三井化学 日化協の「安全優秀特別賞」を受賞、無災害継続が評価

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2020年6月15日

 三井化学はこのほど、同社の研究開発拠点である袖ケ浦センター(千葉県袖ケ浦市)が、日本化学工業協会(日化協)の「安全優秀特別賞」を受賞したと発表した。日化協安全優秀賞は、化学業界での自主的な保安・安全衛生推進の一環として、安全の模範となる事業所や研究所を表彰する制度。

(左から)井尾博文研究開発企画管理部安全・環境GL、柴田真吾常務執行役員・研究開発本部長、伊藤潔研究開発企画管理部長
(左から)井尾博文研究開発企画管理部安全・環境GL、柴田真吾常務執行役員・研究開発本部長、伊藤潔研究開発企画管理部長

 同社は「安全はすべてに優先する」との経営方針の下、安全活動を国内外の拠点・関係会社へ展開している。今回の受賞は、研究開発に従事する従業員が全員参加で、安全意識向上と安全活動に取り組んだ結果、無災害を継続していることが評価されたもの。日化協・安全表彰のうち研究所を対象にした賞では最高賞となる。

 現在、無災害記録時間は4497万時間、無災害年数は32年2カ月を継続中。同研究施設は、モビリティ、ヘルスケア、フード&パッケージングの成長3領域を中心に、精密合成技術やポリマーサイエンス、競争力ある製造プロセス技術による高機能・高品質の新規素材開発を担う。同時に、保有技術と素材をベースとしたソリューション提供型のテーマを推進し、顧客課題の解決を図っている。

 今後も、グループを挙げて安全活動を実施し、化学産業への持続的発展と社会に貢献していく。

石化協 「APIC2020インド大会」が来年に延期へ

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2020年6月11日

 石油化学工業協会は10日、新型コロナウイルスの感染拡大により延期されていた「アジア石油化学工業会議2020・インド大会」(APIC2020)が、インド協会主催による「APIC2021」として来年5月に開催すると発表した。

 なお、新しい日程や開催都市、会場に関しては、現時点では未定。今年9~10月をめどに決定する予定で、決まり次第、改めて同協会のウェブサイト(https://www.jpca.or.jp/)で案内する。

三菱ケミカル 赤色蛍光体特許に対する中国訴訟2件で勝訴

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2020年6月8日

 三菱ケミカル(MCC)は5日、物質・材料研究機構(NIMS)と共有する赤色蛍光体に関する中国特許に対し、中国企業2社(Shield社と英特美光電社)が特許の無効を訴えていた行政訴訟について、裁判所がその訴えを退け、特許の有効性を支持する勝訴判決を得たと発表した。Shield社との第2審では原審と同様、特許の有効性が支持され、今回の判決により勝訴が確定したことになる。

 赤色蛍光体は、通称SCASNまたは1113蛍光体と呼ばれる窒化物系の蛍光体。高い輝度と信頼性からLED用として最も広く使用されており、MCCが製造販売している赤色蛍光体は、LEDメーカー各社から多くの支持と評価を受けている。同特許は、この赤色蛍光体とそれを用いたLEDデバイスなどを広くカバーする基本特許であり、今回の2つ判決ではMCCとNIMSが共有する重要な知的財産権の有効性が中国の司法により改めて支持された。

 中国はLEDデバイスの最大の生産国であり、赤色蛍光体の主用途である白色LEDデバイスでも最大生産量を誇る。その中国で中国企業2社の主張を全面的に退け、同特許の有効性が支持された今回の2つの判決は、長年中国で積極的に投資、事業展開を行ってきたMCCにとって非常に意義深いもの。また、蛍光体産業のみならず白色LED産業全体にとっても重要な意味を持ち、今後の両産業の健全な発展と秩序維持に繋がることが期待される。

 今後もMCCとNIMSは自社・他社の知的財産権を尊重し、他社が知的財産権の無効を主張しまたは侵害するようなことがあれば、看過することなく適正な対応を取る考えだ。

プラ工連 新会長に住友化学社長の岩田圭一氏が就任

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2020年6月4日

 日本プラスチック工業連盟は先月28日、書面決議による第72回定時総会・第56回理事会を開催し、姥貝卓美会長(三菱ケミカル特別顧問)の任期満了による退任に伴い、新会長に岩田圭一氏(住友化学社長)を選任した。

 岩田新会長は就任にあたり挨拶文を寄せ、同連盟の重点課題として、「循環型社会実現に向けた取り組み」と「国際標準化活動」の2点を挙げた。

 循環型社会の実現では、「今回の新型コロナウイルスの世界的感染拡大では、特に衛生性の観点から、医療現場をはじめとする社会基盤を支える素材として、プラスチックの重要性が再認識された。その一方で、プラスチックの有効利用を促進し、資源循環体制を構築することは喫緊の課題である」と現状を分析。

同連盟が昨年発表した「プラスチック資源循環戦略」を軸に、①科学的データに基づく情報発信②再生材の利用推進③ケミカルリサイクルの社会実装実現④バイオプラの利用推進⑤廃PETボトルなどの100%回収―を目指して取り組んでいくとした。海洋プラごみ問題に向けた宣言活動も継続していく。

 国際標準化活動では、日本のプレゼンス維持と日本提案の規格開発推進に積極的に取り組み、企業の新規市場展開を支援につなげていく。中でも「近年特に重要性が増しているプラスチックのリサイクル、海洋生分解性プラやマイクロプラなどに関連した規格開発にも注力していく」(岩田新会長)考えを明らかにした。

 また、来年度から始まる同連盟の4カ年計画に触れ、「変化する社会のニーズを踏まえ、より実効性のあるものにしていくために、今年度は会員の方々のご意見も広くお聞きしながら議論していく」(同)との方針を示した。

 

三井化学 経営概況、事業環境悪化で厳しい状況に

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2020年6月3日

橋本社長「長計を実現するため計画を立て直す」

 三井化学は2日、オンラインによる経営概況説明会を開催した。同社は今年度、長期経営計画「VISION 2025」(2016~25年度)の折り返し地点を迎える。これまでポートフォリオ変革に取り組み収益体質が強化されてきたが、米中対立の激化やコロナ禍などにより事業環境が大きく変化し、対応を迫られている。

経営概況を説明する橋本修社長
経営概況を説明する橋本修社長

 橋本修社長は「長計策定時には想定していなかった事業環境にあり、当社が目指す理想像と長計ターゲットに相違が生じていることに加え、ポートフォリオ変革も遅れている。これまでのレビューを行い、目指すべき方向性を出し、長計を実現するため計画を立て直す」とし、

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NIMSと産総研 エチレン高感度・高選択モニタリング

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2020年5月26日

 物質・材料研究機構(NIMS)と産業技術総合研究所(産総研)はこのほど、植物ホルモンであるエチレンを常時モニタリングできる小型センサを開発した。

 エチレンは野菜や果物の熟成を促進させるが、過剰にあると腐敗を進行させてしまう。同センサによってエチレンを常時モニタリングすることで、野菜や果物の最適な輸送・保存管理が可能となり、食べ頃の調整やフードロスの削減などが期待される。

 現在市販されているエチレン検出用小型センサの多くは、高温状態(200~300℃)での駆動が必要であるため、センサ表面の活性は高く、アルコールやメタンといった他の還元性ガス分子とも反応してしまい、エチレンの選択的な検出が難しかった。

 同センサは、①エチレンを選択的にアセトアルデヒドに変換する高活性触媒(Pd‐V2O5‐TiO2)、②アセトアルデヒドと反応して酸性ガス(HCl)を発生する試薬(Wacker反応)、③酸性ガスを高感度に検出する単層カーボンナノチューブ(SWCNT)修飾の電極、の3要素からなり、エチレンを選択的かつ繰り返し高感度で検出することに成功した。

 高活性触媒は、エチレンを含む空気を通過させるだけで㏙レベルのエチレンをほぼ全てアセトアルデヒドに変換でき、繰り返し利用可能。低温(40℃)で駆動するため、低消費電力である点でも小型センサに適している。

 発生した酸性ガスは、半導体SWCNTから電子を引き抜き、電気抵抗値を変化させる。その感度は、1㏙のエチレンに対して電流変化率約10%と世界最高レベルであり、わずか0.1㏙のエチレンを高選択的にモニタリングできる。

 例えば、バナナとキウイフルーツの熟成(追熟)に用いられるエチレンの濃度は、それぞれ約500㏙と約10㏙なので、同センサで十分に対応可能。また、産総研の持つ半導体SWCNTの分離精製技術により、わずか1gのSWCNTから数100万個のセンサが作製できる。高活性触媒に含まれるパラジウム(Pd)も、1センサ当たり0.8㎎程度なので、コストは10円以下である。

 同エチレンセンサは小型、省電力であり、情報(ビックデータ)を集積・ネットワーク化するセンサデバイスを低コストで設置可能。農業・食品業界のSociety5.0実現への取り組みを推進する。さらに、別の高活性触媒を設計し、エチレン以外のガス分子に対応する小型センサの開発も進める考えだ。

昭和電工 大分コンビナートが日化協安全最優秀賞を受賞

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2020年5月26日

 昭和電工はこのほど、大分コンビナートが日本化学工業協会による安全表彰において安全最優秀賞に選定されたと発表した。同賞は、化学業界の自主的な保安・安全衛生推進の一環として、優れた安全活動を実施し模範となる事業所を表彰する制度。同社は昨年の小山事業所に続く2年連続の受賞となり、大分コンビナートは2010年以来2回目の同賞受賞となった。

 大分コンビナートは、「無事故・無災害を目指し、安全をすべてに優先する」を方針のトップに掲げる。従業員一人ひとりが責任ある行動を実現する、すなわち「凡事徹底」を実践する人材を目指すとともに、同社従業員数を上回る協力会社関係者とも協働し、一体となってOPS(TPM)活動をはじめとする安全活動や設備保全活動、教育訓練、健康管理活動を推進。この結果、同コンビナートは無災害記録625万時間、無災害年数6年を継続、協力企業については10年以上休業災害ゼロを継続中。

 この一人ひとりの責任感の強さに基づく活動が、休業災害ゼロ実現の強力な推進力となり、コンビナート構成会社・協力会社が一枚岩となった安全文化を確立していることなどが評価され、今回の受賞に至った。

 同社グループは安全とコンプライアンスを基盤とし、経済的価値・社会的価値を創造することによる持続可能な社会への貢献を目指している。今後もグループ一丸となり安全に対するさらなる意識向上と活動の充実を図っていく考えだ。

大分コンビナート
大分コンビナート

日本化学会 小林新会長「化学の力で世界的課題を解決」

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2020年5月26日

 日本化学会は25日、定時総会において、川合眞紀会長(分子科学研究所所長)の退任に伴い、三菱ケミカルホールディングスの小林喜光会長を新会長に選任した。

小林喜光新会長
小林喜光新会長

 同日、開催されたオンラインによる会長就任会見の中で小林新会長は「任期の2年間、日本化学会の一層の発展に尽力していく」と述べた。化学が果たすべき役割ついては、「社会では、グローバル化やデジタル化、ソーシャル化の中で、既成概念が覆されるような急激な変化が起きている。それに加え、昨今のコロナウイルスの感染拡大に翻弄されている。感染症対策にはデジタル化が必要だが、日本では

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産総研 高性能高信頼性n型有機半導体材料の開発に成功

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2020年5月25日

 産業技術総合研究所(産総研)は、東京大学、筑波大学、北里大学と産総研・東大先端オペランド計測技術オープンイノベーションラボラトリが、高信頼性かつ高電荷移動度、大気、熱、バイアス(動作電圧)ストレス耐性を併せ持ち実用に耐えうる塗布型n型半導体材料の開発に世界で初めて成功した。

 この材料は、新しい分子設計指針に基づく電子輸送性BQQDI(ベンゾイソキノリノキノリンジイミド)骨格を持つ塗布型n型有機半導体材料で、IoT社会のキーデバイスである電子タグやマルチセンサーの実用化を加速させることが期待される。

 現在汎用される主としてシリコン系の無機半導体は、電荷移動速度は高いが、重く、硬く、製造にも300~1000℃の高温が必要となる。一方、軽量かつ柔軟で、印刷による低温作製によりコストと環境負荷を大幅に軽減した有機系半導体が注目され、すでに無機半導体のアモルファスシリコンより1桁高い10㎠/V・s級の正孔移動度を持ち、実用に耐える環境ストレス耐性を示す印刷可能なp型半導体が報告されている。多種多様なハイエンドデバイス開発のためには、p型と同程度の安定性、プロセス性およびデバイス性能を併せ持つn型有機半導体が求められていた。

 こうした中、今回、ペリレンジイミド骨格に窒素を導入したBQQDI骨格を持つ有機分子が、大気下で安定なn型有機半導体の母骨格となることを発見。特に、フェネチル基を導入したPhC2‐BQQDIの単結晶が三㎠/V・sの電子移動度および高い信頼性因子を示すことを見出だした。大気下で6カ月以上安定にデバイスを駆動することが明らかとなり、熱ストレスやバイアスストレスに対しても極めて高いデバイス安定性が実証された。

 さらに、この優れた半導体特性が、無機半導体同様のバンド伝導機構に基づくことも実験的に証明された。分子力学計算と伝導計算からも、窒素を介した多点水素結合が分子間振動を抑制し電子移動度を向上させていることが明らかとなった。また、CMOS論理回路に応用することにも成功。

 BQQDI骨格は性能・耐性ともに前例のないn型有機半導体で、次世代エレクトロニクスの研究と産業の戦略材料になるだけにとどまらず、曲がるディスプレー、電子タグ、マルチセンサー、熱電変換素子、薄膜太陽電池などの開発への貢献が期待できる。

 なお、PhC2‐BQQDIは、来月上旬から富士フイルム和光純薬から試薬として販売される予定。