NEDO 無電力熱エネ輸送のループヒートパイプを開発

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2020年11月4日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、未利用熱エネルギー革新的活用技術研究組合(TherMAT)と名古屋大学とともに、世界最大6.2kWの熱エネルギーを無電力で輸送できるループヒートパイプを開発した。3者は、エネルギーの供給過程で排出される未利用熱の革新的活用技術に関する研究開発に取り組んでいる。

世界最大6.2kWの熱エネルギーを無電力で輸送できるループヒートパイプ
世界最大6.2kWの熱エネルギーを無電力で輸送できるループヒートパイプ

 近年、工場排熱や自動車エンジンからの排熱など、これまで未利用であった熱エネルギーを有効活用する技術が注目されている。このような熱は、排出されている場所が利用先から離れている場合が多く、有効利用のためには、高温の熱源から利用先まで熱を損失なく運ぶ熱輸送技術が極めて重要になる。

 こうした中、2009年に名古屋大学は、電力を使用することなく半永久的に大量の熱輸送を可能にするループヒートパイプ技術を開発。ループヒートパイプは、多孔体が液を吸い上げる毛管現象を駆動源としており、高温廃熱を動力源として駆動することができるため、電力不要の熱輸送技術として期待されており、近年、スマートフォンなどの電子機器への適用が広がっている。しかし、これまでは熱輸送量が数百W程度と少なく、自動車や工場の排熱利用に適用できるような大量の熱輸送を行うことができなかった。

 そこでNEDOは、TherMATと名古屋大学とともに、未利用熱エネルギーの革新的活用技術研究開発事業の一環として、「ループ型ヒートパイプの研究開発」に取り組み、今回、大熱量ループヒートパイプを開発し、電力を使わずに6.2kWという世界最大の熱エネルギーを2.5m輸送することに成功した。

 今後、自動車のエンジンや工場からの排熱利用、電気自動車やデータセンターの機器類の熱マネジメント、大型発熱機器の冷却などへの適用を図り、抜本的な省エネルギー化を目指す。

日本ペイント 自動車補修用のオール水性塗料システムを発売

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2020年11月4日

 日本ペイントはこのほど、自動車補修用の次世代型オール水性システム「nax E-CUBE(イーキューブ)WB水性システム」に作業者の健康配慮と環境負荷低減を両立させた新製品「(2:1)NNクリヤー」と「プラサフ ヴィータ」を加え全面リニューアルしたと発表した。

 環境問題が重視される中、自動車補修業界でも従来の溶剤系塗料から環境に配慮した水性塗料への置き換が進むが、水性塗料では溶剤系塗料並みの乾燥性と仕上がり性は困難で、カラーベース(色彩や意匠)に留まっていた。また、生産性向上だけでなく、作業者の健康や環境への意識が高まり、働きやすい安全・安心な職場環境を実現するため、クリヤー(光沢と耐候性)やプラサフ(プライマーとサーフェーサー兼用の中塗り)の水性化も求められてきた。

 「nax E-CUBE WB水性システム」は人と環境の両面に配慮した次世代型オール水性システムで、VOC排出量は溶剤系システム比で約70%削減し、作業性向上と環境負荷低減を同時に可能とした。「(2:1)NNクリヤー」は70℃20分の乾燥でポリッシュ可能な速乾性と同社溶剤系クリヤーと同等の高外観を備え、「プラサフ ヴィータ」はパテ巣穴隠ぺい性を維持しつつ乾燥性を向上させた。今後はウェットオンウェットやグレーバリエーション仕様の設定など、さらなる作業効率の改善に取り組む。

 2005年よりキーコンセプトとして掲げている「E-CUBE」は3つのE(Easy×Exciting×Ecology)を表すが、今年、鈑金塗装事業のサスティナビリティに係るもう1つのE(Engagement)を加えて「E3 PLUS」とした。従業員の会社への愛着、鈑金塗装事業者と顧客や周辺地域との絆といったエンゲージメントを強めることで、一層のサスティナブルな事業経営を実現していく考えだ。

日本ペイント 自動車補修用

BASF MBCCグループに建設化学品事業の譲渡を完了

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2020年11月4日

 BASFはこのほど、世界的な投資ファンドであるローンスターの関連会社への建設化学品事業の譲渡を完了したと発表した。売却価格は、現金および負債がゼロの状態で31億7000万ユーロ(約3860億円)。これに伴い建設化学品事業は新たに設立されたMBCCグループ(ドイツ・マンハイム)に引き継がれる。日本では同グループ傘下の、ポゾリスソリューションズとして、引き続き事業を運営する。

 BASFの同事業は約7500人の従業員で、60カ国以上に生産拠点と販売拠点を展開し、昨年の売上高は約26億ユーロ(約3170億円)だった。

エア・ウォーター、宇宙ベンチャーのロケット開発に協力

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2020年11月4日

 エア・ウォーターとエア・ウォーター北海道(北海道札幌市)はこのほど、スペースウォーカー(SPACE WALKER:東京都港区)と北海道大樹町で打ち上げを計画する同社のサブオービタルスペースプレーンの設計・開発・運用での協力関係構築の基本合意書を締結したと発表した。

 スペースウォーカーは東京理科大学発の宇宙ベンチャー企業で「宇宙が、みんなのものになる。」というスローガンの下、飛行機に乗るように自由に宇宙を行き来できる未来を目指している。弾道軌道で高度約100㎞に到達し、有翼飛行で帰還・着陸するサブオービタルスペースプレーンの設計・開発、運航サービスの提供を目的に2017年に設立。現在は技術実証機の設計・開発や、2020年代前半の打ち上げに向け同スペースプレーンの設計・開発を進めている。大樹町では「北海道スペースポート構想」の下、官民一体となり「宇宙のまちづくり」を進め、発射場の整備や滑走路の延伸・新設など航空宇宙産業の形成を推進中だ。

 一方、エア・ウォーターは1970年代から宇宙ロケット開発に携わり、供給設備の納入や大学との研究開発のほか、北海道内トップの産業ガスメーカーとして製造・貯蔵・運搬・使用方法の豊富な知見と技術をもつ。搭載予定のLOX(液体酸素)/メタンエンジンでの燃料メタン(LNG)などの産業ガスの利用を検討する。

 今後、ロケット打ち上げ時の液体酸素やメタンなどの供給、バイオ液化メタンのロケット燃料での実証試験や地上設備に関する検討を共同で行う。宇宙産業という先進技術への挑戦を通じて、北海道の未来に貢献していく考えだ。

富士フイルム 英拠点に遺伝子治療薬専用の開発・製造施設新設

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2020年11月4日

 富士フイルムはこのほど、バイオ医薬品の開発・製造受託事業(CDMO)をさらに拡大するため、バイオ医薬品CDMOの中核会社フジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズ(FDB)の英国拠点に設備投資を行い、遺伝子治療薬専用のプロセス開発・原薬製造施設を新設すると発表した。来年春に生産プロセス開発、同年秋に原薬製造の受託を開始する予定。遺伝子治療分野の受託ビジネスを米国市場から欧州市場にも拡大し、事業成長を加速させる考えだ。

 遺伝子治療薬は、疾患原因となる遺伝子をもつ患者にウイルスなどを利用して外部から正常な遺伝子を導入して治療する、最先端のバイオ医薬品。製造には複数の遺伝子を細胞に導入する高度なバイオテクノロジーやウイルスの封じ込め技術・設備、製造に最適なプロセス開発が必要になる。優れた技術・設備をもつCDMOに遺伝子治療薬の生産プロセス開発と製造の一括委託のニーズが高まり、需要も伸びている。

 富士フイルムは2014年に米国市場で遺伝子治療薬のプロセス開発・製造受託ビジネスを開始。ビジネス拡大のためFDBの米国テキサス拠点に遺伝子治療薬専用のプロセス開発棟新設と製造設備増強を進め、来年には生産プロセス開発から原薬製造、製剤化までをワンストップで受託できる体制が整う。

 今回、欧州市場への展開のため、FDBの英国拠点に専用のプロセス開発・原薬製造の施設を新設する。細胞培養・精製のプロセス条件の実験・分析機器や細胞培養タンクなどの導入と、FDBテキサス拠点の遺伝子治療薬のプロセス開発ノウハウや製造技術も投入。生産プロセス開発から初期臨床試験用治験薬の原薬製造まで、顧客の新薬の早期開発を支援する。さらに、現地の受託要請や顧客の新薬開発の進展に応じて大量生産に必要な原薬製造設備の増強も検討していく。

 今後、富士フイルムはFDBの英国とテキサス両拠点の設備を活用し、遺伝子治療薬の開発・製造受託ビジネスを拡大していく考えだ。

帝人の4-9月期 コロナ影響でマテリアルが赤字に

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2020年11月4日

 帝人は2日、2021年3月期第2四半期(4-9月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比10%減の3941億円、営業利益8%減の311億円、経常利益9%減の302億円、純利益22%減の160億円となった。

 電話会見で園部芳久代表取締役専務執行役員CFOは「売上高は、マテリアル事業での自動車・航空機用途の需要減や、薬価改定影響があり減収となった。営業利益はマテリアル事業の赤字が響き減益となったが、 “帝人の4-9月期 コロナ影響でマテリアルが赤字に” の続きを読む

住友化学 税務方針を制定、ガバナンス強化の一環

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2020年11月4日

 住友化学は2日、「住友化学グループ税務方針」を制定したと発表した。同方針は、同社グループのコーポレートガバナンス強化の一環として、これまでの税務に関する取り組み方針を明文化したもの。

 2012年に経済協力開発機構(OECD)で発足した「BEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクト」を契機として、租税回避行為の防止に向けた国際課税ルールの見直しが各国・地域で進められている。このような世界的な税務コンプライアンス強化の動きのほか、企業によるグローバル展開の拡大などに伴い、企業グループが抱える潜在的な税務リスクの規模や複雑性が増大。住友化学グループは、現在、世界の約30カ国で事業展開をしており、納税を企業が果たすべき最も基本的かつ重要な社会的責任の1つと捉えている。これまでも、各国・地域で適用される税法を順守し、適切な納税を行ってきたが、税務コンプライアンスと税の透明性確保に向けた取り組みを全グループ会社がより高いレベルで実行するため、方針を制定した。

住友化学グループは、コンプライアンスを企業経営の根幹と位置づけ、引き続き、事業活動を行っている各国・地域では、諸法令はもとより、企業倫理の順守を徹底していく。

アジア石化市況 エチレンは8週ぶりにマイナス

2020年11月3日

ブタジエンは強含み継続、SMは約90ドル高に

 アジア地域の10月第3週の石化市況では、エチレンは下値30ドル安、上値20ドル安の820~870ドル/tでの取引となった。8月第3週以来8週ぶりのマイナスとなり、スプレッドも

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