NEDO・信州大 腰サポートウエアを開発、PVCで軽量化実現

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2020年1月20日

 NEDOはこのほど、信州大学とポリ塩化ビニール(PVC)ゲルアクチュエーターを搭載した、腰サポートウエアを開発したと発表した。重量が2kg程度と軽量で、低消費電力なのが特徴。また、PVCゲルアクチュエーター自体が弾力的に変形しやすいため、装着時の拘束感が少なく、装着者へのストレスが少ないサポートウエアとなっている。

 国内外で深刻な高齢化が指摘されている中、介護や物流現場などで動作支援に貢献できるウエアラブルロボットを、社会や個人に広く普及させることが急務となっている。従来の電磁モーターを搭載したサポートウエアは、重く硬く、駆動音が大きく、拘束感が強いことなどが課題となっている。

 そこで、NEDOと信州大は「次世代人工知能・ロボット中核技術開発」事業で、駆動源にPVCゲルアクチュエーターを採用し、持ち上げ動作を補助する腰サポートウエアを開発した。

 積層したPVCゲルアクチュエーターを直径約6cm、長さ約45cmの筐体に格納し、本体に取り付けた上肢・下肢ハーネスを、肩・大腿部にそれぞれ装着して使う。アクチュエーターの駆動に伴い、アクチュエーター下部に接続されている下肢ハーネスを引き上げることで、上肢と下肢間に引張力が発生し、能動的に腰の負担を軽減することができる。

 加えて、低消費電力・柔軟・軽量・静音など、人との親和性が高いウエアラブルロボットの実現を可能にした。今後、さらなる軽量化や高出力化、安全性の確保のための研究開発を行い、2021年までに製品化を目指す。

デンカ 新たな高耐熱アクリル系特殊エラストマーを開発

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2020年1月16日

 デンカは15日、経営計画「Denka Value‐Up」(2018~2022年度)の成長戦略である「事業ポートフォリオの変革/スペシャリティー事業の成長加速」の一環として、アクリル系をベースに高耐熱性を実現した特殊エラストマーを新たに開発したと発表した。

 近年、世界的な環境規制の高まりを受けて自動車市場では電動化の流れとともに、ディーゼル車からターボ機能を搭載したガソリン車へ注目が集まっている。ガソリン車ではさらなる環境負荷低減に向けてエンジンのダウンサイジング化が進み、高出力を可能にする耐熱性に優れたターボホース用のゴムが求められている。

 こうした環境対応による高耐熱ゴムのニーズを受け、今回新たに開発した特殊エラストマーは、同社がアクリル系特殊ゴム「デンカER」で培った高分子ポリマー設計技術、精密重合・配合技術を応用・深化させることにより、耐油性などの従来の優れた性能を保持しつつ、アクリル系エラストマーとしてこれまで困難であった約190℃の温度領域下での高耐熱性を実現した。

 デンカは、今後も独自の技術を生かした製品開発に取り組み、新たな価値を創造することで持続可能な社会の実現に貢献していく。

帝人フロンティア ファーストキャビンと機能性寝具を共同開発

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2019年12月26日

 帝人フロンティアはこのほど、ファーストキャビン(東京都千代田区)と、寝具から発生するホコリを低減させることで睡眠の質を改善する機能性寝具を共同開発した。

 ファーストキャビンは飛行機のファーストクラスをイメージした、キャビンスタイルホテルを全国で展開しており、来年3月から「ファーストキャビン御堂筋難波」の全室に採用する予定だ。

 機能性寝具の中綿には、ポリエステル長繊維を使用しており、細かい粉塵が発生しにくくなっている。また、側地には高密度で緻密な構造のポリエステル織物を使用しており、布団内部のホコリを外部に放出しにくく、ダニや花粉などの侵入も防ぐ。これらのことから、一般的な布団に比べ、使用時に寝具から発生するホコリの量を約80%低減でき、睡眠時の中途覚醒が減少することにより、睡眠時間の延長など睡眠の質向上が期待できる。

 開発したのは掛け布団と敷き布団、枕、これらの専用シーツ、カバーで、専用のシーツやカバーは、リネンサプライヤーである光新星(大阪府大東市)の協力を得て検証・改良を行い、高温で洗浄・乾燥される工業洗濯に対応可能となっている。

 また、寝心地に関するモニター調査を実施して改良を重ねたことなどにより、一般的なシーツと同様の肌触りや風合いも実現した。高反発で回復力が高いポリエステル長繊維の中綿を使用するため、適度なクッション性を保つことができる。また、掛け布団はドレープ性が高く、身体に沿うため、温かい空気が身体と布団の隙間から逃げにくいなど、快適な寝心地を提供する。

 この機能性寝具については今後、ファーストキャビンの他施設での採用を順次拡大していく。両社は、客室の睡眠環境の改善を目的に、引き続き製品やウェアラブル端末を使用するサービスなどの共同開発を進める。

カネカ・大成建設 外壁・窓で発電する外装システムを共同開発

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2019年12月25日

 カネカはこのほど、大成建設と共同で、建物の外壁や窓と一体化させた太陽電池モジュールで発電する外装システム「T‐Green Multi Solar」を開発した。同システムは、高い発電効率に加え、採光・眺望・遮熱・断熱の各機能と意匠性を備えるとともに、災害時には独立した非常用電源としても機能する。導入イメージ(中・小規模ビルの外装)

 近年の環境意識の高まりを受け、SDGs(持続可能な開発目標)などへの取り組みの一環として、再生可能エネルギー導入による環境負荷低減を進める企業が増加。また、近年多発している自然災害とそれにより引き起こされる長時間停電への対策として、BCP(事業継続計画)やLCP(災害時の居住継続機能)の観点からも、自立電源を確保するニーズが高まっている。

 しかし、建物の屋上などは設置スペースが限られているため、太陽光発電設備の導入拡大が困難となっていた。こうした中、大成建設は技術センター内のZEB実証棟を拠点に、外壁など外装を利用した太陽電池ユニットを開発・適用し、発電性能の検証・改善などに取り組んできたが、発電効率の向上と意匠性の両立が課題となっていた。

 そこで、両社は、大成建設の建材一体型太陽電池の設計施工ノウハウと、世界最高効率の発電モジュール製造技術を持ち、住宅分野で高性能な瓦一体型太陽電池の導入実績を持つカネカの太陽電池モジュールを組み合わせることで、外壁・窓で発電する多機能で意匠性を備えた外装システムを開発した。

 今後、両社は、都市型ZEBを実現する創エネルギー技術として、環境経営に積極的に取り組む企業、BCPを強化する企業、災害時の活動拠点となる公共施設、LCPを強化したい集合住宅などに対し、同システムを積極的に提案していく考えだ。

千葉工大など 海底資源の正確な面積算出方法を確立

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2019年12月24日

 千葉工業大学次世代海洋資源研究センターと産業技術総合研究所、東京大学、海洋研究開発機構、神戸大学はこのほど、南鳥島周辺の排他的経済水域(EEZ)で、マンガンノジュールが密に分布する領域(マンガンノジュール密集域)を地図上に示し、その面積を正確に算出する方法を世界で初めて確立した。

 計5回の研究航海で調査した、南鳥島EEZ内約15万5500㎢の範囲の中の40%にも及ぶ広大な海底が、マンガンノジュール密集域であることを突き止めた。その面積は四国と九州を足し合わせた面積に匹敵する。密集域は南鳥島EEZ内の様々な海域に及んでいるため、南鳥島EEZの残りの未調査海域を考慮すれば、さらに面積は広がると予想される。

 南鳥島EEZにはマンガンノジュールのほか、レアアース汚泥やマンガンクラストといった海底資源が、豊富に存在することが近年明らかにされている。その中で、南鳥島EEZに分布するマンガンノジュールは、コバルトを多く含むという特徴がある。コバルトはエコカーやスマートフォンのリチウムイオン電池に必須の元素で、集積回路の多層配線技術の銅やタングステンに代わる金属となりうる重要なレアメタルであるが、価格変動が激しく、供給リスクがあることが問題となっている。

 今回の手法では、マンガンノジュール密集域に、実際にどの程度の量のレアメタル(特にコバルト)が含まれているかを直接知ることはできない。しかし、今後マンガンノジュールの化学分析を精密に行ってレアメタル含有量を明らかにし、今回開発した面積算出法と組み合わせることで、南鳥島EEZ内に存在するレアメタルの総量を精度よく算出することができるようになり、有望海域の効率的な絞り込みに繋がると期待される。

クラレ NISSHAと共同で「クラリーノ」の成形技術を開発

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2019年12月23日

 クラレは20日、NISSHA(京都市)と共同で、人工皮革「クラリーノ」を使用した「マテリアルインサート」として、「『マテリアルインサート』with『クラリーノ』」を開発し、両社の販売チャネルを通じて販売を開始すると発表した。

立体的な造形にも対応できる
立体的な造形にも対応できる

 「クラリーノ」は高級感がありながら、機能性やメンテナンス性に優れたクラレの人工皮革。「マテリアルインサート」は布や木など素材の持つ触感や特性を、そのまま活用することが可能な、NISSHAのインサート成形技術である。光透過やタッチスイッチなどの機能付加にも対応できる。

 NISSHAの持つ高度な印刷・成形技術と、「クラリーノ」の持つ素材特性のコラボレーションにより、高い質感と信頼性、美しさを兼ね備えた「『マテリアルインサート』with『クラリーノ』」が生まれた。これにより、「クラリーノ」を自由な形状にインサート成形することができる。

 複雑で立体的な造形や機能付加にも対応し、シームレスかつスタイリッシュなデザインと設計に貢献する。主な対象市場として、CASEの潮流の中で、シームレスな内装や新たなユーザーインターフェースへの需要が高まっている、自動車などのモビリティ、ライフスタイルに調和する外装が求められている、コンシューマー・エレクトロニクスなどを想定している。

ダイセル・北大 AD予防に植物性セラミドの有効性を発見

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2019年12月23日

 ダイセルはこのほど、北海道大学との共同研究により、同社の機能性食品素材である植物性(こんにゃく由来)のセラミドが、アルツハイマー病(AD)の発症を予防する効果を持つことを発見したと発表した。

 こんにゃくセラミドは全身のうるおいを保つ効果を持ち、美容サプリメントや飲料などに使用されている。ダイセルと北大は、2016年に同学内の「次世代物質生命科学研究センター」内に共同で設置した産業創出講座を中心に、こんにゃくセラミドなど、同社の機能性食品素材の効能を研究してきた。そして今回、北大の五十嵐靖之招聘客員教授、湯山耕平特任准教授らとの研究により、こんにゃくセラミドにAD発症の予防効果があることを発見した。

 ADの発症は「アミロイドβペプチド(Aβ)」が脳内に過度に蓄積することが原因の1つとされる。五十嵐教授らのグループは、Aβが「エクソソーム」という物質と結合することで分解・除去されることを解明してきた。

 今回の研究では、Aβが過剰に発現したマウスに対し、こんにゃくセラミド1日1㎎の経口投与を2週間継続したところ、血液・脳内のエクソソーム量の上昇などが確認され、こんにゃくセラミドに神経細胞由来のエクソソーム分泌を促す作用があることを確認。さらに、増加したエクソソームがAβを分解・除去し、脳内のAβ濃度が低下して、短期記憶の改善効果が認められた。

 こんにゃくセラミドは、AD発症を防止できる可能性があり、今回の知見は新たな機能性食品や新薬開発に繋がることが考えられる。両者は今後、さらにヒト介入試験により、こんにゃくセラミドの認知機能改善効果について検証していく予定だ。

 なお、この研究の成果は、11月14日公開の「Scientific Reports誌」に掲載された。ダイセルは今後も、社会的課題の解決に貢献する素材を提供していく考えだ。

ソルベイ AM用新製品「ソレフPVDF AM」を発売

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2019年12月19日

 ソルベイはこのほど、高品質付加製造(AM)用材料製品として、「ソレフPVDF(ポリフッ化ビニリデン)AM」フィラメントを発売した。

 この新しい高機能製品は熱溶解フィラメント製法(FFF)向けに開発されたもの。優れた耐薬品性や耐紫外線性、耐候性、耐酸化性など、120℃以下で長期的安定性を発揮する。しかも、きわめて高純度の素材である。

 これらの特長から、とくに屋外の用途や刺激の強い化学物質に曝露される部材に適している。同社のAM材料用Eコマースプラットフォームで、世界中のどこからでも購入できる。

 同社は新製品を通じて、高品質3Dプリンターや印刷ソフトウェアの世界的メーカー、ウルティメーカー社によるマテリアルアライアンス・プログラムに参加している。

 ウルティメーカー社のプリンターを使った業務用3D印刷を最適化するために、現在、「ソレフPVDF AM」フィラメントの印刷プロファイルがウルティメーカー・マーケットプレイスで販売されている。

 同社のマテリアルアライアンスは増大する業務用3D印刷材料の需要に対応することを目的としており、印刷プロファイルの無料ダウンロードサービスを提供する。

 ソルベイのAM用材料には、新製品以外にも医療用グレード・炭素製品充填グレードを含む「キータスパイアPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)」や、「レーデルPPSU(ポリフェニルサルホン)」もある。

NEDO・埼玉大 樹脂素材にも対応できる組み立てロボット開発

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2019年12月16日

 NEDOと埼玉大学はこのほど、興電舎とワコーテックの協力を得て、世界で初めてハイダイナミックレンジ(HDR)力覚センサーを用いた組み立てロボットの開発に成功したと発表した。

HDR力覚センサーを用いた組み立てロボット02
HDR力覚センサーを用いた組み立てロボット

 従来比10倍となる10g重から20㎏重までの力の検出範囲(ダイナミックレンジ)をもつセンサーと、微小な力感覚を認識する人工知能(AI)技術を新たに開発して搭載したことで、ロボットが微小な力を調整しながら繊細な組み立て作業を行えるようになった。

 これにより、傷つきやすい樹脂素材などの対象物でも、力を抑えて組み立てられるほか、組み立て動作の完了を知らせるクリック動作も検知でき、ロボットによる組み立て作業の高度化が期待できる。

 力覚センサーを搭載するロボットが増えているが、力覚センサーのダイナミックレンジが狭いため、微小な力を計測できず、細やかな力加減ができないことが大きな課題となっていた。そこで、NEDOと埼玉大学は2018年度から、高次組み立て動作の自動化を目的に、HDR運動解析技術に基づく組み立てロボットの研究開発プロジェクトを開始した。

 その中で、ワコーテックと協力し、微小な力から大きな力まで広い範囲で検出できるHDR力覚センサーを開発。さらに興電舎の協力も得ることで、同センサーを用いた組み立てロボットの開発に成功した。

 極めて敏感な力感覚をもっているので、羽根のような繊細なものを使ってロボットに触れても検知できる。棒の形状をした部材を同サイズの穴に挿入するペグインホール動作では、樹脂素材でも傷つかない微小な力で触れながら組み立てられる。蓋の組み付けなどの高度な組み立て作業では、成功率を高めるためには作業が成功したか否かを認識し、失敗時には作業をやり直すことで成功率を高められる。

 AIの深層学習により、組み立て作業が成功しなかった場合、動作を微修正してやり直すようにした。人間は繊細に力加減を調整できるようにするために体の剛性を調整していることが知られている。この知見に基づき、組み立て作業に適したロボットの剛性を、強化学習で自律的に学習するAI技術を開発して搭載した。

 今後は、特に樹脂素材や割れやすい素材の組み立てと、複数の手順で構成されるような複雑な組み立てにこの技術を応用する予定だ。

JNC・関学 新たな有機EL青色発光材の説明会を開催

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2019年12月13日

 JNCと関西学院大学は11日、本社で次世代有機EL青色発光材料「ν‐DABNA」の技術説明会を開催した。JNCの松下哲也常務は「短期間で上市できたのは畠山教授のご指導に加え、産学連携により基礎研究と実用化開発の両輪が上手く機能した成果だ。有機ELデバイスの表示特性を向上させたことで、低消費電力化に貢献できたと自負している」と語った。

JNC松下常務
JNC松下常務

 JNCは2011年から同大学の畠山琢次教授(当時京都大学)との共同研究を開始。2014年にはホウ素系青色ドーパントの開発に成功し、2016年に世界最高レベルの効率と色純度を持つ熱活性化遅延蛍光(TADF)材料として論文を発表。2018年にホウ素系青色ドーパント「DABNA」を上市し、大手ディスプレイメーカーのスマートフォンに採用された。

 そして今年7月には、窒素とホウ素の特性を生かして、量子ドットやLEDを超える色純度を持つ「ν‐DABNA」を発表。有機ELディスプレイの高色域化、高輝度化、低消費電力化、ブルーライトの低減などが期待されている。

 畠山教授は「優れた特性を生かし

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