《化学企業トップ年頭所感》JSR エリック・ジョンソンCEO

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2021年1月7日

 COVID-19は、我々の健康と経済に対して大きな脅威であり続けている。主要国の金融・財政政策により、ある程度衝撃が緩和されているとはいえ、世界中の人々の苦しみは察するに余りある。地政学的な面で多くの変化が見られ、気候危機の影響も加速している。

 JSRグループは、こうした不確実性の高い状況を見据え、真の意味でレジリエンスの高い組織を目指し、強固なインフラを構築する取り組みを加速させている。

 足元では、今後も大きな成長が見込まれるライフサイエンス事業と半導体材料事業について、品質と信頼性を最重要視しながらイノベーションを提供するという事業戦略の下、必要な投資を実施している。一方、一部の事業が依然として厳しい状況にあるため、引き続き構造改革を進める。

 将来に向けては、JSRグループがテクノロジー企業であるということに大きな期待をもっている。R&Dをベースにイノベーションを確実に商業化する能力を原動力に、マテリアルズインフォマティクス、バイオインフォマティクス、量子化学計算技術などの重要分野に投資を行ってきた。様々な新技術が人々の生活に影響を与え、多くのビジネスが再構築されることになるが、こうした変化の最前線に立ち続けていきたいと考えている。

 最後になるが、「サステナビリティ」は企業の長期的な強さの源泉だ。気候危機や社会変動の深刻度が増し、政府レベル、そして草の根レベルでも、人々の行動や興味が変化しており、こうした変化は企業が行動を起こすきっかけとなっている。

 JSRグループは、気候危機や社会変動、そして従来の株主価値を重視する姿勢からすべてのステークホルダーへ価値を提供するという方針転換を、脅威ではなく機会として捉え、企業の社会的価値を最大化させ、そうした価値をすべての事業活動に組み込んでいきたいと考えている。