日本ゼオンの3月期 第4四半期に両事業の利益が上振れ

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2021年5月6日

 日本ゼオンは28日、2021年3月期の連結業績を発表した。売上高は前年比6%減の3020億円、営業利益28%増の334億円、経常利益35%増の387億円、純利益37%増の277億円。

 同日に開催されたオンライン会見の中で、松浦一慶取締役執行役員は「第4四半期は、合成ゴムの需要回復などを受け、前年同期・前期と比較し増収増益となった。高機能材料も大型テレビ向けの需要が底堅く推移し、光学樹脂、電池材料なども需要が堅調だった。1月の通期業績予想を上回る着地となり、純利益は過去最高となった」と総括した。

 セグメント別に見ると、エラストマー素材事業部門は減収増益。合成ゴム関連では、年度後半は主要市場である自動車産業向けを中心に需要は回復傾向となったが、年度前半の落ち込みをカバーするには至らなかった。合成ラテックス関連では、化粧品材料や一般工業品、樹脂改質用途などの需要が低調に推移したが、新型コロナの感染拡大を背景に医療・衛生用手袋向けの需要が拡大した。化成品関連では、欧米、アジアとも需要は底堅く販売数量は前年を上回った。

 高機能材料事業部門は増収増益。高機能樹脂関連では、光学樹脂、光学フィルムともに販売が堅調に推移した。高機能ケミカル関連では、トナーおよび電池材料は前年実績を下回った反面、化学品は上回った。電子材料は減収増益だった。その他の事業部門は減収増益だった。

 なお、今年度の通期業績予想については、売上高3%増の3100億円、営業利益1%減の330億円、経常利益10%減の350億円、純利益10%減の250億円を見込む。松浦執行役員は「昨年度はコロナ影響でエラストマーや電池材料の販売数量が落ちた。今年度は、販売数量は戻ってくると見ているが、コンテナ不足といった物流費の高騰、販管費の増加、水島工場の定期検査費用などの要因により、昨年度並みの営業利益となる」との見通しを示した。