積水化成品工業 欧州の自動車部材大手を傘下に、株式取得が完了

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2019年2月21日

 積水化成品工業は20日、欧州自動車部材大手のプロシートグループの株式などの取得手続きが、現地時間の19日に完了したと発表した。

 これに伴い同日、積水化成品の子会社で、株式取得会社のセキスイ・プラスチックス・ヨーロッパの商号を、プロシート・ヨーロッパに変更した。セキスイ・プラスチックス・ヨーロッパがレクティセル社などから、プロシートグループの株式の75%を取得した。残りの25%はレクティセル社が保有する。

 プロシートグループは、ドイツ・フランス・英国・スペイン・チェコ・ポーランドの欧州6カ国に製造拠点をもち、シート用クッション材やヘッドレスト、アームレストなどのトリムパーツ、発泡成形品といった自動車部材を欧州自動車メーカーに供給する、自動車メーカー系列に属さない独立系のリーディングカンパニー。

 積水化成品は同グループを傘下に収めることで、主力製品「ピオセラン」(ポリスチレン・ポリオレフィン複合樹脂発泡体)など、自動車部材における欧州での拡販スピードを加速させ、同グループ取り扱い自動車部材全般の、積水化成品のチャネルを活用した日系自動車メーカーへの展開を推進していく。

クラレ 岡山工場にメルトブローン不織布の設備増設

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2019年2月21日

 クラレは20日、高機能不織布の需要拡大に対応するため、不織布および不織布製品の製造・販売会社であるクラレクラフレックスの岡山工場に、メルトブローン不織布の生産設備を増設することを決定したと発表した。稼働時期は2020年後半を予定しており、増設後の年産能力は2700t(現在900t)に拡大する。

 メルトブローン不織布は極細繊維により構成される不織布で、その緻密な構造により、マスク用をはじめ各種フィルターなどに使用されている。

 クラレクラフレックスでは、ポリプロピレンによる一般的なメルトブローン不織布にとどまらず、特殊ポリマーを素材に用いた特色あるメルトブローン不織布を製造・販売。近年、クラレクラフレックスが手掛ける独自のメルトブローン不織布、およびそれらを使用した複合シートの需要拡大が続いていることから、生産設備の増設が必要と判断した。

 クラレグループは、創立100周年を迎える2026年のありたい姿「独自の技術に新たな要素を取り込み、持続的に成長するスペシャリティ化学企業」を長期ビジョンに掲げ、その実現に向けた3カ年(2018~2020年度)の実行計画として、中期経営計画「PROUD 2020」を推進している。同社は引き続き、成長に向けた投資を積極的に行っていく考えだ。

SEMI 200mmファブ生産能力が月70万枚増加へ

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2019年2月20日

 マイクロ・ナノエレクトロニクス製造サプライチェーンの国際工業会であるSEMI(米カリフォルニア州)はこのほど、200mmウェーハ前工程ファブの生産能力が、2019年から2022年の間に月産70万枚(14%)増加すると発表した。モバイル・IoT・自動車・産業用途での需要拡大による。これにより、200mmファブの世界生産能力は、月産650万枚に達することになる。

 200mmファブ生産能力のおう盛な増加は、業界のさまざまな分野での需要拡大を反映したものだ。例えば、2019年から2022年の間の200mmウェーハの出荷量は、MEMSとセンサーデバイス向けが25%増、パワーデバイス向けが23%増、ファウンドリ向けが18%増と、いずれも大きく成長することが、「Global 200mm Fab Outlookレポート」で明らかにされた。新工場を含む200mmファブ数と生産能力の増加は、200mm産業の好調が持続することを示している。

 最新のレポートでは、昨年7月の前回レポートに対し、7つの新設備が追加され、109のファブについて160の情報を更新した。2019年から2022年の間に、生産開始が予定されている新設備・ラインは16ヵ所あり、そのうち14ヵ所が量産ファブとなる。ちなみに同レポートは、装置が別のファブから移転されるケースと、一旦倉庫に保管された後に再生使用されるケースの両方を対象としている。

 最近発生したメモリーなどの最先端投資計画の突然の変更によって、今年の投資額は二桁減の見込みだ。しかし、200mm以下の小口径ウェーハを使用する成熟デバイスの需要は、安定あるいは増加を示しており、需要の成長に対応するため、200mm生産能力の増強や新規建設計画が、今後浮上することも予想されている。

丸紅 鉱山用ゴム資材の販売会社をロシアに設立

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2019年2月20日

 丸紅は19日、モスクワ市に鉱山車両用大型タイヤ(ORタイヤ)をはじめとする、ゴム資材を取り扱う販売会社「丸紅ラバー RUS(MRR社)」を昨年12月に設立したと発表した。

 豊富な天然資源を有するロシアは、鉱山開発が活発に行われており、ORタイヤをはじめ鉱山用ゴム資材の一大市場。

 丸紅は1970年代から鉱山用ゴム資材の販売を行ってきたが、MRR社を設立することで販売力を強化し、増加する需要の取り込みを図るとともに、大規模鉱山のみならず中小規模鉱山への販売拡大を狙う。また、将来的には、タイヤ修理、リトレッドによる再生タイヤ、廃タイヤ処理をはじめとしたプロダクトサポートを通じ、ORタイヤ関連のトータルソリューションプロバイダーを目指す。

 丸紅は、ロシアをはじめ世界20カ国で鉱山用ゴム資材を販売。MRRの設立を足掛りとして、今後は販売だけでなく、顧客の様々なニーズに対してソリューションを提供する体制を確立し、各国に展開していく方針だ。

 

東ソー 高強度ジルコニアが大河内記念技術賞を受賞

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2019年2月20日

 東ソーは19日、「高強度ジルコニアの工業化と市場確立」で、公益財団法人大河内記念会より「第65回(平成30年度)大河内記念技術賞」を受賞したと発表した。今回の受賞は、加水分解法によるジルコニア微粒子の合成機構を究明して品質の安定した高品位ジルコニア粉末が製造できる量産技術を確立したこと、特に焼結体微細組織の定説を覆す粒界偏析誘起相変態を発見し、本質的な弱点である劣化を克服した新ジルコニアの開発に成功したことなど、高強度ジルコニアの工業化と市場確立に大きく貢献したことが高く評価されたもの。

 ファイン・セラミックスの一種である高強度ジルコニアは、1980年代に実用化。当時は適切な粉末製造技術が確立していなかったため、原料粉末の品質安定化と量産が困難な状況であり、また高温大気や熱水中では劣化が著しく常温使用に用途が制限されていた。

粉砕用ボール
粉砕用ボール

 同社は、これらの課題に取組み、ジルコニア粒子制御技術の開発と革新的な加水分解プロセスを確立したことで、高強度・高靱性に加えて劣化を著しく抑制した高信頼性を特長とするジルコニア粉末の製造を実現し、これまでに粉砕用ボールや光ファイバ用接続部品、各種構造部材に加えて、審美性に優れる歯科材料などさまざまな用途への利用を進めることで、高強度ジルコニアの市場形成の進展に寄与してきた。さらに、同技術は多様な形状の製品製造や広範囲な色調・透光性の制御も可能であり、高強度材料としての用途のほか光学機器や装飾品用途、触感性に優れた携帯機器部材など、新たな用途での展開が進むと期待されている。

歯科材料
歯科材料

 大河内賞は、大河内正敏博士の功績を称え、その遺志である生産工学の振興を目的として設立された大河内記念会が、日本の生産工学、生産技術の研究開発、および高度生産方式の実施などに関する顕著な功績を表彰する権威ある賞。今回、同社が受賞した「大河内記念技術賞」は、「生産工学および生産技術上優れた独創的研究成果をあげ、学術の進歩と産業の発展に貢献した顕著な業績」に贈られる。同社は、今回の技術賞受賞を励みとし、今後も革新的な研究開発に取り組んでいく。

 

ポリプラスチックス ウィンテックポリマーを4月に合併

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2019年2月20日

 ポリプラスチックスは19日、100%子会社のウィンテックポリマーとの合併を決定したと発表した。合併日は2019年4月1日で、ポリプラスチックスを存続会社とし、ウィンテックポリマーを消滅会社とする吸収合併となる。

 今回の合併の目的は、ウィンテックポリマーのポリブチレンテレフタレート(PBT)およびガラス繊維強化ポリエチレンテレフタレート(GF‐PET)事業とポリプラスチックスの事業基盤との融合により、迅速かつ効率的な経営を目指したもの。ウィンテックポリマーの全取引はポリプラスチックスが継承する。

 ウィンテックポリマーは、PBTとGF‐PETの事業強化を図るため、ポリプラスチックスと帝人の出資により2000年に設立。その後、帝人が松山事業所の構造改革を行い2016年3月に原料テレフタル酸ジメチル(DMT)の生産を停止したため、同年9月にポリプラスチックスが100%子会社化していた。

 

積水化学工業 体感型ショールームを全国展開し今年17拠点に

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2019年2月19日

 積水化学工業住宅カンパニーは、家づくりを学べる体感型ショールーム「セキスイハイムミュージアム」の全国展開を加速、今年9月末までに全国17拠点の開設を計画している。

導入設備例 VR体感
導入設備例 VR体感

 同社は、既存の住宅展示場や工場見学会などの情報発信拠点に加え、「セキスイハイム」の際立ちをより多くの方に発信する目的から、体感型ショールーム「セキスイハイムミュージアム」の展開を推進。シアタールーム、VR(仮想現実)などを用いた体感型プレゼンテーション設備や構造模型などで、家づくりをより「楽しく、わかりやすく」理解してもらい、家族の納得を得られる家づくりを学んでもらう。

導入設備例 シアタールーム
導入設備例 シアタールーム

 大阪、栃木、名古屋での開設を経て、昨年6月より本格的に全国展開を開始。当初は8拠点を計画していたが、顧客からの評価が高いことから展開範囲をさらに拡大。既に開設している9拠点に加え、今年3月末までに新たに2拠点を開設し全国11拠点を計画している。さらに9月末までには6拠点の開設と一拠点のリニューアルを予定し、全国で17拠点となる見込みだ。

 設置スタイルについては展示場型、工場併設型、中心市街地設置型の三タイプを、地域のニーズに合わせ展開していく。今年1月末現在で、展示場型に拠点、工場併設型3拠点、中心市街地型4拠点が開設。導入するコンテンツは各地域の特性を考慮し、住まいの地域に合わせた家づくりをサポートする。

 

日本ゼオン 位相差フィルムで大河内記念技術賞を受賞

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2019年2月19日

 日本ゼオンはこのほど、液晶ディスプレイ用位相差フィルムの生産技術開発による産業発展への功績が評価され、大河内記念会から大河内記念技術賞を受賞することが決まったと発表した。3月26日に、東京都千代田区の日本工業倶楽部で開催される贈賞式で表彰される予定。

 同社が開発した液晶ディスプレイ用位相差フィルム「ゼオノアフィルム」は、熱可塑性プラスチック(シクロオレフィンポリマー)を原料とする光学用フィルム。液晶ディスプレイはさまざまな機能を持った各種フィルムの集合体だが、ゼオノアフィルムは主に位相差フィルムなど、偏光板の部材として使われる。

 今回の評価対象となったのは、独自の加工技術でシクロオレフィンポリマーをフィルム化する「溶融押出法」と、フィルムの分子を一定方向に配向させる「逐次2軸延伸」「斜め延伸」などの延伸技術。

 光学用フィルムは厚み精度への要求が一般のフィルムに比べ厳しく、従来は溶液キャスト法によって製造されてきた。この製法は厚み精度に優れるものの、生産性を上げることが難しく、設備も大規模なものが必要とされ、光学用フィルムの高コストの要因となっていた。

 同社は生産性向上と設備のコンパクト化を目指し、溶融押出法の開発を進め、溶液キャストを凌駕する厚み精度を得ることに成功した。これにより、品質は同等以上で圧倒的なコスト競争力を持つフィルムの生産が可能になった。

 大型液晶ディスプレイ用の視野角を拡大するためには、業界初のプロセスとして縦と横に段階的に延伸させる逐次2軸延伸、スマートフォンなどの中小型ディスプレイには、世界初のプロセスとして任意の角度に分子を配向させる斜め延伸の技術が用いられている。膜厚や分子配向、光学物性などの制御には多くの課題があったが、同社が開発した新たな製法は諸性状の制御を可能とし、産業の発展にとっても大きな後押しとなった。

 

東洋紡 欧ベンチャー支援で事業拡大を目指しファンドに参加

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2019年2月18日

 東洋紡はこのほど、欧州独立系運用会社のカプリコーン・ベンチャー・パートナーズ(ベルギー、ルーヴェン市)が運用するベンチャーファンドに参加したと発表した。今後は、同ファンド投資委員会のオブザーバーとして、ベンチャー企業の支援を行うとともに、ファンドを通じて得られる新技術や新事業の情報を活用し、持続可能な化学分野での事業拡大に注力していく考えだ。

 同ファンドは、カプリコーン・サステナブル・ケミストリー・ファンド(CSCF)。「持続可能な化学」の考えに基づき、特に機能材・食品・飼料・繊維・燃料などの分野で成長企業に投資を行っており、昨年12月に締め切られた2次募集で8650万ユーロの資本金を確定した。背景には、近年の環境問題への先進的な取り組みで、欧州が主導する国際的な潮流がある。

 東洋紡は、同地域に基盤をもつファンドに参加することで、将来的な事業成長拡大に資する情報や投資機会を得る意義は、非常に大きいとしている。また、CSCFの投資方針は、同社の志向する事業分野に適合性が高いこともその理由。同ファンドの経営陣は化学・生化学などの事業経験者を中心に構成されているなど、同社の目的に合った投資ファンドであると判断し、今回の参加を決めた。

 なお、「持続可能な化学」とは、経済協力開発機構(OECD)の定義によれば、「化学製品およびサービスに対する人間のニーズを満たすために、天然資源が使用される効率を改善することを目的とした科学的概念であり、効率的・効果的なプロセスの設計、および安全で環境に優しい化学製品の製造・使用を含む」とされている。

三井化学 アニュアルリポートが準グランプリを受賞

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2019年2月18日

 三井化学はこのほど、日本経済新聞社による「日経アニュアルリポートアウォード2018」で、準グランプリを受賞したと発表した。2016年度の優秀賞、2017年度の特別賞に続く受賞となった。

 受賞理由として、率直で要点が明確なCEOメッセージが、報告書全体のサマリーになっていること、経済・社会・環境の三軸経営による企業価値創造プロセスの開示も、独自のKPIによる見える化で説得力があること、ボードメンバー全員の笑顔の集合写真が好印象であることが挙げられている。

 同アウォードは、日本企業が発行するアニュアルリポートのさらなる充実と普及を目的として、1998年から毎年開催されている。現役のファンドマネージャーやアナリストらが、多岐にわたる審査基準により審査を行い、特に優れたレポートを表彰する。21回目となる2018年度は、112社が参加し、その中からグランプリ1社、準グランプリ3社、特別賞2社、優秀賞15社が選出された。

 三井化学のリポートでは、株主・投資家をはじめとするステークホルダーに、同社グループの事業活動を通じた社会課題解決に対する取り組みを、経済・環境・社会の3軸の面から指標を交えて紹介している。中長期的な価値創造への理解を深めてもらうとともに、「質の高い対話」のプラットホームとなる報告を目指している。

 同社では、今後もより一層、株主・投資家の理解と信頼を得られるよう、積極的な情報開示と対話を重視し、IR活動の取り組みを強化していく。