BASF 赤外線センサーの販売網を強化、商業化を開始

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2020年10月19日

 BASFはこのほど、子会社のトライナミクス(ドイツ、ルートヴィッヒスハーフェン)が日本市場向けの赤外線センサー事業の技術サポート体制と販売ネットワーク強化の一環で、アイ・アール・システム(東京都多摩市)と赤外線センサーの販売代理店契約を締結したと発表した。トライナミクス社開発・製造の赤外線センサー「ヘルツシュテュック」をアイ・アール・システムが日本市場で販売するもので、相互の営業活動を制限しない非独占的な販売代理店の形態とし、自由な営業活動による相乗効果を狙う。

 アイ・アール・システムは赤外線技術分野の高い専門知識と日本市場での多様な産業分野との販売ネットワークをもち、両社の協力関係強化により、販売チャネルの一層の拡大を図る。なおBASFジャパン内に設けた同赤外線センサー事業推進チームは事業拡大を目指し、商品供給も開始している。

 トライナミクスは2015年設立の赤外線センシングや3Dイメージング、測距技術におよぶ幅広い先進技術と製品ポートフォリオの開発を進め、多様な科学技術分野を専門とする100人超の開発チームを擁する。

  同赤外線センサーは硫化鉛/セレン化鉛(PbS/PbSe)光導電素子で、波長1~5㎛の近赤外線の検出が可能。独自の薄膜封止技術により、使用環境中の水分や酸素による品質劣化を低減し、ベアチップ状態での商品供給によりセンサー素子の薄型化と電子プリント基板への表面実装を可能にし、赤外分光器、ガスセンシング、炎・火花検出、火炎制御、医療機器やIoTセンサーシステムなどの様々な産業領域や用途で優れた性能を発揮する。

 日本は赤外線センサーを含むハイテク産業の世界最大級の市場の1つで、産業用システム、医療機器、民生用機器などの領域で世界的リーディングカンパニーが数多く存在する重要な市場であるとし、赤外線センサーとそのソリューションにより一層の顧客支援を目指す考えだ。

BASF 柑橘系オイルバレンセンが食品添加物指定

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2020年10月16日

 BASFはこのほど、傘下のアイソバイオニクス社(オランダ、ヘレーン)が生産するバイオテクノロジーベースのバレンセンが、日本国内市場向け食品添加物として初めて厚生労働省により指定されたと発表した。

 アイソバイオニクス社はバイオテクノロジーベースの香料原料会社で、昨年BASFが買収し、アロマイングリディエンツ事業の一部となった。独自の発酵技術でヌートカトンやバレンセンなどの柑橘系オイル成分を中心に生産している。再生可能原料に基づき、季節的要因に左右されずに高品質・安定な製品の供給が可能。

 バレンセンおよびバレンセンを原料とするヌートカトンは、オレンジやグレープフルーツにも含まれる重要成分で、国内の香料業界で需要が高い。主に清涼飲料水などの飲料用フレーバーとして使用されており、今回の指定により日本国内で食品添加物としての使用・商品化が可能となった。

 日本はアジア太平洋地域の重要かつ急速に成長している市場であり、今回の承認はアジア太平洋地域での柑橘類フレーバーの商品化に画期的であるとしている。

BASF 廃タイヤ由来熱分解油の購入と実行可能性検討

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2020年10月14日

 BASFはこのほど、廃タイヤの熱分解を専門とするテクノロジー企業ニューエナジー社(ハンガリー)と、年間最大4000tの廃タイヤ由来熱分解油の購入契約を締結した。これはBASFが使用済みプラスチック廃棄物の産業規模のケミカルリサイクルを目的に、2018年に開始した「ChemCycling」プロジェクトの一環で、今年から初の商用製品が市場に出ている。

 ニューエナジー社は廃タイヤを2次原料に戻す独自の技術を開発・商品化し、十数年の熱分解プラントの運転実績をもつ。パイロットフェーズ初回分の熱分解油は、すでにBASFのドイツ・ルートヴィッヒスハーフェンの統合生産拠点で化石資源代替として使用され、再生原料の割合はマスバランス方式で割り当て、製品名の末尾に「Ccycled」を付けてある。従来製品と同じ特性、同様の加工性で、自動車部品など品質・性能要求の高い用途へ適用可能だ。

 同プロジェクトが注力するのは埋め立て・焼却対象の混合プラ廃棄物だが、廃タイヤも使用済みプラ廃棄物に該当し、リサイクル率向上に寄与する。

 同プロジェクトリーダーのクリスチャン・ラッハ博士は「これまでタイヤ由来の熱分解油を高付加価値製品にリサイクルする技術はなかったが、これにより新たな循環価値の流れを作れ、プラスチックのサーキュラー・エコノミー(循環型経済)へつながる。さらに当プロジェクトでは、要求度の高い用途向け高性能製品の製造に使用できる第2のリサイクル原料の供給体制を確立している」とし、「近年パートナーシップを結んだクアンタフューエル社(デンマーク)の商業規模の工場から、間もなく混合プラ廃棄物由来の熱分解油が供給されるが、さらにニューエナジー社が加わったことは大変嬉しい」と述べている。

 両社は世界的なプラ廃棄物問題に取り組み、ニューエナジー社独自の熱分解技術をその他のプラ廃棄物のリサイクルに適応するFS(実行可能性調査)契約も締結した。

 

BASFとトヨタ 新型「シエナ」の軽量化に成功

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2020年10月12日

 BASFとトヨタ自動車の北米研究開発部門TMNA R&Dはこのほど、今年後半から発売予定の2021年の新型「シエナ」の軽量化に成功したと発表した。3列シートの質量低減による車両軽量化により、市販自動車軽量化の功績と技術を対象としたAltair Enlighten Awardsを受賞した。

 シートの樹脂部品には金属補強が必要で、旧モデルの3列シートには15点もの鋼製部品を使用しており、非常に重くコストもかかっていたが、両社の協働による軽量化で、すべての性能基準を満たし、軽量で価格競争力のあるものになった。

 新型モデルの3列シートは、複雑でコストのかかる後処理を必要としない一体成形の射出成形部品で、35%ガラス繊維強化ポリアミドPA6「Ultramid(ウルトラミッド)B3ZG7CR」を使い、CAE(コンピュータ支援エンジニアリング)ツール「ULTRASIM(ウルトラシム)」による様々な開発フェーズでの正確なCAEシミュレーションを活用して実現。

 シートバックとしては初の一体射出成形部品だ。高い伸長性と耐衝撃性を確保し、座面をラゲージスペースとして使用するための強度と剛性も重視。これにより製造コスト15%削減とシート質量30%削減を達成した。

BASF 超高粘度PESUを上市、膜などの耐久性向上

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2020年10月7日

 BASFはこのほど、ポリエーテルスルホン(PESU)「Ultrason(ウルトラゾーン)E」の超高粘度グレード「E7020P」を日本で上市したと発表した。優れた機械特性を維持しつつ分子量をかつてないレベルに上げたことで、食品・飲料分野、電子工業分野、医薬品分野向けの高耐久性の中空糸膜やフィルターの製造が可能となった。

 PESUは酸やカセイソーダへの高い耐薬品性と機械的強度をもち、高圧などの厳しい環境下での長期間使用が可能。「ウルトラゾーンE7020P」は過熱蒸気への耐性があり、膜やフィルターの洗浄温度を上げ、洗浄頻度を増すことができる。高圧蒸気(134℃)やエチレンオキサイド、ガンマ線による滅菌を繰り返しても、膜の繊細な細孔構造は維持される。

 「ウルトラゾーンE」は、ゲルやオリゴマー含有量の少ない高純度材料で、安定的な膜製造プロセスを確実にする。広いpH値(0~13)でも劣化しない。米国食品医薬品局(FDA)と欧州の食品接触材料の反復使用基準に適合し、飲料水や食品加工用途にも使用可能だ。

 ほかにも「ウルトラゾーンS」(ポリスルホン)、「ウルトラゾーンP」(ポリフェニルスルホン)などのスルホン系樹脂製品があり、水処理膜、温水や食品と接する部品のほか、電子機器、自動車、航空宇宙産業の軽量部品にも使用される。

 「ウルトラゾーン」製品群のその優れた特性で、熱硬化性樹脂、金属、セラミックを代替することを目指している。

BASF 新たなPPSUが学校給食用食器に採用

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2020年9月23日

 BASFはこのほど、新たなポリフェニルスルホン(PPSU)である「Ultrason(ウルトラゾーン)P2010 nat」を使用した学校給食用食器が、日本国内の小学校や中学校で採用されていると発表した。

 同樹脂は、業務用容器に必要とされる軽量性や洗浄しやすさ、加水分解や薬品および高熱に対する耐性をもち、また、有害物質が含まれていないため、より安全に使用できる。同樹脂を使用した食器は、耐熱性、食品成分や洗浄剤に対する高い耐性により、長時間の使用が可能だ。

 新たなPPSU樹脂は、射出成形時の流動特性が改善されており、ノッチ付き衝撃強度と安定性に優れ、高い耐薬品性、134℃までの過熱蒸気による滅菌にも耐えうる機械特性を備える。この透明高耐熱プラスチックはEUと米国では食品の接触に対する適合性が認められており、日本国内では食品衛生法ポジティブリストに適合している。

 同社の「ウルトラゾーン」は、PPSU、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PESU)を含むスルホン系樹脂製品群の登録商標。この高性能素材は、電子機器、自動車、航空宇宙産業にとどまらず、ろ過用メンブレンや、温水や食品と接する部品にも使用されている。同ブランドは、その優れた特性により、熱硬化性樹脂、金属、セラミックの代替として利用することが可能だ。

 

BASF ジャガー・ランドローバー補修塗装で協定締結

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2020年9月18日

 BASFはこのほど、コーティングス事業本部の自動車補修用塗料のプレミアムブランド「R-M」とジャガー・ランドローバー(英国:JLR)が、アジア太平洋市場でのJLRグローバルボディ&ペイントプログラムの開発・実施のためのパートナーシップ協定を締結したと発表した。設備計画、ツール、技術的コンプライアンスなどボディショップのビジネスインフラストラクチャを最優先に考慮し、バランスのとれたアプローチにより、車体修理と補修塗装が業界基準を超えるよう、今後3年間支援する。

 「R-M」は水性塗料やハイソリッド溶剤塗料など環境に配慮した自動車補修用塗料を市場展開し、溶剤削減の法的要件にも対応し、仕上がりや耐久性も溶剤塗料と同等。顧客サポートのための最新補修技術のノウハウ、調色の豊富な専門知識・膨大なデータベースにより多くの自動車企業で採用されている。また、高品質で効率的な補修プロセスのための「RODIM」塗装用副資材も提供している。

 これら保証された方法と専門知識を提供するグローバルな包括的サポートネットワークにより、JLRの厳しい補修要件とプロセス基準を満たすトータルブランドペイントソリューションを実現する。

 BASFの包括的アドバンストビジネスソリューションの革新的サービス、ツール、トレーニング、パフォーマンス管理モジュールにより、JLR認定ボディショップのプロセスと総合パフォーマンスを改善し、同ネットワークと指定小売業者の収益性・効率性の向上を支援。これにより、世界中の同ネットワーク全体で一貫した高い国際標準を保証し、最も効率的なプロセスで最高の修理品質を保証し、最高水準の顧客サービスを提供していく考えだ。

 

BASF 高摺動・耐久ポリエーテルスルホン樹脂を発売

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2020年9月10日

 BASFはこのほど、特に高温オイルと接する自動車部品に適したエンジニアリングプラスチックを上市した。

 ポリエーテルスルホン(PESU)「Ultrason E0510 C2TR」は、卓越した摩擦特性、高耐油性、優れた寸法安定性をもち、広範囲の温度変化にも対応。炭素繊維10%配合の射出成形グレードで、マイナス30℃からプラス180℃の温度範囲で使用できる。粘度が低く流動性に優れ、加工も容易。世界各地に供給する。

 同製品はオイルポンプ、オイルコントロールピストン、圧力バルブ、オートマチック/マニュアルギアボックス内の高速コンポーネントなどのオイルと接する自動車部品や、代替駆動システム向けの新用途に使用可能。

 流動性を生かし、厚さ1mm未満の部品でも安定性や耐久性、耐油性を損なうことなく射出成形できる。熱膨張係数は10.4マイクロ/Kと寸法安定性は高く、低温から高温への急激な温度変化にも耐える。国際規格準拠の試験で、低摩擦熱可塑性樹脂を上回る摺動性(滑りやすさ)を示した。耐摩耗・耐薬品試験でもほとんど変化せず、優れた耐薬品性、耐加水分解性、難燃性と温度安定性、高い剛性と強度といった「Ultrason」の特性も備えている。

 「Ultrason」は今回のポリエーテルスルホン「Ultrason E」のほか、ポリスルホン「Ultrason S」、ポリフェニルスルホン「Ultrason P」などのスルホン系樹脂製品群のブランドで、電子機器、自動車、航空宇宙産業にとどまらず、ろ過膜や、温水や食品と接する部品にも使用され、熱硬化性樹脂や金属、セラミックの代替としての利用もある。

 

BASF 高温耐性PPA使いGEHR社が押出成形品へ

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2020年9月9日

 BASFはこのほど、押出成形で半製品化できるポリフタルアミド(PPA)「Ultramid Advanced N 5H UN」を開発したと発表した。半製品の熱可塑性プラスチック押出成形の世界的リーダーGEHR社(ドイツ)は、同PPAを使って直径50mmの押出成形品の製造に世界で初めて成功した。従来のPPAに比べて扱いやすく、溶融安定性も高いため品質を損ねずに半製品の生産が可能。最終製品に仕上げるための切削加工も容易だ。

 「Ultramid Advanced N」は半芳香族の化学構造をもち、高温下の機械特性、厳しい使用環境下での耐薬品性と耐加水分解性、100℃以上の高温での耐摩擦、耐摩耗性に優れ、湿潤環境下での寸法安定性は全PA中で最高。半製品や小型組立部品の押出成形だけでなく自動車産業、機械工学、厨房設備など幅広い用途にも適する。 

 GEHR社の押出ロッドにより、高温環境で使用される部品や寸法安定性が必要なポンプ部品、歯車、サーモスタットハウジング、スライディングレールなど幅広い用途に使用可能。自動車用途ではモーターやトランスミッションオイル、冷却剤、酸、塩や凍結防止剤と接する部品に特に適する。高温環境でも優れた耐衝撃性と耐摩擦性、耐摩耗性を必要とする部品にも使用可能だ。

 これにより、ポリエーテルエーテルケトンやポリアリールスルホン半製品とエンジニアリングプラスチック半製品との市場ギャップを埋めることができた。

BASF 全製品のカーボンフットプリントを算出・提供

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2020年9月7日

 BASFはこのほど、全製品のCO2排出量(カーボンフットプリント、CF)を顧客に提供すると発表した。製品カーボンフットプリント(PCF)は、原料の調達から生産工程のエネルギー使用など、製品が工場を出るまでの全ての温室効果ガス(GHG)排出量で構成される。

 同社は2007年より、特定製品のPCFは算出してきたが、デジタルソリューションの開発により約4万5000製品のPCFが世界規模で算出可能となった。今後数カ月以内に一部製品・顧客セグメントでの算出を始め、来年末までに全PCFデータを利用可能とする予定。

 M・ブルーダーミュラー会長は「サステナビリティとデジタル化は企業戦略の中心的要素だ。PCFの算出はこれらを進め、透明性を高め、最終製品に至るバリューチェーンでのCO2排出削減計画を構築できる」、コーポレートサステナビリティ部門のC・イェケル氏は「環境保護の重要性は高まっており、今後は、顧客の気候関連目標の達成を信頼性の高いデータでサポートする。PCFの活用でCO2排出回避のポイントも特定可能だ。すでに一部製品では代替原料や再生可能エネルギーを使用し、CO2削減に貢献している」と述べている。

 同社のバイオマスバランス・アプローチでは、化石資源を有機廃棄物や植物油由来の再生可能原料に置換し、その量を製品に割り当てる。「ChemCycling」プロジェクトもマスバランス方式。今年から、ケミカルリサイクルした原料を使用した製品を商業規模で供給。両アプローチによる製品は、化石原料由来の製品と同等特性のままでPCFを軽減した。

 環境保護は重要な戦略要素で、今後の成長下でも生産関連の排出量を2030年まで一定に抑えるのが目標。生産・プロセス効率の向上、再生可能エネルギー由来の電力調達、革新的な低排出プロセスの構築の3つのアプローチを追求する。

 同社のPCFは、25年のサステナビリティ評価実績を踏まえ、生産ネットワークの排出量集積データと、調達原料やエネルギーに関する平均化データに基づいて算出。ISOやGHGプロトコル製品基準などのライフサイクル分析の基準に沿ったもの。

 BASFは公平に製品比較できる基準を作るため、製品向けPCF算出用ガイドラインの化学業界への導入に注力。様々なパートナーと協力し、標準化を推進していく考えだ。