三菱ガス化学 環境循環型メタノール構想で脱炭素社会へ

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2021年4月16日

 三菱ガス化学はこのほど、CO2と水素からメタノールを製造する実証実験を7月より開始すると発表した。併せて、大気へ排出されるCO2や廃プラスチックなどをメタノールに変換し、化学品や燃料・発電用途にリサイクルする「環境循環型メタノール構想」により産業横断的な提携を進め、脱炭素・循環型社会の実現に向けた取り組みを加速していく。

 メタノールは基礎化学品として用途が広く、エチレンやプロピレンへの転換のほか、水素の輸送媒体や船舶・ボイラー用燃料などのエネルギー用途への展開も期待されている。同社は自社触媒によるメタノール合成技術の蓄積をはじめ、海外の製造拠点での操業経験や製造ノウハウをもち、CO2と水素によるメタノール製造技術の開発に早くから取り組んでいる。

 今回、新潟工場のメタノールパイロット設備を改造し、各種試験や連続運転(CO2処理量:約1.5t/日)を通じて、排出CO2や多様な原料ガスからのメタノール合成プロセスの最適化を検討していく。またエンジニアリング会社・水素プラント会社などと連携し、CO2分離・回収、再生可能エネルギーからの水素製造、ガス化炉ガスなどの合成ガス製造技術などで協業を図る。来年中にCO2と水素からのメタノール製造技術のライセンス供与を開始する計画だ。

 さらにバイオマスや廃プラスチックなどを利用したCO2を含む多様なガスからのメタノール製造技術の新規開発・技術確立を行い、2023年内のライセンス供与を計画している。それに併せて、デジタル技術によるプラント運転操作の自動化、遠隔での運転支援システムによる技術支援など、より安全で効率的な生産形態を提供できるように整備する。メタノールの有効活用や販売についても、導入先の企業(発電、化学、石油精製、鉄鋼など)や自治体(焼却炉施設など)の要望に応じて柔軟に提案していく。

 これら脱炭素化や循環型社会のための総合的な取り組み(ライセンス供与、運転・メンテナンス技術支援、製品引取)により、CO2排出削減や資源再利用を基盤とした産業横断的・官民協力の取り組みを進め、新たな成長を促す産業構造や経済社会の変革に貢献していく。