帝人は2日、7月に発表したチェコのベネット・オートモーティブ社の買収について、株式譲渡に関する諸手続きを完了し、8月30日(欧州時間)に完全子会社としたと発表した。
帝人は自動車向け複合成形材料事業で欧州展開を進めている。ベネット・オートモーティブ社がこれまで培ってきた技術や販売実績を活用することで、欧州の自動車メーカーの部品供給パートナーとして、さらに展開を強化していく。
また、かねてから強力に推進しているマルチマテリアル戦略でも、ベネット・オートモーティブ社と帝人・CSP社(2017年に買収した北米最大の自動車向け複合材料部品メーカー)・イナパル社(2018年に買収したポルトガルの自動車向け複合材料部品メーカー)の素材や成形技術、「人財」などを融合することで、軽量性や強度に加え、デザイン、生産性、コスト効率など幅広い顧客ニーズに応えるソリューション提供力を拡充する。
こうした取り組みを重ね、帝人は2030年頃に、自動車向け複合材料製品事業で20億米ドル規模の売上を目指す。
同社の中石昭夫・複合成形材料事業本部長は「当社とCSP社、イナパル社がこれまで北米・欧州・アジアの3極で培ってきた、軽くて強い高機能素材やデザイン、設計能力を駆使したマルチマテリアルでの提案力に、ベネット・オートモーティブ社の技術と販売チャネルを加え、ティア1サプライヤーとして自動車向け複合材料事業を一層拡大していく」と述べている。