住友化学 通期業績を上方修正、為替差損などで純利益は下振れ

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2021年2月15日

 住友化学は12日、2020年3月期の通期業績(IFRS)予想の修正を発表した。売上収益2兆2600億円(前回発表比450億円増)、コア営業利益1350億円(同350億円増)、営業利益1100億円(同50億円増)、純利益200億円(同100億円減)を見込む。

 修正理由として、売上収益およびコア営業利益は、石油化学において製品市況が上昇していることに加え、医薬品や情報電子化学においても出荷が堅調に推移していることから想定を上回る見込み。 一方で、非経常的な要因により発生する損益として、医薬品「ナパブカシン」の結腸直腸がんを対象としたフェーズⅢ試験の解析結果において主要評価項目を達成しなかったことや、開発中の医薬品の事業性を見直したことにより、減損損失の計上などを見込む。加えて、1-3月期の為替相場を見直したことから、円高に伴う為替差損の発生により、純利益は前回発表予想を下回る見通しだ。

伊藤忠商事 ナイロンリサイクル、イタリア社と業務提携

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2021年2月15日

 伊藤忠商事は12日、世界最大のリサイクルナイロンブランド「エコニール」を展開するAquafil社(イタリア)とナイロン循環リサイクルに関するビジネスの推進、拡大に向けて業務提携を締結したと発表した。今回の提携を契機にナイロン廃棄物の回収からリサイクルナイロンを原料とした最終製品の開発、販売まで本格的に取り組んでいく。

 昨今、カーボンニュートラルの対応が世界中で急務とされる中で、石油化学製品のリサイクル比率の向上は最重要課題の一つと位置付けられている。ナイロンは石油由来の化学繊維およびプラ原料として幅広い分野で使用される一方で、他原料との複合素材として使用されている製品も多く、リサイクルが難しい素材の一つだった。

 Aquafil社は、独自の技術でナイロン廃棄物をケミカルリサイクルによって粗原料であるカプロラクタム(CPL)まで戻し、不純物等を完全に除去しバージン材と同等品質で再利用できる循環リサイクルシステムを構築。2011年よりスロベニアにて漁網やカーペットなどの廃棄物を原料としてリサイクルナイロン「エコニール」の生産を開始した。「エコニール」は100%廃棄物からのリサイクルのため、石油由来の通常のナイロンに比べてCO2排出量を最大90%削減が可能。環境配慮型素材としてファッション業界やカーペット業界などを中心に、全世界2000社以上の著名なブランドで採用されてきた。特にファッション業界ではグッチやバーバリー、プラダといった大手ファッションブランドから大きな支持を受け注目を集めている。

 伊藤忠商事はナイロン原料であるCPLおよびナイロンチップについて、数量ベースで世界最大規模の取り扱いをしており、伊藤忠商事のもつナイロンバリューチェーンの活用とAquafil社のエコニール事業の方向性が合致し本提携を締結するに至った。今後は伊藤忠グループのもつ多様なネットワークを活かして、グローバルにファッションやカーペット、自動車用部材、包材等の用途向けに拡販していく。さらに既存の販売チェーンからの廃棄用ナイロンの回収スキームを構築する予定で、Aquafil社への原料安定供給の観点からも協業をすすめていく。廃棄物の回収から最終製品の販売までを共同で取り組むことにより、付加価値の高いナイロン循環リサイクルの拡大を目指す。

Aquafil エコニール循環リサイクルイメージ
Aquafil エコニール循環リサイクルイメージ

 

クラレ 前中計は火災事故やコロナ影響で目標未達

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2021年2月12日

今年度に新中計策定、エバールなど新工場を検討

川原仁社長

 クラレは10日、オンラインによる決算説明会を開催した。2020年度通期(1-12月期)連結業績は、売上高が前年比6%減の5418億円、営業利益18%減の443億円、経常利益18%減の397億円、純利益26億円(同45億円増)となった。川原仁社長は、「新型コロナ感染拡大による世界的な景気減速の影響を受け、多くの事業で需要が落ち販売が減少するとともに、

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ENEOSの3Q決算 在庫影響除き営業利益は大幅減

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2021年2月12日

 ENEOSホールディングスが10日に発表した、2020年度第3四半期(4-12月期)の連結業績(IFRS)によると、売上高は前年同期比29%減の5兆3672億円、営業利益40%減の1338億円、純利益46%減の670億円。なお、在庫影響を除いた営業利益相当額は、41%減の1609億円だった。 

 同日にオンラインで開催した決算説明会で、田中聡一郎常務執行役員は在庫影響除き営業利益の減益要因に触れ、「新型コロナウイルスによる影響では、具体的には石油製品の販売の減少や原油価格低迷による石油・天然ガス開発事業での減益、チリ・カセロネス銅鉱山での人員抑制による生産量減少などの影響があった」と説明。これに加え、コロナ影響を踏まえた採掘計画見直しによるカセロネス銅鉱山の減損損失の計上、中国石油国際事業日本と合弁事業を行っていた大阪製油所を停止し、千葉製油所に変更したことに伴う一時的な損失などを主な悪化要因に挙げた。

 一方、良化要因としては、国内石油製品マージンが堅調に推移したことや、テレワークの普及などによる通信需要の増加に伴う電子材料の増販、コロナ対応をはじめとした経費削減が寄与した。

 営業利益の減益幅をセグメント別で見ると、エネルギー事業は前年同期との比較で340億円減(在庫影響除き)、石油・天然ガス開発事業は335億円減、金属事業では558億円減(在庫影響除き)となり、中でも金属事業の不振が響く形となった。金属事業は、データ通信需要の増大に伴う機能材料・薄膜材料の販売数量増加と銅価上昇による良化はあったものの、カセロネス銅鉱山の減損損失(694億円減)や生産量減少により減益幅が拡大した。

 こうした中、今年度の通期業績予想については、在庫影響除き営業利益1900億円(在庫影響含み2000億円)の計画を据え置いた。田中常務によれば、カセロネス銅鉱山の減損損失や、卸電力市場価格の高騰に伴う電力事業の悪化(約200億円)を、カセロネス銅鉱山の権益追加取得に伴う債務消滅益(約600億円増)や、堅調な国内石油製品マージン、好調な電子材料の増販で補えるとの見通しから、前回公表値と同レベルになると見込んでいる。

東海カーボンの1-12月期 減収減益も来期躍進見通し

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2021年2月12日

 東海カーボンは10日、2020年12月期(1-12月期)連結決算の電話会見を行った。売上高は前年同期比23%減の2015億円、営業利益86%減の79億円、経常利益88%減の63億円、純利益97%減の10億円となった。主力の黒鉛電極とカーボンブラック事業の対面業界である鉄鋼とタイヤ産業の大幅需要減が要因だが、米国タイヤ需要回復などで第3四半期以降大きく反転した。佐藤昭彦財務経理部長は「コロナ禍でも中計の基本方針にのっとり、 “東海カーボンの1-12月期 減収減益も来期躍進見通し” の続きを読む

出光興産 ENEOSのPX装置など、譲受の基本契約を締結

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2021年2月12日

 出光興産は10日、ENEOSとの間で、ENEOS知多製造所の石油化学製品製造設備の譲受に向けた基本契約を締結したと発表した。両社は昨年10月に基本覚書を締結以降、譲受に関する協議を行っていた。対象となる知多製造所の石化設備は、パラキシレン(PX)製造装置(年産40万t)と、不均化装置など周辺設備。出光興産は国内に47万9000tのPX製造装置を保有している。

 出光興産は今後、譲受に関する詳細な条件をENEOSと協議し、今年9月末を目途に設備譲渡(譲受)契約を締結することを目指す。

 

住友化学 プラスチックリサイクルのリサイクル教育、ナイジェリアで支援

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2021年2月12日

 住友化学はこのほど、ナイジェリアのオアンド財団による、プラスチックリサイクル意識の向上を目指すプロジェクト「Clean Our World」(COWプロジェクト)に対し、5万ドルの寄付を実施したと発表した。なお同社は、2017年から同財団と連携し、太陽光発電装置を備えたICTセンターを6カ所設立するなど、STEM(理数系)教育の支援も行っている。

ナイジェリア マシン地区の学校での清掃活動
ナイジェリア マシン地区の学校での清掃活動

 ナイジェリアでは年間3200万t以上のごみが発生し、そのうち30%超がプラスチックであると推定される。現在、それらプラごみの大部分は適切に廃棄されず、排水管の詰まりによる冠水を引き起こし、また西アフリカの主要河川であるニジェール川などから海洋に流出している。こうした状況を解決するため、昨年設立したCOWプロジェクトでは、将来を担う小学生に、教材提供や地域清掃活動などを通じて廃棄プラ問題やリサイクルに関する知識を学ぶ機会を提供し、啓発活動により地域の人々の行動変革を促していく。最大の都市ラゴス近郊の対象となる7つの小学校区のうち、すでに2校区で取り組みが進んでいる。

ナイジェリア オリル・イガンミュ地区での学校・地域一体となった清掃活
ナイジェリア オリル・イガンミュ地区での学校・地域一体となった清掃活動

同社は重要課題の1つに「プラスチック資源循環への貢献」を掲げており、プラスチックのリデュース、リユースにつながる製品の開発・供給に加え、近年は他企業やアカデミアと共同で複数のケミカルリサイクル技術の開発も推進。また、「オリセットネット」事業を通じてマラリア防圧に取り組む中で、アフリカの自立的な経済発展を実現していくためには教育環境の改善が必要と考え、2005年からはNGOなどと連携し、小・中学校の建設支援などを行ってきた。

 同社は今後も、アフリカの子どもたちの教育環境の改善に貢献するとともに、社会課題の解決に向けた取り組みを積極的に進めていく。