帝人 2030年CO2排出削減目標、30%に見直し

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2021年8月20日

世界的なグリーン化に対応、SCでも目標を設定

 帝人はこのほど、中期経営計画の中で環境負荷低減の長期目標として設定している2030年度までのCO2排出量削減について、2018年度比「30%削減」に目標値を引き上げるとともに、サプライチェーン(SC)排出量の3分の2以上を占める部分についても、同「15%削減」という数値目標を設定した。

 同社グループは2019年に、パリ協定の目標に適合する水準として、自社のCO2排出量を同「20%削減」する長期的な目標を設定していた。

 その後、国際社会ではカーボンニュートラル実現に向けた動きが活発化。日本政府が今年4月に2030年のGHG(温室効果ガス)排出削減目標を46%(2013年比)に引き上げたのをはじめ、世界各国が目標の見直しに動いた。

 企業には、パリ協定に整合するとみなされる、SBT(サイエンス・ベースド・ターゲット)に沿った目標設定や取り組みが求められおり、同社はSBTイニシアチブからの認定取得を目指していた。

 こうした中、ネットゼロの実現に向けた取り組みを加速すべく、同社はSBTイニシアチブの認定基準の1つである「2℃を十分に下回る目標水準」に適合させるため、CO2排出量の削減目標をより高い水準に設定することを決定。

 新たな数値目標として、自社のCO2排出量では、自社のGHG直接排出量(スコープ1)に他社から供給された電気などのエネルギー使用に伴う間接排出量(スコープ2)を加えたものと定義し、算定範囲をこれまでよりも拡大。その上で、2030年度までの数値目標を、2018年度比「20%削減」から「30%削減」へと引き上げた。

 ロードマップとして、2022年までにオランダのテイジン・アラミド社の再エネ化を推進するとともに、自家火力発電では2拠点(日本、タイ)の脱石炭に取り組む。

 また会社全体では、再エネ化の推進や、エネルギー効率化・省エネにも注力することで、目標達成を目指す。これにより、同社の2018年度比30%削減目標は、2013年度の排出量実績に単純換算すると47%減になり、政府の目標(46%削減)を上回る水準となる見込みだ。

 一方、SC全体でのCO2排出削減目標については、2030年度までに「製品などの削減貢献量が総排出量を上回る」とすることを目標に掲げていた。ただ、SBTではスコープ3(自社以外での排出)がバリューチェーン全体の40%を上回る場合、スコープ3排出量全体の3分の2をカバーする目標設定が必要になるため、SCにおける数値目標として同「15%削減」を新たに設定。原料となる化学品を購入しているサプライヤーとの連携を強化していく。

 なお、これらの数値目標は、新たに環境負荷低減の長期目標として位置づけられ、今年7月より帝人グループ全体に適用された。同社は今後、企業全体のGHG排出状況を毎年開示し、最低でも5年ごとに目標を見直していく考えだ。

 

デンカ 組織改正(9月1日)

2021年8月20日

[デンカ/組織改正](9月1日)①サステナビリティー推進部組織改定▽サステナビリティー推進部と電力部を統合し、サステナビリティー推進部とする。同部内には、サステナビリティー推進部の機能を担う「カーボンニュートラル推進課」と、電力部の機能を担う「再生可能エネルギー推進課」を新設する②青海工場医薬品部組織改定▽品質保証部内にある「医薬品質保証課」を医薬品部に移管するとともに、医薬品部「医薬技術課」の機能を「医薬品製造課」に移管し、2021年8月末をもって同課を廃止する。

三井化学 人事(1日)

2021年8月20日

[三井化学・人事](1日)▽KOCソリューション社長、ヘルスケア事業本部ビジョンケア材料事業部欧米GL森尻博之。

SEMI 2Qウェーハ出荷面積、四半期で過去最高に

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2021年8月20日

 SEMIはこのほど、2021年第2四半期(4-6月期)の世界シリコンウェーハ出荷面積が、前期比6%増の35億3400万平方インチとなり、今年第1四半期(1-3月期)の過去最高面積を塗り替えたと発表した。前年同期との比較では、昨年第2四半期の31億5200万平方インチから12%の増加となっている。これは、SEMI・シリコン・マニュファクチュアラーズ・グループ(SMG)によるシリコンウェーハ業界の分析結果に基づくもの。

 SEMI SMGのニール・ウィーバー会長(信越半導体アメリカ技術TS副会長)は、「シリコンの需要は、複数のエンドアプリケーションに牽引されており、強い成長を続けている。300㎜および200㎜アプリケーション向けのシリコン供給は、需要が供給を上回り続けているためタイトになっている」と述べている。

クラレの1-6月期 ビニルアセテートが好調で増収増益

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2021年8月19日

 クラレは12日、2021年12月期第2四半期(1-6月期)の連結業績を発表した。売上高は前年同期比15%増の3023億円、営業利益55%増の304億円、経常利益62%増の285億円、純利益28%増の117億円となり、その他を除く各セグメントが増収増益を達成した。

 中でもビニルアセテートセグメントは、売上高22%増の1484億円、営業利益46%増の246億円となり全体の収益をけん引した。ポバール樹脂やEVOH樹脂の生産面では米国寒波影響を受けたものの、ポバール樹脂、光学用ポバールフィルム、PVBフィルム、水溶性ポバールフィルム、EVOH樹脂ともに出荷が増加した。

 なお同日、通期業績予想の修正を発表。売上高6100億円(前回発表比400億円増)、営業利益660億円(同110億円増)、経常利益610億円(同110億円増)、純利益330億円(同30億円増)に上方修正している。自動車、電子デバイス、ディスプレイなどの需要が好調に推移しており、下期以降も販売の堅調な推移を見込む。

石化協 APIC2022インド大会、11月に再度協議

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2021年8月19日

 石油化学工業協会はこのほど、来年に延期が予定されているアジア石油化学工業会議(APIC2022・インド大会)について、11月に開催の可否を再度協議すると発表した。APICインド大会はコロナ影響を受け、2020年、2021年と開催が見送られていた。

 2022年の開催については、先日開催されたウェブ会議を通じAPIC加盟7協会で改めて協議した結果、①インドをはじめAPIC加盟各国におけるコロナ禍の現状、および各国でのワクチン接種の進展状況などに鑑みると、2022年の開催日程などの検討は依然時期尚早と判断、②2022年の開催可否も含め、開催日程などについて11月に再度協議、という結論に至った。

デンカ 青海工場で工事業者車両の滑落事故が発生

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2021年8月19日

 デンカは16日午後4時ごろ、青海工場(新潟県糸魚川市)で工事業者車両の滑落事故が発生したと発表した。青海鉱山西山登山道を下山途中に3人が乗車するワゴン車がカーブの盛り土を乗り越え滑落。これにより鉱山拡張工事を請け負っている建設会社の下請作業員2人が死亡し、1人が重傷を負った。物的被害はなく、操業や製品供給への影響はないとしている。

 同社は、「亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、ご遺族に対し深くお悔やみ申し上げます。また、負傷された方に心よりお見舞い申し上げます」とコメント。同社も原因調査などに取り組み、事故原因が判明次第、関係当局の指導を仰ぎつつ、建設会社とともに適切な再発防止策を実施する。

 

東レ マレーシアでのABS樹脂増強、本格生産を開始

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2021年8月19日

 東レはこのほど、マレーシアの東レプラスチックマレーシア(TPM)で生産能力の増強を行っていたABS樹脂「トヨラック」透明グレードについて、本格生産を開始したと発表した。年産7万5000tの生産設備の増強により、TPMのABS樹脂生産能力は同42万5000tとなり、既存の千葉工場(市原市)と合わせて、同社グループ全体の生産能力は同49万7000tまで拡大した。

マレーシアで透明ABS樹脂を増強
マレーシアで透明ABS樹脂を増強

 同社グループのABS樹脂は、透明グレード、制電グレード、良塗装グレード、耐薬品性向上グレードなどの「トヨラック」高機能グレードをラインアップ。主な販売先である中国、ASEAN市場に加え、欧米やインド市場へのさらなる販売拡大を進めていく計画であり、今後についても生産能力の増強を検討している。

 同社は、中期経営課題の基本戦略の1つとして「成長分野でのグローバルな拡大」を推進。拡大する透明ABS樹脂の需要を確実に取り込み、さらなる供給安定性向上のため、今後も日本国内のABS樹脂生産拠点である千葉工場とマレーシアのTPMの有機的な連携をさらに強化し、グローバルな事業拡大を強力に推進していく。

三井化学など3社 循環型社会を加速、企業間の連携強化

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2021年8月19日

 三井化学、日本IBM、野村総合研究所(NRI)の3社はこのほど、資源循環型社会の実現を目指しコンソーシアムを設立することで合意した。

 三井化学と日本IBMは今年4月、循環型社会実現への課題となる「素材のトレーサビリティ」の担保を目的に、ブロックチェーン技術を活用したプラスチック資源循環プラットフォーム構築に向け協働を開始。今回、その取り組みを加速し拡大させるため、NRIを加えた3社共同でコンソーシアムの運営を行う。3社は、資源循環プラットフォームを利用した実証実験への支援活動、複数企業による研究会開催、コンソーシアムで得た知見などの情報共有やコンソーシアム内外への提言などを計画するとともに、他団体とのオープンな関係構築を通じ、循環型社会を形成していく狙いだ。

 中核となる目的に、①トレーサビリティを基盤としたプラスチックリサイクル材の利用促進②資源循環に関するステークホルダー間の連携支援③資源循環に貢献した人や企業へのインセンティブ制度構築を掲げ、各社の強みを生かした活動を推進。具体的には、三井化学は、モノマー・ポリマーなどに関する豊富な知見やスキル、リサイクルを含む環境対応技術やノウハウの提供を行う。

 一方、日本IMBは、ブロックチェーンを基盤としたトレーサビリティプラットフォームの利用を支援。排出した製品がリサイクルされ新たな製品となるモノのプロセスや複数のサプライチェーン企業間との連携業務のプロセスをデジタル化し、トレースできる支援を担う。またNRIは、ビジネスモデル変革とデジタル化への知見・経験、業界団体や官公庁への提言の経験を生かし、企業・社会の変革を推進する。

 コンソーシアム設立後は、自社製品のリサイクルやリサイクル材を活用した製品づくりを推進したい製造業者、回収や解体する製品の素材情報の把握やリサイクル材に付加価値を付けたいリソーシング産業、物流に新たなソリューションを生み出したい物流業者、ESG投資を検討している金融機関など、コンソーシアムの趣旨に賛同する企業の参加を想定し、企業間、産業間の連携を強化・推進することで循環型社会を共に創造していく考えだ。