代表取締役社長 吉野 巌氏
マイクロ波により、化学産業の製造プロセスに革新を起こす
電子レンジで使われているマイクロ波(電磁波)は、物質を直接・瞬時に加熱できる、極めて高効率なエネルギー伝達手段。近年では、地球温暖化問題を契機に環境意識が高まっており、CO2削減に貢献できるマイクロ波技術に注目が集まっている。
2007年に設立されたマイクロ波化学は、化学産業にイノベーションを起こすことをミッションに掲げている。化学産業では外部から加熱してモノを作るプロセスが100年以上変わらずに使われており、マイクロ波技術に転換することでエネルギーの効率化、省エネ、環境負荷の低減が期待できる。カーボンニュートラル(CN)がフォローの風となり大きなビジネスチャンスを迎えている中、吉野巌社長に、これまでの取り組みや今後の展望などを聞いた。
━会社の概要をお聞かせください。
当社は、マイクロ波をキーワードに研究開発を行い、技術プラットフォームを確立した。それをベースに反応系と装置をデザインし、マイクロ波プロセスとして提供している。
技術の基盤は、物理と化学と化学工学だが、ラボ実験から工場立ち上げまでカバーするため、当社には多様な人材が揃っている。社員約60名のうち、技術系は物理と化学領域のサイエンティストと、エンジニアが半分ずつ在籍している。
技術の導入・実施にはエンジニアリングが重要であるが、シミュレーションの専門家も必要となる。足元では、多様な案件に適用することで、汎用化に向けた技術プラットフォームのさらなる強化に取り組んでいる段階だ。また、科学的知見も重要となるため、