《化学企業トップ年頭所感》日本触媒 五嶋祐治朗社長

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2021年1月12日

 昨年は、コロナに明けてコロナに暮れた1年だった。業績の急激な悪化や三洋化成工業との経営統合の中止という、大変厳しい結果に深くお詫びする。

 今年は、中期経営計画期間が3月末で終了する。経営環境の劇的な悪化も加わり目標達成は困難となったが、得たものも多く、それらをどう生かすかが課題だ。SAPサバイバルプロジェクトによるコスト削減、新規事業分野への挑戦、仕事革進活動など、今後さらに応用・展開・進化させていく。

 コロナ禍影響が続くため、4月からの2021年度は単年度予算で進め、次期中長期経営計画は2022年度から開始する。そこでは、既存事業の強みを再強化して安定収益源とし、技術基盤を生かした新規事業の展開で事業領域を広げ、外部環境変化に対する耐性強化を主眼とした成長戦略を構築する。あわせて、規模や収益力の増強に加え、環境負荷低減などサステナブル社会への貢献にもつながる経営計画を目指す。

 まずは足元の業績の立て直しを確実に図る。即効性のある方策だけではなく、将来にもつながる踏み込んだ方策にも着手している。新規事業テーマも個々の事業性を再確認し、優先順位を見極めながら集中的に進めていく。これらの方策で、2年以内の業績回復を図る計画だ。私自身もこれまで以上に危機感をもち、時には大胆な決断をもってやり抜く覚悟で臨むので、皆さんの結束と参画を是非お願いする。いざという時の結束力と集中力、解決力は当社伝統の力だ。今回も必ず結果を出していこう。

 今年は創立80周年を迎え、発行準備中の社史には当社の歴史を再確認できる記録がたくさん載せてある。次の100周年に向けて拠り所とすべき手掛かりを学び、将来に向けて「TechnoAmenity」という当社企業理念を生かし、さらなる成長を果たすための計画に結び付けなければならない。足元の環境や業績は最低の状態で発射台は低く、伸びしろは大きい。このような前向きな気持ちで、この節目の年を元気よくスタートしよう。

 今年も安全・安定操業をしっかりと継続し、皆さんとともに健康で幸多い年となることを祈る。