37%増の59億ユーロ、同営業利益は大幅増の4億ユーロと増収増益だった。触媒とコーティングス両事業本部の販売量の大幅増加、貴金属価格上昇に伴う触媒価格の上昇、固定費減少によるもの。

 ニュートリション&ケア事業は売上高3%減、利益は大幅に減少した。ケア・ケミカルズとニュートリション&ヘルス両事業本部とも為替のマイナス効果が要因だった。

 アグロソリューション事業は売上高1%増の28億ユーロ、同営業利益は前年同期並みの9億ユーロ。全ての地域での販売量と販売価格の上昇と固定費の減少は、為替の大幅なマイナス効果で相殺された。

 第1四半期の売上高と利益の推移、世界経済の予想以上の回復、想定を大幅に上回る原材料価格の高騰を踏まえ、統合報告書で発表した業績見通しを、売上高は70億ユーロ増の680~710億ユーロ、特別項目控除前営業利益は8億~9億ユーロ増の50~58億ユーロに上方修正した。なお、CO2排出量の見通しは変更せず、2050万~2150万t。

 

BASF 水系バリアコーティング製品の中国生産を開始

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2021年6月11日

 BASFはこのほど、ヒートシール可能な液体バリア用水系フィルム形成ディスパージョン「JONCRYL(ジョンクリル)HPB」を同社上海浦東工場で生産すると発表した。消費地近くで生産することで、省エネルギーとCO2排出量削減を実現する。

 「ジョンクリル HPB」はFDA(米国食品医薬品局)に食品接触材料として認可され、テイクアウト用のボックスやカップなどの食品包装に使用できる。ポリエチレン樹脂系ラミネートと同等の性能だが、使用後の再利用が可能で、製紙工場で生産されるバージンパルプの一部を古紙パルプに置き換えることで環境影響を最小限に抑えられる。

 近年、アジア太平洋地域では水性バリアコーティングの需要が大幅に増加。食品や飲料のブランドオーナーと食品包装資材メーカーは、より持続可能なソリューションの導入に取り組んでおり、同社は市場のニーズに対応しグローバルと地域の顧客基盤をサポートするために、グローバル生産拠点を拡大している。ディスパージョン&レジンのマーケットリーダーとして、革新的な製品を通じて安全で持続可能なソリューションの開発をサポートしていく。

BASF プラスチック廃棄物のケミカルリサイクル推進

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2021年6月8日

 BASFはこのほど、クアンタフューエル社(ノルウェー)とレモンディス社(ドイツ)との間で、ケミカルリサイクル(CR)事業での協働を評価するための覚書に署名したと発表した。プラスチック廃棄物の熱分解プラントの立地や共同投資も評価対象に含まれる。

 欧州では、リサイクルされないプラスチック廃棄物は毎年約2000万tある。熱分解技術により、技術的・経済的理由などでマテリアルリサイクルされていないプラスチック廃棄物を再資源化し、資源循環に戻すことが可能だ。3社はプラスチックの循環型経済を最大化するために、CR可能なものを特定していく。

 世界有数の廃棄物・水管理会社レモンディスがプラスチック廃棄物をプラントへ供給し、混合プラスチック廃棄物の熱分解と熱分解油の精製を専門とするクアンタフューエルが技術提供とプラント運営を行い、生成した熱分解油をBASFが統合生産拠点で原料として使用する。熱分解油は化学品バリューチェーンの初期段階で投入されるため、最終製品は化石資源由来の製品と同じ特性で、同量の化石資源の使用量を削減することにもなる。再生原料は、第3機関の監査を受けたマスバランス方式で最終製品に割り当てられ、製品名の末尾に「Ccycled」を付けて認証済み製品として提供される。

 BASFは、「2025年から年間25万tのリサイクル原材料を使用する」という目標達成にとってプラスチック廃棄物の持続可能なサーキュラー・エコノミー・モデルの構築は重要で、今回の廃棄物管理・リサイクル分野の企業や革新的な技術提供者との協業は理想的だとしている。

BASF 全てのボトル製法対応のPPSU製品を拡充

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2021年6月1日

 BASFはこのほど、業界標準の全ての製造方法で使用可能なポリフェニルスルホン(PPSU)製品を拡充したと発表した。

 「Ultrason P」は、射出ストレッチブロー成形、押出ブロー成形、射出成形で、様々な色やデザイン・形状の高品質ボトルを製造できる。有害物質を含まず、食品接触が認められ、優れた強度と耐薬品性を備え、180℃までの加熱蒸気に耐えるため、電子レンジや熱湯での減菌も可能。乳児用ボトルにも適している。PETやPP、コポリエステルに比べ、高品質で安全かつスタイリッシュなボトルの製造は難しく、使用素材に固有の製造要件が求められるが、「Ultrason P」ラインナップから最適な素材を選択できる。

 押出ブロー成形では、中粘度の「同P 3010」は溶融強度が高く、高温で細長いパリソンは型の近くでも安定で、均一なブロー成形が可能。肉厚やデザインが異なる複雑な形状の場合は、プログラムされたパリソンコントロールにより自重による伸長を防ぎ、ボトルの全長にわたり均一な肉厚が得られる。

 射出成形では、高流量・低粘度の「同P 2010」が、上流のホットランナーシステムを組み合わせたシングル/マルチキャビティ金型による最先端技術にも適し、長い流路の場合でも耐衝撃性や耐薬品性のある薄い肉厚が可能だ。

 射出ストレッチブロー成形は、特にアジア地域で哺乳瓶製造方法として最も普及している。射出成形で作ったキャップスレッド付きパリソンを再加熱し、ブロー金型内で引き伸ばしながらブロー成型する。

 「同P 3010」はサイクルタイムが短く、ボトルキャップスレッドを正確に成形できる。両製品ともスクラップ損失なしに、ホットランナーシステムを使用したプロセスが容易なため、特に射出成形と射出ストレッチブロー成形に適している。機械特性や光学特性を損なうことなく、長期使用と様々な用途に対応したボトルの製造が可能になるとしている。

BASF 気候中立目標を設定し技術開発と投資を推進

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2021年5月26日

 BASFはこのほど、2050年までにCO2排出量実質ゼロ(ネット・ゼロ)、2030年までにCO2排出量の2018年比25%削減、とする気候目標を設定した。今後の成長と中国に建設中の統合生産拠点も含まれており、既存事業に限ると10年で半減させることになる。なお、2018年のグループ総排出量(CO2換算)は2190万t、1990年はその約2倍で、2030年排出目標は1990年比約60%の削減で、EUの「55%削減」目標を上回っている。

 目標達成に向け2025年までに最大10億ユーロ、2030年までにさらに20~30億ユーロを投資する計画だ。最初の一歩は、再生可能エネルギーの利用に注力する。化石燃料は電力で代替するが、技術の大半はパートナーと協力して開拓中で、大規模スケールアップの実現は2030年以降になる。

 一方、電力需要は急増し2035年にはグループ全体で現在の3倍以上になる見込みだ。それまで体系的なプロセス改善、自然エネルギー源への移行を進め、風力発電への投資も計画している。同時に、CO2フリーの化学品製造プロセスの開発・展開を加速する。

 最重要技術の1つがオレフィンなどの基礎化学品製造用の電気加熱式スチームクラッカーで、パイロットプラントの運転開始予定は2023年としている。同じく重要原料の水素の製造は、シーメンス・エナジーと共同で出力50㎿のプロトン交換膜水電解システムを検討するほか、消費電力が約5分の1で済む天然ガス由来のメタン熱分解法を開発中だ。

 エネルギー効率の向上では、廃熱で蒸気を作る電気ヒートポンプによる工場全体の廃熱回収を、シーメンス・エナジーと協力して進めている。また、北海での最大規模の炭素回収・貯蔵プロジェクトへの投資も計画しており、基礎化学品製造に伴う年間100万t超のCO2排出量削減が見込まれる。

 しかし、これら新技術のほとんどは、現在のフレームワーク条件では競争力がなく、経済的成功のためにはバリューチェーン全体で価格上昇を受容することが必要。そのために、産業界と政策立案者が協力して成果を重視した前向きな規制を導入し、国際競争力を維持する必要がある、としている。

BASF 全農と協業で栽培管理最適化AIサービス開始

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2021年5月10日

 BASFはこのほど、子会社のBASFデジタルファーミング社(ドイツ)が、AIベースの栽培管理最適化デジタルプラットフォーム「ザルビオ フィールドマネージャー」の水稲と大豆を対象にしたサービスを日本で開始すると発表した。すでに16カ国、500万㏊以上の農地で利用され、アジア太平洋地域では最初の上市となる。

 播種から収穫まで、各圃場・ゾーンで作物ごとに包括管理するデジタル・ソリューションで、過去の栽培データや作物の種類、生育モデル、気象データ、緩衝地帯と環境負荷、農薬登録情報、病害リスクや衛星データなど多様なデータをAIで分析し、圃場ごとのリアルタイム情報と推奨作業を提供する。これにより栽培管理計画が立てやすくなり、作業を最適化できる。

 日本の「ザルビオ フィールドマネージャー」には、水管理、種子処理と育苗箱処理、水稲に特化した「バイオマスマップ」、0.5㏊未満の農地でも利用可能な「NAVIマップ」、雑草防除支援機能など、国内のニーズに合わせた機能が含まれる。BASFはJA全農と協力し、国内圃場で水稲と大豆の実証実験を行い、生育ステージ予測と病害発生予測で高い的中率を示すデータを得た。

 すでに一般公開している病害・雑草の画像診断システム「ザルビオ スカウティング」と連携し、病害と雑草を撮影しアップロードすると圃場の病害・雑草をより正確に特定し、適切な対策をとることが可能だ。対象を的確に捉えたタイムリーな農薬散布で、コストと環境影響を低減できる。スマート農業対応の散布ドローン、GPSナビゲーション付きトラクターや圃場センサーなどとの連携も拡大する予定で、精密で効率的、持続可能な作物栽培を実現する。

 JA全農が開発・運用している営農管理システム「Z-GIS」と連携し、両システムのデータを同期し管理できる。両者はこの協業を継続し、圃場の規模や分散にかかわらず幅広い生産者が活用できるよう普及活動を行い、対象作物の拡大も予定している。

 「ザルビオ フィールドマネージャー」には無料プランと、より高度な機能を提供する有料プランがあるが、より多くの生産者に体験してもらうため、7月末まではすべてのサービスを無料で提供する。

BASF 高熱安定・ガルバニック腐食レスのPA6上市

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2021年4月19日

 BASFはこのほど、新開発の高熱安定性のガラス繊維強化ポリアミド6を上市した。190℃熱安定性とガルバニック腐食レスが特長だ。

 自動車は常に変化にさらされ、汚染物質排出の法規制や内燃機関のダウンサイジング、パワートレインの電動化、ハイブリッドや燃料電池など急速に発展している。内燃機関やハイブリッド、電気自動車には、過酷な環境下でも信頼性が高く技術的に欠陥のない材料が不可欠だ。そして、パワートレインコンポーネントにとって耐熱性、長寿命、ウェルド強度は基本的要件で、長期間の高温耐性に加え、電気部品の電気短絡の原因となるガルバニック腐食(異種金属接触腐食)防止も求められる。

 新開発の30%ガラス繊維強化ポリアミド「Ultramid B3PG6 BK23238」は、ハロゲン化物・金属フリーのP系熱安定剤(ハロゲン化物含有量50PPM未満)により、190℃までの耐熱性と、電気部品のガルバニック腐食防止を実現した。さらに耐熱老化性が大幅に向上し、振動溶着とホットガス溶着にも適用でき、電気自動車やダウンサイジングエンジンなど、高温で様々な材料特性が要求される用途に有用だ。多様で業界横断的な用途に対応できるため、魅力的な価格での大量生産・供給を実現するとしている。

 

BASF 糖脂質バイオサーファクタントで2社と提携

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2021年3月24日

 BASFはこのほど、アライド・カーボン・ソリューションズ(東京都新宿区、ACS社)との戦略的提携とHoliferm社(イギリス)との戦略的技術協力を締結したと発表した。

 持続可能性、生分解性の成分や活性物質に対する消費者のニーズが高まる中、バイオサーファクタント製品市場での世界的なリーディングポジションを拡大するために連携する。ACS社とは、BASFを単一の筆頭株主とする株式取得も含む戦略的提携だ。

 すでに発酵で作る界面活性糖脂質「ソホロ脂質」を共同開発し、昨年「BioToLife」としてアジア市場に投入した。有害な微生物の過剰増殖を抑制し、皮膚、頭皮、口腔ケア製品で常在菌のバランスを調整して優れた洗浄効果を発揮するユニークな特性をもつが、さらに目標の性能を持つソホロ脂質をベースに、幅広い製品の開発に焦点を当て、独占的技術協力と商業契約、製品開発で提携する。

 もう1つのHoliferm社とは、パーソナルケア、ホームケアと工業用製品に応用可能な新規糖脂質開発に向け、持続可能な非化石資源の発酵由来成分の開発・製造に特化した独占契約を締結した。Holiferm社のユニークな生産技術とプロセスのノウハウと、BASFの業界での主導的な地位と知識を組み合わせて、ソホロ脂質以外の新規糖脂質の開発を目指す。

 BASFはすでに界面活性剤の技術革新を行い、生産能力をもつが、バイオベースの製品を追加して製品ポートフォリオを拡大するために、同社の強みに加えて技術に根ざしたパートナーとの協業の機会を常に探っている。

BASFとシーメンス カーボンマネジメント分野で協力

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2021年3月19日

 BASFと独シーメンス・エナジーはこのほど、温室効果ガス排出量削減に向けた低酸素技術の商業的導入を目的とする戦略的パートナーシップを結んだと発表した。BASFは、2018年以来取り組むカーボンマネジメントの一環で温室効果ガス排出量のさらなる削減を追求し、今後競争力のある価格の再生可能電力を大量に必要とする。

 両社は、BASFの野心的な気候目標達成の支援に焦点を当て、戦略的パートナーシップの覚書に署名。世界最大級の化学品製造拠点であるBASFのルートヴィッヒスハーフェン工場で、モジュールでの容量拡張が可能な出力50MWの水素製造用PEM(プロトン交換膜)電解槽の建設と、生産プラントの廃熱からプロセス蒸気を生成する50MWの高温サーマルヒートポンプの設置を含む複数のパイロットプロジェクトを検討中だ。

 また、シーメンス・エナジーのデジタル製品とCO2最適化製品を使用し、同工場の電力網の近代化も査定し、PEM電解プラントの効率向上のためのシステムや触媒の共同開発、風力発電での協力の可能性も調査している。

 BASFは、これらの技術を大規模に利用するための適切な規制条件と対象を絞った支援が必要で、商業規模のプロジェクトを通じ、新たな低炭素技術をいち早く開発・導入する考え。また自社の技術知識とシーメンス・エナジーの革新的製品とサービスポートフォリオを組み合わせ、化学品製造でのCO2排出量削減の主導的役割の拡大を目指す。

 シーメンス・エナジーは、パイロットプロジェクトの経験を新規技術やコンセプトの実装に活用し、プロセス産業でのエネルギー転換で積極的な役割を果たしていく考えだ。

 CO2低排出・不排出の発電と発熱、送電と電力貯蔵、CO2排出量削減、産業プロセスのエネルギー消費量削減、持続可能な水素経済の形成、といった戦略的目標の達成に向けた重要な一歩となる。今後、商業的な実現可能性が確認されたパイロットプロジェクトをできる限り早期に調査し、必要な投資を確実に定量化し、一般的な枠組みの範囲内で実施することを目指す。