積水化成品工業 リサイクル原料の発泡PS製ボードを開発

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2021年12月1日

 積水化成品工業はこのほど、リサイクル原料を100%使用した「エスレンウッドパネル」(発泡ポリスチレン製ボード)を開発し、「PRCパネル」として販売を開始した。

リサイクル原料100%の「エスレンウッドパネル」

 同製品は、発泡ポリスチレンシートの板状成形品。主に商品PR用のPOP広告の芯材用途など、屋内のサインディスプレイ制作に幅広く使われている。

 これまでリサイクル原料50%配合の同製品を提供していたが、環境保全に配慮した製品を求める市場ニーズを踏まえ、リサイクル原料100%「PRCパネル」を新たに開発した。特長として、①リサイクル原料100%使用で環境負荷が小さい、②従来品と比べ生産時のCO2排出量を約70%削減、③従来品と同等の品質を保持、などがある。

 同社グループは、環境と共生するモノづくりを原点とし「環境リーディングカンパニー」を目指し、従来から注力している3R活動(リデュース、リユース、リサイクル)に加え、2R(リプレイス、リクリエイト)を含んだ「SKG‐5R」を推進。「PRCパネル」は、リサイクルに向けた開発の1つであり、限りある資源を有効活用するだけでなく、生産時のCO2削減も行っている一例だ。同社は、今回の開発にとどまらず、事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献していく。

三井化学 ヨウ素系抗菌・防カビ剤に抗ウイルス効果確認

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2021年12月1日

抗ウイルス効果を確認した「ヨートル」シリーズ。写真左が「ヨートルDP95」(粉状)、右がシクロデキストリンでカプセル化し水溶性を付与した「ヨートルDP-CD」(水溶液)

 三井化学はこのほど、ジヨードメチル‐p‐トリルスルホン(DMTS)を活性成分とするヨウ素系抗菌・防カビ剤「ヨートル」シリーズの抗ウイルス効果を確認したと発表した。

 日本食品分析センターで行ったウイルス感染試験により、「ヨートルDP95」と開発品「ヨートルDP‐CD」にインフルエンザウイルスを不活化する効果があることを確認。「DP95」を添加することで、試験開始2時間後にウイルス数が99%減少した。

 一方「DP‐CD」では、10分後にウイルス数が99.99%減少。同社では同効果について、「「DP‐CD」の水溶性が寄与している」と推察している。さらに「DP‐CD」では、新型コロナウイルス(SARS‐CoV‐2)を不活化する効果も確認。試験開始直後と比べて2時間後にウイルス数が99%減少しており、即効性はないものの、一定時間抗ウイルス効果の維持が期待される。

 三井化学が1985年から製造販売を開始した「DP95」は、幅広い種類のカビに対する高い生育阻害能を示し、木材防腐、塗料、皮革、壁紙などに採用されている。SIAA(抗菌製品技術協議会)の防カビ剤ポジティブリストに登録されており、その活性成分であるDMTSはFDA(米国食品医薬品局)のポジティブリストに掲載されている。

 また「DP‐CD」は、シクロケムバイオ社(兵庫県神戸市)と共同開発。三井化学の「DP95」とシクロケムバイオ社のシクロデキストリン技術を融合し、環状オリゴ糖であるシクロデキストリンでカプセル化することで水溶性を付与、さらに抗菌性向上に成功した抗菌・防カビ剤の水溶液。「DP95」の用途に加えて水系塗料、水系接着剤、金属・レンズ加工液など水を主剤とする用途への適用範囲を広げた。現在粉体タイプの「DP95」の開発も進めている。

 

マイクロ波化学 中分子化合物、固相合成装置の販売開始

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2021年12月1日

 マイクロ波化学はこのほど、ペプチド・核酸医薬などの合成を用途としたマイクロ波固相合成装置「PharmaWave‐1」(容量3ℓ、最低0.3ℓ)の販売を開始すると発表した。

固相合成装置

 ペプチド・核酸医薬などの中分子化合物は、従来の低分子医薬と抗体医薬の特徴を併せもち、従来では狙えなかった標的にもアプローチできる次世代医薬として関心が高い。同時に、薬価低減や薬効の追求のために、製造の高効率化、高純度化が求められている。

 医薬分野ではマイクロ波は身近な存在であり、創薬研究を目的とした実験室での化合物合成に広く用いられ、実際に、マイクロ波による合成効率向上や時間短縮について、数多くの報告がなされている。ただ、工業的にマイクロ波が利用された例はなかった。

 同社は、当該分野でのマイクロ波技術の普及を目指し、2017年にはペプチドリームとペプチド量産設備に関する共同開発を開始し、2019年にはペプチスターへGMP(医薬品、医薬部外品の製造管理および品質管理の基準)に準拠した仕様の固相合成装置を納入してきた。今年に入り核酸医薬研究の先駆者である大阪大学の小比賀教授を技術アドバイザーに迎え、また、これら医薬品の精製に使われる凍結乾燥機も開発するなど、展開を加速している。

 今回、マイクロ波固相合成装置の提供により、従来は実験室での利用に限られていたマイクロ波による医薬合成が、そのまま工業スケールでも活用可能になり、高効率・高純度な医薬品製造の実現に貢献することが期待される。同社は今回の販売を機に、マイクロ波を使った高効率・高純度・環境にやさしいものづくりを医薬分野に広めていく。

NEDO 次世代航空機関連の研究開発、GI基金事業で

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2021年11月30日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)はこのほど、「2050年カーボンニュートラル(CN)」の実現を目指し、次世代航空機の開発として、水素航空機向けコア技術や航空機主要構造部品の飛躍的軽量化に関する4テーマの研究開発事業に着手すると発表した。なお、同事業は総額2兆円のグリーンイノベーション(GI)基金事業の一環で実施する。

 航空機産業は現在、コロナ禍による航空需要の落ち込みにより、世界的に大打撃を受けている。しかし、IATA(国際航空運送協会)は、今後の航空需要について2024年には2019年と同水準まで回復し、その後新興国などの経済成長を背景に年3%程度の持続的な成長を遂げると見込む。

 また、ICAO(国際民間航空機関)において「燃料効率の毎年2%改善」、「2020年以降CO2総排出量を増加させない」というグローバル目標が掲げられるなど急速に脱炭素化の要求が高まりつつあり、欧米OEMメーカーを中心に機体・エンジンの軽量化・効率化や電動航空機に関する技術開発が実施されている。さらに、エアバス社が2035年に水素燃料および燃料電池を活用した「CN航空機」を市場投入すると発表したことを受けて、水素航空機の開発競争も激化している。

 このような背景の下、NEDOは経済産業省が策定した次世代航空機の開発に関する研究開発・社会実装計画に基づき、今回「次世代航空機の開発プロジェクト」として計4テーマを採択。

 GI基金事業の一環として、水素航空機向けコア技術開発では、①水素航空機向けエンジン燃焼器・システム技術開発、②液化水素燃料貯蔵タンク開発、③水素航空機機体構造検討、および④航空機主要構造部品の福財津形状・飛躍的軽量開発に取り組む。プロジェクトを通じて、CNを目指す動きを国内航空機産業の競争力を飛躍的に強化する機会として捉え、水素や素材など国内の要素技術の強みを最大限活用することで機体・エンジンの国際共同開発参画比率(現状約2~3割)向上を目指す。また、航空分野の脱炭素化に貢献する。

旭化成 本社をグリーン化、集合住宅の太陽光発電を活用

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2021年11月30日

集合住宅の太陽光発電設備で創出した環境価値を有効活用

 旭化成および旭化成ホームズは29日、両社が本社を置く東京ミッドタウン日比谷と神保町三井ビルディングにおいて、旭化成ホームズの集合住宅「ヘーベルメゾン」に設置した太陽光発電設備で創出する環境価値を活用し「非FIT非化石証書付電力」を調達することで、本社使用電力のグリーン化を推進すると発表した。今回の取り組みは、両ビルディングを賃貸している三井不動産、電力を供給する東京電力エナジーパートナー(東電EP)との協業によるもので、2022年4月から開始する予定だ。

 三井不動産と東電EPは「使用電力のグリーン化に関する包括協定」を昨年12月に締結し、オフィスビルなどのテナント向けに「グリーン電力提供サービス」を構築しており、テナントはグリーン電力の調達が可能となった。

 今回の概要として、旭化成ホームズが、集合住宅「ヘーベルメゾン」の屋根をオーナーから賃借して太陽光発電設備を設置。そこで発電された電力を東電EPが買い取り、その電力に含まれる環境価値を使用した「非FIT非化石証書付電力」として三井不動産を介して、旭化成および旭化成ホームズの本社に供給される。

 昨年8月には、「ヘーベルメゾン」の太陽光発電の電力を東電EPが買い取り、環境価値を非FIT非化石証書として使用することで、旭化成の川崎製造所に実質再生可能エネルギー由来の電力として供給する取り組みを開始。この非FIT非化石証書を同一企業グループ内で有効活用するスキームとして国内初となった。

 今回、グループ内活用をさらに拡大するにあたり、本社での活用を志向する旭化成および旭化成ホームズと、オフィスビルでの使用電力のグリーン化を推進する三井不動産と東電EPの意向が合致した。なお、旭化成ホームズは同社が参加する、2025年度の「RE100」達成に向けて、「ヘーベルメゾン」の太陽光発電電力の活用に加え、戸建住宅「ヘーベルハウス」も併せて太陽光発電設備の設置などを推進していく。今後も四社は、地球環境を重視し、再エネの拡大・活用を検討し、持続可能な社会の実現に貢献していく。

NEDOなど 全国同時飛行の複数ドローン運航管理成功

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2021年11月29日

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とKDDI、パーソルプロセス&テクノロジー社は24日、「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト/地域特性・拡張性を考慮した運航管理システムの実証事業」で全国13地域・ドローン52機同時飛行での飛行管制の実証実験に成功したと発表した。

 同日の記者説明会では、三重県志摩市で実際にドローンを飛行させての飛行管制デモンストレーションも行った。冒頭、経済産業省次世代空モビリティ政策室長の川上悟史氏は「ドローン国内市場は2025年には4倍に拡大し、 “NEDOなど 全国同時飛行の複数ドローン運航管理成功” の続きを読む

三井化学 バイオマスナフサ、来月に大阪工場で投入開始

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2021年11月29日

 2050年のカーボンニュートラル達成に向けて取り組みを加速する三井化学は、来月、そのバイオマス戦略の一環として大阪工場のナフサクラッカーでバイオマスナフサの投入を開始する。25日に同社が開催した経営概況説明会で、橋本修社長が明らかにした。当初は10月に計画されていたバイオマスナフサ投入だが、船便混乱の影響により11月の到着を予定するも、結果的に12月にずれ込む形となった。

 バイオマスナフサを原料とする誘導品・製品群は、マスバランス(物質収支)方式により任意のバイオマス度を割り当てるが、それにはISCC(国際持続可能性カーボン認証)が展開する国際的なISCC PLUS認証が必要となる。

 同社は子会社のプライムポリマーとともに両社大阪工場での同認証を取得。また将来のバイオマスナフサ導入に向け、市原工場や三井化学東セロについても同認証取得の準備を進めている。第1ロットとなる12月のバイオマスナフサの投入は3000tを予定。投入前だが顧客からの誘導品などへの引き合いは多く、第2ロット分の発注も終えている。

 今回使用するのは、フィンランドのバイオマス燃料製造会社、ネステ社のバイオマスナフサ。植物油廃棄物や残渣油を原料に製造されており、石油由来原料を使用しない100%バイオマス由来のナフサになる。石油由来品に比べれば割高感のあるバイオマスナフサ由来品のコスト吸収や、今後投入量が増えれば原料調達の課題も抱えるが、まずは日本初のバイオマスナフサ導入により、三井化学は製品提供を通じたグリーンケミストリーを推し進めていく。

理化学研究所 マイクロ波と光の協働で合成反応を促進

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2021年11月26日

 理化学研究所はこのほど、東京大学と京都大学との共同研究グループが光とマイクロ波の協働的な触媒的化学合成反応系の開発に成功したと発表した。

 マイクロ波には、電子レンジに応用されているような局所的・効率的な加熱効果がある。近年、マイクロ波を照射したときにだけ観測される化学反応や反応の加速効果が数多く報告され、加熱効果とは異なる原理による「非熱的マイクロ波効果」の機構解明や応用研究を行う「マイクロ波化学」という新しい研究分野も確立されている。固体表面上の反応に関する機構は解明されつつあるが、有機単分子でのマイクロ波効果についてはほとんど知られていない。

 今回、フェニルアセチレンを光触媒とするジメチルスルホキシドの酸素酸化反応系で、有機分子に対するマイクロ波効果の観測に成功した。まず光照射により、フェニルアセチレンの基底状態S0の電子はS1準位に励起され、速やかに隣のT1準位へ移動する。このT1準位の電子は酸素分子を活性化し、この活性酸素によりジメチルスルホキシドは酸化され、牛乳や穀物などに含まれ健康食品などに使われるジメチルスルホンになる。このT1準位は3つの副準位に分かれている。

 光励起した電子のほとんどは中位のT1(2)準位に入るが、寿命が短いため酸素分子の活性化収率は低い。これらの副準位間のエネルギー差に相当する2.45㎓のマイクロ波を照射することで、電子が長寿命の副準位T1(1)、(3)に移動すれば、酸素分子の活性化収率が上がりジメチルスルホンの収率が上がることが期待される。1気圧の酸素雰囲気下、光量450㎚・30㎽/㎠、50℃、48時間反応させたときの収率は、マイクロ波ありで77%、マイクロ波なしで21%、光なしで0%、触媒なしで4%であった。この反応系では光と触媒が必須であり、マイクロ波が反応効率の向上に大きく影響していることが分かった。

 光・マイクロ波協働効果により低出力のマイクロ波で効率的に光触媒反応を促進させることが可能で、省エネルギー合成法として注目されるマイクロ波化学反応の機構解明や、新たなカーボンニュートラル合成法の開発への貢献が期待される。

ランクセス 淡色アミン系酸化防止剤、台湾で能力増強

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2021年11月26日

 ランクセスはこのほど、台湾の拠点で淡色アミン系酸化防止剤の生産能力を数千t増強すると発表した。アジア太平洋地域における需要の増加に対応するため、数百万ドルを投資して設備を拡張する。なお、この増産計画は2022年末までに稼働を開始する見込みだ。

 同社は、アミン系酸化防止剤を「ナウガルーブ」のブランド名で販売。今回の台湾拠点への投資は、フラッグシップ製品の「ナウガルーブ 438L」のグローバル仕様を後押しするものとなる。同製品は、様々な乗用車用潤滑油や工業用潤滑油として使用されている液体酸化防止剤で、優れた耐熱性をもち、油の酸化を抑えるとともに、潤滑油の寿命やサービスの間隔を伸長させる。

DIC 生産現場の技術伝承、AIシステムの運用開始

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2021年11月26日

教師型AIシステムによる技術伝承のイメージ

 DICはこのほど、LIGHTz社(茨城県つくば市)と共同で、熟練者の知見を言語化し、新たな不具合発生時に現場オペレーターの要因解決につながる事例を迅速に引き出すことが可能な、教師型AIシステム「Prism(プリズム)」を開発し、運用を開始したと発表した。

 国内の生産現場では、少子高齢化による労働人口の減少や高齢化を背景とした熟練者の技術伝承が共通課題。DICでも生産現場での技術伝承を課題と認識し、その解決策として生産部門におけるDXの活用を検討してきた。

 2019年にプロジェクトを発足し、すでに顔料の生産現場で設備保全の不具合情報をデータベース化しAI導入の下地があった鹿島工場をモデル工場に位置づけた。

 同社は、技術伝承という観点から、単に過去のデータから答えだけを導き出すのではなく、熟練者の複雑な思考を言語化することで「言葉と言葉のつながり」を可視化し、「気づきや閃き」を与えることに長けた〝教師型AIツール〟であるLIGHTz社の「オルジニアス」の導入を決定。同AIツールと鹿島工場の膨大なデータを連携させるため、フロントエンドシステムとして「プリズム」を開発した。

 特長として、①既存の設備保全データをベテラン社員の思考の見える化(言語化)に変換することにより、保全ノウハウをより自然な形で次世代に技術伝承可能、②ノウハウを汎知化することで常に現場オペレーターに学ぶ意識を醸成、③解を導き出すプロセスから新たな気づきを促す「ホワイトボックス型AI」、などが挙げられ、中長期的な視点で同社の生産現場での設備保全に係る課題解決に貢献することが期待される。

 同社は、同システムを今年6月から鹿島工場の顔料生産現場に導入し、まずはシステム定着とさらなる活用方法の検討を進めている。実績と成果を積み上げた後には、同社の他工場や事業所への水平展開も予定している。