AGC 素材開発にAR技術、開発スピード向上を図る

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2019年12月2日

 AGCはこのほど、素材の組成開発を担う材料融合研究所と、素材の生産プロセス・設備開発を担う生産技術部で、スタートアップのKAKUCHO(東京都渋谷区)がもつ「webAR」の試験使用を決定したと発表した。今月から同技術を開発現場に導入し、開発のスピードアップ化を図る。

AR使用時の様子
AR使用時の様子

 KAKUCHOは「AR/MRを社会に浸透させ、誰もみたことのない新しい日常を創造する。」を企業理念に掲げ、ARを利用した高級インテリアEC「FURNI」と、FURNIに使われているAR技術を提供する「webAR」の2つの事業を提供している。

 AR(Augmented Reality)とは、一般的に拡張現実と訳されるもので、物体検知・空間認識・顔認識などの画像認識を通して、現実環境をコンピュータにより拡張する技術。建設現場や工場などの作業現場での活用や、自動運転への応用など、ビジネスのさまざまなシーンで活用が進んでいる。

 「webAR」は専用のアプリを開発することなく、ウェブブラウザ上でARを簡単に使用できる技術だ。事前にURLを共有しておけば、スマートフォンやタブレットなどのデバイスを現場でかざすことで、開発設備をそのままの形状・サイズ感で現場風景に重ね合わせて表示できる。

 これまで図面や仕様を共有するだけでは正確に伝えることができなかった、現場のレイアウト・作業性・安全性などを設備導入前に明らかにすることが可能になる。同技術により開発者間のコミュニケーションを促進し設備開発のスピードを向上することで、素材開発全体のスピードアップに繋げていく考えだ。

 素材の開発には、組成開発、生産プロセス開発、設備開発などの開発フェーズから量産に至るまで数十年を要することもある。中でも設備開発は同じ図面や仕様を共有しているにもかかわらず、組成開発者と設備開発者が認識する現物イメージに乖離があり、開発に多大な時間を要するケースがある。この課題を解決する手段の1つとして、AGCはAR技術に着目した。

日本触媒 台風19号災害の被災地・被災者に義援金

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2019年12月2日

 日本触媒はこのほど、台風19号災害による被災者の救援や被災地の復興に役立ててもらうための義援金として、日本赤十字社を通じ500万円の支援を行うことを決定したと発表した。また、加えて、労働組合と連携して従業員から災害募金を集める。同社は「被災地の1日も早い復興をお祈り申し上げます」とコメントしている。

住友化学 価値創出に向け最重要課題にKPIを設定

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2019年12月2日

 住友化学はこのほど、経営として取り組む7つのマテリアリティ(最重要課題)に対する主要取り組み指標(KPI)を設定した。

 今年3月、同社グループの持続的成長と、事業を通じたサステナブルな社会の実現への貢献を共に達成するため、事業と直接関係する「社会価値創出に関するマテリアリティ」と、将来を見据えた取り組み課題である「将来の価値創造に向けたマテリアリティ」の2つの観点から7つのマテリアリティを特定。マテリアリティに対するKPIは、外部有識者の意見も踏まえた上で、サステナビリティ推進委員会での審議を経て設定した。

 「社会価値創出に関するマテリアリティ」については、SDGsの17の目標下にある169のターゲットに則したKPIを設定することで、それぞれの課題解決にどのように貢献するかを明示。一方、「将来の価値創造に向けたマテリアリティ」については、技術・研究開発の推進とデジタル革新への取り組みの進捗では、グループ全体の数値指標を設定。またダイバーシティ&インクルージョンの推進では、国や地域ごとに取り巻く環境が異なることから、グループ各社ごとにKPIを設定することとしている。

 今後、KPIを用いてマテリアリティに対する取り組みの進捗状況を確認するとともに、社内外のステークホルダーとの対話を推進していく。住友化学グループは、持続可能な社会の実現に向けて、引き続きグループ一丸となって創造力を最大限に発揮し、化学の力による新たな価値創造を通じた社会課題の解決を目指していく方針だ。

JXTGエネルギー 早大と包括連携活動に関する協定書締結

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2019年12月2日

 JXTGエネルギーは29日、早稲田大学と「持続可能な未来社会実現」に向けた、イノベーション推進のための包括連携活動に関する協定書を締結したと発表した。

 同社と早大は2010年から材料分野を中心に、共同研究創出を目的とした技術シーズの探索を継続してきた。同協定の締結はこれまでの連携を強化し、包括的で分野横断的なオープンイノベーションを実行して、低炭素化をはじめとした様々な社会課題に対応していくことが目的だ。

 具体的な取り組みとして、まず早大が建設中の121号館内に「ENEOSラボ」を設置し、主にCO2からの燃料・化学品製造技術の開発といった「CO2削減に向けた革新技術の研究」に取り組む。さらに、オープンイノベーション戦略研究機構などでの共同研究の加速、卓越大学院での人材育成活動などについて連携を深める。

 早大が持つ多様な分野での豊富な人材と組織体制、実用化を見据えた広範・最先端の研究実績などの強みと、エネルギーのリーディングカンパニーとして、エネルギー変換技術や社会実装に関する経験のある同社の強みを生かし、低炭素化に向けた技術開発などの研究を進める。

 JXTGグループは長期ビジョンで、2040年のありたい姿として「事業構造の変革による価値創造」を掲げており、オープンイノベーションの積極的な推進を通じ、革新的な技術・事業の創出を目指す。

日本触媒・三洋化成 経営統合に関する最終契約を締結

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2019年12月2日

 日本触媒と三洋化成は29日、それぞれの臨時取締役会で、共同株式移転の方式により両社の親会社となる統合持株会社「Synfomix」を設立し、経営統合を行うことを決議、両社間で対等の精神に基づいた最終契約を締結したと発表した。

 両社は今年5月、経営統合の検討に関する基本合意書の締結を発表し、経営統合に向けた詳細な検討と協議を進めていた。株式移転比率は、日本触媒1.225、三洋化成が1となっている。

 今回の経営統合は、国内外の競争当局の承認を前提とするものであり、両社の定時株主総会での、株式移転計画書の承認を受けた上で行われる予定。また、両社は同株式移転の効力発生日の2年後をめどに、統合持株会社および両社の合併を実行することを基本方針としている。

 ただ、具体的な方針については、効力発生日以降に設置する各種委員会などでの協議を踏まえ、事業上の合理性を考慮した上で、今後両社の協議にて決定する。なお同日、三洋化成は、高吸水性樹脂事業を営む連結子会社SDPグローバル(出資比率:三洋化成70%、豊田通商30%)の完全子会社化を発表。経営統合による統合効果の最大化を図るため、豊田通商のすべての株式を取得する。

JXTG グループ運営体制を変更、商号「ENEOS」に

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2019年11月29日

 JXTGホールディングスは28日、来年6月に開催予定の定時株主総会日付で、同社グループの運営を、JXTGエネルギーを中心に据えた体制に変更し、併せて両社の商号を変更すると発表した。JXTGホールディングスを「ENEOSホールディングス」、JXTGエネルギーを「ENEOS」にする。

 具体的には、同社とJXTGエネルギーは、それぞれ法人格は残すものの、役員を極力兼任させ、意思決定機関を集約することで、実質的に1つの事業持株会社として運営する。一方、JX石油開発とJX金属については、引き続き同社グループの一翼を担う重要な事業会社として、同社が定める経営方針の下で大幅な権限委譲を進め、それぞれの事業特性に応じて、より自律性・機動性・独立性を高めた業務執行体制を構築していく。

 JXTGホールディングスは、世界的な低炭素社会への加速やイノベーションの急速な進化、企業のESG経営を求める社会的な気運の高まりなど、グループを取り巻く事業環境の変化を踏まえた長期的な経営方針として、「2040年JXTGグループ長期ビジョン」を今年5月に発表。その実現に向けては、従来にも増して意思決定と業務執行の迅速化を図り、変化の激しい事業環境への対応が必要なことから、抜本的な構造変革を進めることにした。

 今回の決定に基づき、現在の純粋持株会社の下に3つの中核事業会社をもつ体制から、グループで最も大きなウエイトを占めるJXTGエネルギーと同社の経営を実質的に統合した運営する体制に変更する。また商号についても、同社グループがエネルギー事業で使用しているブランドを冠した「ENEOS」に変更し、グループの名称も「ENEOSグループ」とする。

ソルベイ 複雑な形状に対応する液体コーティングシステムを米社が採用

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2019年11月28日

 ソルベイの新製品「ヘイラーECTFE」液体コーティングシステムが、米国の特殊コーティング会社サウスウエスト・インプレグロン(SWI)に採用された。SWIは同システムを使うことで、複雑な形状のシリコンウエハー加工装置のコーティングが行えるようになった。

 SWIはこれまで、「ヘイラーECTFE」パウダーコーティングを使用してきた。しかし、形状の複雑化に伴って、静電粉体塗装では塗膜の厚みを均等にするのが難しくなった。パウダーコーティング後に機械加工してコーティング層を薄くすることはできるが、それでは追加の工程が発生するなど、時間やコストが余計にかかる。液体コーティングシステムは、アルミニウム合金基板にも強力で均等な密着性を実現することで、この問題を解決した。5000Vの直流電流によるスパークテストにも合格し、ピンホール孔が無いことが証明された。

 液体コーティングシステムは、静電粉体塗装には適さない複雑な部材でも、質の高い防食を可能にするため、ピンホールのない、滑らかで均質な平面を実現。苛酷な化学プロセス環境で使用される複雑な形状の部品や不整表面、大型容器、管内部、タンク、コンテナなどの塗装に適している。

 また、長期間持続する機能、優れた耐薬品性と耐透過性、抜群の表面特性、高純度など、パウダーコーティングと同様に、比類の無い特性を発揮する。

 高密着性のプライマーとトップコートで構成されるこのシステムは、他の類似品に比べて塗装膜を薄くすることも可能なため、加工時間の短縮にも有益だ。標準的な液体噴霧器を使い、多種多様な金属基板に簡単に塗布することができる。超低揮発性有機化合物 を採用しているため、持続可能性に優れ、有害性大気汚染物質を含有しない配合は厳しい規制基準に対応する。

BASF 消泡性能を兼ね備えたシリコーン系湿潤剤を発売

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2019年11月28日

 BASFは優れた湿潤性と顕著な消泡性能を兼ね備えた、新しいシリコーン系湿潤剤「Hydropalat(ハイドロパラート) WE3225」 を発売した。消泡剤を添加する必要のない、湿潤剤に対する市場要求に応えるために開発した。

 これにより、気泡やピンホールなどの発泡による悪影響を懸念することなく、自由に添加できる。さらに、低VOC(揮発性有機化合物)、低臭気といった特長も備える。高品質な水性工業用・自動車用塗料、木工塗料に使用できるように設計されており、印刷インキへの応用も可能だ。

ダウ・ケミカル日本 パッケージングイノベーションアワードの表彰式を開催

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2019年11月28日

 ダウ・ケミカル日本は26日、東京アメリカンクラブで「2019年度パッケージングイノベーションアワード(Packaging Innovation Awards)」の表彰式を開催した。

 同賞は、包装デザインや材料、技術、生産プロセスについて包装業界の革新的でもっとも優れた業績を表彰するもの。これまで「デュポンパッケージアワード」として知られていたが、現在はダウが主催を引き継いでおり、今年で31回目を迎える。

 ダウ・パッケージング・アンド・スペシャルティ・プラスチック事業部アジア太平洋地区コマーシャル・バイス・プレジデントのバンバン・キャンドラ氏は、「近年のエントリー作品は、より良いユーザー体験だけではなく、サステナビリティにも貢献している」とし、「今回の受賞企業とその製品は、日本のイノベーション、そして包装業界における持続可能性への関心をまさに反映するものだ」と挨拶した。

DNP機能性フィルム複合型PETボトル
DNP機能性フィルム複合型PETボトル

 今回のアワードでは世界33カ国から、過去最高となる約270作品がエントリー。日本企業は10社が応募し、そのうち大日本印刷の「DNP機能性フィルム複合型PETボトル」が最優秀賞となるダイヤモンド賞を受賞。他にも、川上産業(浮世絵プチプチ)、タキロンシーアイ(サンジップ「Sensory」)、明治(ザ・チョコレート6コレクション アソーテッドパッケージ)の3社がゴールド賞を受賞するなど、好成績を収める結果となった。

 受賞企業を代表して、大日本印刷包装事業部副事業部長の鈴木康仁氏は、「この技術は、従来のPETボトルリサイクル適性を維持しながら、バリア機能を付与し高級感も演出できる。すでに、環境に配慮したガラス製ボトルの代替品で、日本酒などで活用されている。持続可能な包装がますます求められる中、今回の受賞を励みに次世代の包装技術に注力していきたい」と受賞の喜びを語った。

 続いて、受賞企業3社(DNP、川上産業、タキロンシーアイ)によるプレゼンテーションが行われ、製品の特長や開発経緯などを紹介。表彰式では、バンバン・キャンドラ氏が受賞企業にそれぞれ記念品を授与した。

 なお、2020年度のパッケージングイノベーションアワードは、来年初頭に募集を開始する予定となっている。

東ソー KHネオケムの株式を取得、石化事業の関係を強化

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2019年11月28日

 東ソーは、26日に開催した取締役会の中で、KHネオケムの株式の一部を大株主から取得することを決議し、同日に株式譲渡契約を締結したと発表した。

 KHネオケムは、東ソーの四日市事業所で生産するエチレン、プロピレンなどの主要取引先の1つ。東ソーは、株式取得によるKHネオケムとの取引関係の一層の強化が、石油化学事業のナフサクラッカー安定操業維持と収益安定につながると判断した。

 なお、発行済み株式総数に対する割合は5.0%で、株式取得日は今月29日を予定している。