帝人 チェコ社の買収完了、欧州で自動車向け事業強化

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2019年9月3日

 帝人は2日、7月に発表したチェコのベネット・オートモーティブ社の買収について、株式譲渡に関する諸手続きを完了し、8月30日(欧州時間)に完全子会社としたと発表した。

 帝人は自動車向け複合成形材料事業で欧州展開を進めている。ベネット・オートモーティブ社がこれまで培ってきた技術や販売実績を活用することで、欧州の自動車メーカーの部品供給パートナーとして、さらに展開を強化していく。

 また、かねてから強力に推進しているマルチマテリアル戦略でも、ベネット・オートモーティブ社と帝人・CSP社(2017年に買収した北米最大の自動車向け複合材料部品メーカー)・イナパル社(2018年に買収したポルトガルの自動車向け複合材料部品メーカー)の素材や成形技術、「人財」などを融合することで、軽量性や強度に加え、デザイン、生産性、コスト効率など幅広い顧客ニーズに応えるソリューション提供力を拡充する。

 こうした取り組みを重ね、帝人は2030年頃に、自動車向け複合材料製品事業で20億米ドル規模の売上を目指す。

 同社の中石昭夫・複合成形材料事業本部長は「当社とCSP社、イナパル社がこれまで北米・欧州・アジアの3極で培ってきた、軽くて強い高機能素材やデザイン、設計能力を駆使したマルチマテリアルでの提案力に、ベネット・オートモーティブ社の技術と販売チャネルを加え、ティア1サプライヤーとして自動車向け複合材料事業を一層拡大していく」と述べている。

住友化学 インドのグループ2社が合併、営業を開始

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2019年9月3日

 住友化学は2日、同社グループのエクセルクロップケア社(旧ECC社)と住友化学インド社(旧住化インド社)が、規制当局による承認を経て8月31日に合併し、9月1日より「住友化学インド社」(マハラシュトラ州ムンバイ)が営業を開始したと発表した。

 なお、住友化学インド社は、関連規則に基づく手続きが完了した後、インド国立証券取引所とムンバイ証券取引所に新規上場する予定。住友化学は、世界第5位の農薬市場であり今後も高い成長率が見込まれるインドを、農薬事業の重要地域と捉えている。今回の合併により、住友化学インド社は、インドの農薬市場では第2位の売上規模となる。

 今後、旧ECC社と旧住化インド社が持つ豊富なポートフォリオや販売網を相互補完的に活用し、より一層の拡販を実現するとともに、経営資源をさらに集中して効率化させることで競争力を強化し、インドの農薬市場でのリーディングカンパニーを目指す。住友化学は、今後もグローバルに農薬事業の拡大を進めるとともに、世界的に需要の高まる安全・安心な食糧の安定供給に貢献していく。

宇部興産・京セラ 合弁会社設立で合意、5G用フィルター事業拡大へ

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2019年9月3日

 宇部興産は2日、京セラと第5世代(5G)通信基地局用のセラミックフィルター事業の拡大を目的とする合弁会社設立に合意し、合弁契約を締結したと発表した。

 今年12月をめどに、宇部興産の100%子会社であるユー・イー・エルの株式51%を京セラが取得し、「京セラ宇部RFテック」として、新体制で事業を開始する予定。なお、京セラ宇部RFテック(京セラ滋賀野洲工場敷地内)の従業員数は12人、生産子会社である京セラ宇部(無錫)通信科技(中国江蘇省)の従業員数は154人となっている。

 大容量・低遅延・多数接続を可能とする5G移動通信システムには、比較的広範囲をカバーするマクロセル基地局とスポット的に超大容量のデータ通信に対応するスモールセル基地局があり、今後普及が進む見通し。これらの基地局は、多数のアンテナを配置するとともに、狭小な場所にも設置できるように部品の小型化が必要不可欠となっている。

 ユー・イー・エルの主力製品であるセラミックフィルターは、基地局のアンテナと対になる重要部品であり、5Gに対応した特定の周波数を通過または遮断させる機能を備えている。セラミックスを用いることで、より高出力かつ小型化が可能なことから、特にマクロセル基地局では、金属製フィルターの代替製品としての期待が高まっている。

 合弁会社では、ユー・イー・エルが培ってきたフィルターの設計技術力と、京セラの生産技術力やグローバルな営業力を融合させることで、5G通信基地局用のセラミックフィルター事業の拡大を目指していく。

NEDOなど 流水熱エネルギーに特化した熱交換ユニットを開発

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2019年9月2日

 NEDO・ジオシステム・角藤は、農研機構・東北大学・金沢大学と共同で、農業用水や温泉水などの流水がもつ再生可能エネルギー熱の利用に特化した、樹脂製投げ込み式熱交換ユニットを開発した。

 投げ込み式熱交換器とは、流水や水槽類の中に設置し、液体の温度を加熱または冷却させる装置。今回対象とした流水は、さまざまな異物やスケールを生じる化学成分が含まれる可能性が高いため、腐食に強く、メンテナンスが容易な樹脂製投げ込み式熱交換器の使用が適している。

 しかし、従来の樹脂製投げ込み式熱交換器は、熱交換性能が低いことなどから投資対効果が合わないことが多く、利用可能な流水の条件が限られ、熱利用が進んでいない状況だった。

 今回開発した熱交換ユニットは、水を強制攪拌するためのエアレーション機構を搭載し、既存の樹脂製投げ込み式熱交換器と比べ、熱交換性能を約6倍に高めた。また、多数細管構造の熱交換器を採用し、既存の樹脂製熱交換器と比較して、循環水の圧力損失を約10分の1に抑え、流水からの安価な熱回収を実現した。

 開発では、ジオシステムが樹脂製投げ込み式熱交換ユニットの設計・試作・性能評価、角藤が性能・機能要件整理、農研機構が平板型樹脂製投げ込み式熱交換器の基本性能計測と設置方法の開発、東北大学がエアレーション機構の熱・流動解析など、金沢大学が平板型樹脂製投げ込み式熱交換器の数値シミュレーションなどの技術開発の役割を担った。

 この熱交換ユニットは、今後、ジオシステムが「G‐HEX」の製品名で販売を開始する予定。これにより、今まで十分に活用できていなかった流水熱源からの高効率な熱利用が可能となり、再生可能エネルギー熱利用の普及拡大が期待できる。

コベストロ 子ども向け「学びのフェス」に3年連続出展

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2019年9月2日

 コベストロジャパンは、科学技術館(東京都千代田区)で開催された「学びのフェス2019夏」に出展し、化学実験教室「身の回りの化学を見つけよう」を実施した。

 同フェスは、企業や団体が環境や体験、暮らしなどをテーマに出前授業しているイベント。抽選で選ばれた約1800人の親子が34の企業や団体のブースを回り、体験授業を受けた。

 コベストロによる「身の回りの化学を見つけよう!」の授業では、化学結合の話に始まり、ポリウレタンの断熱性や柔軟性、軽量などの特性を体感できる3つの実験を実施。断熱性を比べる実験では、温めたホットプレートの上にポリウレタンと他の素材を置きそれぞれの上に氷を載せて、どちらが早く解けるか観察するなど、子どもたちは好奇心いっぱいの様子だった。

 同社は今年1月に世界各国の企業で構成される新たなネットワーク「AEPW(Alliance to End Plastic Waste」に参加、プラスチック廃棄物問題への取り組みを強化している。

 取り組みの一環として、プラスチック廃棄物処理に関する社会の意識を高め、再利用の重要性を伝える目的で作成した海洋ごみ問題に関する絵本「Bright Minds for a Brighter World(豊かな心で明るくより良い世界)」を同フェスで多くの子どもたちに配布した。

 コベストロは、サスティナビリティを戦略の基軸に置き、SDGsを達成するために包括的な取り組みを推進していくとともに、今後も化学の楽しさや化学企業の社会での役割について、次世代の子どもたちに伝える活動を継続していく考えだ。

LGイノテック 車載用のフレキシブル立体照明を開発

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2019年9月2日

 韓国LGグループの関連会社で材料・部品メーカーのLGイノテックはこのほど、車載用LEDモジュール「ネックスライド(Nexlide)」の新ラインアップを発表した。

自在に曲がるLED立体照明「ネックスライド‐HD」
自在に曲がるLED立体照明「ネックスライド‐HD」

新たに加わった「ネックスライド‐HD(High Definition)」は、消しゴムのように柔らかく曲がるフレキシブルな立体照明で、基板の接触面を除く5つの面から均一に光を放つのが特長。昼間走行灯や尾灯など、自動車外装ランプへの採用を想定している。

 同製品は、モジュールの柔軟性を従来品の2倍に強化。また、さまざまな角度と形から常に滑らかな光を放つ特性を生かし、直線はもちろん、曲線やウェーブ、立体図形などのさまざまなデザインの車両照明を製作できる。

 薄片に切ってブロックのように組み合わせることで、花柄などへの加工も可能だ。昼間走行灯の用途では、真昼にも認識できるように400カンデラの明るさが求められるが、同製品では5面立体発光技術によりモジュールの最大の明るさを従来の80カンデラから400カンデラに向上させた。

 薄肉化への対応も行い、光を均一にするインナーレンズなどの別部品が不要なことから、従来品に比べて最大70%まで厚みを減らしスリムな車両用ランプを製作できる。

「ネックスライド‐HD」を用いたランプ試作品
「ネックスライド‐HD」を用いたランプ試作品

 LDイノテックの担当者は、「『ネックスライド‐HD』は、車両照明をワンランク進化させた革新製品」とし、今後も「車両照明のデザインと品質、安定性をすべて向上させる製品を持続的に開発していく」との方針を示した。

 同社は、「ネックスライド‐HD」を前面に打ち出し、グローバル車両用照明市場の攻略に拍車をかけていく。特にユニークでエレガントなデザインコンセプトが求められるプレミアム車種を中心に、グローバル顧客企業を積極的に確保していく考えだ。

 

東レ リミテッドユース保護服の製品ラインアップを拡充

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2019年9月2日

 東レはこのほど、リミテッドユース保護服「LIVMOA(リブモア)」の製品ラインアップを拡充し、高通気素材を部分的に使用することで着用時の快適性とコストバランスを両立させた「LIVMOA 2000」シリーズとして、新たに販売を開始した。

 「LIVMOA 高通気タイプ」は、東レが独自開発したエレクトレット(電石)化した不織布「トレミクロン」による多層構造素材を使用し、作業者の快適性向上をコンセプトとした使い切りタイプの保護服。

 「LIVMOA」は、これまで、夏場の高温高湿環境下でも快適な着心地をキープできる高通気タイプ「LIVMOA 3000」をはじめ、さらに油抑制機能を付け加えた「LIVMOA 3500」、クリーンルーム内での作業を想定し、滅菌処理を施した「LIVMOA CL」など、さまざまなシーンで活用できるラインアップを展開してきた。

 今回、販売開始する新シリーズは、通気性と防塵性に優れた「トレミクロン」不織布による多層構造素材を部分的に使用することで、快適性とコストバランスを両立。特に暑さを感じやすい頭、胸、背中に同素材を採用し、JIS T 8115:2015 タイプ5(浮遊固体粉じん防護用密閉服)規格にも適合している。

 夏場の暑熱対策だけではなく、年間を通じて暑さやムレを感じやすい作業環境での使用を想定し、より多く顧客のニーズに対応している。

 東レは、中期経営課題「プロジェクト AP‐G2019」の中の基本戦略の一つに「成長分野での事業拡大」を掲げている。その一環として、先端材料によって作業現場の負担軽減や快適性の向上を目指すライフイノベーション分野の事業拡大を推進している。

DIC BASFの顔料事業を1162億円で買収

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2019年9月2日

 DICはこのほど、欧州化学メーカー最大手のドイツBASF社の顔料事業であるBASF Colors and Effects(BCE)に関する株式と資産を買収することで最終合意したと発表した。

 同買収により、DICはディスプレイ、化粧品、塗料、プラスチック、インキ、スペシャリティ用途など、世界有数の顔料メーカーとしての地位を強化し、より幅広いソリューションを顧客に提供する世界トップクラスの顔料ポートフォリオを構築する。

 今回の買収により、両社の技術やベストプラクティスの融合が促進され、顔料市場に対して画期的で革新的なソリューションの提供が可能となる。

 両社が保有する顔料の生産拠点数は、世界で30を超え、買収後の顔料ポートフォリオは、エフェクト顔料、無機顔料、有機顔料、スペシャリティ染料、加工顔料に関連する高機能製品のラインナップが拡充され、顔料事業の収益向上が見込まれる。

 DICグループは、今後も顧客に対する良好なサービスを維持するために、2020年末までに円滑な事業統合を可能にするための準備作業を推進する。

 

三菱ケミカル 中国・赤色蛍光体特許侵害訴訟の一審で勝訴

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2019年9月2日

 三菱ケミカルはこのほど、今年7月31日に、中国での赤色蛍光体特許侵害訴訟の一審で、被告である米国のIntematix社とその中国関連会社である英特美光电(苏州)、販売代理店の深圳格亮光电による特許の侵害を認める旨の一審判決を得たと発表した。

 三菱ケミカルは2015年にIntematix社などに対して、物質・材料研究機構(NIMS)と共有する赤色蛍光体に関する特許を侵害しているとして、中国における蛍光体製品の生産および販売等の侵害行為の差止めと損害賠償を求める訴訟を深圳市中級人民法院に提起していた。

 これに対し、今回、同中級人民法院は三菱ケミカルの主張を認め、Intematix社などによる当該侵害行為の差止めと合計200万元(約3000万円)の損害賠償金の支払いを命じる判決を下した。

 中国はLEDパッケージの最大の生産国であり、赤色蛍光体の主用途である白色LEDパッケージでも最大生産量を誇る。

 その中国での今回の勝訴判決は、長年積極的に投資、事業展開を行ってきた三菱ケミカルにとって非常に意義深いものとなる。

 また、今回の勝訴判決は蛍光体産業のみならず白色LED産業全体で見ても重要な意味をもち、今後の両産業の健全な発展と秩序維持に繋がるものと考えられる。

 なお、三菱ケミカルは、2011年にIntematix社とその韓国販売代理店に対し、韓国における同特許の対応特許に基づき特許侵害訴訟を提起し、2015年に特許侵害が認められ、対象となるIntematix社製蛍光体製品の韓国での輸入・販売などの差止めを命じる判決を得ている。

 今後も、三菱ケミカルは、他社が特許を侵害する製品を実施するようなことがあれば、看過することなく適正な対応を取る方針だ。