ENEOSホールディングスの3月期 石油製品マージン良化などで増益

,

2021年5月13日

 ENEOSホールディングスが12日に発表した2021年3月期の連結業績(IFRS)によると、売上高は前年比24%減の7兆6580億円、営業利益2542億円(前年は1131億円の損失)、純利益1140億円(同1879億円の損失)となった。なお、在庫影響を除いた営業利益相当額は1188億円増の2155億円だった。新型コロナウイルス感染症の影響に伴う石油製品の販売減や銅生産量の減少があったものの、堅調な石油製品マージンと機能材料・薄膜材料の増販などが増益に寄与した。

 セグメント別で見ると、エネルギー事業は営業利益1211億円(同1628億円の損失)、在庫影響除き営業利益89%増の824億円。コロナ禍で石油製品や石油化学製品の需要が大きく減少し、ジェット燃料、軽油、ガソリンを中心に販売数量が前期比減となった一方で、国内の石油製品マージンが堅調に推移した。利益面では販売数量の減少、製油所・製造所の生産効率化に伴う一過性損失、電力卸価格の高騰などの影響を受けたが、石油製品マージンの良化と経費削減などが寄与した。

 石油・天然ガス開発事業は、営業利益28億円(同388億円の損失)。感染防止策を徹底し、石油・天然ガスの安定生産を維持するとともに、EOR技術の向上やデジタル化の推進などにより、既存事業の価値最大化と、成長事業と位置づける環境対応型事業の推進に取り組んだ。利益面では、原油や天然ガスの価格下落による悪化影響を受けたものの、減損損失の反転により増益に転じた。

 金属事業は、在庫影響除き営業利益63%増781億円。カセロネス銅鉱山では感染防止策を実施し操業を継続したが、採掘に遅れが生じたため生産量が前年に比べて減少した。一方、機能材料事業と薄膜材料事業の各製品の販売量は、テレワークの浸透などによるスマートフォン、サーバー、通信インフラをはじめとする高機能IT分野での需要増加を主因に、おおむね前期を上回った。利益面では、カセロネス銅鉱山での生産減の影響があったものの、銅価格の上昇と機能材料・薄膜材料の増販などにより増益となった。

 なお、2022年3月期の通期連結業績は、売上高24%増の9兆5000億円、営業利益2%増の2600億円、純利益23%増の1400億円、在庫影響除き営業利益は7%増の2300億円を見込む。