日清紡 モビリティ領域の事業拡大に向け独2社を買収

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2020年5月21日

 日清紡ホールディングスは、連結子会社であるJRCモビリティが、大手自動車メーカーの車載機器の開発支援を行っているドイツ現地法人のRBIとLEASの2社を買収し完全子会社化したと発表した。

 日清紡グループでは「環境・エネルギーカンパニー」グループとして、「モビリティ」「インフラストラクチャー&セーフティー」「ライフ&ヘルスケア」の3つの戦略事業領域で未来社会の創造に取り組んでいる。今回の買収は、主力である「モビリティ」領域のITS(高度道路交通システム)事業の拡大・成長を図るもの。

 JRCモビリティは輸入車に搭載するETC車載器を製造・販売している。ETCのような道路課金システムは世界的に広がりつつあり、車載器搭載を義務付ける国もある。しかし、システムの仕組みや方式が国により異なるため、車載器の仕様が多種多様化しており、開発スピードの向上が重要な戦略となる。

 こうした中、JRCモビリティと協力関係にあり、開発エンジニアリング機能と組み立て・ロジスティック機能を持つ現地法人2社を買収。ドイツに拠点を持つことで、欧州自動車メーカー向けの車載器ビジネスを機動的かつ戦略的にグローバル展開することが可能となった。

 現在、自動車業界ではCASE(コネクティッド、自動化、シェアリング、電動化)という新たな領域での技術革新が進んでいる。高度な情報通信技術分野で多くの実績と強みを持つJRCモビリティが、コネクティッド領域の発展に貢献することで、日清紡グループのモビリティ領域をさらに成長させるエンジンの役割を果たしていく。

 

東洋紡 新型コロナ検出キット、医療保険の適用対象に

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2020年5月21日

 東洋紡はこのほど、新型コロナウイルスを短時間で抽出・検出・測定できる検出キット「SARS‐CoV‐2 Detection Kit」が、公的医療保険適用の対象となったと発表した。

新型コロナウイルス検出キット、Nセット(左)とN2セット
新型コロナウイルス検出キット、Nセット(左)とN2セット

 同キットは、厚生労働省、国立感染症研究所発行の「臨床検体を用いた評価結果が取得された2019‐nCoV遺伝子検査方法について」(5月12日版)の中で、陽性一致率90%、陰性一致率100%である遺伝子検査方法として、その結果が公表された。これにより、国立感染症研究所が作成した「病原体検出マニュアル2019‐nCoV」に準じた方法に該当することから、公的医療保険の適用対象となった。同キットは、これまで2時間半以上かかるのが一般的だったPCR法による新型コロナウイルスの抽出から検出・測定までを、最短60分以内で実現するもの。独自の遺伝子増幅酵素(特許出願中)を採用し、検体から遺伝子を抽出・精製する工程を省略できるのが特長だ。

 また、増幅・検出工程に使用する試薬の配合を調整し酵素の働きを最適化したことで、遺伝子の増幅にかかる時間を従来の約半分に短縮。使用に際しても、汎用的な遺伝子増幅装置(リアルタイムPCR装置)のみで行える。今年4月から敦賀バイオ工場(福井県敦賀市)で製造を開始、研究用試薬として全国の研究機関や大学の研究室、製薬メーカーの研究部門向けに販売している。

 今後は、同キットが医療現場に広く普及しPCR検査が迅速・簡便に行われることで、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に貢献していく。なお、同キットでは、検出用プライマー・プローブ液はNセットとN2セットの2タイプを提供している。いずれも価格は9万円(税別)/100回用。

 

日本触媒 カニ殻由来の化粧品素材、ベンチャーと業務提携

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2020年5月21日

 日本触媒は20日、マリンナノファイバー社と化粧品用素材に関する業務提携契約および代理店契約を締結したと発表した。同契約により、日本触媒は化粧品素材分野においてマリンナノファイバー社が製造した「キチンナノファイバー」と「加水分解キチンナノファイバー」のマーケティング活動を開始する。

キチンナノファイバー
キチンナノファイバー

 マリンナノファイバー社は、鳥取大学工学部の伊福伸介教授が設立した鳥取大発のベンチャー企業。蟹の名産地である鳥取県で大量廃棄されるカニ殻に着目し、カニ殻由来の新素材「マリンナノファイバー」に関する製品の研究開発・製造販売を行っている。

 「マリンナノファイバー」は、カニ殻の主成分であるキチンおよびその加水分解物を超極細繊維として抽出した「キチンナノファイバー」と「加水分解キチンナノファイバー」。「キチン」は、カニやエビなど甲殻類の外殻やキノコの細胞壁などの主成分で、生物資源由来の物質で持続性・安全性が高い、生物分解性などの特徴がある。

従来のキチン粉末(左)とキチンナノファイバー(右)
従来のキチン粉末(左)とキチンナノファイバー

 従来のキチン粉末では分散性・配合性が課題だったが、超極細繊維である「マリンナノファイバー」は、化粧品素材として分散性と配合性が良好、被膜形成力に優れる、創傷治癒性がある、人の肌にすっと馴染んで潤いをもたらす、抗炎症性がある、抗菌性がある、養毛効果がある、毛髪のツヤや指通りを向上させるなど、種々の特徴的な効果効能を持つ。この画期的な天然素材により、化粧品に様々な機能を付与することが期待される。

 日本触媒では、これらの特徴的な効果効能を実験データにより明確化するとともに、各化粧品用途に向けた処方を開発することで市場を開拓していく。そして、ニーズに対応した素材を提供することにより、中計の中で新規事業ターゲットの1つと定めた化粧品素材事業の拡大を目指していく考えだ。

 

VEC 斉藤新会長「状況変化に機敏に対応していく」

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2020年5月21日

 塩ビ工業・環境協会(VEC)は19日、書面審議による第23回通常総会を開催し、横田浩会長(トクヤマ社長)の任期満了による退任に伴い、新会長に斉藤恭彦氏(さいとう・やすひこ:信越化学工業社長)を、副会長に桒田守氏(くわだ・まもる:東ソー上席執行役員)を選任した。

 斉藤新会長は就任にあたり挨拶文を寄せ、「現在、私たちは新型コロナウイルスとの戦い、それに伴う世界経済のマイナス成長といった危機に直面している。こうした中で当協会の活動も、状況変化への機敏な対応が求められている」との考えを示した上で、「常に世界の情勢や塩ビの需要動向、環境課題を見据え、重点課題の解決に取り組むとともに、海外の塩ビ協会との連携もさらに深めていく。また、塩ビのリサイクルをさらに推進し、廃プラスチック問題に取り組む業界団体の支援にも努めていく」との方針を明らかにした。

 同協会は1998年5月に発足。塩化ビニルに対する正しい理解を広め、塩化ビニル工業の健全な発展への寄与を目指してきた。斉藤新会長はその経緯と活動に触れ、「金川千尋初代会長(現・信越化学工業会長)は取り組むべき重点課題を絞り込み、会員各社の英知と力を結集し、当時蔓延していた塩ビに対する誤解を払拭された。さらに歴代会長の皆さまは折々の課題に献身的に取り組まれてきた」と、数々の功績に敬意を表した。

 耐久性・加工性・経済性を利点とする塩ビ樹脂は、環境配慮に優れた特長を兼ね備え、持続可能な開発目標(SDGs)の課題解決への貢献度も高い。同協会が長年普及に取り組んできた「樹脂サッシ」は、その断熱性から家屋の省エネ化を促進し温暖化ガスの排出量削減に大きく寄与している。塩ビ管は安全で衛生的な水を供給し、塩ビの被覆材は様々なワイヤーに提供され、電気・通信のインフラ整備や電気製品に欠かせないなど、塩ビは今や、快適な生活や持続可能な社会の基盤を支える素材として多大な役割を担っている。

 斉藤新会長は「塩ビという優れた素材に、明るい将来を確信している」との強い信念の下、経済産業省をはじめとした関係各機関、会員各社との連携を図りながら、塩ビ工業のより一層の発展に向けて旗を振る。

エレファンテック AMなどにらみインク吐出評価を開始 

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2020年5月20日

 プリンテッド・エレクトロニクス分野のスタートアップ企業であるエレファンテックはこのほど、インクジェット用インクのインク吐出評価サービスを開始すると発表した。

インク吐出評価サービスのイメージ
インク吐出評価サービスのイメージ

 同社は、「新しいものづくりの力で、持続可能な世界を作る」というミッションの下に、環境負荷が少ない製法で作成可能な片面FPC(フレキシブルプリント基板)「P‐Flex」を展開。昨年10月には、三井化学との戦略的提携を発表するなど、必要な部分にのみインクジェットで金属ナノインクを印刷する技術を活用し、インクジェットによる新しいものづくりの生産技術開発と量産化を推進している。

 昨今の製造技術は、3Dプリンティング技術に代表されるアディティブマニュファクチャリング(AM)の活用が進んでいる。エレファンテックは、環境負荷が低く、デジタル的で造形自由度が高い特長を持つインクジェット技術を、より一層進展させることに価値があると捉えており、これまで培ったインクジェットに関わる技術を生かすことで、インクジェットの応用分野拡大への貢献を目指していく。その第1歩として、インク吐出の評価サービスを立ち上げ、多くの企業・幅広い分野への技術支援を行っていく考えだ。

 同サービスはインクジェット用インクを短時間で性能評価するサービス。開発インクのトライアル評価やインク吐出に対する専門的見解への高まるニーズに応え、インク受領から吐出評価、報告書作成までをワンストップで実施する。

 

三井化学 体温を感知する新素材の市場開発を開始

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2020年5月20日

 三井化学はこのほど、ヒトの体温を感知してカラダに馴染む新素材シート「HUMOFIT(ヒューモフィット)」の市場開発を開始したと発表した。

 『HUMOFIT』 シートが手に馴染む様子 
『HUMOFIT』 シートが手に馴染む様子

 同素材は、触れた瞬間から柔らかくなり始め、触れたその手にあっという間に馴染むという、不思議な感覚を持っている。この特性を生かして、「ヒトによりそい、やわらかくつつみこむ、あたらしいここちよさ」を提供し、カラダとモノの不一致による痛みや、疲労、違和感から、人々を開放できる素材として期待されている。

 形状記憶シートとして約3年前から各種展示会やウェブサイトを通じて紹介を始めており、以来、そのユニークな素材特性から、幅広い業界の開発者や企画担当者、デザイナーなどから多くの反響を得ている。

 「ヒューモフィット」にそういった特長を付与する秘密は、ポリマーが劇的に軟化する温度=ガラス転移温度。同素材のガラス転移温度は約28℃。つまり室温(約23℃)とヒトの体温(約36℃)の間にガラス転移温度が存在しているためだ。例えば、ヒトの手の体温がこのシートに熱を伝えると、シートの温度がガラス転移温度を超えることにより、触れたその手に瞬時に馴染むという不思議な心地よさが得られる。

 用途としては、カラダへのフィット感を求めるニーズから、アパレル・シューズ・シート・バンド・サポーター・寝具・ヘルメット・ヘッドホン・スポーツ製品などが想定される。また、新型コロナウイルスの影響により、リモート社会へのパラダイムシフトが始まった社会では、ウェアラブル・VR・AR・eスポーツ・医療IoTなど、新たな市場で、カラダに装着するデバイスの需要が急拡大することが予想される。

 三井化学は今後、同素材の開発を通じて、急成長が期待される新市場にも「ヒトによりそう」やさしい素材として貢献していく考えだ。

 なお、「ヒューモフィット」特設サイト(https://jp.mitsuichemicals.com/jp/special/humofit/index.htm)では、各種素材特性やデモ動画、サンプル請求方法などを公開している。

東レ 車載コンデンサ向けにOPPフィルム生産能力を増強

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2020年5月20日

 東レはこのほど、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)「トレファン」の生産能力を増強すると発表した。東レ土浦工場(茨城県土浦市)に生産設備を増設し、2022年の稼働を予定。車載コンデンサ用フィルムの需要拡大に対応するため、生産能力を現行比1.6倍に拡大する。

 「トレファン」はプラスチックフィルムの中でも軽く、強靱性・電気特性・機械的特性に優れたフィルム。主力用途であるフィルムコンデンサは、家電・IT機器向け電子部品のほか、電動化車両(xEV)のモーターを駆動させるパワーコントロールユニット(PCU)のインバーター回路に使用されている。

 xEVの運転性能と燃費の向上、さらには車内空間の確保と設計の自由度向上のためには、PCUやフィルムコンデンサの小型・軽量化が求められている。これには、フィルムを薄膜化することが最も有効だが、薄膜化すると耐電圧性が悪化するという課題があった。

 「トレファン」は、独自技術により薄膜化と高耐電圧化の相反する性能を両立できることから、車載コンデンサ用フィルム市場ではトップシェアを持つ。近年、世界各国・地域で自動車に対する環境規制強化が進み、xEV市場は環境規制の厳しい欧州や中国を中心に年率約20%の高成長が見込まれている。今後のさらなる車載コンデンサの需要拡大に応えるため、土浦工場での「トレファン」の生産能力増強を決定した。

 東レは今後も「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」の企業理念の下、土浦工場での早期の生産能力拡充により、成長市場の取り込みを図り、より一層の事業拡大を目指す考えだ。

日本触媒 新型コロナ対策を支援、事業所の所在地に寄附

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2020年5月20日

 日本触媒は19日、新型コロナウイルス感染症への対応に尽力している医療従事者などへの支援のため、事業所の所在地である大阪府(新型コロナウイルス助け合い基金)、兵庫県(ひょうご新型コロナウイルス対策支援基金)、東京都(守ろう東京・新型コロナ対策医療支援寄附金)、神奈川県(かながわコロナ医療・福祉等応援基金)の基金などに、各500万円ずつ合計2000万円を寄附すると発表した。

 同社グループは、引き続き社会生活を支える製品の安定供給に努めるとともに、新型コロナウイルス感染の早期終息に向けて必要な支援策を検討していく考えだ。

SEMI 1Qシリコンウェーハの出荷は4Q比で微増に

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2020年5月19日

 SEMIはこのほど、SMG(SEMI Silicon Manufacturers Group)によるシリコンウェーハ業界の分析結果をもとに、2020年1Q(1-3月期)の世界シリコンウェーハ出荷面積が29億2000万平方インチだったと発表した。2019年4Q(10-12月期)の28億4400万平方インチから2.7%増加したが、前年同期比では4.3%減となっている。

 SEMI SMGニール・ウィーバー会長(Shin‐Etsu Handotai America 技術TS副会長)は、「シリコンウェーハの世界出荷面積は、この1年間にわたり減少が続いていたが、1Qにはわずかに回復した。しかし、新型コロナウイルスの影響により、次の四半期は市場の不確実性が広がるだろう」とコメントしている。