宇部興産 ポリイミドフィルムの工場を増設、能力20%増

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2021年12月9日

 宇部興産は8日、ポリイミド(PI)フィルム「ユーピレックス」の新工場を宇部ケミカル工場(山口県宇部市)内に建設することを決定したと発表した。2024年10月試運転開始予定で、生産能力は20%増加となる。

 既にPI原料モノマーであるBPDA(ビフェニルテトラカルボン酸二無水物)工場の増設を進めており(2023年度下期稼働予定)、今回、PIフィルムも増産することで、顧客への安定供給とともにPI事業の更なる拡大を図る。PIフィルムは、電子情報関連機器の回路基板材料などに使用されており、スマートフォン、パソコン、デジタル家電、車載などの市場拡大や高機能化に伴い、今後も需要拡大が見込まれる。

 同社独自のBPDA系熱イミド法で製造される「ユーピレックス」は、他のPIフィルムと比較して耐熱性・機械的特性・寸法安定性に優れ、LCD(液晶表示装置)やOLED(有機ELディスプレイ装置)分野向けを主体としたCOF(チップ・オン・フィルム)用途で高い市場シェアを獲得。また、FPC(フレキシブル・プリント回路基板)用途でも需要が好調に推移している。このような旺盛な需要に対応するため、積極的な生産能力増強と安定供給体制の確保が必要と判断し、今回の増強決定に至った。

 新工場は生産性を更に向上させる技術も導入し、様々なグレードを機動的に生産できる工場となる予定。宇部興産は2022年4月から「UBE株式会社」に商号変更し、化学事業会社として新たな一歩を踏み出す。今後、スペシャリティ化をより一層推進し、市況の変動に左右されにくい、レジリエンスと成長性を兼ね備えた事業体を目指す中で、その牽引役としてPI事業は、原料からフィルム・ワニスまでの一貫生産による強みを生かし、これからも収益拡大に一層寄与すべく、事業基盤の強化・拡大を図っていく。

クラリアント 水蒸気メタン改質のCO2削減技術を展開

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2021年12月8日

 クラリアントはこのほど、テクニップ・エナジーズ社(フランス)とともに、水蒸気メタン改質による持続可能な水素製造に向けた画期的な「復熱式改質テクノロジー『EARTH』」を共同開発し、本格販売を開始した。

 クラリアントの触媒技術とテクニップ・エナジーズ社の特許技術とのコラボレーションで開発を行い、「EARTH」は「水素用拡張環状改質チューブ」の頭字語を取ったもの。水蒸気メタン改質装置内の同心チューブ部品と、外部環状スペースに装填された構造体触媒からなる。

 新設計の構造化触媒は、圧力損失が少なく活性と熱伝達を最大化する。また安定性と機械的堅牢性に優れ、改質プロセス中の熱的・機械的応力や触媒床の体積減少時でも性能を維持する。ドロップインソリューションとして設計され、既存・新規の改質装置チューブに対応し、熱の回収と高い変換率を同時に実現する。

 2019年に開始したトルコのAkkim社の水素工場での先行運用では、CO2排出量は20%減少し、化石燃料消費量は約40%低減した。すでにスペインのRepsol社から、2023年稼働開始予定のスペイン・カルタヘナの2万1千N㎥/h規模の水素工場と、欧州にある既存水素工場のアップグレードの2件を受注。CO2排出量の削減が求められる炭化水素からの水素生産に対し、持続可能性の目標達成と工場の生産性と効率の改善といった、環境・経済の両面で大きな成果が期待される。

日本ガイシ BASFのアントワープ拠点でNAS電池運用

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2021年12月8日

 日本ガイシはこのほど、BASFのアントワープ統合生産拠点(ベルギー)に納入した電力貯蔵用NAS電池が運用を開始したと発表した。コンテナ型NAS電池4台で構成され、最大出力1000㎾、容量は5800㎾時。

 NAS電池は日本ガイシが世界で初めて実用化したメガワット級の電力貯蔵システムで、全世界で約200カ所の納入実績がある。負極にナトリウム、正極に硫黄、電解質にファインセラミックスを使った二次電池で、大容量、高エネルギー密度、長寿命が特長で、サイズは鉛蓄電池の約3分の1だ。

 日本ガイシとBASFの子会社BASF New Business(BNB)は、2019年にNAS電池の販売提携契約と次世代ナトリウム硫黄電池の共同研究契約を締結。日本ガイシの電池のシステム設計・製造技術と、BASFの化学の知見を融合させ、さらなる開発に向けて協力している。

 今回BNBは、自社でNAS電池システムを保有・長期運用することで、顧客視点のメリットや具体的な使用用途を検証し、最適なビジネスモデルの構築を目指す。両社は、顧客に包括的な提案ができるようになり、今後の開発のための有用なデータが収集できるとしている。

三井化学 日本エム・ディ・エムと資本・業務提携締結

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2021年12月8日

 三井化学は7日、整形外科用の医療機器を製造販売する日本エム・ディ・エム(東京都新宿区)との間で資本および業務提携契約を締結するとともに、同社筆頭株主の日本特殊陶業がもつ日本エム・ディ・エム全株式を取得することで合意したと発表した。794万2764株(発行済み株式総数の30%)を取得することで日本エム・ディ・エムに資本参加。2022年1月7日の株式取得完了を予定する。

両社の知見を活用し、事業開発と海外事業の拡大を推進

 三井化学は、今回の資本・業務提携を起点に、化学の力に基づく革新的な部材の開発と供給に加え、患者・医療従事者をはじめとする医療に関わる全てのステークホルダーへのソリューション提供まで踏み込み、人々の命への貢献を目指す考えだ。具体的には、三井化学グループがもつヘルスケア分野での開発・製造の機能と、日本エム・ディ・エムグループがもつ医療機器分野の薬事・開発、販売ネットワークを互いに有効に活用することで、両社の協業可能性を追求し事業開発と海外事業の拡大を促進していく。

 三井化学は、6月に発表した長期経営計画「VISION2030」の中で、「ライフ&ヘルスケア・ソリューション」事業を第一の柱として成長させていくポートフォリオ変革を掲げた。事業内容もこれまでの素材提供に留まらず、サービスなどの要素も組み合わせて社会課題解決を実現する「ソリューション型ビジネスモデル」を志向。また、高齢化社会に対して整形外科領域での医療機器事業を通じてあらゆる人々のQOL(生活の質)向上に寄与していくことが、同社の果たすべき重要な役割と捉えている。

新日本理化 樹脂改質剤4製品がバイオマスマーク取得

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2021年12月7日

 新日本理化はこのほど、樹脂改質剤4製品について日本有機資源協会が運営するバイオマスマーク(生物由来資源を活用した環境商品の目印)の認定を取得したと発表した。

 認定を取得した製品は、「リカビニーテル」シリーズ2品目、「サンソサイザー」シリーズ1品目と開発品1品目。いずれも、再生可能資源である天然油脂を主原料とし、樹脂のバイオマス度を向上させることから、プラスチック素材の環境負荷低減が期待されている。

 「リカビニーテル」2品目は、アブラヤシから採取されるパーム油を主原料にした製品で、バイオマス度は85%以上。主に接着剤や塗料、コーティング剤、潤滑剤などに使われる。

 「サンソサイザー」1品目は大豆油を原料に製造されるバイオマス度90%以上の製品で、主に食品包装用フィルムとして使用されるほか、エポキシ樹脂や生分解性樹脂の機能を拡張・改善する添加剤としての用途もある。

 一方、開発品はバイオマス度60%の汎用改質剤。バイオマスマーク取得を機に、同製品のサンプルワークを進めるとともにマーケットニーズを吸い上げ、今後の製品開発に生かしていく考えだ。

 新日本理化は、2025年度を最終年度とする中期経営計画の中で、「環境・社会・人(命)にかかわる課題に果敢にチャレンジし、価値創造企業を目指す」というコンセプトを掲げる。引き続きバイオマス由来製品のラインアップ拡充を図り、持続可能な社会の実現に貢献していく。

ダウ カーボンニュートラルに貢献するシリコーン提供

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2021年12月7日

 ダウは近日中に、建築物のファサード(正面から見た外観)に使用するカーボンニュートラル(CN)シリコーンを提供するためのサービスを発表する。

 SSG構法、複層ガラス、ウェザーシールに使用されるCNシリコーンは、国際認証であるPAS2060認証を取得。この画期的な技術革新により、建築物の設計者は、より少ない環境負荷でより自由に設計することが可能になる。

 建築ファサード担当グローバルセグメントリーダーのマーカス・プレト氏は、「建築ファサード用「DOWSIL」シリコーンのCNプログラムの商業導入は、シリコーンのCN化における真の進化を意味する」と述べている。

 ワールド・グリーン・ビルディング・カウンシル(WGBC)によると、世界のCO2排出量の約39%を建築部門が占める(内包された炭素と建物の運営の両方を含む)。ダウのシリコーン製品の製造にはエネルギーが必要になるが、これらの製品を使用することで、プレハブのファサード要素やガラス断熱材などの用途においては非常に低いエネルギーしか必要とせず、建物のエネルギー効率の大幅な向上に貢献する。さらに、その実証済みの耐久性により、断熱化された建物の外壁を50年以上も維持できる。

 グローバル・シリコーン・カウンシル(GSC)によると、シリコーンシーラントで必要とされるエネルギーまたはカーボンは、断熱ガラス用のシリコーンシーラントを製造するために必要なエネルギーと比べて最大20倍も節約。CNシリコーンにより、ダウ製品の構成要素であるシリコーンポリマーの製造に必要な炭素を正味ゼロにできる。

 CNシリコーンを特定の建築プロジェクトに使用することは、特にダウが独自の立場を確立する金属ケイ素の製造プロセスにおいて革新的な提案となる。長期的な性能やカーボンフットプリントだけでなく、エネルギーや温室効果ガス(GHG)排出量の削減に貢献する機能を建物に付与できるため、建築や建設において、シリコーンは今後も選ばれる技術であり続ける。

 CNシリコーンは、PAS2060認証を取得しており、国際的なグリーンビルディング認証のポイント加算に貢献できる。また、各製品は環境製品宣言(EPD)も取得しているため、製品のライフサイクルにおける環境影響について、透明性のある比較可能な情報を開示する。

デンカ 青海工場が操業100周年、今後も持続的な成長図る

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2021年12月7日

 デンカは6日、青海工場(新潟県糸魚川市)が今年12月で操業100周年を迎えたと発表した。

 青海工場は隣接する黒姫山の石灰石や自家発電電力などの資源を有効に生かし、1921年(大正10年)にカーバイドの製造から操業を開始。独自のカーバイドチェーンにより石灰窒素肥料、セメント・特殊混和材などの無機化学品から特殊合成ゴム、高分子ヒアルロン酸製剤などの有機化学品に至るまで、幅広い製品を生産する主力工場であり続けている。

 また、2018年には工場部門間の一体的・機能的な運営や地域との相互交流の中枢(ハブ)として新総合事務所「オーミ イノベーション ハブ」を竣工するなど、社員の働きやすい環境づくりにも注力している。

 一方、同工場では操業と同時に自家水力発電所も稼働しており、今年1月には新たな自家水力発電所である新青海川発電所の送電を開始した。現在は合計16カ所、約17万世帯の電力分に相当する最大出力12.6万㎾(国内民間製造業では第2位の規模)の発電能力を保有。来年4月には新姫川第6発電所の送電開始を予定するなど、クリーンエネルギーの利用拡大を進めている。

 さらに、カーボンニュートラル実現に向けたCCUSの開発・実装展開の技術開発や、CO2吸収型コンクリート「CO2‐SUICOM」の普及に向けて、キーマテリアルとなる特殊混和材「LEAF」の研究開発に取り組むなど、スペシャリティー化を推進している。

 同社は今後も青海工場を重要拠点と位置づけ、地域の皆様とともに同工場の持続的な成長を目指していく。

太陽石油 BCP訓練を東京本社と南西石油で実施

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2021年12月6日

 太陽石油はこのほど、巨大地震発生時における事業継続計画(BCP)対応訓練を、東京本社と南西石油(沖縄県)の合同で実施した。東京本社では役員2名を含む23名が、南西石油では役員1名を含む12名が参加している。

 同社では、巨大地震などの災害発生時においても石油製品の安定供給の責務を果たすために、南海トラフ巨大地震や首都直下地震、地域的な地震を想定したBCPを策定。訓練や教育などを通じ、BCPに基づく対応能力の継続的な向上、課題改善に取り組んでいる。

 今回は、琉球海溝三連動地震(沖縄)の発生により関連会社である南西石油が被災したとの想定のもと、合同で訓練を実施。参加者には訓練シナリオは事前に開示せず、同社と情報連携を行いながら、BCPの実行的運用の確認と対応力の習熟を図った。

 両社合同でのBCP訓練は今回が初の試みであり、双方で連携の確認や強化を図るとともに、新たな課題の抽出を行った。今回、明確になった課題を踏まえ、より実効性、有効性を高めるための対応を進めていく。太陽石油は今後も、訓練や教育などを計画的に実施することで、有事の際における石油製品の安定供給に向けて取り組んでいく。

出光興産 D&I推進委員会の活動を開始、新たな価値を共創

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2021年12月6日

 出光興産はこのほど、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)をさらに推進することを目的に「D&I推進委員会」を設立し活動を開始したと発表した。

 同社は、2030年に向けた企業ビジョンを「責任ある変革者」と定め、環境や地域の課題解決に貢献するエネルギーと素材の供給、次世代モビリティ&コミュニティの創出、先進マテリアルの開発に取り組んでいる。2030年ビジョンの実現に向けて、大きく事業構造を変革していくうえで重要なのが、「オープン・フラット・アジャイルな企業風土醸成」であり、その根底をなすのが「D&I」。

 多様な従業員が成長・活躍し、イノベーションを創出し続けるため、同社はD&Iの推進を経営戦略と位置付ける。この取り組みをさらに加速させるため、経営陣を責任者とした「D&I推進委員会を設立し、先月、キックオフ・ミーティングを開催した。今後は、人事部内に設置したD&Iの専門組織である「D&I推進課」および会社横断的に活躍する「D&Iワーキング」と連携していく。

 同社は今後も、D&I推進の取り組みを通じて、多様な従業員が成長・活躍し、イノベーションを創出し続ける企業を目指す。

D&I推進体制

宇部興産など 中国地域のCN電力推進部会、活動を開始

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2021年12月6日

 宇部興産など8者はこのほど、中国経済連合会が設立した「カーボンニュートラル(CN)推進協議会」の専門部会の一つとして設置された「CN電力推進部会」に参画し活動を開始した。今後、同部会において、中国地域におけるCN電力の需給拡大の推進に向けた検討を行っていく。なお、参画したのは宇部興産のほか、中国経済連合会、中国電力、マツダ、島根県、岡山県、広島県、山口県。

 CNの実現に向けた議論が国際的に加速する中、日本でも政府、自治体、地域、産業界など様々な枠組みで取り組みの強化が進む。中国地域は、CO2排出量の多い素材産業の割合が全国の中でも高く、また、輸送用機械産業の輸出が製品出荷額の多くを占めており、地域経済が持続的に発展していくためには、各業界の枠組みを超えて地域が一体となってCNに取り組む必要がある。

 特に電力のCN化は、産業界と地域社会の共通のテーマであり、対応すべき課題は非常に多岐にわたる。例えば、CN化に必要となる技術開発、サプライチェーンの構築、CN電力の拡大に係る投資を促進し、その効果を地域内に循環させる仕組み(CN電力拡大エコシステム)の整備なども対応すべき課題として想定される。そのためには、企業だけではなく行政をはじめ、多方面にわたるステークホルダーが一体となって取り組み、課題や解決策を共有し、電力のCN化を進めていくことが効果的になる。

 このような認識のもと、中国地域においてCN電力を推進するための課題を共有し、課題解決に共に取り組む企業や団体等を募るとともに、社会実装を見据えたフィージビリティスタディおよび実証に向けた協議を推進する。同部会としては、早期に着手可能で効果を期待でき、各方面のステークホルダーが協調して取り組むべき課題として、再生可能エネルギー由来の電力の需給拡大について検討を進めていく。