岩谷産業 液化炭酸ガスの生産能力を8万6000tに倍増

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2020年4月22日

 岩谷産業はこのほど、液化炭酸ガスの安定供給に向けて、来年7月の稼働を目標に、千葉県にある液化炭酸ガス製造設備の製造能力を2倍に増強すると発表した。今回の生産能力の増強は年産約4万3000tで、設備が完成すれば既存プラントを含め同8万6000tとなる。

 同社は、国内の石油精製やアンモニア製造などの化学プラントで副生する高純度の炭酸ガスを、液化・精製して販売している。しかし、昨今の石油化学製品の生産量減少により、需要が増加する夏場を中心に炭酸ガスを十分に確保することが困難な状況となっている。

 そのため、遠方の液化炭酸プラントからの長距離輸送や、炭酸ガスを原料とするドライアイスの輸入調達などで対応しているのが現状。また、炭酸飲料向けや菜園向けの需要増が今後も見込まれているため、さらなる安定供給が求められる。

 そこで、主力拠点である岩谷瓦斯千葉工場で、液化炭酸ガス製造設備の増設を行う。原料ガスは従来通り、コスモ石油千葉製油所の炭酸ガスを有効利用する。

 岩谷産業は、今後も炭酸ガスの安定供給体制の確保に継続して取り組む方針だ。

ダイセル 国連の環境枠組みWIPO GREENに参画

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2020年4月22日

 ダイセルはこのほど、国際連合(国連)の世界知的所有権機関(WIPO)が運営する環境関連技術交流の枠組み「WIPO GREEN」に今月15日付で「パートナー」として参画した。同社はこれまでもWIPO GREENに技術登録する形で利用していたが(特許6件登録済)、今回、パートナーとしての参画により、他のパートナーとのより密なコミュニケーションが可能となり、技術のマッチングの可能性が高まる。

 WIPO GREENは、環境技術の移転促進を目的としてWIPOによって2013年に設立された、知的財産の保有者と使用希望者を結びつけるデータベースとネットワークで、マッチする者同士が自由に交渉することができる。110カ国1400以上の個人や組織が参加、3600以上の特許とニーズが登録されており、600以上のマッチング実績がある。WIPO GREENに登録された特許は、国際的に認知され、有効な活用法の発掘が見込まれる。

 同社は、保有する環境関連技術のWIPO GREENへの登録をすでに始めており、今後も積極的に登録することで、オープンイノベーションによる協創や技術移転など、同社の環境関連技術の活用を様々な形で検討していく。

 同社グループは今後も、環境関連の製品や技術に関する取り組みを進め、「持続可能な開発目標(SDGs)」にうたわれる持続可能な社会に貢献していく方針だ。

 

旭化成 清酒の「におい」で品質管理、ICT活用を検証

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2020年4月22日

 旭化成は21日、清酒の「におい」データからアルコール度数を推定・可視化する実証実験を行うと発表した。清酒の製造販売を行う吉乃川(新潟県長岡市)、物質・材料研究機構(NIMS:茨城県つくば市)、NTT東日本・新潟支店(新潟県新潟市)が参画し、来月下旬をめどに実施。清酒製造時の「におい」をデータ化し、ICT(情報通信技術)を活用したデータ分析により、清酒事業者の業務低減や清酒の品質向上に取り組んでいく考えだ。

タンク上部に設置した「におい」センサー
タンク上部に設置した「におい」センサー

 第1弾となる今回の実証実験は、清酒を発酵させるタンクの上部に「におい」センサーを取り付け、24時間タンク内の「におい」を収集し、データ化。そのデータを分析することでアルコール度数を推定し、可視化する。

 「におい」データの状況とアルコール度数は、通信ネットワークを介して遠隔地でも確認できるようにし、作業効率化と品質の安定化を図っていく。測定時に蓋の開け閉めや、計測のための抽出作業を行う必要がないため、衛生環境を維持できる特長がある。加えて、取得した「におい」データから、アルコール度数以外の各種成分の含有状況や発酵時の「におい」の変化などを分析することで、清酒の発酵具合や品質のモニタリング、その他「におい」データから得られる価値を検証する取り組みも、併せて実施する。

 吉乃川では高品質な清酒を製造するため、発酵過程での温度やアルコール度数などの各種主要成分の計測や、経験者らが「におい」で発酵の進行具合を確認するなど、日々の発酵状態を細かく把握・分析しているが、それらの工程を、効率的かつ衛生的に行うための方法を模索していた。

 一方で、旭化成とNIMSは、「におい」をデータ化するMSS(膜型表面応力センサー)を用いた嗅覚IoTセンサーを開発し、社会実装に向けた多種多様な環境下での有効性の実証実験を推進。NTT東日本は、地域の様々な企業や団体に対して、ICTを活用した課題解決を行っている。

 こうした中、各社が連携を図り、「におい」データに含まれる様々な情報を分析し、「におい」データの意味や価値、今後活用できる業務などを共同で検証していく。データから清酒に含まれる特定物質の検出や、香味の高低や強弱の把握を行い、AIやIoTなどを活用して「におい」をよりきめ細やかに把握することで、味わい深く香味豊かな清酒の製造を目指していく。

昭和電工 日立化成へのTOBが終了、連結子会社化へ

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2020年4月22日

 昭和電工は21日、完全子会社であるHCホールディングスを通じて3月24日より実施していた日立化成の公開買い付け(TOB)が、予定通り今月20日に終了したと発表した。

 その結果、今月28日(TOBの決済開始日)には日立化成は日立製作所の子会社ではなくなり、HCホールディングスの子会社および昭和電工の連結子会社(孫会社)となる予定。

 

丸紅 小型衛星打ち上げ事業で国内外2社と業務提携

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2020年4月21日

 丸紅はこのほど、インターステラテクノロジズ(IST:北海道大樹町)、D‐Orbit(イタリア)と、超小型人工衛星の軌道投入ロケットに搭載される予定の小型衛星放出システムの研究・開発を行うために、業務提携を目的とした協業意向書を締結した。

 丸紅は、2016年よりISTと業務提携。ISTに対し調査研究を委託するとともに販売代理店として国内外の顧客に対してロケット打上げサービスの提案・販売活動を行ってきた。ISTは、宇宙空間である100㎞の高度まで民間企業単独で国内で初めて到達した、微小重力下での実験を行う観測ロケット「MOMO」と、最大100㎏の超小型人工衛星用の軌道投入用ロケット「ZERO」を製造・開発しているロケット開発企業。丸紅とISTは、昨年11月に資本提携を行い、さらなるパートナーシップの強化を図ってきた。

 一方、D‐Orbitは、小型衛星放出システムの軌道輸送に焦点を当てた研究・開発を行うイタリアのニュースペース企業であり、「InOrbit NOW」という独自技術を活用した打上げアレンジと軌道投入のサービスを行っている。また、顧客のミッションの内容に応じた小型衛星放出システムを用いて、小型衛星を正確に、安定させて衛星の軌道へと軌道投入させることができる。

 今回の業務提携を通じて丸紅は、超小型衛星打上げ事業での協力関係をより強化し、欧州地域をはじめとする幅広い顧客層に対して「ZERO」を活用した衛星打上げサービスの提案・提供を行う。小型衛星事業者の打上げニーズに応えることで、通信技術や地球観測技術などの向上を図り、宇宙産業の発展に貢献していく考えだ。

豊田通商 ミャンマーの水力発電所の改修PJを受注

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2020年4月21日

 豊田通商はこのほど、ミャンマー電力エネルギー省・電力発電公社から、同国のセダウジ水力発電所の改修プロジェクトを受注したと発表した。受注額は約43億円で、日本政府が国際協力機構(JICA)を通じて実施する有償資金協力によって資金供与される。なお、完工は2024年2月の予定。

 ミャンマーは、経済成長に伴い電力需要が高まっており、供給力確保が急務。同国の電力需要の約6割は水力発電所で賄われているが、多くの発電所で設備の老朽化による出力低下が発生し、定常的に計画停電が行われている。

 今回、改修を実施するセダウジ水力発電所は、ミャンマー第2の都市であるマンダレーの北東約100㎞にあり、同都市の電力需要の約10~15%(年間発電量130GWh)を賄う。同発電所は1989年に運転開始後、一度も改修されないまま30年以上にわたって使用されており、主要機器の劣化と損傷が課題となっている。

 今回のプロジェクトは、セダウジ水力発電所の主要機器(水車・発電機など)と水門の改修を実施する。水車と制御装置は東芝エネルギーシステムズから、発電機は明電舎から調達。また、水門の関連機器は日立造船に発注する。同プロジェクトによって、セダウジ水力発電所の出力が回復し、今後も安定的に電源として使用することが可能となる。

 豊田通商は、経済発展とともにエネルギーインフラ整備の重要性が高まるミャンマーで、水力発電所などの再生可能エネルギーの利活用推進を通じ、同国の発展に貢献していく。

カネカ 「アビガン」の原薬供給で合意、7月供給開始

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2020年4月21日

 カネカはこのほど、富士フイルムと新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)向け抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」(一般名:ファビピラビル)の原薬を供給することを合意したと発表した。

 日本政府は、COVID‐19が拡大する中、効果が期待される「アビガン錠」の備蓄量を200万人分まで拡大することを決定し、富士フイルムは生産体制を拡充させ増産を開始した。カネカは、長年培った医薬品のプロセス開発力と製造技術、品質について高い評価を受けており、今回、メジャーサプライヤーとして原薬の供給を要請された。同社は迅速に供給をスタートすることが社会的使命と考え、設備投資、人員配置転換、生産計画調整により製造体制を整え、7月より供給を開始する。

 なお、同社グループ会社Kaneka Eurogentec(ベルギー)では、COVID‐19検査に使用されるPCR検査試薬の供給をすでにスタート。さらに高品質のmRNAやプラスミドDNA(核外細胞質中のDNA)などの技術を用いたCOVID‐19ワクチン向け受託製造も強化し、旺盛な引き合いに対応している。

 同社はCOVID‐19に対する課題解決を通じ、人類の健康維持に貢献する考えだ。

三菱ケミカルホールディングス 牛乳たんぱく質の生分解性ポリマー会社に出資

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2020年4月21日

 三菱ケミカルホールディングス(MCHC)は20日、米国シリコンバレーに設立したCVC子会社であるダイヤモンド・エッジ・ベンチャーズ(DEV:米国カリフォルニア州)を通じて、牛乳たんぱく質のカゼインを原料とした生分解性ポリマーを製造・販売するLactips(フランス・リヨン市)に出資したと発表した。

 Lactipsのバイオ由来の生分解性ポリマーは、海水でも完全に分解する素材であり、水溶性、ガスバリア性および可食性といった多様な特長を持ちながら、従来のプラスチックと同様に熱成形や押出成形などの加工が可能。両社は今回のパートナーシップにより、海洋プラスチック問題をはじめとする世界規模のプラスチックごみ問題へのソリューション実現に取り組んでいく。

 MCHCは、生分解性ポリマーの「BioPBS」や水溶性フィルムのハイセロンなどの環境に配慮した製品やサービスを提供することで、プラスチックのサーキュラーエコノミー(循環型経済)推進に向けた取り組みを強化しており、今回のLactipsへの出資によりその取り組みを加速させていく。

 今後もDEVを通じて、同社グループの新たな成長機会をもたらすスタートアップ企業との連携を進めていく考えだ。

東洋紡 60分以内で検出、新型コロナ検出キット発売

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2020年4月20日

 東洋紡はこのほど、最短60分以内で新型コロナウイルス(SARS‐CoV‐2)の抽出と検出・測定が可能な新型コロナウイルス検出キット「SARS‐CoV‐2 Detection Kit」を開発した。全国の研究機関や大学の研究室、製薬メーカーの研究部門向けに同日から販売を開始し、新型コロナウイルスの治療薬などの早期開発に貢献していく。

新型コロナウイルス検出キット「SARS-CoV-2 Detection Kit」
新型コロナウイルス検出キット「SARS-CoV-2 Detection Kit」

 同社が開発した検出キットは、遺伝子の抽出工程と増幅(PCR)・検出工程に掛かる手間・時間を大幅に短縮する。遺伝子の抽出工程では、サンプル中に夾雑物(きょうざつぶつ)が混じっていても反応が阻害されにくい、同社独自の遺伝子増幅酵素(特許出願中)を採用。夾雑物を取り除く必要がなくなり、煩雑な遺伝子の精製過程を省略できることから、検出キットに含まれる前処理液とサンプルを混合させるだけで遺伝子の抽出工程が最短2分で完了する。

 また、増幅・検出工程では、試薬の配合を調整して酵素の働きを最適化し、増幅に掛かる時間を従来の半分以下の最短56分に短縮。これにより、新型コロナウイルスの抽出から検出・測定まで最短60分以内で実現した。

 PCR法には、ウイルスから遺伝子を抽出する工程(約30分~2時間)と、遺伝子を増幅・検出する工程(約2時間)があり、これまで約2時間半以上掛かるのが一般的だった。このため、治療薬などの研究・開発で大量のサンプルを扱う場合に、多くの手間や時間を要する一因となっていた。なお、同検出キットの使用に際しては、汎用的な遺伝子増幅装置(リアルタイムPCR装置)だけで行え、抽出装置などを新たに準備する必要はない。

 今後は、同検出キットの開発で得られた知見や技術を応用し、全自動遺伝子解析装置「GENECUBE」用の診断薬の開発に取り組んでいく考えだ。

 今回の開発は、日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受け、北里大学・大村智記念研究所と国立感染症研究所・インフルエンザウイルス研究センター第2室との共同研究で実現した。

カネカ 低温保持時間が2倍の低温輸送パッケージを発売

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2020年4月20日

 カネカはこのほど、グループ会社の玉井化成(北海道小樽市)が、真空断熱材(VIP)を採用し定温保持時間を約2倍に延ばした新製品、定温輸送パッケージ「TACPack Premiumシリーズ」を4月から販売開始すると発表した。

シリカ粉体系VIP
シリカ粉体系VIP

 医薬品の輸送時の温度管理は、2018年に国内版GDPガイドライン(流通上の品質確保と偽造薬の流入防止を目的に、適切な管理方法を定めたもの)が制定され、厳格化されている。

 発泡ポリスチレン系断熱容器を使用する製品では、夏期の冷蔵温度帯の保持時間に限度があり、長時間輸送に対応できなかった。新製品は、主流のグラスウール系と比べ、内部圧力上昇による熱伝導率性能の劣化が少ない、シリカ粉体系VIPとカネカ潜熱蓄熱材「PATTHERMO」を組み合わせることで、パッケージ内部の温度を長時間保持し、定温保持時間を従来品の約2倍に延長させた。

 なお、カネカと玉井化成が共同開発した「PATTHERMO」は、物質が固体~液体に状態変化する際に、融解・凝固点付近に温度が維持される特徴を利用。マイナス50℃~プラス37℃の範囲で15種類の製品をラインアップしている。

 カネカは現在、新たな潜熱蓄熱材の開発も進めており、引き続き「TACPack Premium」シリーズを拡充し、市場開拓を加速させる。そして、温度管理ソリューションの提供を通じて医療や生活の質の向上に貢献する考えだ。