産総研と北海道大学 CO2からのブタノール連続生産を達成

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2021年9月29日

 産業技術総合研究所(産総研)と北海道大学はこのほど、CO2を原料に、アルコールの一種であるブタノールを連続生産する技術を共同開発した。CO2を直接原料として使う、新たな化学品合成プロセスとして期待される。

 年間1000万t以上のアルコールやアルデヒドが、プロピレンなどの不飽和炭化水素、CO、水素を原料にしたヒドロホルミル化反応(オキソ反応)により、コバルトやロジウム錯体触媒を使ったバッチ式反応で製造されている。金属錯体触媒は生成物との分離や再利用に課題がある。固体担体に固定化する手法が提案されてきたが、反応性が変化し、耐熱性が低下してしまう。

 産総研は、ルテニウム錯体がCO2をCOに変換する触媒機能をもつことに着目し、毒性の高いCOの代わりにCO2を使うオキソ反応を世界に先駆けて開発した。しかし錯体触媒は有機溶媒に溶解させて使うため、耐圧反応容器を使うバッチ式反応プロセスが必要であった。

 今回イオン液体を使って、ルテニウム錯体触媒をシリカゲル表面に薄膜状に固定化した触媒を開発。薄膜状のイオン液体中のルテニウム錯体触媒は、有機溶媒中と同様に反応する上、外観はシリカゲルと同じ粉体であるため、一般的な固体触媒と同様に扱える。

 またイオン液体は、オキソ反応温度域では揮発しないので、触媒を担体上に安定に保持できる。これにより、CO2と水素とプロピレンから、ブタノールを連続的に生産することが可能になった。高圧フロー式反応装置で反応圧8・6M㎩、反応温度170℃、約8時間の反応では、従来のバッチ式反応プロセスに比べ、時間当たりの収率は10倍になった。

 今後は主生成物の選択性と触媒の耐久性の向上のため、新たな金属錯体触媒やイオン液体の改良を行っていく。また、幅広く他の原料への適用可能性も検討していく。

今回開発したCO2を原料としたアルコール合成プロセス

 

東亞合成 瞬間接着剤に新製品投入、耐水・耐熱性を向上

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2021年9月29日

 東亞合成はこのほど、家庭用瞬間接着剤「アロンアルフア」シリーズの新商品「タフパワー」(容量:2g)を、10月から順次店頭販売を開始すると発表した。大幅な改良を行い耐水性と耐熱性を向上させたほか、容器についても、エラストマーとポリエチレンのハイブリット型容器を採用することで、使いやすさを追求した。 

耐水性と耐熱性を向上させた「タフパワー」

 同社の調査によれば、ユーザーの7割以上が瞬間接着剤に耐水性と耐熱性を求めるなど、その要望は高い。「タフパワー」は「アロンアルフア」シリーズの中で最も両特性に優れており、水回りや熱がかかりやすい部分の補修・工作に向く。

 また、キャップを外してすぐに使えるワンステップ開封を採用。プッシュ部分を弾力性のあるエラストマーにしたことで、液量コントロールを容易にした。多用途タイプで、硬質プラスチックや合成ゴムをはじめ、金属、木材、陶器、軟質ビニールなど、幅広い素材の接着が可能。

キャップを外してすぐに使えるワンステップ開封(左)。弾力性のあるエラストマーの採用で液量コントロールが容易になった

 「タフパワー」は、東亞合成が50年にわたり磨きをかけた、瞬間接着剤の配合・生産技術と容器製造技術をベースに開発した。今後も多様化するニーズに対応した、使いやすく、最適な性能をもった製品を開発し、持続可能な社会の実現に貢献していく。なお、発売元はコニシ。

 

東ソー 新型コロナウイルス抗原検査試薬の販売を開始

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2021年9月29日

 東ソーは28日、同社の全自動化学発光酵素免疫測定装置「AIA-CL2400」および同等機種向けの専用試薬として、新型コロナウイルス抗原検査試薬である「AIA-パックCL SARS-CoV-2-Ag」の販売を開始したと発表した。なお同試薬は、今月14日に製造販売承認を取得し、同日に保険適用された。

「AIA-パック CL SARS-CoV-2-Ag反応試薬」(左)と「AIA-CL用 SARS-CoV-2-Ag検体処理液」

 同試薬は、横浜市立大学をはじめ外部機関の協力を得て開発され、試料中のコロナ抗原を特異的に25分で測定が可能となる。また、「AIA-CL2400」を利用することで1時間に最大120検体を測定できる。同社は、「AIA-CL」装置向けの専用試薬として、新型コロナウイルスを構成するヌクレオカプシドたんぱく質およびスパイクたんぱく質に対する4種の抗体検出試薬をすでに販売しており、抗原測定と抗体検出が同一の装置上で可能となった。

測定装置「 AIA-CL2400」

 同社は、既存製品である遺伝子検査試薬「2019新型コロナウイルスRNA検出試薬 TRCReady SARS-CoV-2i」と合わせ、同社の製品による迅速測定が、これからも新型コロナウイルスの診療、研究、および疫学調査など多方面への貢献を可能にすると考えている。

三菱ケミカル バイオエンプラがトヨタ「MIRAI」に採用

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2021年9月29日

 三菱ケミカルは28日、バイオエンジニアリングプラスチック「DURABIO(デュラビオ)」が、トヨタ自動車の燃料電池自動車で、昨年12月から販売している新型「MIRAI(ミライ)」のリアヒーターコントロールパネルに採用されたと発表した。「デュラビオ」が「ミライ」に採用されたのは初となる。

「デュラビオ」が採用されたトヨタ「MIRAI」

 「デュラビオ」は、再生可能な植物由来原料イソソルバイドを使用したバイオエンプラ。耐衝撃性・耐候性・耐熱性などの点で一般的なエンプラよりも優れた物性をもつ。また、一般的なエンプラは、自動車のシートに含まれるアミンという物質により劣化(白濁など)することが知られているが、「デュラビオ」は耐アミン性にも優れているという特長もある。これらの特性を生かし、車載ディスプレイ前面板やフロントグリルなど自動車の内外装意匠部品への採用が進んでいる。

パネルに「デュラビオ」が採用

 「ミライ」は水素で発電した電気で走る燃料電池自動車であり、環境課題とエネルギー課題の解決に貢献する〝究極のエコカー〟と呼ばれる環境車。「デュラビオ」は、内装材として求められる耐衝撃性や耐薬品性といった物性に加え、植物由来原料の素材である点が、「ミライ」のコンセプトとも合致し、今回の採用に至った。

 三菱ケミカルでは、植物由来で環境負荷低減にも寄与できる「デュラビオ」の用途展開を通じて、環境にやさしいクルマづくりに貢献していく。

 

ランクセス プラ・金属製の放熱性レーダーセンサー提案

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2021年9月28日

 ランクセスはこのほど、熱管理性能を備えたレーダーセンサーの新たなコンセプトを開発した。

 熱伝導性プラスチックと金属冷却素子の組み合わせで、組み立てが容易で素材選択の自由度が高い。次世代自動車の主要機能である運転支援システムは距離制御、車線変更監視、衝突回避、死角監視システムなどで構成される。レーダー波による車両周囲360度の監視には、レーダーセンサーは不可欠。センサーは防塵・防水の完全密閉システムであり、内部からの効果的な放熱が困難で、電子機器の性能とセンサーの耐久性を損なう恐れがある。

 同コンセプトは、フロントカバー(レドーム)、レーダー吸収体、アンテナと、冷却素子を一体化したバックカバーなどで構成。主にポリ塩化ビフェニル製だが、高いレーダー波透過性が必要なレドームには、低誘電率(Dk)・低損失係数(Df)のポリブチレンテレフタレート(PBT)「ポカン」が適する。

 バックカバーは、ポリアミド(PA)6と金属冷却素子の、プラスチック金属ハイブリッドだ。射出成形により、補強リブや冷却リブ、コネクタ用スロット、さらに歪みのないケーブル取り付けなどが一体化。電子部品が発生する熱は、金属冷却素子の表面に薄く形成されたプラスチックを通じてアセンブリ全体から効率的に放散され、その効果は熱伝導性PA6「デュレタンBTC」で確認済みだ。

 また金属製冷却素子は、レーダーセンサー内の電子機器を電磁放射から保護する。個々の部品はスナップフィットとホットリベット、2成分射出成形のOリングとシールリップで組み立てるため、ネジを使用する従来法に比べて安価で時間も短縮され、部品を溶接する必要がないため、異種のコンパウンドも使用できる。同社は、「HiAnt」ブランドの下、材料やアプリケーション、プロセスの技術開発のノウハウを結集し、コンセプト設計、材料最適化、機械的・レオロジー的シミュレーション、コンポーネントテスト、生産立ち上げなど、あらゆる開発段階でパートナーをサポートしている。

 

タカラバイオ 下水中のコロナ検出、PCRキットを発売

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2021年9月28日

 タカラバイオはこのほど、下水に含まれる新型コロナウイルス遺伝子を高感度かつ迅速に検出可能なPCRキットの受注を開始した。

下水中の新型コロナウイルス遺伝子をに検出できるPCRキット
下水中の新型コロナウイルス遺伝子をに検出できるPCRキット

 多くの感染者の糞便中には、ウイルスが存在する可能性が報告されており、下水中に排出されたコロナウイルス遺伝子を定期的にモニタリング調査することで、対象施設あるいは地域の感染症の流行状況などを把握する下水疫学に関わる研究が進められている。

 同製品は、下水からのコロナウイルス遺伝子検出に必要なPCR試薬(PCR酵素液、プライマー・プローブ、陽性コントロールなど)が含まれたオールインワンキットで、煩雑な準備作業の省力化に貢献する。

 プライマー・プローブには、「下水中の新型コロナウイルス遺伝子検出マニュアル」の記載に準拠した配列を使用し、従来の検出法を簡便に実施できる検査キットとして製品化。下水中のコロナウイルスに加え、ウイルスの濃縮から検出までの操作を確認するためのプロセスコントロールの検出にも対応する。

 同製品では、ワンステップRT-PCR法の採用により、下水中の低濃度のコロナウイルスを高感度に検出できる。また、従来はRT-qPCR反応に3時間以上を要したが、同社の高速PCR技術の採用により、同製品では最短で約50分へ大幅に短縮された。

 なお、同製品は、山梨大学大学院総合研究部附属国際流域環境研究センターの原本英司教授との共同研究を通じて製品化した。同製品により下水中のコロナウイルス遺伝子検出の迅速・効率化を実現することで、コロナウイルス感染の疫学調査・研究に役立つことが期待される。

帝人 バイオミメティクス製品を展開、生物模倣で開発

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2021年9月28日

 帝人グループは、生物の優れた構造や機能を模倣することで開発に至った高機能な製品を展開している。

 イネの葉をヒントに開発した撥水ファブリック「ミノテック」は、日本古来の雨具「蓑(みの)」からアイデアを得た製品。イネの葉には表面張力を低減する微細な凹凸が無数にあるため、水滴を葉の軸方向に速やかに流れ落とす。

 「ミノテック」は、イネの葉と同様の凸構造を配した「マイクロガーター構造」で撥水メカニズムを再現し、緩い傾斜で水滴を滑らせる。レインウエアなどと異なり、柔らかい風合いをもつことからファッション素材として幅広く採用されている。

 一方、ヤモリの手のひらをヒントに開発した、生活アシスト手袋「ナノぴた」は、指紋消失による指先の摩擦力消失などのがん薬物療法による副作用に対応した製品。「ナノぴた」の手のひら側には直径700㎚ポリエステルナノファイバー「ナノフロント」を使用しており、高い摩擦抵抗力により高いグリップ力を実現している。「ナノフロント」の表面構造は、ニホンヤモリやユリクビナガハムシなどの接着力の高い生物の脚先の構造と類似していることが確認されている。

マイクロ波化学 ケミカルリサイクル実証設備を完成

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2021年9月28日

 マイクロ波化学は27日、マイクロ波プロセスを活用した汎用プラスチック分解技術の開発を目的とするケミカルリサイクル(CR)の小型実証設備を大阪事業所内に完成させたと発表した。

ケミカルリサイクルの実証設備

 同社はマイクロ波によるプラ分解技術の開発を独自で推進。「PlaWave」と名付けられた分解技術は、①様々なプラスチックに適用でき熱分解にも解重合にも対応可能、②ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)ではオイルとガスの作り分けが可能、③マイクロ波の直接・選択加熱により従来技術と比較し省エネや設備コンパクト化によるコスト低減が可能、といった特長がある。マイクロ波は、カーボンニュートラル達成のために不可欠である電化技術。再生可能エネルギーなどの脱炭素電源を利用することでグリーンなプラ循環を可能とする。

 昨年12月には、同社の研究開発テーマ「マイクロ波プロセスを応用したプラスチックの新規CR法の開発」が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の中小・ベンチャー企業対象「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」に採択され、今回の小型実証設備の開発に至った。

 この小型実証設備は1時間当たり5kg程度の処理能力があり、ポリスチレンをはじめとした様々なプラで実証を重ねていく予定。2022年秋には年産数百t規模の大型実証プラントを建設し、2025年頃までに同1万t規模までスケールアップする計画で、廃プラを油化する技術開発を進めるとともに、これまで難しいとされてきたPEやPPのガス化実証を行う。

 同社は今後、「PlaWave」を国内外の企業に導入することで、サーキュラーエコノミーを推進していく。

「PlaWave」のロードマップ

宇部興産 少量・高薬理活性原薬工場、本格運転を開始

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2021年9月28日

 宇部興産は27日、少量・高薬理活性の原薬製造に特化した第五医薬品工場が本格運転を開始したと発表した。同工場は、宇部ケミカル工場(山口県宇部市)敷地内に新設しており、今年5月の完成後から、試運転などを行ってきた。

 近年、医薬品市場では、オンコロジー領域での治療の個別化、オーファンドラッグの需要の高まりなどを受け、アンメットメディカルニーズ向けの医薬品の開発が活発化している。また、抗体薬物複合体(ADC)の開発など医薬品の多様化が進んでおり、薬理活性の強い少量原薬の需要が高まっている。

 宇部興産はこれまで、既設の第四医薬品工場(反応槽容量8㎥)や治験薬工場(同2㎥)で高薬理活性原薬(OEL〈許容ばく露限界〉1㎍/㎥以上)を製造受託し、市場に供給してきたが、新設した第五医薬品工場では、より薬理活性の強い少量・高薬理活性原薬(同0.1㎍/㎥以上)の製造が可能となった。

 今回の生産体制の強化を通じ、より幅広いニーズに対し、開発から商用生産まで一貫して対応していく。同社の医薬事業は、技術革新にあふれた「クスリづくり」を地域から発信し、すべての人々の健康に貢献することを目指している。これからも医療に貢献するため、自社・共同研究開発による「創薬」と「原薬・中間体製造」を両輪として新しい医薬品の種となる化合物を創出していく。

 

ランクセス 試作用金型開発、難燃性プラの成形課題再現

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2021年9月27日

 ランクセスはこのほど、難燃性ポリアミドおよびポリエステルコンパウンドの射出成形中に直面する典型的な課題を再現した、電気・電子産業向け部品の試作用射出成形金型を開発した。

 ハイパフォーマンスマテリアルズ・ビジネスユニットのカタリーナ・シュッツ氏は「この金型を使用することで、新しい難燃剤と加水分解安定化剤の現実的な分析を行う。当社の目的は、製品開発段階でも必要に応じて処方を適用できるように、事前に特殊な加工特性を特定することだ。そして、当社の難燃性プラ加工業者に、量産のための特定処理の推奨事項を提供したい」と述べている。

 難燃性を備えた熱可塑性樹脂の多くは、添加剤が使用されているため、標準製品よりも加工範囲が狭まるが、「この試作用金型により、これらの課題を実用的な方法で再現し、改善方法を見つけられる」と強調した。

 今回開発した射出成形金型は、異なる用途の様々な側面を一体化した、高機能で、筐体のようなデモンストレーション部品。同ユニットの電気・電子アプリケーション開発者であるサラ・ルアーズ氏は、「機械的、電気的、および難燃性のテストにも使用でき、様々なプロセスパラメータや実際の形状に応じて材料の性能を評価できる」と述べている。

 プロジェクトパートナーを対象としたこれらのサービスは総合サポートサービス「HiAnt」の一部。このサポートは、コンセプト設計、材料の最適化、機械・レオロジー的シミュレーションから量産の開始まで、アプリケーション開発のすべての段階を網羅している。

 一方、同ユニットでは効果的なサポートを提供するため常にプロセスツールを拡張しており、今後は樹脂・金属ハイブリッド部品の試作金型も稼働させる予定。ルアーズ氏は、「オーバーモールドされた金属の挿入を特徴とするプラスチックコンポーネントは、大きな温度変動にさらされると、応力亀裂を受けやすくなる。新しいハイブリッド金型を使用して、材料の耐亀裂性を調査し改善したい」と述べている。また材料、コンポーネントの形状、プロセスパラメータなどの要因に応じて応力亀裂を予測するシミュレーションモデルの検証も計画している。