凸版印刷 抗菌剤入りカードの生産体制を強化、50%増強

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2020年7月1日

 凸版印刷はこのほど、各領域で高まる環境衛生へのニーズに対応するため、抗菌剤入りカードの生産体制を今月から約50%増強すると発表した。

 同社は、電子マネーを利用したタッチ決済や社員証などで使用できる抗菌剤入りカードを提供。その抗菌性能が高く評価され、金融機関はもちろん多くの業界で採用が進み、様々な場面で活用されている。抗菌剤入りカードの普及により、衛生的なカード決済や従業員の安全確保を支援することで、厚生労働省が公表する「新しい生活様式」の実現と経済活動に貢献していく。

 抗菌剤入りカードの特長として、①JIS規格に準拠しており、医療現場や食品業界でも安心して利用可能、②抗菌材がカードの素材に配合されており摩耗しても抗菌性能を維持、③無人発行機でのカード受け渡しも可能といったことが挙げられる。価格は、抗菌性能の無い通常のプラスチック基材のカードと比較して、約1割増しで提供(10万枚発注の場合)。

 同社は今後、同製品を金融機関や医療現場、食品業界など幅広い業界へ拡販し、2025年度に関連受注を含め約3億円の売上を目指す方針だ。

BASF 新型コロナへの有効成分を特定、データを無償提供

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2020年7月1日

 BASFはこのほど、新型コロナウイルスに効果のある有効成分の探索支援のため、同社の数百万件に及ぶ化合物質ライブラリーの中から特定した物質データを、学術研究グループに無償提供するとともに、公的研究プロジェクト向けに、有望な分子をスーパーコンピューターにより同定し最適化したと発表した。

 同社は新型コロナウイルス感染症の対策支援活動として、総額約1億ユーロ超を投じた「Helping Hands」キャンペーンを実施。手指消毒液やマスクの寄付にとどまらず、治療用の有効成分を探索する学術研究グループへの支援も行っている。

 世界中の学術機関が、新型コロナウイルスに対する有効成分を迅速に同定するために、他のウイルス性疾患向け承認薬の有効性試験を細胞培養で行っている。しかし、これら化合物の有効性が不十分な可能性があり、活性成分の誘導体を探索する必要がある。同社は、類似化合物を探すために、数百万分子に及ぶ同社ライブラリーからコンピューター支援検索し、150の有望な候補を特定。これら分子の特許請求はせず、学術研究グループが無料で利用できる。

 また、スタートアップのPostEra社の「COVID‐19ムーンショット」プロジェクトによる、ウイルスの必須酵素である主要プロテアーゼの阻害物質(ウイルスの複製防止)の探索にも参画。BASFのスーパーコンピューター「Quriosity」を用いた分子設計とシミュレーションにより、主要プロテアーゼの活性部位へ最も適合する分子20個を見つけ出し、同プロジェクトに無償提供している。

 一方、これら仮想分子の合成可否と実現性は不明であるため、合成可能な化合物の中からの探索検討も行った。同プロジェクトの委託製造会社が原理的に合成できる約12億個の化合物について、主要プロテアーゼ阻害の可能性をスーパーコンピューターで評価。これにより、可能性のある全ての分子を迅速に合成し実験でテストできる。なお、これらの結果は、同プロジェクトを通して公開する予定だ。

 BASFは、150年以上の研究実績と知見、大規模物質ライブラリー、さらにスーパーコンピューターや分子設計用プログラムなどの研究力で有効成分の研究を支援し、コロナウイルス対策に貢献していく考えだ。

 

ENEOS 英蓄電池ファンドに出資、VPPの知見取得

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2020年7月1日

 ENEOS(旧JXTGエネルギー)はこのほど、大型蓄電システム事業への投資を行う英・ゴア・ストリート社に出資することを決定した。ゴア・ストリート社はロンドン証券取引所上場のファンドであり、蓄電池事業分野の大規模プロジェクトに関する調達、ストラクチャリング、管理についての豊富な経験と専門知識など多くの実績を持つ。

 同社の事業ポートフォリオは、イングランドとウェールズで合計29MWの蓄電池プロジェクトが稼働しているほか、2021年には北アイルランドとアイルランド共和国にて、合計160MWの蓄電池プロジェクトが開始される予定だ。

 ENEOSは、メガソーラー(18カ所、約4.6万kW)や風力(2カ所、約0.4万kW)といった再生可能エネルギー発電事業を全国で展開しており、発電容量を2022年度までに約100万kWまで拡大することを目指している。しかし、太陽光発電や風力発電など、再生可能エネルギーは天候により発電量が変動するため、火力発電などと比較して、電力の需要と供給をバランスさせることが難しいとされる。

 こうした電力需給のバランスを維持する際、瞬時の電力需給の変化に対応可能な蓄電システムの導入・活用が有効であることから、蓄電システムや自家発電機などのエネルギーリソースを制御するバーチャルパワープラント(VPP)事業の実証に取り組んでいる。欧州では、電力需給バランス調整に関する市場が成立しており、蓄電池を活用し収益化するビジネスが実現されている。

 今回のゴア・ストリート社への出資により、電力需給のバランス維持に関わる市場取引や蓄電システム運用についての知見の早期取得を図り、今後、同様な市場の成立が予定される日本国内での蓄電システムを活用したVPP事業の展開と関連する新規事業の早期創出を目指していく。

 ENEOSは今後も、低炭素・循環型社会の実現に向けて、エネルギーサービスプラットフォームの構築に積極的に取り組んでいく考えだ。

産総研と日立 新たな移動体データ記述形式、国際標準仕様に

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2020年6月30日

 産業技術総合研究所(産総研)と日立製作所はこのほど、人や自動車などの移動体の位置・時間情報を表す新たな移動体データ形式「MF‐JSON形式」を地理空間情報の国際標準化団体(OGC)に共同で提案し、国際標準仕様として採択されたと発表した。

 人や自動車など様々な移動体の動的な空間情報を一体的に記録することで、移動データの流通・利用の促進に貢献する。通信技術やGPSなどのセンサ技術の発展で、人やモノなどの移動体の時間によって変化する位置情報(移動データ)の収集は容易になった。

 移動データを流通し共有することは、自動運転や防災、公衆衛生対策などに重要であるが、移動データの標準的な交換形式が無くシステムごとにデータ形式が異なるため、システム間の円滑なデータ連携に問題があった。

 今回採択された「MF‐JSON形式」は、既存のOGCデータ交換形式の問題点を改善したもので、6月に公開された。XML形式よりデータ記述量が少なく、CSV形式より多様な移動体を記述可能。3次元形状の物体移動データを簡潔に記述でき、ウェブ環境で利用しやすくなった。

 GPSからの人流データ(点形状)、道路交通渋滞情報(線形式)、洪水浸水区域の拡大(面形状)、自動車の走行(立体形状)などの動的な地理空間情報に加えて、気温、カメラ画像、速度センサなどから得られる時系列データを、移動体の動的な属性情報として一体的に記述できる。

 このように多様な移動体情報をより高精度に共有・利用できるため、人々の移動状況や密接度などの時間的・空間的な分析に即したマイクロマーケティングやロボットを利用した災害時の効率的な避難誘導、細街路を活用する超小型車両交通システムなど、新たなサービスへの応用が期待される。

 今後は、自動運転や移動ロボット、ドローンなどの安全・安心な移動の支援に加え、工場・倉庫の作業員の作業改善、公共施設・駅構内の混雑緩和などの移動データの時空間パターン分析のサービスインターフェースに関して、国際標準化を図る考えだ。

BASF、新型コロナの影響を受ける子どもたちを支援

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2020年6月30日

 BASFジャパンはこのほど、新型コロナウイルス感染症対策支援として、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンに200万円を寄付することを決定した。

 支援金は、「全国の放課後児童クラブ(学童保育)を対象とした活動金支援」と「経済的に困難な状況にあるひとり親家庭支援」に役立てられる。さらに、全社員を対象とした募金活動を開始する。石田博基社長は、「私たちの支援が子どもたちへの負担を軽減し、彼らの笑顔につながることを願っている」と述べている。

 BASFグループは「Helping Hands」キャンペーンと題し、総額約1億ユーロ規模の新型コロナウイルス感染症対策支援活動を世界中で行っている。本社のあるドイツへマスクを1億枚以上を提供したほか、特別措置としてドイツ、フランス、オランダ、スイス、スペイン、トルコ、米国で手指消毒液の生産体制を整え、地元の医療機関に無償で提供している。

 

日立化成 横浜サイトで再生医療等製品の製造業許可取得

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2020年6月30日

 日立化成はこのほど、再生医療等製品に特化した製法開発・受託製造施設「横浜サイト」(横浜市)が、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」に基づく再生医療等製品の製造業許可を取得した。

日立化成 横浜サイト
日立化成 横浜サイト

 再生医療はけがや病気で損傷した組織・臓器および免疫の機能を回復させるため、体外培養した細胞などを体内に移植する治療法で、がん免疫療法や体性幹細胞、iPS細胞などを用いた治療法がある。近年、がん免疫療法や体性幹細胞を用いた治療法の臨床応用例が急増し、再生医療市場の急速な立ち上がりが期待されている。

 同社は、2017年に米国の再生医療等製品の受託製造大手PCT(現Hitachi Chemical Advanced Therapeutics Solutions)を完全子会社化。そこで得た製法開発と製造に関する技術と運営ノウハウを取り入れ、再生医療等製品の製法開発・受託製造サービスを提供する横浜サイトを新設した。

 また昨年、ドイツに製造拠点を持ち、欧州や米国の製薬企業向けに再生医療等製品の受託製造を行うアプセスバイオファーマを完全子会社化。これにより日立化成グループは、米国3カ所、日本と欧州に各1カ所、計5カ所の製造拠点を中心に、再生医療等製品の受託製造事業をグローバルに展開している。

 同社は再生医療等製品の製造業許可を得たことにより、今後、薬機法に基づく再生医療等製品の治験薬・医薬品製造を通して再生医療の発展に努めるとともに、将来の量産体制に向けた製造技術を確立し、患者のQOL向上に貢献していく考えだ。

 

昭和電工 アルミ缶のリサイクル、昨年度は443万缶回収

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2020年6月30日

 昭和電工は、同社グループや協力企業各社の従業員によるアルミ缶リサイクル活動を継続して実施しており、2019年度(2019年4月~2020年3月)は約443万缶、一缶15.3グラム換算で計約67.8tのアルミ缶を回収した。

2020年度アルミ缶リサイクル推進ポスター
2020年 アルミ缶リサイクル推進ポスター

 昭和電工グループのアルミ缶リサイクル活動は、子会社の昭和アルミニウム缶が1972年に開始し、2001年よりグループ全体に発展させた。従業員への広報・啓発活動のほか、回収量や参加率に応じ事業場や個人を表彰する社内表彰制度を設け、活動の活性化に努めている。昨年度の活動への参加人数は8057人、国内グループ従業員の活動への参加率は97.6%となった。回収されたアルミ缶は、同社グループが買い取り、昭和アルミニウムなどで飲料用アルミニウム缶の原料として使用される。

 アルミ缶リサイクルは資源を有効活用できるだけでなく、アルミ製造時の電力消費量を原料のボーキサイトから生産する場合に比べて約97%削減することが可能。また、この活動の収益金の一部は、地域の社会福祉協議会や福祉施設、障害者サークルなど様々な施設や団体へ寄付され、同社グループの社会貢献活動として定着している。

 同社グループは、事業活動を通じたSDGs課題解決への貢献を目指し、アルミ缶リサイクル活動のほか、使用済みプラスチックのアンモニア原料化や、鉄スクラップの再資源化に必須な黒鉛電極の製造など、資源循環型社会を支える事業を積極的に推進している。今後も製品・サービスの提供を通じ、豊かさと持続性が調和する社会の創造に貢献していく方針だ。

 

ENEOS IoTで灯油配送を最適化、パートナー契約

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2020年6月30日

 ENEOSは29日、ゼロスペックとIoT技術(スマートセンサーおよびモニタリングシステム)を活用した灯油配送最適化事業に関しパートナー契約を締結したと発表した。

 同事業は、ゼロスペックが開発したIoTスマートセンサーを顧客の灯油ホームタンクに設置し、タンク内の在庫情報を取得。在庫情報をモニタリングすることで、最適な配送タイミングを把握し、効率的な配送を可能とする。2018年度から北海道と東北エリアで実証実験を実施し、配送にかかる走行距離や時間の削減効果などの有用性を確認した。最適な配送の実現により、顧客にタイムリーに灯油を届けるとともに、灯油配送事業者が直面している人手不足や配送経費の削減といった課題の解決が期待される。

 今回のパートナーシップ契約締結による協業を機に、今年度下期より北海道と東北エリアのENEOS系列特約店へ展開し、将来的には、展開エリアの順次拡大やAI分析による最適配送計画の自動策定、さらには、その他の油種への転用や取得情報の需要予測などへの有効活用を目指す。

 両社は、デジタル技術を活用することで、灯油供給ネットワークの維持を図り、エネルギーの安定供給、地域社会の発展へ貢献していく。

BASF 生分解性コポリエステルの生産で中国企業と協業

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2020年6月29日

 BASFはこのほど、中国・レッド・アベニュー・ニュー・マテリアルズ・グループに、生分解性脂肪族―芳香族コポリエステル(PBAT)について、BASFの生産技術を用いて生産・販売するライセンスを供与した。

生分解性コポリエステル(PBAT)の中国生産でRed Avenue New Materialsと協力
生分解性コポリエステル(PBAT)

 レッド・アベニュー・ニュー・マテリアルズ・グループは年産6万tのPBAT工場を上海に建設。2022年に稼働する予定で、BASFの生分解性樹脂「ecoflex(エコフレックス)」向けなどポリマー市場に供給を開始する。バイオプラスチック(生分解性プラ+バイオマスプラ)の世界市場は、年率15%の成長が見込まれている。多くの国で新たな法律や規制が施行され、堆肥化可能な素材が包装材や農業用マルチフィルム、袋などに使用されることで、積極的な市場展開が続くと予測されている。

 BASFのグローバル・ビジネス・ユニット、スペシャルティ・ポリマーズ責任者のオリビエ・ウブリッヒ氏は、「当社の『エコフレックス』と革新的素材の生分解性コンパウンド樹脂『ecovio(エコバイオ)』は、この成長市場ですでに大きな役割を果たしている。PBATの増産により、当社の市場での立場がさらに強化される」と述べている。

 「エコバイオ」は「エコフレックス」をコンパウンド材料として配合した生分解性コンパウンド樹脂。一部が植物由来の生分解性樹脂であり、有機性廃棄物袋、ラップフィルム、青果用袋、農業用マルチフィルム、食品包装など、幅広い用途での使用が可能。食品廃棄物の回収だけでなく、農作物の生産性向上、包装・貯蔵時の優位性も認められている。食品廃棄物が減少し、栄養分が大量の堆肥として土壌に還元され、土壌中のプラ蓄積が回避されることにより、サーキュラーエコノミー(循環型経済)を実現する。

ユニリーバ 気候・環境・資源への新たな取り組みを開始

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2020年6月29日

 ユニリーバはこのほど、地球環境をより健全なものとするための新しいコミットメントと取り組みを開始すると発表した。気候変動を食い止め、自然環境を保護・再生し、未来の世代へ資源を引き継ぐために、これまで以上に断固とした行動を起こすためのものだ。

 同社は、「2039年までにゼロエミッション(温室効果ガス排出量実質ゼロ)を実現する」ことを目指す。また、若い農業従事者や小規模農家を強化し協調して森林・土壌・生物多様性を守り回復させるプログラムを推進するとともに、水問題のある地域ではコミュニティの水アクセスを改善するよう、政府やその他の機関と連携していく考えだ。

 同社は、新たに創設された「気候&自然基金」に総額10億ユーロ(約1200億円)を投資する予定。今後10年にわたり、地区の再生、森林の再生、炭素隔離、野生動物保護、水の保全などの行動に活用される。具体的には、「ベン&ジェリーズ」(アイスクリーム)による酪農場での温室効果ガス排出量の削減、「セブンス・ジェネレーション」(ホームケア)によるアメリカ先住民の再生可能エネルギー利用への取り組み、「クノール」(調味料)によるよりサステナブルな農業への支援など、既存のプログラムを基盤とし、さらに拡大していく方針だ。

 また、同社が販売する全ての製品へのカーボンフットプリント明示を目指し、温室効果ガス排出量削減を科学的かつ独自の目標に向けて取り組むサプライヤーとの提携に加え、森林破壊を一切行わないサプライチェーンの実現などを掲げている。

 アラン・ジョープ最高経営責任者は「新型コロナウイルスのパンデミックや、不平等が生む深刻な問題に取り組む間も、気候危機は世界の脅威であり続けている。気候変動、生物多様性の減少、水不足など、全ての問題は互いに関連しており、同時に対処しなければならない。企業としてブランドによる直接的行動を通じて、この危機に取り組む責任がある」と述べている。