旭化成建材の快適空間研究所はこのほど、首都大学東京の建築学域・須永研究室と共同で行った「住宅の温熱性能と居住者の意識」に関する調査結果をまとめた。
昨年12月の調査では、温熱性能が高い住まいに暮らす人のほうが、「快適な住環境で暮らすこと」「心身ともに健康でいられる生活をすること」「光熱費などの生活費を節約すること」を大切に考えている傾向があり、男性よりも女性ほうが、その傾向が顕著であるという結果を得た。
同研究所は、できるだけ冷暖房設備に頼らない「あたたかい空間」での〝心と体と懐があたたかくなるいきいきとした暮らし〟を「あたたかい暮らし」と定め、その空間の普及のために情報発信と啓発活動を続けている。
今回、その活動の一環として、住まいの温熱環境の実態と、居住者の温熱環境に関する意識・行動、ライフスタイルや価値観を調査。東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の戸建て住宅居住者(20~70代)を対象にWEBアンケート調査を実施した。
295名からの回答を集計し、住まいの温熱性能は、実際の住宅全体の断熱性能と高い相関がある窓ガラスの種類で分類した。温熱性能「低」はシングルガラス、「中」はペアガラス、「高」はLow‐Eペアガラスまたはトリプルガラスと回答した住宅。
今回の調査では、「温熱性能が高い住まいに暮らす人」ほど、前述の3項目での意識が高く、特に女性にその傾向が強いことが分かった。また、健康につながる定期健診や、食事をしっかり管理している傾向も見られた。
同研究所ではこの結果から、「温熱性能が高い住まいに暮らす人」ほど、「あたたかい暮らし」の実現のために、「自分や家族の日々の暮らしをマネジメントして暮らしているのではないか」と分析している。
近年、住宅業界では高断熱住宅が注目され、快適性のみならず、居住者の健康への影響などに多くの関心が集まっている。同研究所では今後、さらに、住まいの温熱性能の違いが居住者の暮らし(心と体と懐)にどのような影響を与えるのかなど、居住者にとっての生活価値に焦点をあてて調査研究を深掘りしていく考えだ。また、その成果を幅広く情報発信していくことで、住宅の高断熱化を促進していく。